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対談:企業風土改革について

〈みずほ〉の企業風土変革に関するこれまでの議論や取り組み、今後の課題等について、秋田グループCCuO 兼 グループCPO、月岡取締役、山本取締役の3名が意見交換しました。

左から 社外取締役 山本 正巳、執行役 グループCCuO 兼 グループCPO 秋田 夏実、社外取締役 月岡 隆

〈みずほ〉に対して感じたこと

山本 正巳秋田さんは2022年5月から〈みずほ〉の一員になりましたが、入社された当初、〈みずほ〉の企業風土や、社員が感じている思いをどのように捉え、どのような問題意識を持ちましたか。

山本 正巳

秋田 夏実〈みずほ〉に入る前は、各種報道から、「なにかを変革していくことが難しい組織なのではないか」、という印象を持っていました。実際、入社した後も、人間関係が社内に閉じる傾向にあると感じたり、「みずほの常識」が「世間の常識」だと思っている社員が少なからずいると思ったことはあります。ただ、これらは〈みずほ〉固有の課題ではなく、日本の大企業であれば、どこの会社にも言えることではないでしょうか。一方で、一人ひとりと会話をしてみると、「なんとか〈みずほ〉を良くしていきたい」という熱い思いを持つ社員も大勢いることがわかりました。私も含め社外を経験してきた人が持つ、自分たちと異なる経験や発想に対して、とても高い関心を持ち、そこから何かを吸収しようとする社員が多いと感じました。

社外取締役としての問題意識

秋田 夏実逆に社外取締役の立場から〈みずほ〉を見て、企業風土についてどのように感じていますか。昨年来、企業理念の見直しの議論も行ってきましたが、課題認識等も含めてお聞かせください。

月岡 隆私はシステム障害の混乱の最中に社外取締役に就任したわけですが、就任当初から、「持株会社は、戦略を考えたりつくるのが役割、傘下のエンティティはそれを決まったこととして実行するのが役割」という、血の通っていない組織になっているのではないか、と感じていました。また、社員の間に不安が広がっているという状況を目の当たりにするなかで、危機時であるからこそもう一度「原点」に立ち返るべきであり、そのチャンスでもある、と思いました。私の経験上、社員が同じ方向を向いて団結するためには、その会社の源流・歴史を学ぶことが重要だと考えています。ポール・ゴーギャンの「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」という絵画がありますが、まさにこの点を社員と経営陣が一緒になって考える。これが〈みずほ〉に必要なことでした。

山本 正巳それに加えて、私は、これからも〈みずほ〉が成長していくためには、これまでの〈みずほ〉の殻を破り、イノベーションを起こしていく、そんな人材が必要だと思います。今回の企業理念の見直しのなかで、「ともに挑む。ともに実る。」というパーパスも制定され、自分たちの存在意義やどこに向かっていくのか、という方向性がはっきりしたと思います。あとは、社員一人ひとりが自分の思いを大いに発信し、行動できる環境を整えることができれば、良い方向に進んでいくのではないでしょうか。

月岡 隆私も同じ意見です。今回、社員参加型ワーキンググループが、経営に対する提言をまとめ、発信してくれましたが、まさに社員が自ら考え、自分たちの意見を会社に伝える機会があった、ということがこのワーキンググループの大きな成果ではないでしょうか。企業理念の見直しについても、経営陣と社員が一緒になってつくっていくというステップを経たことで、役員・社員間のコミュニケーションも活発化したと思います。

秋田 夏実

月岡 隆

2022年度のグループCPO(Chief People Officer)としての取り組み

山本 正巳2022年度、秋田さんは特にどのような点を意識して取り組んできたのでしょうか。

秋田 夏実2022年5月の入社以来、グループCPOとして活動してきましたが、私が最も力を入れてきたのは、「つなぐ」ことです。例えば、昨年から組織開発という取り組みを開始しました。従来は個々人の成長に主眼をおいてきましたが、コミュニケーションやチームワークなどの「人と人の関係性」に働きかけ、チーム・組織としての「つながり」をつくっていくことによって、組織全体のパフォーマンスの向上をめざしています。こうした取り組みは、コロナ禍を経てより重要になってきていると思います。また、女性の次世代リーダーの育成においても、役員自身がメンターとなって育成を行うメンタリングプログラムを導入しましたし、女性管理職同士が研修等を通じて横の「つながり」をつくることなどにも注力してきました。また、現役社員だけではなく、〈みずほ〉を卒業したアルムナイとの組織の枠を越えた共創の「つながり」も重視しており、みずほアルムナイに加入している約1,000人のメンバーとの連携も強化しています。

山本 正巳〈みずほ〉がこれまでの殻を破っていくためには、多様な意見がでてくる環境も重要です。その一つの観点が女性活躍で、取締役会においても課題認識をもって議論しています。ただ、実際には持株会社の役員構成を見ても秋田さん含め女性は2名しかいませんよね。女性活躍推進についてはどのような取り組みをしていますか。

秋田 夏実この点については、役割や職場・ご家庭の状況によって、社員の悩みは異なってくるため、まずはしっかりとそれぞれの悩みに寄り添った支援を行うようにしています。一方で、会社全体として意識すべきなのは、「聴く」ことだと思います。とりわけ、伝統的な日本企業の場合、トップダウンによる指示型になりがちです。様々な社員がいるなかで、それぞれにきちんと向かい合って話を「聴く」ということが、なかなかできていないかもしれません。

山本 正巳〈みずほ〉もまだまだ男性中心のコミュニケーションになりがちではないかと思っています。海外拠点を視察した社外取締役の話によると、女性がものすごく活躍しており、非常に活発な意見交換がなされている、ということでした。組織としてよい方向に向かうためには、女性も含め誰もが意見を活発に発信することが当たり前、とされる環境づくりが必要ではないでしょうか。

月岡 隆女性活躍は、日本のどの会社でも課題になっている。ぜひ秋田さんには、外部から来られた女性役員としてリーダーシップを発揮してもらいたい。そうすれば、〈みずほ〉に非常に大きな影響を与えることができるはずです。社外取締役としても全力でバックアップしますよ。

山本 正巳 誰もが意見を活発に発信することが当たり前とされる環境づくりが必要

秋田 夏実 どうしたら企業理念を自分ごととして捉え前向きに動いてもらえるかポイントは「社員参画」

企業風土変革に向け、どのような点に取り組んでいくか、またどのように継続させていくか

月岡 隆今後は企業理念をどのように浸透させていくかがポイントですが、グループCCuO (Chief Culture Officer)やコーポレートカルチャー室(CC室)といった企業理念の浸透を推進する役割や組織を新しくつくると聞いたときは、木原グループCEOの本気を感じました。グループCCuOとして、今後どのようなことに重点を置いて取り組んでいこうとお考えですか。

秋田 夏実CC室のメンバーと一緒に、〈みずほ〉の社員が、どうしたら企業理念を自分ごととして捉え、前向きに動いてもらえるか、ということに日々心を砕いています。ポイントは、やはり「社員参画」だと思っています。様々な取り組みを進めるにあたり、企画段階から社員の皆さんに手を挙げてもらい、一緒になってつくりあげていくことがとても大事ですね。上手くいくか否かによらず、社員が考え出した施策をどんどん試し、ダメであればやめる、良いものはさらに良いものにしていくというサイクルを回していきたいです。こうした取り組みを絶え間なく行っていくと同時に、認知を深めるべく、国内外への発信も強化していきます。

山本 正巳企業風土変革の取り組みは非常に地道なものなので、経営の重要課題として常に意識を持ち続けるためには、何かしらの工夫が必要だと思います。この点についてはどのように考えていますか。

秋田 夏実今回KPIとして、社員意識調査に基づく「エンゲージメントスコア」と「インクルージョンスコア」という定量的な目標を設定し、社内外に対する経営のコミットメントとして掲げています。

山本 正巳報酬委員会でも議論しましたが、木原グループCEOの強い思いも踏まえ、役員報酬制度のなかにもこの指標を組み込んでいます。チャレンジングな目標だと理解していますが、役員の皆さんには、是非リーダーシップを発揮していただきたいですね。

月岡 隆社員意識調査結果は一つのメルクマールですが、その時々に発生している現象に引っ張られてしまう側面がある点には留意が必要です。社員とのリアルな接点を増やし、「声なき声を聴く」ということにも意を用いていただくと良いのではないでしょうか。

変化の兆しについて

月岡 隆「窮すれば変ず、変ずれば通ず」という言葉がありますが、ここで変わらない限り〈みずほ〉は先に行けない、という思いを持ちながら取締役会でも議論をしてきました。私は、少しずつ前向きにいろいろなことが変わってきていると感じていますが、秋田さんはいかがですか。

秋田 夏実はい、私も徐々に変化を感じています。例えば、グループCEOの木原さんが頻繁に行っている社員との「Live Session」では、自由闊達な議論が行われています。同じような取り組みを行っている会社は他にもあると思いますが、その多くは事前の「お膳立て」を行っているというのが実態ではないでしょうか。全く事前にすり合わせることなく、参加者が自由に発言している、この点が「Live Session」の非常に良いところです。これに限らず、いろいろな形でコミュニケーションの頻度、機会を広げる動きを大切にしています。いずれにしても、変化の起点は社員一人ひとり。その心にどうしたら火を灯していけるか、しっかりと声を聴いて受け止め、行動につなげたいと思っています。

山本 正巳その際には、持株会社だけではなく傘下のエンティティも含めたグループ全体に目を配り、個々のエンティティごとの事情も踏まえながら、それぞれに合った取り組みを進めていただきたいですね。〈みずほ〉全体が変わっていくことが、より強いグループとなり、さらに成長していく力の源泉になる、このことを意識していただきたいと思います。

秋田 夏実もちろん、グループ一体で取り組んでいきます。エンティティ長をはじめとする役員やエリア長も、社内SNSなどのツールを使って積極的に営業現場に対してメッセージを発信するなど、社内のコミュニケーションが活発になってきました。このような役員・社員間のコミュニケーションは、今後もさらなる活性化を図っていきたいと思います。

月岡 隆企業組織の存在意義は本来普遍的なものであり、国や社会へ貢献していくというところにあるのだと思います。トップがコミュニケーションを取る際に、「大義」が曖昧なまま目先の利益に走ると、お客さまは離れ、企業としての持続的な成長にはつながらない。そうならないよう、理念やパーパスを軸にした「大義」をしっかりと社員に伝えていくことが重要ですね。

山本 正巳私も同意見です。トップが大義を忘れていないか、役員が同じ気持ちを共有できているか、我々社外取締役も取締役会や普段のコミュニケーションのなかでしっかり経営陣と議論していきたいと思います。

秋田 夏実ありがとうございます。最近訪問した支店の社員から「既に変わってきていますよ」という声が寄せられ、非常に勇気づけられました。そうした声が今後も増えていくよう全力で取り組んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。

月岡 隆 理念やパーパスを軸にした「大義」をしっかりと社員に伝えていくことが重要

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