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CFOメッセージ

新中期経営計画の達成、企業価値の向上、社会価値の創出にコミットします。 執行役 グループCFO 米澤 武史

現状認識

2022年度総括と2023年度計画

2022年2月にロシアがウクライナへの侵攻を開始し、3月には米国の中央銀行であるFRBが2年間にわたって継続してきたゼロ金利政策を解除するなど、2022年度はグローバルな政治・経済情勢に波紋を広げるイベントが相次ぐなかでスタートしました。

このような外部環境下、当社の連結業務純益※1は、前年度比460億円減益の8,071億円となりました。市場部門においては、セールス&トレーディングが好調だった一方、内外金利が大幅に上昇するなかで保守的な運営を継続したバンキングで、一部保有債券の含み損を処理し、財務健全化を進めたことを主因に、減益となりました。一方、顧客部門においては、資産運用・資本市場ビジネスは苦戦しましたが、法人貸出や預金・トランザクションといった間接金融の領域で、預貸金収益や与信関連手数料が伸長し、全体としてはカンパニー制導入以来の最高益を更新しました。

親会社株主純利益は、250億円増益の5,555億円となり、期初計画5,400億円を達成するとともに、一株当たり85円と2期連続の増配を実現できました。

なお、2023年度は引き続き不透明な環境の継続が予想されますが、本業収益を着実に伸長させ、連結業務純益9,000億円、親会社株主純利益6,100億円を計画しています。一株当たりの配当予想は、配当性向40%を目安にするとの株主還元方針を踏まえ、10円増配の95円としています。

5ヵ年経営計画の振り返りと新中期経営計画の策定

2019年度に開始した5ヵ年経営計画では、「前に進むための構造改革」をビジネス・財務・経営基盤の三位一体で推進することを基本方針に据え、業務純益、ROE、政策保有株式、CET1比率を財務目標等に掲げました。その実現のため、収益の安定性や成長性、或いはリスクアセットや経費といった経営資源活用の効率性を用いて各ビジネス領域を財務目線で評価し、そのうえで経営資源配分の見直しを通じて、事業ポートフォリオの再構築を進めました。

その結果、資本効率や経費効率の改善、米州やメザニン・エクイティ投資といった新しい収益源の育成といった成果が得られ、厳しい環境下でも事業ポートフォリオ全体で安定的に稼ぐ体質への転換が進み、財務目標等は下表の通り進捗し財務健全性と資本効率性をバランス良く改善しました。

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  18年度 22年度 23年度目標
(前5ヵ年経営計画)
連結業務純益 4,083億円 8,071億円 9,000億円程度
連結ROE※2 1.2% 6.6% 7–8%程度
政策保有株式売却 3,838億円
19/3末–23/3末
4,500億円
19/3末–24/3末
CET1比率※3 8.2% 9.5%
23/3末時点
9%台前半
めざす水準

5ヵ年経営計画当初の狙いの実現に向けて着実に前進してまいりましたが、4年という時間の経過のなかでの環境変化に対して今日的に如何に向き合うべきかについて役員・社員で議論を重ね、今般、パーパスの制定を含めて企業理念を見直し、一年前倒しで5ヵ年経営計画を終了させ、新しく3ヵ年の中期経営計画を策定しました。

新中期経営計画における財務戦略

パーパスを起点に策定した新中期経営計画では、財務資本に加えて、人的資本や社会・自然資本といった非財務的な資本も含めて資本を大きく捉え、それらを活用しながらお客さまに対するサービス提供を推進することで企業価値の向上と社会価値の創出を追求していくこと、そして、その果実を多様なステークホルダーに還元していくこと、このような循環を創っていくことをめざしています。

2025年度連結ROE8%超、連結業務純益1~1.1兆円の達成を財務目標とします。財務健全性の観点では、所要水準としてCET1比率9%台前半を確保したうえで、複雑化、不透明化の一途を辿る政治・経済環境がもたらす予期せぬ負のショックへの備えやインオーガニック投資を含む資本活用余力を確保する観点から、一定の余裕を持ちながら取り組む方針です。また、政策保有株式を3年間で3,000億円売却し、株価変動リスクに対する資本負担の軽減を進めます。

経営資源の効率的な利用を追求

連結ROE8%超の達成に向け、資本効率、経費効率、人員効率などの経営効率向上に取り組みます。

資本効率については、アセット費消型ビジネスに一定の採算性基準を設け、低採算領域への資本投下を低減させる一方で、M&A・不動産取引を起点とする高採算貸出、イノベーション企業、米州等の高採算が期待される領域へと資本の再配分を行うことで全体としての採算性向上を図ります。

リスクアセット

リスクアセット

経費効率に関しては、グローバルな金融規制対応やサイバーセキュリティ強化等の安定運営、DX化や収益成長に向けて戦略領域には積極的に経費を投下します。一方で、既存の支出項目についてはきめ細かく検証や見直しを行い、60%台前半の経費率を堅持します。

経費

経費

人口減少が加速し、労働供給に制約が加わるなか、最も希少性の高い経営資源は人材です。労働集約的なリテールビジネス等はデジタル化を進め人員効率の向上を図り、教育・研修などの人材投資を通じて人的資本の充実、労働生産性の向上に努めます。

人員

人員

安定的な成長を実現する強靭な事業構造

連結業務純益1~1.1兆円の達成に向け、成長のドライバーとなる領域に経営資源を投下します。

具体的には、「資産形成・運用」「国内法人」「グローバルCIB」を重点分野と位置付け、これら3分野で約1,700億円の業務純益の成長を図ります。「資産形成・運用」の領域では、政府の掲げる資産所得倍増プランも踏まえ、NISAへの取り組み強化、預かり資産の持続的拡大を図ります。「国内法人」の領域では、トランジション投資などサステナビリティ関連の資金需要への対応、中堅企業の成長支援などに注力します。「グローバルCIB」領域においては、米国資本市場のさらなる拡大、米国における業務基盤や運営管理の仕組みを欧州やアジアへと展開します。

加えて、バンキングにおけるポジション運営の最適化を通じた金利リスクのコントロールも含め、外部環境の変化の影響を受けにくい収益構造への転換に取り組みます。

最後に~PBR改善に向けて~

足元、〈みずほ〉のPBRは0.6倍程度、バランスシート上の自己資本額に対する時価総額の比率が半分強であり、「当社の資本は将来的に減少していく」と評価されています。経営として厳しい株式市場の評価を受け止め、その改善に取り組みます。

〈みずほ〉のPBR

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資本効率の向上 ファンダメンタルズ要因
  • アセット採算性の向上
  • 経費率コントロール
低採算アセットから高採算アセットへの資源シフト
規律ある経費運営、生産性の向上
成長期待の醸成
  • 着実な利益成長の実現
  • 効果的な資本活用
持続的な本業収益の成長、非金利収益の拡大
成長投資、無形資産への投資、株主還元強化
  • 本業収益の安定化
CIBビジネスのプライマリー・セカンダリーの相互補完
収益多様化、一過性損益の縮減、政策株削減
  ディスカウント解消
  • 財務健全性の向上
CET1比率運営の最適化、資本コスト低減
マクロ要因
  • 日本の経済成長への貢献
  • 海外の成長取り込み
パーパスの実践を通じた家計金融資産の増加・日本企業の競争力強化

PBRは、ROE、資本コスト、期待成長率によって決定されると考えられます。新中期経営計画の着実な推進によって3年後にROE8%超をめざし、それ以降も不断の向上に取り組みます。他方、資本コストの抑制、期待成長率の向上にも取り組みます。

収益の変動の抑制とバランスの取れた資本運営により、資本コストの低減に努めます。

また、足元でマイナスとなっている成長期待は、当社固有の要因と日本のマクロ経済要因が混然一体としていますが、新中期経営計画を着実に遂行し、利益成長とビジネス拡大により、当社固有の要因を解消し、パーパスの実践を通じ、日本経済を成長軌道に回復させ、マクロ経済要因も解消してまいりたいと考えています。

ステークホルダーコミュニケーション

私自身、これまでも株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまとエンゲージメントを行い、様々な気づきを得ることができました。ご示唆を経営に活かし、また、当社の考え方や取り組みを開示し、エンゲージメントの質をさらに高める。こうしたサイクルの積み重ねが不可欠と考えています。

2023年度からはグループCFOとして、エンゲージメントの一層の強化や開示の充実に取り組みます。事業戦略や資本政策に留まらず、新たな企業理念や環境、人的資本といった非財務的なテーマも含め、多様なステークホルダーの皆さまからご意見を頂戴し、様々な取り組みに反映していきます。

2022年度機関投資家面談件数 520件(うち海外190件)

  • 役員にて実施 190件(うち海外 50件)
  • IR部にて実施 330件(うち海外140件)

主な説明会

  • 個人投資家向け説明会(2023年1月)
  • IR Select(2023年2月、5月):グループCSuO、グループCCuO/グループCPO※6、取締役会議長による説明会
  • IR Day(2023年6月):カンパニー長による事業戦略説明会
  • 社外取締役セッション(2023年6月)
  • ※1.ETF関係損益(2行合算)と営業有価証券等損益(みずほ証券連結)を含む
  • ※2.当期純利益÷(株主資本+その他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金を除く))
  • ※3.バーゼルⅢ新規制(規制最終化)完全適用ベース。その他有価証券評価差額金を除く
  • ※4.2022年度ROE(自己資本当期純利益率)。その他有価証券評価差額金を含む
  • ※5.CAPMより推計
  • ※6.Chief Culture Officer/Chief People Officer
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