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CFOメッセージ

取締役 執行役常務 財務・主計グループ長 (グループCFO)梅宮 真

5ヵ年経営計画2年目の総括

2020年度業績

2020年度は、新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機の中、お客さまの資金繰り支援要請等に対し金融仲介機能を十分に発揮する一方で、将来に備えた予防的な財務運営を徹底し、財務構造改革についても着実な進展を図ることができました。

本業の利益を示す連結業務純益は、顧客・市場部門ともに堅調に推移し、7,997億円と前年度比1,271億円の大幅な増益となりました。顧客部門は、2015年度のマイナス金利政策導入前の水準を上回り、2016年度のカンパニー制導入以降の最高益となっています。

一方、コロナ影響の長期化に備えフォワード・ルッキングに貸倒引当金を計上したことにより与信関係費用が増加しましたが、連結業務純益の伸びが牽引したことで親会社株主純利益は4,710億円と前年度比224億円の増益となりました。

業績推移

財務の健全性を示すCET1比率は2021年3月末に9.1%と、5ヵ年経営計画のめざす水準である"9%台前半"に2年目で到達しました。

配当については、親会社株主純利益の実績を踏まえ、2020年度までの株主還元方針に基づき、期初予想通りの1株当たり75円といたしました。

業績推移

  • ※1構造改革への取り組みを踏まえた損失1,947億円反映前
  • ※2リテール・事業法人カンパニー、大企業・金融・公共法人カンパニー、グローバルコーポレートカンパニー、アセットマネジメントカンパニーの合計。過年度の計数を2020年度管理会計ルールに組み替えて算出

財務構造改革の進捗状況

2019年度からの5ヵ年経営計画では、ビジネス・財務・経営基盤三位一体での構造改革を進め、次世代金融への転換をめざしています。特に財務構造改革では、ビジネス領域ごとに投下経営資源対比の効率性を「リスクリターン」「コストリターン」という二軸で評価するとともに、収益の「安定性」「成長性」にも着目して経営資源を再配分しています。このような取り組みにより、安定収益基盤の一層の強化を図り、成長領域をあわせ持つ事業ポートフォリオの構築を進めています。

—「リスクリターン(粗利ROE)」

「リスクリターン」の改善に向け、低採算事業領域から高採算事業領域へと経営資源のシフトを図るとともに、取引先単位でも採算性改善に向けた交渉を地道に進めてきました。ここでは具体的成果として、海外貸出金スプレッドの改善と政策保有株式の残高削減について説明します。

海外の顧客取引については、「Global 300戦略」を掲げ、信用力の高い優良非日系企業中心のポートフォリオ構築を進めてきましたが、厳しい競争環境から付帯取引が広がらず採算性が低位に留まる取引もありました。そこで、将来の採算性改善の可能性を一社一社検証し、投下経営資源の見直しを進めてきました。こうした不断の取り組みの結果、海外貸出金スプレッドは2020年度下期に0.99%と、2年前の0.80%、1年前の0.82%から大幅に改善させることができました。

貸出金スプレッド※1

業績推移

  • ※1.みずほ銀行、管理会計
  • ※2.みずほ銀行(含む中国・米国・オランダ・インドネシア・マレーシア・ロシア・ブラジル・メキシコ現地法人)、過去計数も含め、2020年度計画レートにてドル換算

政策保有株式の削減については、"2021年度末までの3年間で3,000億円削減"という目標を設定しましたが、お客さまとの丁寧な交渉を通じ、2年間で売却した金額は2,194億円(減損も含めた削減額は2,521億円)と順調に進んでいます。政策保有株式に依拠した取引関係やビジネス構造からの転換に向け、株式削減により捻出した資本を、お客さまの事業構造転換につなげるための資本性ローンや優先株式に2年間で約0.8兆円投下する等、ビジネス構造改革と同時にリスクリターンも改善しています。

政策保有株式削減の取り組み※1

政策保有株式削減の取り組み

  • ※1.取得原価
  • ※2.うち売却△2,194億円(進捗率73%)

—「コストリターン(経費率)」

少子高齢化・デジタル化・低金利環境長期化という構造的な変化が進行する中、コストリターンにおける最大の課題は、国内リテールビジネスの経費構造を収益とバランスの取れたものへと変えていくことです。システムや事務・チャネルといったビジネスの構えをこれからの時代に相応しいものへと転換させるとともに、お客さまの多様化するニーズに寄り添っていけるよう、営業体制の見直しも進めてきました。

こうした取り組みにより、リテール・事業法人カンパニーの2020年度の業務純益は425億円と前年度比303億円の増益となり、今後も増益基調を継続していくための確かな道筋ができあがりつつあります。

—「安定収益」と「アップサイド収益」

金融事業は、金利や為替・株価、景気動向等の事業環境次第で利益水準が大きく変動する収益構造を抱えています。事業環境に左右されない安定的な収益基盤を強化するとともに、ビジネスに追い風が吹いたときにはその収益機会をしっかりと捕捉できる基盤を兼ね備えることが、事業ポートフォリオを考えるうえで重要です。

<みずほ>では、連結業務純益を安定収益とアップサイド収益とに分け、収益基盤強化や事業ポートフォリオ再構築の進捗をモニタリングしています。

2020年度の安定収益は、コロナ禍を背景とした貸出金の伸びやスプレッドの改善、リテール・事業法人カンパニーを中心とした経費削減等を主因に、前年度比で590億円増加し3,700億円の実績となりました。2021年度には、マイナス金利政策導入前の水準である2015年度の3,800億円を上回る見込みです。

一方、アップサイド収益の2020年度実績は2,950億円となり、5ヵ年経営計画の最終年度で想定していた2,700億円を3年前倒しで達成しています。国内外の資本市場関連ビジネスが活況であったことに加え、株価上昇等を背景に資産運用ビジネスも好調に推移し、追い風をしっかりと捉えることができました。事業環境次第で収益は変動しますが、基礎的な収益力、稼ぐ力は着実に向上しています。

結果として、連結業務純益全体では7,997億円と、5ヵ年経営計画の3年目目標7,000億円程度を1年前倒して超過達成しています。

安定収益とアップサイド収益の状況※1

安定収益とアップサイド収益の状況

  • ※1.グループ合算、管理会計、概数(一過性の収益等、特殊要因を除いており、バンキング収益・アップサイド収益・安定収益の合計値は、連結業務純益と一致せず)
  • ※2.資産・負債の総合管理から生じるバンキング勘定収益

2021年度の財務運営

2021年度は5ヵ年経営計画の折り返し地点として、これまでの取り組みを深化させ、持続的な成長へとつなげていく重要な年になります。コロナ禍が収束せず、景気低迷が長期化するリスクに対しては万全の備えを行いつつ、財務構造改革を着実に進め、2023年度目標の達成をより確実なものにしていきます。

2021年度収益計画

連結業務純益は、2020年度に非常に活況であった資本市場関連ビジネスの平準化に伴い、市場部門を中心に減益を見込む一方、貸出金収益の改善を含めた安定収益の強化等の構造改革を進めることで、2020年度比で微減の7,900億円を計画しています。

与信関係費用については、2020年度決算において、2021年度以降に見込まれる与信リスクをフォワード・ルッキングに最大限引き当てたことから、△1,000億円と前年度比で半減する見込みです。ただし、財務上の引当は行っているものの、国内を中心にコロナ禍の厳しい事業環境は当面継続するとみており、引き続き与信管理の徹底に努めてまいります。

政策保有株式の削減を中心とした株式関係損益等も含め、親会社株主純利益は5,100億円と、前年度比8%の増益計画としています。

2021年度収益計画

左右スクロールで表全体を閲覧できます

(億円)
  2020年度 2021年度
実績 計画 前年度比
連結業務純益+ETF関係損益等 7,997 7,900 △97
与信関係費用 △2,049 △1,000 +1,049
株式等関係損益-ETF関係損益等 100 500 +399
経常利益 5,363 7,200 +1,836
親会社株主純利益 4,710 5,100 +389

資本政策・株主還元方針

CET1比率が、5ヵ年経営計画でめざす水準としている9%台前半に到達したこと、ならびに資本や収益水準の今後の見通し等も踏まえ、資本政策の考え方を、これまでの「安定的な自己資本の充実と着実な株主還元のバランスを図る」から「自己資本充実、成長投資、株主還元強化の最適なバランスを実現」へと改定しました。

CET1 比率の状況

CET1 比率の状況

あわせて、株主還元方針についても見直し、配当については、安定的な収益基盤の着実な成長に基づき、配当性向40%を目安として、累進的、すなわち前年度比で増配または横ばいとして決定していく方針としました。なお、2021年度の年間配当金予想は、普通株式1株あたり75円と2020年度の水準を維持しています。新型コロナウイルス感染症による影響が継続して、不透明な事業環境が残存していることを踏まえて決定したものですが、親会社株主純利益計画5,100億円の達成の蓋然性を高めるように努力を継続し、適切に見直していきます。

自己株式取得についても業績や資本の状況、株価水準、成長投資機会等を勘案し、適時適切に決定してまいります。

新たな資本政策

新たな資本政策

税務に対する取り組み

納税義務の適切な履行は、企業が果たすべき最も重要な社会的責任の1つであり、各国の税務法令やBEPS※行動計画等の国際課税ルールを遵守し納税を行っていくとともに、持続的企業価値向上にも努めてまいります。

具体的には、社員向けの研修を通じ税務ポリシーの内容を周知徹底し、税務リテラシーの向上を図っていくとともに、税務ポリシーに基づき、今後も税務に対して適切に取り組んでまいります。また、税金費用の適切な管理の観点から、2021年度より本邦において連結納税制度の適用を開始しています。

  • BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)とは、多国籍企業が各国の税制や国際課税ルールとの間のずれを利用することで、その課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行っている問題(税源浸食と利益移転)

株主・投資家の皆さまとのエンゲージメント

株主・投資家とのエンゲージメントの強化

近年、企業と株主・投資家との関わり方が変化し、株主・投資家の関心も、事業戦略や資本政策に留まらず、サステナビリティなど様々な角度からの持続的企業価値向上へと深化しています。このような背景を踏まえ、当社でのIR活動ではESG投資家とのエンゲージメント強化や開示情報の一層の充実に取り組んでいます。

<みずほ>では、定期的なエンゲージメントの機会として、機関投資家向け会社説明会や部門別事業戦略説明会「IR Day」、テーマ別戦略説明会「IR Select」を開催している他、個人投資家向け会社説明会(インターネットによるライブ中継)も2015年より継続開催しています。また、新型コロナウイルス感染症拡大に配慮し、非対面チャネルを活用した面談・IRイベントを実施しています。例えば、通常の年度・中間決算時に加え、第1四半期・第3四半期決算公表後の機関投資家向けネットカンファレンスの開催や、日程・地域といった制約に囚われないリモート環境での海外投資家との面談に積極的に取り組んでいます。

今後も、株主・投資家とのエンゲージメントに積極的に取り組むとともに、開示情報の拡充にも努めてまいります。

エンゲージメントを通じ、<みずほ>の取組みを改善

<みずほ>では株主・投資家の皆さまをはじめとした幅広いステークホルダーから得られた意見を真摯に受け止め、様々な取り組みや開示の向上に努めています。

こうした取り組みの一環として、機関投資家・アナリストから意見を集めたうえで、社外取締役との複数回に及ぶ議論を経て、資本政策に関する基本方針および株主還元方針を改定しました。

また、近年、サステナビリティに対する関心の高まりを受けた面談の機会が増加しており、<みずほ>としての取組みを強化しています。具体的な取り組みについては、2021年5月「サステナビリティアクションの強化について」、2021年6月「TCFDレポート2021」にて開示しています。

さらに、会社説明会資料では、新型コロナウイルス感染症関連や各カンパニーの開示を充実した他、株主総会招集通知における政策保有株式に関する開示の早期化を実現しました。

今後も、株主・投資家の皆さまの意見を従来以上にしっかりとお伺いし、<みずほ>の取り組みにいかせるよう努めていきます。

株主総会における取り組み

<みずほ>では株主総会を、株主の皆さまと直接意見交換できる重要なエンゲージメントの機会と考え、様々な取り組みを行っています。具体的には、招集通知や当日の動画配信等の情報発信の充実を図るとともに、スマートフォンを活用した議決権行使の仕組みの導入等も実施しています。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会場開催に加え、オンラインでのライブ中継も実施しています。

  • CFOメッセージにおける計数の定義
  • 連結業務純益:ETF関係損益(2行合算)と営業有価証券等損益(SC連結)を含む
  • CET1比率:バーゼルⅢ新規制完全適用ベース(その他有価証券評価差額金を除きヘッジ取引による一部固定化効果を含む)

エンゲージメントの1年

エンゲージメントの1年

  • 資本活用フェーズへの転換に向けたエンゲージメント
    • 2020年12月末のCET1比率が8.9%と、9%台前半のレンジに近づいたことを踏まえ、国内外機関投資家やアナリストに対して、幅広い対話の機会を持った他、社外取締役とも活発な議論を行いました。
    • エンゲージメントから得られた意見も踏まえ、2021年5月に資本政策に関する基本方針・株主還元方針を改定しました。
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