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リスクガバナンス

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基本的な考え方

〈みずほ〉はグローバルな金融機関としての責務のもと、お客さま、経済・社会とともに持続的に成長・発展するため、リスクアペタイト・フレームワークを通じて、事業戦略・財務戦略の遂行とリスク管理の運営を一体化し、適切なリスクテイクとリスクコントロールを推進してまいります。

CROメッセージ

取締役 兼 執行役 グループCRO 若林 資典取締役 兼 執行役 グループCRO 若林 資典

足元の国際情勢は、収束が見えないロシア・ウクライナ情勢に経済・技術等を巡る国家間の主導権争いも相まって、極めて不確実性が高い環境です。さらなる地政学リスクの顕在化も意識されるなか、グローバルに張り巡らされたサプライチェーンは分断・再構築が迫られ、グローバリゼーションの巻き戻しともいえる様相です。

また、リーマンショック以降、国際的に低金利環境が長らく継続していましたが、高進するインフレに対応し、各国・地域の中央銀行は異例のペースで利上げを進めてきました。米国ではいわゆる逆イールドが既に長期化しており、利上げの累積的な影響が信用収縮等へ波及し実体経済を下振れさせる可能性があります。また、インフレが鎮静化しない場合には、さらなる金融引き締めが必要となる可能性もあり、マクロ経済や金融市場への影響を慎重に見極めることが必要です。さらに、国内においてもインフレの動向次第では金融政策の転換もありうる状況です。〈みずほ〉ではこれらをトップリスクにも選定し、今般の新たな中期経営計画においても様々なリスクを踏まえた戦略を策定しております。このようななか、2023年に入り相次いだ米国における一部地銀の破綻等は、流動性や金利リスクの適切な管理という銀行経営における伝統的な論点の重要性のみならず、「デジタルバンクラン」というデジタル社会特有の新たなリスクも浮き彫りにしました。今次事案の教訓を含めて、引き続き新たなリスクの芽にも意を用いながら、多面的なリスク管理に取り組んでまいります。

このように、我々を取り巻く環境はマクロ経済、地政学、規制等、時々刻々と変化を続けていることから、常にフォワードルッキングに内外環境を見極め、戦略とリスク管理の一体的な運営のもと、最適なリスク・リターンを実現し、持続的かつ安定的な収益確保をめざしていくことが新中期経営計画の達成にあたって求められます。また、昨今、企業価値の源泉として非財務的価値の重要性が高まっています。リスクの高まりが著しいサイバー攻撃への備えも含め、非財務領域におけるリスク管理の強化にも積極的に取り組んでまいります。

〈みずほ〉では、今後も不断のリスクガバナンスの強化に努め、お客さま、経済・社会とともに〈豊かな実り〉の実現に貢献してまいります。

トップリスク運営

〈みずほ〉では、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識を「トップリスク」として選定しています。トップリスク運営を通じてグループ内のリスクコミュニケーションを深め、リスク認識に対する目線統一を図ることで、関連する各リスク管理の整合的な運営を確保しています。

トップリスクの選定や期中におけるコントロール状況はリスク委員会や取締役会等にも報告し、外部委員や社外取締役を含めた多面的な議論を行っています。そのうえで、選定したトップリスクについては、未然防止策や事後対応等の追加的なリスクコントロール策を検討し、業務計画への反映等を通じて、リスクガバナンスの強化に活用しています。

トップリスク運営のイメージ図

リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)

〈みずほ〉はRAFを、リスクアペタイト(事業戦略や財務戦略を実現するために受け入れるリスクの種類と水準)を実現するための経営管理の枠組みと位置付けています。

〈みずほ〉はRAFにより、戦略とリスク管理を一体的に運営し、適切なリスクテイクとリスクコントロールを通じた最適なリスク・リターンの実現をめざしています。また、これらを実践するためには、役員および社員に健全なリスクカルチャーが根付いている必要があります。〈みずほ〉ではリスクに向き合う際の行動の拠り所として「リスクと向き合う際の基本姿勢」を『みずほの企業行動規範』に定め、健全なリスクカルチャーの醸成にも取り組んでいます。

RAFの具体的な運営においては、取締役会が、RAFに関する基本的事項、およびRAFの運営態勢やリスクアペタイト等を文書化したリスクアペタイト・ステートメント(RAS)を決定し、当該決定に基づく経営の業務執行を監督しています。また、取締役会の諮問機関であるリスク委員会が、リスクガバナンスに関して取締役会へ提言を行っています。一方、業務執行においては、グループCEOの統括のもと、グループCRO、グループCFOおよびグループCSOがこれを補佐し、事業・財務戦略とリスク管理の一体運営を行っています。

リスクアペタイトの設定では、はじめにマクロ経済環境・規制環境・競争環境等の外部環境に関する将来見通しや、トップリスク等のリスク事象を経営で議論し、これらを組織内で共有するためのベースラインシナリオおよびリスクシナリオを策定しています。

次にこれらの外部環境に関する認識を踏まえて、中期経営計画や業務計画と整合したリスクアペタイトを明確にし、リスクテイクに関する方針としてリスクアペタイト方針を策定します。また、資本力・収益力・流動性等について、リスクテイクの適切性を表す定量的な指標として、リスクアペタイト指標とその水準を設定しています。リスクアペタイトの運営状況は定期的にモニタリングを実施し、取締役会等へも報告を行います。また、環境や戦略に変化があれば必要に応じて都度、リスクアペタイトの見直しも実施します。

総合リスク管理

〈みずほ〉では総合リスク管理を、RAFの運営の基本的な考え方に基づき、グループのリスクを網羅的に把握し、企業価値の向上を企図した統一的なリスク管理を行う枠組みと位置付けています。

総合リスク管理では、グループ全体に共通するリスク管理の基本方針を取締役会決議に基づき制定しています。リスク管理の基本方針においてはリスク区分、適切なリスク管理を行うための態勢の整備と人材の育成、リスク管理態勢の有効性および適切性の監査の実施等を定めています。

〈みずほ〉はこの基本方針にのっとり、リスクを幅広く多面的に捉え様々な手法を活用してリスク管理の高度化を図っています。また、2022年度においてはサードパーティリスク、サイバーセキュリティリスク、気候関連リスク等について新たに基本方針を定め、管理態勢を明確化しました。既存のリスク管理の枠組みでは十分には捉えきれない新たなリスクについても、日々管理態勢の高度化を進めています。

〈みずほ〉のリスク管理態勢

〈みずほ〉のリスク管理態勢のイメージ図

  • ※1各リスクにまたがった複合的なリスク
  • ※2各リスクを増幅させる可能性のあるリスク

ストレステスト

〈みずほ〉では、リスクアペタイトの適切性や業務計画等の妥当性を検証するために、自己資本比率や業績等への影響を算出・評価するストレステストを実施しています。

足許の経済状況や今後の見通し、〈みずほ〉の事業・財務構造の脆弱性等を踏まえてシナリオを設定し、ストレステストを実施します。ストレス状況においても必要な自己資本比率や業績等を確保できることを確認し、必要な水準を下回る場合には、リスクアペタイトや業務計画等の見直しを検討・実施します。また、規制資本には含まれていないバンキング勘定の金利リスク等も含めたリスク量への影響を算出し、自己資本とのバランスを確認することで、自己資本充実度の評価に活用しています。

加えて、流動性リスクについても、業務計画等を踏まえた将来のバランスシートに対して、市場全体へのストレスと〈みずほ〉固有のストレスが同時に発生する厳しいシナリオを置いて、検証を実施しています。

この他、市場リスク等のリスクカテゴリーごとの管理においてもストレステストを行い、頑健なリスク管理を構築しています。

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