シングルマザーのリモートワーク雇用により、未来の学校が創出したインパクトとは?
学校法人 角川ドワンゴ学園
取り組みのポイント
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N高等学校・S高等学校・R高等学校(以下、N高グループ)、および、N中等部を運営する学校法人角川ドワンゴ学園は、2019年からシングルマザーを優先雇用する「リモートワーク雇用制度」を導入
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みずほ第一フィナンシャルテクノロジーでは、同学園のシングルマザーのフルリモート雇用が生み出す経済合理性と社会的価値であるインパクトを分析・検証し、シングルマザー雇用の非財務価値や多様性に加え、パフォーマンスとエンゲージメントが両立した経済合理性だけにとどまらないインパクト雇用を実現していることを公表
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同学園は、シングルマザーの雇用安定と働きやすい職場づくりを進めており、同様の取り組みが世の中に拡大することで、多様な人材が活躍できる社会をめざしています。日本における人手不足解消などの社会課題解決に向けたインパクトを創出し、〈みずほ〉がその可視化を支援した事例
OVERVIEW
角川ドワンゴ学園が取り組むリモートワーク雇用制度。
同学園では、2019年度から子育て等により勤務時間に制約が生じやすいシングルマザーに対し、フルリモート雇用を実施しています。同学園は、「リモートワークであれば、出勤が難しい状況にある方でも、十分に力を発揮し、他の職員と同様に責任ある業務に取り組める」という事実を社会に示したいと考え、上記の制約を取り除くことで、経済合理性のある雇用を実現しています。つまり、シングルマザーを特別な支援の対象として線引きするのではなく、あくまで一人の職員として責任ある仕事を担うことを前提に、必要に応じて合理的な配慮を行い、働きやすい環境を着実に整備しています。このような取り組みは、多様な人材の参画を促進するとともに、職場の公正性と成果へのコミットメントを両立させるものです。
シングルマザーのフルリモート雇用による角川ドワンゴ学園における価値創造プロセス。
同学園は、2016年にN高等学校を開校し、N高グループ全体で35,744名(2025年12月末時点)の生徒が在籍する日本最大級の通信制高校です。多様な個性を持つ生徒たちが、多彩で自由な形で日々学び、自己の可能性を伸ばしています。同学園では、シングルマザーの子育て経験や社会経験など多様性を活かせる雇用の場を、リモートワーク雇用制度により新たに創出・提供しています(インパクト雇用※¹)。本雇用制度に代表されるフルリモート体制の構築と職場全体の業務効率化への取り組みにより、職員の柔軟な働き方や時間外労働の大幅な削減を実現するとともに業務処理量・スキル・レジリエンスの向上にもつながっています。これらの取り組みを通じ、社会課題の解決と経済合理性の両立を図ることで、持続可能な「未来の学校」を築き、生徒にとって真に必要な次世代教育を提供するための土台となっています。
インパクトの共創とインパクトビジネスの可能性。
この取り組みは、社会的意義に焦点が当たりがちですが、同学園は多様な社員が活躍する企業文化のもと、場所の制約を取り除くフルリモート雇用を通じて、経済合理性は勿論のこと社会的価値との両立を明確に追求してきました。これは〈みずほ〉が掲げるインパクトと企業価値の好循環の考え方にも合致し、インパクトの共創に大きな意義をもたらす取り組みです。加えて本件では、みずほ第一フィナンシャルテクノロジーが、「インパクト加重会計※²」を導入し、シングルマザーのフルリモート雇用が生み出すインパクトを独自に評価しました。今回のレポートでは、従来の会計では捉えきれない非財務価値を可視化するため、賃金の質やキャリアアップの機会、健康とウェルビーイング、ダイバーシティ、地域社会への経済効果など、インパクト加重会計の全項目に挑み、シングルマザーが直面する課題を多角的に分析しています。また、今回のレポートは、インパクトビジネスの可能性や効果の見える化を実現し、教育現場における社会課題の解決を起点に、企業価値を高める新しいモデルを提示することができたと考えています。
- ※1 インパクト雇用とは、従来の採用手法では就労機会が限られていたシングルマザー、障がい者、介護しながら働く人(ワーキングケアラー)、難民など、多様な背景を持つ人材に新たな雇用機会を提供する取り組みを指します。海外事例を含む検証により、こうした人材は定着率・稼働率・業務パフォーマンスの面で、従来の雇用対象者と同等の成果を発揮できることが確認されています。
- ※2 ハーバード・ビジネス・スクールが提唱する『インパクト加重会計イニシアティブ(IWAI)』の手法を活用し、製品・雇用・環境インパクトを金額換算することで、従来の財務会計では捉えきれない非財務価値を定量的に評価します。
“ お客さまの声 ”
当学園は、2019年から子育て等により勤務時間に制約が生じやすいシングルマザーにフルリモート雇用を実施してきました。本分析では、シングルマザーへの社会的意義に焦点が当たりがちなこの取り組みについて、当学園やシングルマザー双方にとって経済合理性を持ち、大きなインパクトをもたらす雇用制度であることが明らかになりました。
今後も当学園では、居住地や個々の事情など、勤務形態の制約にとらわれずインターネットを活用し多様な人材が能力を発揮していけるよう、リモートワーク雇用の実績づくりを進めてまいります。
学校法人 角川ドワンゴ学園
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人事部・部長
荻野 志歩さま
“ 〈みずほ〉の声 ”
多様な人材が活躍できる場を創出することで経済合理性と社会的価値を実現している角川ドワンゴ学園さまの取り組みは、企業成長と社会課題の解決を両立させる先進的な取り組みです。〈みずほ〉のネットワークを活用して、本取り組みをより多くの方々に広く知っていただくことが、日本社会にとっても重要であると考えています。
2016年4月に1,482名の生徒とともにスタートし、最新のEdTech※を駆使して、現在ではグループ全体で35,744名(※2025年12月末時点)の生徒を擁する日本最大の通信制高校へと発展された同学園の取り組みについて、〈みずほ〉として客観的・定量的に評価する機会をいただけたことを、大変光栄に存じます。
同学園のような先進的な取り組みが社会全体へ広がるよう、〈みずほ〉は金融・非金融両面から支援するとともに、「インパクト」の取り組みも一層加速させてまいります。
- ※エドテックとは科学技術を活用した教育のこと
- みずほ銀行
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四谷法人第二部
鈴木 聖和
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四谷法人第二部
- みずほ第一フィナンシャルテクノロジー
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コーポレートアドバイザリー部
松田 泰之 -
クオンツ技術開発部
小松原 航
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コーポレートアドバイザリー部
※記事の内容は、取材当時のものです


