Mizuho削減貢献量インパクトファイナンス~めざすは社会の脱炭素~
川崎重工業株式会社
取り組みのポイント
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GHG排出量では測れない、気候関連の機会を評価する指標として、削減貢献量が世界から注目されている
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〈みずほ〉はグループ横断で削減貢献量に対する取り組みを幅広に推進
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取り組みの一つとして、削減貢献量の開示に取り組む企業を支援する「Mizuho削減貢献量インパクトファイナンス」を開発
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第一号案件として、川崎重工業株式会社のCO2排出量の削減効果が高い製品をグローバルに提供する取り組みを支援、今後もお客さまとともに脱炭素社会の実現を目指して取り組んでいく
OVERVIEW
世界から注目される削減貢献量。
気候変動対応が世界的に進む中、GHG排出量(Scope1,2,3)という指標の課題が指摘されるようになってきています。その課題とは、社会全体のGHG排出量削減に貢献する製品やサービス(削減貢献ソリューション)を世の中に提供しても、自社のGHG排出量は増加してしまうことがあるという点です。つまり、削減貢献ソリューションを多く提供するほど自社のGHG排出量が増加してしまうというジレンマです。
このジレンマを解消するために削減貢献量という指標が注目されています。既往製品と削減貢献ソリューションのGHG排出量の差分(=ソリューションの貢献により回避されたGHG排出量)を指し、削減貢献ソリューションを通じて社会全体の気候変動の緩和にどれだけ貢献したかを定量化したものです。GHG排出量では捉えきれない「機会」の部分を評価する指標として評価されています。
削減貢献量は世界的にも注目されており、ノルウェー政府年金基金の運用を担当するNorges Bank Investment Managementや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)といった世界有数のアセットオーナーが投資先の分析に活用しています。日本国内でも電機・化学・建設など様々な業界の企業が、削減貢献量の開示を進めています。2025年3月時点で削減貢献量を開示している企業は180社(2024年3月時点:122社)*と、削減貢献量に着目している企業が増加しています。
- *みずほ銀行調べ
〈みずほ〉は、グループ横断で削減貢献量の取り組みを推進。
〈みずほ〉は2024年10月に「〈みずほ〉削減貢献量フォーカスレポート」を発刊しました。これは、削減貢献量について金融機関目線で体系的にまとめたレポートです。発刊の背景には、みずほグループ各社の積極的な取り組みがあります。
みずほフィナンシャルグループは、削減貢献量を開示する企業が少なかった2019年度から自社の削減貢献量を開示しています。みずほ銀行ではサステナビリティ・リンク・ローンやポジティブ・インパクトファイナンスのKPIに削減貢献量を活用しています。みずほ証券では、グリーンボンドのレポーティング指標として削減貢献量を採用し、発行体のGHG排出量削減への取り組みや貢献をサポートしています。さらに、みずほリサーチ&テクノロジーズでは削減貢献量のコンサルティングに強みを持ち、多くのお客さまの算定・開示を支援してきた豊富な実績があります。
「Mizuho削減貢献量インパクトファイナンス」を通じてめざす姿。
削減貢献量への関心が高まる中、削減貢献量に関する高度な知見を持つみずほリサーチ&テクノロジーズとファイナンスを担うみずほ銀行がタッグを組んで、借入企業の削減貢献量開示の取り組みを評価するサステナブルファイナンス商品「Mizuho削減貢献量インパクトファイナンス」を開発しました。「Mizuho削減貢献量インパクトファイナンス」は、WBCSDのガイダンスやGXリーグの基本方針における要求項目を参照した評価項目に基づき、一定以上の評価を得た企業にラベルを付与し、融資を行う商品です。融資実行後も年次でモニタリングやエンゲージメントを行うことで、お客さまとともに削減貢献量開示の取り組みを推進していきます。また、株式会社日本格付研究所から「インパクトファイナンスの基本的考え方」(環境省)に適合している旨の第三者意見書も取得し、本商品を通じた削減貢献量に係るインパクト創出を目指しています。
第一号案件として、削減貢献量の向上に取り組む川崎重工業株式会社への支援を実施しました。川崎重工は注力フィールドの一つに「エネルギー・環境ソリューション」を掲げ、CO2排出ゼロに向けた取り組みを推進しています。製品のライフサイクルで発生するCO2の約90%は、製品の使用時に排出されるため、使用時にCO2排出量の削減効果が高い製品の開発・提供を行い、脱炭素社会の実現を目指しています。具体的には販売した製品の使用時のCO2排出量を削減するために、製品のエネルギー利用効率を向上するとともに、電動化やモーダルシフトによる既存製品の置き換え、排熱・廃棄物・再生可能エネルギーを利用した製品の拡充に取り組んでいます。川崎重工は、CO2 FREEなソリューションに関する事業規模として、2030年に4,000億円、2050年に2兆円の絵姿を描いています。〈みずほ〉は、こうした川崎重工の取り組みを「Mizuho削減貢献量インパクトファイナンス」を通じて支援しています。
今後も〈みずほ〉は、川崎重工をはじめとする多くのお客さまとともに削減貢献量を通じて、社会の脱炭素の実現に貢献していきます。
【使用時のCO2排出量の削減に貢献する製品の代表例】
- ※カバー写真及び記事内の製品画像は、川崎重工業株式会社の開示資料より引用
“ お客さまの声 ”
川崎重工・川崎車両・カワサキモータースは「Kawasaki地球環境ビジョン2050」で掲げる「CO2 FREE」(脱炭素社会の実現)における取り組みの一つとして、使用時のCO2排出量の削減効果が高い製品を提供することによる「製品貢献によるCO2排出量の削減」を進めています。削減貢献量はまだ社会的な認知度が高くない状況であり、当社としてもどのようにアピールをすべきか検討を進めています。そのような中でみずほ銀行さまよりMizuho削減貢献量インパクトファイナンスをご案内いただいたことで、脱炭素に向けたソリューションの社会実装に向けた当社の取り組みの一手になったと考えています。これからも販売した製品の使用時のCO2排出量削減を通して脱炭素社会実現に貢献すべく、みずほ銀行さまと連携させていただきたいと思います。
川崎重工業株式会社
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財務部ファイナンス課
沼 毅さま
“ 〈みずほ〉の声 ”
削減貢献量はグローバルに注目が集まる概念ではありますが、一般的にはまだ発展途上です。この削減貢献量をどのように世の中に広めていくか思案し、「Mizuho削減貢献量インパクトファイナンス」をリリースするにあたって約2年の歳月を費やしました。この度、晴れて商品リリースに至り、削減貢献量がより社会に根付く考え方になることを願うとともに、川崎重工業さまをはじめ、先進的に削減貢献量に取り組みを進められているお客さまとともにその推進をさらに進めていきたいと考えています。
- みずほ銀行
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サステナブルプロダクツ部
竹井 英則 -
サステナブルプロダクツ部
白石 恭平
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サステナブルプロダクツ部
- みずほリサーチ&テクノロジーズ
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サステナビリティコンサルティング第2部
宇野 春香 -
サステナビリティコンサルティング第1部
内田 裕之
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サステナビリティコンサルティング第2部
※記事の内容は、取材当時のものです

