
クボタとめざす、持続可能で豊かな食農の未来。
株式会社クボタ
取り組みのポイント
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高まり続けるグローバルな食料需要を支えるためには多くの課題がある中、食農領域の持続可能な発展に向け、クボタと〈みずほ〉が戦略的提携
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第1弾として、国内での「水田の中干し期間延長」による「J-クレジット」の創出・販売で、温室効果ガス(以下、GHG)排出量削減と生産者の収益向上を同時にめざす取り組みを推進
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今後、「J-クレジット」に加え、海外でのカーボンクレジットの創出・流通拡大にも取り組んでいく
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加えて業種・業界の垣根を越えた、様々なステークホルダーの皆さまと連携し、「食農オープンイノベーションエコシステム」の構築を展望
OVERVIEW
食農の未来は、今を生きる私たちの手に。
人口の増加により、グローバルに食料需要が高まり続けています。一方で、国内を見ても、生産者の高齢化や担い手不足、生産コストの増大など農業をめぐる課題は厳しさを増しています。世界規模で気候変動の進展が著しく、食料の生産性・安全性を高めながら、同時に環境負荷を小さくしていくためには、食農のバリューチェーン全体の変革を促していく必要があります。このような中、2025年4月、みずほ銀行は食料・水・環境に関わる地球規模の課題解決に取り組むクボタと、食農領域の持続可能な発展に向けた戦略的提携を発表しました。クボタと〈みずほ〉は食農に関わる課題解決を通じた「持続可能で豊かな食農の未来の実現」に向け、互いに培ってきた強みを活かして、ともに挑んでいきます。
「J-クレジット」の創出・販売でGHG排出量削減×生産者の収益力向上をめざす。
提携の第1弾として、「水田の中干し期間延長」による「J-クレジット」の創出・販売を通した、GHG排出量削減と生産者の収益向上を同時にめざす取り組みを推進しています。あまり知られていませんが、日本人の主食である水稲栽培の過程では、CO2の約28倍の温室効果があると言われるメタン(CH4)が発生しており、日本全体のメタン排出量の約4割を占めています。水稲栽培由来のメタンが農業分野における温室効果ガス排出量の大部分を占めるため、メタンの発生を抑制する取り組みが重要になっています。水稲栽培におけるメタンは、水を張った水田で微生物が肥料や土壌由来の有機物を分解する過程で生成されます。これを抑制するためには、通常の水稲栽培でも行われる水田の「中干し」と呼ばれる水抜きの工程を適切な管理のもとで1週間延長することによって、約30%のメタン排出量を削減できます。この「水田の中干し期間延長」の有効性は、近年、国の「J-クレジット」制度でも認められるようになりました。
「J-クレジット」は、温室効果ガスの抑制や削減の取り組みから生まれた環境価値をカーボンクレジット(証書)として国が認証し、自社の努力だけでは削減に限界がある企業等に販売できる仕組みです。この仕組みを活用することで、生産者はコメの販売収益に加えて、新たにクレジットの売却収益を得ることが可能になります。

一方で、生産者にとって、「J-クレジット」の認証を受けるための管理・登録申請の手間が課題となっています。こうしたニーズをとらえて、クボタは「J-クレジット」の登録・申請をまとめて行う「大地のいぶき」のサービスを展開しています。生産者は、クボタが提供する営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」で一元管理されたほ場の情報や作業記録を活用することで、申請を円滑に進めることができ、費用負担なしで「J-クレジット」を創出することが可能です。
また、みずほ銀行は「J-クレジット」制度におけるマーケットメイカーとして、流通拡大に取り組んでいます。両社が協働することで需要と供給の両面から取り組みを拡大させ、「J-クレジット」の創出・販売を通した農業分野におけるGHG排出量削減に貢献できると考えています。
今後、国内の取り組みに加え、海外でのカーボンクレジットの創出・流通拡大にも両社の強みを発揮し進めていきます。
クボタ・〈みずほ〉の2社連携から、多様なステークホルダーとのオープンイノベーション創出へ。
上記の「J-クレジット」の創出・販売プロジェクトは、最初の一歩であり、今後、バリューチェーンの高度化やデジタル技術の活用など様々な取り組みを推進していきます。しかしながら、「持続可能で豊かな食農の未来の実現」という壮大なテーマは、クボタと〈みずほ〉の2社だけでは成し遂げられません。様々な技術や知見をもったステークホルダーの皆さまの参加を促し、業種・業界の垣根を超えて連携していく必要があります。本提携では、そうした産官学農の多様な参加者が集う「食農オープンイノベーションエコシステム」の構築に向けた呼び水となる活動も展望しています。

“ お客さまの声 ”
クボタはスマート農業ソリューションを通じて、環境に優しく、安心・安全で、生産者の利益向上につながる持続可能な農業の実現を目指しています。その実現には、一社だけでは限界があります。〈みずほ〉様の幅広いネットワークとクボタの技術を掛け合わせ、業界や分野を超えたオープンイノベーションを推進し、さまざまなステークホルダーの皆さまと共に、持続可能な食・農の未来を創り上げていけることを大変嬉しく思います。
株式会社クボタ
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アグリソリューション事業企画推進部
アグリソリューション事業総括室
企画課長
美馬 京志さま -
アグリソリューション事業企画推進部
アグリソリューション事業総括室
企画課
田井 美帆さま -
アグリソリューション事業企画推進部
アグリソリューション事業総括室
企画課
外池 麻衣さま
“ 〈みずほ〉の声 ”
食農は私たちの生活に欠かすことのできない身近で重要なテーマであり、持続可能な形で将来の世代に引き継いでいく責任があります。業界のリーディングカンパニーであるクボタさまとの連携の機会を得たことは、〈みずほ〉が描く「ありたき世界」の実現に向けた大きな推進力となるため、今後もより一層取り組みを加速させていきます。
- みずほ銀行
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大阪営業第二部 自動車・テクノロジーチーム
丹野 大喜
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大阪営業第二部 自動車・テクノロジーチーム
- みずほフィナンシャルグループ
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サステナブルビジネス部 ビジネス開発チーム
石井 知幸
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サステナブルビジネス部 ビジネス開発チーム
※記事の内容は、取材当時のものです