メイン画像:ソフトバンク株式会社(SX事例)
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情報通信

ソフトバンクとみずほ、「データセンター」を題材とした自然への負荷軽減とネイチャーポジティブをめざす共同研究プロジェクトを始動。

ソフトバンク株式会社

#自然資本 #ネイチャーポジティブ #データセンター

取り組みのポイント

  • ソフトバンクとみずほが共同で、データセンターの自然への依存・影響と機会・リスクについて、サプライチェーン全体を含めて“見える化”
  • 今後需要の増加が想定されるデータセンターに関して、自然に配慮した円滑な開発、更なる事業展開やファイナンス支援等に役立てる
  • 本プロジェクトは、データセンターの自然への負荷軽減に留まらず、将来的な「ネイチャーポジティブ」の実現にも貢献

OVERVIEW

データセンターの自然との関わりを“見える化”し、デジタル社会の持続可能な発展を支える。

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)とみずほフィナンシャルグループが手を組み、「自然」をテーマに新たな共同研究プロジェクトを立ち上げました。

今回のプロジェクトの中心となるのは、私たちのデジタル社会を支えるデータセンター(以下、DC)です。AI(人工知能)の急速な普及とともに、DCの重要性は増しており、今後更なる需要が想定されます。一方で、DCの運営には膨大な電力や冷却水などを必要とし、新規建設の場合には造成による土地利用の変化など、自然への負荷を伴うという課題を抱えています。さらに、そのサプライチェーンにおいても、例えば川上では、サーバーやストレージなどのIT機器に使用される半導体や電線の原材料である、レアメタルや銅などの調達が自然に負荷を与えている可能性があります。

この共同研究プロジェクトでは、2025年7月から12月の間において、ソフトバンクが開発を進める「北海道苫小牧AIデータセンター」をモデルケースとして、DC事業が自然から受ける恩恵(自然への依存)と自然へ与える影響、そこから生まれる機会・リスクを、サプライチェーン全体を含めて分析・評価します。土地利用や生物多様性の変化、水資源の使用量、廃棄物、CO2排出量などを分析し、体系的な評価・モデルをまとめることで、DCと自然との関わりを“見える化”します。その成果を報告書として公開するとともに、自然への負荷を抑えたDCの開発や、更なる事業展開、そしてそれを後押しするファイナンス支援へとつなげていくことを目指します。この取り組みは、世界でも類を見ない稀有な事例となります。

なお、この先進的な取り組みを成功に導くため、専門的な知見や豊富なコンサルティング実績を持つみずほリサーチ&テクノロジーズと連携して調査・分析を行います。同社は、DCのサプライチェーン全体における自然への依存・影響や機会・リスクの体系的な整理の観点でアドバイス行い、共同研究をサポートします。

プロジェクトフロー図:ソフトバンク株式会社(SX事例)

本プロジェクトは、DCの自然への負荷軽減にとどまらず、生物多様性や生態系の健全性を回復・再生させる「ネイチャーポジティブ」の将来的な実現にも寄与すると期待しています。また、企業にとって自然環境への責任を果たすことが経営の重要課題となる中、この挑戦は、国内のみならず世界のDC開発・事業展開への活用も想定される貴重なケーススタディになると考えています。
ソフトバンクとみずほフィナンシャルグループは、テクノロジーの進化と地球の未来を両立させるための挑戦を続けていきます。

“ お客さまの声 ”

ソフトバンクは、AI時代の到来を見据えて「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業へ」という長期ビジョンを掲げ、その一環として分散型AIデータセンターの展開を全国で進めています。また、自然資本や生物多様性保全を含めた環境対応を経営課題の一つと掲げ、TNFDのアーリーアダプターとして情報開示や生物多様生保全などへの対応に積極的に取り組んでいます。
本プロジェクトにより、2026年度に稼働予定の「北海道苫小牧AIデータセンター」など、当社の事業の核となるデータセンターの自然資本への影響を多面的に検証・分析することを通じて、バリューチェーン全体のリスク・機会の洗い出しや体系化し、研究で得られた知見を、今後の効果・効率的なデータセンター展開の材料として生かしていきたいと考えています。

ソフトバンク株式会社

  • CSR本部 CSR企画1部 環境推進課
    木村 幸絵さま
    小澤 祐司さま

“ 〈みずほ〉の声 ”

ソフトバンクさまがめざす、データ処理と電力消費の全国分散をめざす次世代社会インフラ構想の要である、2026年度に稼働予定の「北海道苫小牧AIデータセンター」の自然への負荷低減に向けた分析に携われ、大変光栄です。〈みずほ〉は、TNFDのアーリーアダプターとしてTNFD提言に基づき、投融資等を通じた自然への依存・影響に関する分析を通して、自然関連のビジネス機会・リスクの評価を進めてきました。一方で、公開されている分析ツールや情報の活用では、セクターの一般的な特性は把握できるものの、本質的な機会・リスクを評価するには、更なる深掘りを通じたお客さま固有の実態把握が必要という課題を感じていました。今回、ソフトバンクさまとの共同研究を通じて、DCという個別具体的な事業・アセットについて、地域性を含む実態に沿った分析・評価が可能になると期待しています。DCは、サステナブルな社会・経済を実現する基盤であり、今後の需要拡大に応じた開発を進めるには、金融機関によるファイナンスや自然への依存・影響に関する専門的な知見が重要になると考えています。〈みずほ〉として、金融・非金融の両面からのお客さまの取り組みを支援することで、DCによる自然への負荷軽減に留まらず、将来的なネイチャーポジティブへの移行にも貢献して参ります。

みずほフィナンシャルグループ
  • サステナビリティ企画部
    川端 淳之
  • サステナビリティ企画部
    山崎 夏野
みずほリサーチ&テクノロジーズ
  • サステナビリティコンサルティング第1部
    鬼頭 健介

※記事の内容は、取材当時のものです

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