
CDR(Carbon Dioxide Removal:炭素除去)クレジット購入を通じ、カーボンクレジット市場形成へと挑戦。
NextGen CDR AG社
取り組みのポイント
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カーボンニュートラル社会実現には、カーボンクレジットを活用した残余排出量のオフセットが必要であり、その中でも、長期的には炭素除去(CDR:Carbon Dioxide Removal)が重要な手段に。
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〈みずほ〉は、邦銀として初めて技術系CDRクレジットを長期・大口で購入。自らバイヤーとなることでCDRプロジェクトの知見やノウハウを蓄積し、クレジット市場の創出や炭素除去技術の産業化を支援。
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日本企業の関心が高まる中、炭素除去技術の認知度向上に向けた情報発信や企業の取り組みを支援。
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今後は、金融機関として日本のCDR市場創出に向けた制度設計への働きかけやファイナンススキームの開発など、新たな価値の提供を目指す。
OVERVIEW
カーボンニュートラル社会に向けてのカーボンクレジットの役割。
〈みずほ〉は、国際的な環境価値の移転であるカーボンクレジットに注目し、サステナブルビジネスにおける注力領域の一つとして、取り組みを進めています。カーボンクレジットの仕組みは、脱炭素プロジェクトに資金を振り向ける重要なメカニズムです。さらに、〈みずほ〉を含む多くの企業は、自社排出(Scope1, 2)のカーボンニュートラル目標を設定しており、目標達成に向けて、残余排出量(自社の努力では削減手段のない排出量)をオフセットするため、カーボンクレジットの活用が検討されることが想定されます。実際のクレジットの創出に向けては、開発途上国の森林保護といった自然由来の技術から、DACCS(Direct Air Capture+CCS)に代表されるようなネガティブエミッション技術を用いたものまで、様々なプロジェクトが存在します。その中でも、カーボンニュートラルの実現のためには、長期的には炭素除去(CDR:Carbon Dioxide Removal)が重要となると考えています。

CDRの産業化を目指して、〈みずほ〉自らがCDRクレジットのバイヤーとなることで、国内のクレジット市場の創出・整備に貢献。
2025年3月、〈みずほ〉は、South Pole社と三菱商事さまが運営するNextGen CDR Facilityにクレジットのバイヤーとして参画いたし、邦銀として初めて*技術系CDRクレジットの長期・大口購入契約を締結しました。(* 2025年3月発表時点)
CDR領域のプロジェクトは、CO2の回収・輸送・貯留の一連のバリューチェーンのコストをカーボンクレジットの販売益でカバーするビジネスモデルであるため、技術開発と並行して、クレジットの取引市場の創出・整備をしていくことが重要です。〈みずほ〉はNextGen参画を通じて獲得した、CDRのプロジェクトの特性に関する知見やカーボンクレジットの流通における課題を解決するノウハウを国内の市場形成やお客さまに還元していきたいと考えています。

第一歩として、炭素除去の認知度向上と日本企業の取組みを支援。
CDRクレジットは、政府主導の「J-クレジット制度」、「二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)」といったコンプライアンス市場、そして民間主導のボランタリー市場の両方で開発が進められています。2025年7月に、弊社が主催したセミナー「脱炭素社会に向けての挑戦~カーボンクレジットをめぐる戦略と実践~」では、150社350名以上のお客さまにお申込みいただき、日本企業のCDRへの関心の高さが伺えました。

こうした一連の〈みずほ〉の活動が認知され、多くの日本企業から価値共創に向けたご相談をいただいています。その一つとして、2025年9月18日のCCUSエキスポでは、米国発スタートアップと日本企業とのDAC技術の実装化に向けた協働に関するパネルに登壇し、この分野を切り拓く日本企業の先進的な取り組みを、多くの企業に届け、業界全体の進化と成長を後押ししています。
カーボンクレジットに関する、これからの活動について。
現在、技術系・自然系の両CDR領域の事業化については、日本企業の関心が非常に高まっています。本領域は、日本企業のさまざまな技術提供を通じて、ビジネス拡大の機会が期待される市場であり、〈みずほ〉は、こうした市場への参画を通じて、金融機関として重要な役割を果たしていけると考えています。例えば、カーボンクレジットをファイナンスに組み入れたスキームの開発等の新しい価値の提供についても検討していきます。
〈みずほ〉のサステナブルビジネス戦略では、引き続きカーボンクレジットを注力領域と位置づけ取組を進めていきます。
“ 〈みずほ〉の声 ”

CDRの分野は、カーボンニュートラルの実現に向けて重要であり、特に、Hard-to-Abateと呼ばれる温室効果ガスの排出削減が困難な産業やプロセスにとっては、革新的な脱炭素ソリューションとして注目を集めていて、今後カギを握るテーマになると考えています。CDRを持続可能な新産業として育成するためには、初期段階の技術・事業への資金供給や制度整備を通じた市場形成が不可欠です。そのためにも、資金供給のひとつの手段として、カーボンクレジットを活用した資金供給のメカニズムが非常に有効だと認識しています。今回のNextGen参画を通じて、自らカーボンクレジットのオフテイカーとしてこの分野に資金を供給することで、初期的な需要シグナルを発信し、日本におけるCDRの社会実装や産業化のモメンタムを創出する契機となることを期待しています。
- みずほフィナンシャルグループ
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みずほフィナンシャルグループ サステナブルビジネス部
ビジネス開発チーム ディレクター
永瀬 響子
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みずほフィナンシャルグループ サステナブルビジネス部
※記事の内容は、取材当時のものです