メイン画像:JX石油開発 株式会社/ 電源開発株式会社(SX事例)
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電力・エネルギー

地域での水素社会実現へ。お客さまと〈みずほ〉の知見を結集し、次世代ビジネスを切り拓く。

JX石油開発 株式会社/ 電源開発株式会社

#カーボンニュートラル #次世代燃料 #炭素吸収・除去 #次世代燃料開発・導入支援

次世代エネルギーとして注目を集める水素。日本国内において持続可能な水素製造を実現する技術の確立を目指し、JX石油開発、電源開発、みずほリサーチ&テクノロジーズは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募する「水素製造・利活用ポテンシャル調査」(以下、NEDO事業)に、3社共同で「国産バイオマスからのCO₂ネガティブ水素製造に係るBECCS一貫実証モデルに関する調査」を提案しました。
3社の知見を結集した提案はNEDOに採択され、現在に至るまで実証事業に向けた調査を進めています。みずほリサーチ&テクノロジーズは環境・エネルギー分野における知見を総動員し伴走しています。

Project Flow

プロジェクトフロー図:JX石油開発 株式会社/ 電源開発株式会社(SX事例)

みずほリサーチ&テクノロジーズは、以前よりJX石油開発による新潟県における木質バイオマス事業化の検討を支援していました。木質バイオマスの原料となる資源の調達可能性に関する予備調査の結果等も踏まえて、今回の取り組みである「BECCSによるCO₂ネガティブ水素製造」の実証事業に向けた検討をスタート。水素の製造過程で必要となるガス化技術を有する電源開発も参画し、政府の補助を受けたフィージビリティ・スタディ(事業化の実現可能性に関する調査)を実施するため、3社共同でNEDO事業に応募し、採択されました。

CHALLENGE

バイオマスエネルギーとCO₂利活用技術を組み合わせ、CO₂ネガティブを目指す。

経済産業省が掲げる「グリーン成長戦略」では、燃焼時にCO₂等を排出しない次世代エネルギーとして、水素に注目しています。〈みずほ〉は、水素を脱炭素化に必要な次世代エネルギーと位置づけ、様々な取り組みを進めています。
水素には、再生可能エネルギー由来で製造過程においてもCO₂が排出されないグリーン水素、天然ガスや石炭等の化石燃料由来で製造過程においてCO₂を回収するブルー水素等があります。特に日本においては水素の製造ポテンシャルに限りがあるとされており、製造時にCO₂が排出されない新たな水素製造技術の開発・発展が不可欠です。
BECCS(BioEnergy with Carbon Capture and Storage)は、カーボンニュートラル燃料とされるバイオマスをエネルギー源として活用するとともに、過程で排出されるCO₂を回収・地下に貯留する技術であり、CO₂ネガティブ(経済活動によって排出されるCO₂よりも、吸収されるCO₂の方が多い状態のこと)の実現につながる技術として注目されています。
JX石油開発および電源開発は、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて、JX石油開発が保有・運営する新潟県胎内市の中条油業所周辺において、BECCSによるCO₂ネガティブ水素製造の実証事業を2020年代後半に実施すべく、共同で取り組みを進めています。なお、本実証事業の検討においては、水素とともに生成されるCO₂を回収した後に貯留するのではなく、新たなエネルギーとしてさらに利活用するCCU(Carbon Capture and Utilize)も視野に入れています。
みずほリサーチ&テクノロジーズは、官公庁・民間企業からのバイオマス関連での類似業務の受注実績をJX石油開発に評価いただき、2021年度以降、新潟県での木質バイオマス利活用事業の検討を支援していました。この検討結果の一部も踏まえて立ち上がったBECCSによるCO₂ネガティブ水素製造の実証事業の実現に向け、電源開発を交えた3社共同でのNEDO事業への応募に至りました。

イメージ画像1:BECCS一貫実証構想に関するイメージ
BECCS一貫実証構想に関するイメージ

SOLUTION

プロフェッショナルならではの知見を駆使し、地域特性を考慮した水素社会の実現に向けて前進。

今回NEDOが公募を行った「水素製造・利活用ポテンシャル調査」は、様々な分野における水素利活用を複合的に組み合わせたエネルギーシステムモデルの実現可能性を探るものです。採択された事業はNEDOからの委託事業として助成を受け調査を実施することができます。今回、JX石油開発・電源開発・みずほリサーチ&テクノロジーズの3社は、BECCSによるCO₂ネガティブ水素製造の実証事業およびその後の事業化に向けたフィージビリティ・スタディを行うため、3社それぞれの専門知見をいかし、「国産バイオマスからのCO₂ネガティブ水素製造に係るBECCS一貫実証モデルに関する調査」をNEDOに提案しました。
調査内容は、主に(1)水素製造の原料となる木質チップ・稲わら等、バイオマス資源の新潟県内での調達可能性調査、(2)集めたバイオマスをガス化して水素を取り出す技術の課題抽出、(3)法的規制、技術的な課題を踏まえた水素の利活用先の検討、(4)新潟県内での水素社会実現のために必要なビジネスモデルの検討、の4点になります。
新潟県胎内市に油業所を持ち、地域とのつながりがあるJX石油開発は、木質バイオマス原料調達・水素利活用先の関係者や自治体とディスカッションを実施しました。既に石炭のガス化を事業化しており、同分野の技術知見を有する電源開発は、バイオマスを活用したガス化技術の検討を行いました。
そしてみずほリサーチ&テクノロジーズは、2社の「新潟県で事業を実現する」という目標に対して、社内の環境・エネルギー分野におけるプロフェッショナル人材が持つ知見を総動員し伴走。木質バイオマスの原料調達、水素製造技術の選定、水素利活用先の検討まで、トータルで事業の実現可能性を調査・検討しています。特に、新潟県内におけるバイオマス資源の既存サプライチェーンを把握し、関連する林業者や発電所のビジネスに干渉しないよう配慮しています。3社それぞれが得た知見を密に共有し、最適なビジネスモデルの構築を目指して議論してきました。

イメージ画像2:JX石油開発が新潟県胎内市において保有・運営する中条油業所
JX石油開発が新潟県胎内市において保有・運営する中条油業所

RESULT

CO₂ネガティブな水素製造・供給モデルの実用化に向けて、調査もいよいよ大詰め。

3社共同による提案が2022年10月にNEDOに採択されたことで、実証事業に向けた調査が開始されました。みずほリサーチ&テクノロジーズは、NEDO事業採択後から現在に至るまで、原料供給者や技術専門家のネットワークをいかした協力体制の構築を試みつつ、水素製造用の原料調達やガス化技術の検討を重ねてきました。今後の調査においては、2023年9月までに、製造された水素の利活用ポテンシャルおよび水素利活用先の検討、事業の経済性における課題抽出等を行い、具体的な事業実現可能性を評価することが目標です。
引き続き、地域資源を活用したCO₂ネガティブな価値を有する水素の製造・供給の実証事業の実現に向けて支援していきます。

イメージ画像3:BECCSによるCO₂ネガティブ水素製造・利活用のイメージ
BECCSによるCO₂ネガティブ水素製造・利活用のイメージ

“ お客さまの声 ”

みずほリサーチ&テクノロジーズさまには、2021年度に新潟県におけるBECCS水素事業の検討を開始した時点から、多方面でご支援を頂いております。〈みずほ〉さまはバイオマス、水素、CCUS等の様々な専門的な知見をお持ちであり、当該事業を進めるうえで有用なご助言を頂いているほか、官公庁や各種有識者、先進事業者との広範なネットワークにより、新潟県内での原料調達から水素利活用、政府機関等を通じた資金調達を含む体制検討にも多大なる貢献をいただいております。2020年代後半の実証事業の実現に向け、2023年度が事業性評価の正念場となります。今後も継続的にご支援をいただきたいと考えています。

JX石油開発株式会社

  • サステナブル事業推進部
    中条BECCUS Dプロジェクト
    上席マネージャー/プロジェクトリーダー
    大備 勝洋さま

“ 〈みずほ〉の声 ”

〈みずほ〉担当者画像:JX石油開発 株式会社/ 電源開発株式会社(SX事例)

みずほリサーチ&テクノロジーズは、まずはNEDO事業における取り組みとして、新潟県内の関係者の方々とのディスカッションを行いました。その結果を踏まえながら、BECCSで製造した水素の利活用先を検討、さらに経済性評価を実施し、望ましいビジネスモデルを構築していきます。NEDO事業のみならず、実証事業の実現に向け、中立的な立場から、JX石油開発さまや電源開発さまの様々なご意向に対して、柔軟に対応していきたいと考えています。これからも地域とともに、カーボンニュートラル達成に向けて邁進してまいります。

みずほリサーチ&テクノロジーズ
  • サステナビリティコンサルティング第二部
    石井 伸彦

※記事の内容は、取材当時のものです

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