メイン画像:株式会社ヤマダホールディングス(SX事例)
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小売

消費から循環へ。家電量販業界初の「グリーンローン」組成で、新たな資源循環システムを創る。

株式会社ヤマダホールディングス

#サーキュラーエコノミー #グリーンファイナンス

家電量販業界のリーディングカンパニーとして ESG 経営を積極的に推進するヤマダホールディングスは、グループ内で家電製品の販売からリユース・リサイクル・最終処分に至るまでのプロセスを一気通貫で行うシステム構築に取り組んでいます。みずほ銀行は、同社の挑戦を後押しするべく、2022年には「Mizuhoポジティブ・インパクトファイナンス」、さらに2023年1月「グリーンローン」での資金調達を支援。「グリーンローン」組成を通して、循環型社会の実現をめざす同社の取り組みを社会に広く訴求することに成功しました。

Project Flow

プロジェクトフロー図:株式会社ヤマダホールディングス(SX事例)

みずほ銀行は、2022年1月の「Mizuhoポジティブ・インパクトファイナンス」組成を皮切りに、ヤマダホールディングスが掲げる資源循環型社会の実現に向けて伴走。同社の先進的な取り組みに必要な資金調達として、「グリーンローン」を提案。第三者評価取得から補助金制度応募に至るまで全面的にサポートし、社会的な評価獲得にもつながる資金調達を後押ししました。

CHALLENGE

企業価値向上につながるファイナンスを。ヤマダホールディングスの先進的な取り組みを社会に訴求。

「暮らしまるごと」を事業コンセプトに掲げ、家電や家具・インテリア、住宅、リフォーム等を取り扱うヤマダホールディングス。2020年10月、「環境開発事業の事業展開」を発表して以降、SDGs達成に必要となる「循環型社会の構築と地球環境の保全」を実現するため、家電のリユース、リサイクル事業の拡充に加え、新たな廃棄物焼却発電プラントの建設等に取り組んできました。
次なる一手として、家電量販業界内において先進的な、資源循環を中心とした自己完結型システム(※1)構築に向けてプロジェクトを始動。みずほ銀行は、同プロジェクトを促進するため、継続的に経営陣とのディスカッションを実施。昨今、機関投資家は企業の財務に加え、ESGをはじめとする非財務情報を重視している状況を踏まえ、同社の取り組みについて資本市場での認知度を引き上げることが、さらなる企業価値向上へつながると考えました。
そこで2022年1月、みずほ銀行は独自商品である「Mizuhoポジティブ・インパクトファイナンス(※2)」を提案。家電量販業界初となるポジティブ・インパクトファイナンスでの資金調達を行ったことから、多数のメディアに取り上げられ、資源循環をはじめとするSDGs達成に向けた同社の取り組みの発信にもつながりました。
本案件を足がかりに、〈みずほ〉が持つ知見をいかし、循環型社会の構築をめざす同社をさらにサポートすべく「グリーンローン」を提案しました。

  • ※1 ヤマダホールディングスグループ内で、家電製品の販売からリユース・リサイクル・最終処分に至るまでのプロセスを一気通貫で行うシステム
  • ※2 〈みずほ〉が独自に開発した、企業が抱える社会的インパクトを包括的かつ定量的に評価し、「ポジティブ・インパクトの創出が認められる」と確認された場合、当該取り組みの継続的な支援を目的として融資を行う商品
イメージ画像1:ヤマダホールディングスグループ内における、資源循環を中心とした自己完結型システムイメージ図
ヤマダホールディングスグループ内における、資源循環を中心とした自己完結型システムイメージ図

SOLUTION

「グリーンローン」の価値を最大限に引き出すために。最上位評価「Green1(F)」取得に向けて伴走。

みずほ銀行が提案した「グリーンローン」とは、資金使途を環境課題の解決・緩和に資する事業に限定した融資です。「グリーンローン」の組成にあたり、国際機関が定めるグリーンローン原則等に準拠した「グリーンファイナンス・フレームワーク」の策定、さらにフレームワークに対する第三者評価の取得を行うことで、その企業が環境課題の解決に取り組んでいることをお客さまや投資家などのステークホルダーに訴求することができます。「グリーンローン」の資金使途としては脱炭素関連が主流であり、資金使途をサーキュラーエコノミー(※1)関連の取り組みとした事例は少なかったため、ローン組成による話題性も見越し、みずほ銀行から「グリーンローン」を提案しました。
さらに、みずほ銀行は、第三者評価機関による「グリーンファイナンス・フレームワーク」の最上位評価「Green1(F)」取得に向けて、同社が対応すべき事項を全面的にサポート。
「グリーンファイナンス・フレームワーク」の策定では、自己完結型システムの実現に向けたKPI設計について同社と議論を重ねました。また評価取得にかかるコスト軽減のため、環境省がグリーンファイナンス促進を目的に公募する補助金制度(※2)を活用することも提案。〈みずほ〉主導による第三者評価機関との度重なるやり取りの末、補助金交付の規定をクリアし、同社は補助金を活用した第三者評価の取得を進めました。
その結果、同社のフレームワークは「Green1(F)」を取得。同社の事業戦略、ガバナンス体制はもちろん、循環型社会実現への取り組みがグローバルなガイドラインの適格基準を高水準で満たしていることが認められ、本ローン組成による訴求効果の最大化が図られました。
今回の取り組みでは第三者評価機関をはじめ関係者が多岐にわたる中、〈みずほ〉が中心となり関係各所との調整やフレームワーク策定の方針についてディスカッションを重ねました。
本案件は、資源循環型社会をめざす同社を象徴する試みであり、〈みずほ〉は検討の初期段階からファイナンス組成に至るまで、お客さまとともに一つひとつの課題に向き合い、力強く支援しました。

  • ※1 ライフサイクルのあらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る経済
  • ※2 環境省が、日本におけるグリーンファイナンスの促進に向け、グリーンファイナンスの調達等支援(外部レビューの付与、グリーンボンド等コンサルティングの実施)にかかる費用を補助する制度
イメージ画像2:群馬県太田市に建設予定のヤマダ環境資源エネルギープラントのイメージ
群馬県太田市に建設予定のヤマダ環境資源エネルギープラントのイメージ

RESULT

家電量販業界の常識を覆す自己完結型システム構築に向けて、着実に前進。

2023年1月、ヤマダホールディングスの「グリーンローン」組成が実現。メディアでも取り上げられる注目度の高い案件となりました。
また同社では、同年2月、福島県会津若松市を拠点に産業廃棄物の収集運搬から、最終処分までを一貫して行う「株式会社あいづダストセンター」を買収。これにより、使用済み家電の買い取り、リユース工場でのリユース製品化またはリサイクル工場での再資源化、廃棄物焼却発電施設による廃棄物の焼却と発電に加え、焼却できない廃棄物の埋め立てによる最終処分まで実現する体制を構築しました。
2020年1月の「環境開発事業の事業展開」発表から約3年、同社グループにおける資源循環を中心とする自己完結型システムの構築は、着実に前進を続けています。
家電量販業界のリーディングカンパニーとして、SDGs達成に向けた同社の重要課題のひとつである「循環型社会の構築と地球環境保全」に対し、これからも〈みずほ〉は金融の枠を超えた柔軟な発想と支援により伴走していきます。

イメージ画像3:ヤマダホールディングス リユース工場での洗濯機のリユース作業風景
ヤマダホールディングス リユース工場での洗濯機のリユース作業風景

“ お客さまの声 ”

ヤマダホールディングスグループが進める「資源循環を中心とした自己完結型システム」の構築は、「資源枯渇」「脱炭素」「ゴミ減容」等の社会課題を重要な経営課題と捉え、サステナブルな社会づくりに貢献するために行うものです。具体的には2022年5月に操業を開始したヤマダ東日本リユースセンター群馬工場ではリユース家電の増産や、2024年3月期竣工予定のリサイクルプラントでは家電由来の資源を有効活用します。また、2026年3月期には廃棄物焼却発電施設の竣工を予定し、自社グループ完結型の製品ライフサイクルを実現します。いずれの施設・設備には投資が必要となりますが、みずほ銀行様が提供しているグリーンローンを活用いたします。此度のグリーンローンではグリーンローン原則、グリーンボンド原則およびグリーンボンド・グリーンローンガイドラインへの準拠については最上位評価である「Green1(F)」を取得する事ができました。当社グループは今後も環境資源開発事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

株式会社ヤマダホールディングス

  • 執行役員 経営企画室長
    清村 浩一さま

“ 〈みずほ〉の声 ”

〈みずほ〉担当者画像:株式会社ヤマダホールディングス(SX事例)
左から順に、三浦、伊藤

本案件は、家電量販業界初の「グリーンローン」組成により、同社の企業価値向上、社会課題解決の一翼を担うことができ、非常にやりがいがありました。「グリーンローン」では、サーキュラーエコノミーをテーマとした事例が少ないため、関係各所への調整が必要でしたが、第三者評価機関などと密に連携をすることで、本件締結に至るまでの障壁を乗り越えることができました。企業にとって、脱炭素への取り組みやESG経営の重要性はますます高まっていきます。前例のない試みにも〈みずほ〉の持つ幅広い知見をいかして、お客さまとともに挑戦していきます。

みずほ銀行
  • 前橋支店 副支店長
    伊藤 寿文
  • コンサルティング部 コンサルティング第一チーム 班長
    三浦 翔

※記事の内容は、取材当時のものです

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