メイン画像:イオンモール株式会社 / 株式会社エコスタイル(SX事例)
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小売 不動産 電力・エネルギー

目指すは、電力の地産地消。前代未聞の規模で、イオンモールへの再生可能エネルギー供給を実現。

イオンモール株式会社 / 株式会社エコスタイル

#カーボンニュートラル #太陽光発電 #再生可能エネルギー対応支援

イオンモールでは、省エネルギー・創エネルギーの両面から、店舗で排出する温室効果ガスをネットゼロにする取り組みを推進。次の一手として、電力調達の100%再生可能エネルギー化を模索していました。そこで〈みずほ〉は本案件のためにグループ横断のSXチームを結成、太陽光発電の開発・施工に圧倒的な実績を持つエコスタイルをパートナー企業に迎え、国内最大規模での「自己託送方式」と呼ばれるスキームの構築を3グループ協働でスタート。全国約740ヵ所の低圧・分散型太陽光発電所を特別目的会社(SPC)で保有し、全国約30のイオンモールへの電力供給を実現しました。

Project Flow

プロジェクトフロー図:イオンモール株式会社 / 株式会社エコスタイル(SX事例)

イオンモールとエコスタイルの両社からお問い合わせをいただき、〈みずほ〉を含む3グループ協働による再生可能エネルギー調達のストラクチャー構築をご提案。太陽光発電所をファンド化する形で資金調達を行い、イオンモールで使用する電力の地産地消を実現しました。

CHALLENGE

イオンモールの再生可能エネルギー需要と、エコスタイルの太陽光発電所開発力を〈みずほ〉がマッチング。

イオンは、国内の総電力消費量の約1%を占める大口需要家であり、昨今の環境配慮意識の高まりを背景に「イオン 脱炭素ビジョン」を掲げ、脱炭素への取り組みを推進しています。特に大型商業施設開発・運営を行うイオンモールでは、2025年までに約160のショッピングモールにおける使用電力を100%再生可能エネルギー化、2040年度には直営するショッピングモールにおける使用電力を100%「地産地消」の再生可能エネルギーで運営することを目標として掲げています。同社とみずほ銀行で、具体的な電力調達方法や資金調達手法について、ディスカッションを重ねていました。
同時期に、太陽光発電事業等を手掛けるエコスタイルからみずほ証券に、「低圧・分散型太陽光設備を活用した再生可能エネルギー由来の電力ニーズをお持ちの企業等を探し、自社開発設備を一括売却することで、次なる開発資金を確保したい」とのご相談をいただきました。そこで、みずほ銀行とみずほ証券から3グループでの協働のご提案をしたところ、イオンモールとエコスタイルのニーズが合致。ゼロベースからの新たな挑戦として、本案件が立ち上がりました。

イメージ画像1:イオンモールの店舗
イオンモールの店舗

SOLUTION

脱炭素に向けた電力調達方法からファイナンス手法まで、グループ横断によるワンストップソリューションで力強く伴走。

再生可能エネルギー関連プロジェクト等への投融資のノウハウを有するみずほリースも加わり、3グループで週次の定例会議を重ねる中で、電力を利用するショッピングモールから離れた敷地(オフサイト)に設置した太陽光発電設備から電力を調達するスキームの構想が形作られました。建物や駐車場の屋根といった電力需要家の敷地内に太陽光発電設備を設置する場合と比べ、電力需要地から離れた場所からも再生可能エネルギーを大量調達できる等のメリットがあります。
さらに今回用いた「低圧・分散型太陽光発電」は、複数の土地に分散した小規模発電設備から電力供給を行うため、メガソーラーのような大規模開発を必要としません。そのため、一つひとつは決して広くない耕作放棄地等も活用でき、森林伐採を行わずに済む点も、植樹活動をはじめとする環境への取り組みを進めるイオンの理念と非常に親和性の高いものでした。
また、一般送配電事業者が管理する送配電ネットワークを通して、オフサイトで発電された電力を供給する「自己託送方式」を採用。小売電気事業者を介さずに電力需要家と長期契約を結ぶことで、追加性(※)のある再生可能エネルギーを市況に左右されず安定的に調達できるようにしました。
本案件では、みずほ銀行が全体のプロジェクトマネジメントに加え、脱炭素化に向けた電力業界の産業知見等を提供。みずほリースが匿名組合出資をし、みずほ証券がファイナンシャルアドバイザーとして投資家を募り、前述のスキームを裏付けとした本邦初の再生可能エネルギープロジェクトボンドを組成。〈みずほ〉がもつ多様な機能・知見を最大限に活用した検討段階での支援から、資金調達手法の構築やリスクマネーの供給まで、一気通貫でサポートすることになりました。

※再生可能エネルギー電力の調達により、世の中に新たな再生可能エネルギー設備の建設や投資を促す効果があること

イメージ画像2:イオンモール株式会社 / 株式会社エコスタイル案件の概要図
本案件の概要

RESULT

自己託送方式による新たな電力供給網を圧倒的なスピードで構築。エコスタイルとの協働で、さらなる普及へ。

2022年5月、みずほ銀行、みずほ証券、みずほリース、イオンモール、エコスタイルは、国内最大規模となる「自己託送方式による低圧・分散型太陽光発電設備を通じた再生可能エネルギー調達」について基本合意。その後、全国約740ヵ所にも及ぶ太陽光設備のファンド化に向け、みずほ証券やみずほリースでは全対象アセットの価値やリスク検証を目的としたデューデリジェンスを数ヵ月間という限られた時間で、スピーディーかつ着実に行いました。
そして2022年9月、自己託送方式による太陽光発電設備「イオンモール まちの発電所」第一弾が稼働開始し、同年11月にはすべて送配電網に接続が完了。3グループの力を結集することで、イオンモールにおける地産地消にこだわった再生可能エネルギー創出の第一歩を踏み出しました。
さらに2023年3月には、本案件での協業を通して培われた信頼関係をベースに、みずほリースとエコスタイルが資本業務提携を実施。みずほリースは、エコスタイルと連携して、再生可能エネルギー由来の電力を必要とする需要家に対し、「自己託送方式」や「コーポレートPPA(※)」を活用したソリューションの拡充を図ることで、カーボンニュートラルの実現に向けた、〈みずほ〉としての提供価値を一層高めていきます。

※発電事業者と電力需要家が、あらかじめ合意した価格および期間における再生可能エネルギー電力の売買契約を締結する方法

イメージ画像3:千葉県野田市の太陽光発電所にて
千葉県野田市の太陽光発電所にて

“ お客さまの声 ”

今回、イオンモールさまに対して提供した「自己託送方式」は、全国6電力エリア約740ヵ所にわたる太陽光発電所から約30施設に電力供給をするという、私たちにとってもかつてない規模のプロジェクトでした。〈みずほ〉さまのサポートなくして、このチャレンジは為しえなかったと思います。また、みずほリースさまとの資本業務提携によって財務基盤の安定化が進んだことで、お取引先や弊社社員にも大いに喜んでもらえました。今後はお客さまのニーズや状況に合わせて、より多くの再生可能エネルギー調達手段の中からご提案できるよう、本案件以外にも〈みずほ〉さまとの新たな取り組みを検討していきたいと思います。

株式会社エコスタイル

  • 代表取締役 社長執行役員
    木下 公貴さま
  • 執行役員 経営戦略推進部長
    岸田 光司さま

“ 〈みずほ〉の声 ”

〈みずほ〉担当者画像:イオンモール株式会社 / 株式会社エコスタイル(SX事例)
左から順に、中村、藤本、田中

本案件は〈みずほ〉にとって「自己託送方式」への初めての取り組みであったことに加え、耕作放棄地の活用といった社会課題解決の一助になる面も持ち合わせ、非常にやりがいのあるものでした。エコスタイルさまには太陽光発電に関する様々な知見をご教授いただき、私たちはそれを基にイオンモールさまにご提案やご説明を差しあげました。また非常に限られた時間の中で、デューデリジェンスや関係各所への契約手続き等を進められたのも、組織の垣根を越えた緊密な連携があったからこそだと思います。カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素と再生可能エネルギー調達促進の流れは、今後ますます加速していきます。エコスタイルさまと一丸となって築きあげた今回のストラクチャーや関係性を基盤に、同様のニーズをお持ちのお客さまに対しても幅広いソリューションを提供できるよう尽力していきます。

みずほ銀行
  • 情報通信・リテール第一部 上席部長代理
    藤本 健志
  • コーポレート&インベストメントバンキング業務部 参事役(産業調査部兼務)
    田中 秀侑
みずほ証券
  • フィナンシャルソリューション部 エグゼクティブディレクター
    安藤 康介
  • 不動産投資銀行部 ディレクター
    齋藤 英之
みずほリース
  • 環境エネルギー営業部 副部長(イノベーション共創部兼務)
    中村 修

※記事の内容は、取材当時のものです

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