1口100万円の不動産投資が可能に！？
ブロックチェーン技術で叶える、
新たな投資商品「セキュリティ・トークン」

もっと少額から不動産投資をしてみたい！
そんなお客さまの声に応えるために、4社が協業した取り組み

仮想通貨やブロックチェーンが盛り上がりを見せる最中の2020年5月1日、資金決済法や金融商品取引法の改正が行われました。仮想通貨から「暗号資産」への名称変更や、暗号資産デリバティブ取引に関する規制の導入など、様々な事項が改正。中でも、「セキュリティ・トークン」と呼ばれるデジタル証券を利用した取引や資金調達に関わる改正については、不動産業界をはじめ、新たな資金調達手法の拡充をめざす企業を中心に、注目を集めました。

セキュリティ・トークンとは、不動産や金銭債権を裏付けとした投資商品や企業が発行する社債などの有価証券等の権利移転を、ブロックチェーンを使って管理し、取引をデジタル上で完結できるデジタル証券のこと。これまで煩雑だった権利関係者間の事務手続き効率化や、デジタル化することで少額での投資を可能にします。個人投資家にとっては、投資商品のバリエーションが増えることで投資リスクを分散できるほか、趣味や興味のあるビジネスに関連した事業に投資しながら、金銭的なリターンを得られる利点があります。

新たな資金調達手法の充実、ターゲットとする投資家の裾野拡大を求める企業と、投資商品のバリエーション拡充を望む個人投資家の要望に応えるために、みずほ信託銀行はケネディクス、野村證券、BOOSTRYと協業し、ブロックチェーンを活用した、不動産を裏付資産とするセキュリティ・トークンを発行しました。

小口投資で高級温泉旅館のオーナーに！
不動産セキュリティ・トークンの仕組みとは

川端康成の小説『雪国』の舞台となった越後湯沢。今ではスキー客が多く訪れるこの地にある「湯けむりの宿 雪の花」を裏付資産とした不動産セキュリティ・トークンが、4社協業初の商品です。この案件において、みずほ信託銀行は、これまで長年にわたる不動産や証券化商品などに関わる知見を活かして、様々な資産を有価証券にして取引や流通をしやすくする受益証券発行信託の機能を提供しセキュリティ・トークンの発行・管理などを行いました。

これまでの不動産投資は、現物購入が基本であり、分譲でも数千万円単位からと個人投資家にとっては手が出しづらい投資手法でした。そのうえ、土地や建物は所有者の権利証明の届出を役所に行う必要があるなど、手続きにおいてもハードルが高いものです。こういった複雑な事務手続きを簡易的にして、200万円（1口100万円、2口以上1口単位）で「湯けむりの宿 雪の花」という資産規模43.7億円となる高級温泉旅館のオーナーになれるのは、ブロックチェーン技術が持つ所有者の履歴をたどりやすく、改ざんしづらい特性があるから。デジタル証券だからこそ叶えられる新しい不動産投資の仕組みなのです。

デジタル化された優待特典「ユーティリティ・トークン」
利用はスマホ1台で完結！

本不動産セキュリティ・トークンにおいて、「湯けむりの宿 雪の花」のオーナーになり配当を受け取るだけでなく、もう一つ大きなメリットがあります。それは、「ユーティリティ・トークン」が付与されること。ユーティリティ・トークンとは、株式における株主優待券、特定企業のポイントをデジタル化したようなもので、本不動産セキュリティ・トークン保有者にも特典として付与されます。「湯けむりの宿 雪の花」の場合、ユーティリティ・トークンとして本旅館に宿泊する際に使用できる館内利用券がBOOSTRYのibetアプリ上で付与されます。セキュリティ・トークン保有者は、手持ちのスマートフォンにibetアプリをダウンロードし、旅館でユーティリティ・トークンを提示することで利用可能となるので、付与から利用までスマートフォン1台で完結します。スマートフォンを利用し、ユーティリティ・トークンの特典内容を目論見書に明示して付与するセキュリティ・トークンは、国内セキュリティ・トークン業界として初めてのもの^※。みずほ信託銀行にとって第1号となる本不動産セキュリティ・トークンにおいて、画期的な試みが行われました。

• ※編集部調べ

不動産セキュリティ・トークンで広がる投資の選択肢
趣味や好きなものが投資商品となって応援できる時代に

「湯けむりの宿 雪の花」の不動産セキュリティ・トークンは2022年12月28日に発行されたばかりですが、多くの個人投資家に注目いただいています。これからの展望として、一般的な投資対象として馴染みのあるレジデンスやホテルだけでなく、地域のシンボリックな建築物や観光資源を裏付けとしたセキュリティ・トークンも検討の視野に入れています。物件が所在する地域でのみ利用できる地域振興券をユーティリティ・トークンとして付与することで、観光客の増加といった地方創生の観点からもアプローチできる仕掛けも考えています。

また不動産のみならず、飛行機や年代物のワインなどもトークンにすることは理論上可能です。趣味や興味のある分野に対して投資というかたちで応援して、ユーティリティ・トークンというかたちでそのお礼を享受できる。これまでにない投資商品の在り方をつくり、「貯蓄から投資へ」の社会課題に応えられるよう個人投資家の方々に新しい投資機会を提供していきます。

文・写真/みずほDX編集部