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「バイブコーディング」で金融の業務課題解決に挑戦!

専門性の壁を乗り越える新しい金融DX。〈みずほ〉が「バイブコーディング」で切り拓く“全社員AI活用”文化

OVERVIEW

〈みずほ〉が全社で推進する「WORK WITH AI @MIZUHO」。それは、単なる業務効率化に留まらず、AIを「優秀なパートナー」と位置づけ、人間は人間にしかできない創造的な価値創出に集中するという、新しい働き方のビジョンです。
従来、〈みずほ〉は金融機関としての統制やセキュリティ確保が求められることに加え、開発には高度な専門知識が必須だったため、現場が自らツールを作りDXを素早く進めるには高いハードルがありました。その制約を踏まえつつ、現場主導のAI活用をどう実現するかが次のテーマとなっていました。
そこで〈みずほ〉が注目したのが「バイブコーディング(Vibe Coding)」という開発スタイルです。直感とスピードを重視し、AIと協働してアイデアを迅速に具現化する手法です。2026年3月、〈みずほ〉は、社員が実際にその場で課題に応じたアプリケーション・ウェブサイトを開発する社内イベント「DXカフェ BUILD」を開催しました。プログラミングの知識がなくても、AIで業務改革を加速できる。その手応えを体感することがこのイベントの目的です。本記事では、当日参加した社員たちが開発したプロトタイプとその声、そしてイベントを見届けた経営層のコメントを通じて、〈みずほ〉がめざす「全社員がAIを活用する」取り組みの最前線に迫ります。

INDEX

  1. 1
    AI時代の新常識「バイブコーディング」に挑戦。「DXカフェ BUILD」開催
  2. 2
    「体験」ではなく「実践」。藤井デジタル戦略部長が語る「DXカフェ BUILD」の狙い
  3. 3
    1日でここまでできる。現場課題から生まれたプロトタイプの実例と参加者のリアルな声
  4. 4
    小さな成功体験を、組織の力へ。「DXカフェ BUILD」のその先

AI時代の新常識「バイブコーディング」に挑戦。「DXカフェ BUILD」開催

〈みずほ〉では、すべての社員がAIとともに働き、使いこなすことで業務の質の向上をめざす「WORK WITH AI @MIZUHO」の取り組みを進めています。

その一環として、2025年8月にAIを身近に感じる社内イベント「DXカフェ デラックス」を開催したところ、720名を超える社員が参加。社員たちのAI活用に対する意欲の高さが、改めて浮き彫りになりました。

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AI・デジタル技術の体験や、業務上のDXに関する課題解消を目的とした社内イベントを開催。カフェメニューに見立てて展開されたコンテンツの詳細や講演の模様をご紹介します。

2026年3月、次なるステップとして「DXカフェ BUILD」を開催。今回は「AIツールを知る・触れる」段階からさらに踏み込み、「自らの業務課題を解決するプロトタイプを実際に開発する」ことがゴールです。

当日は、事務企画部や業務監査部、カスタマーリレーション推進部等、多様な部署から選抜された5チームが集結し、1日かけて開発に挑みました。

そこで用いられたのが「バイブコーディング」です。プログラミングの知識がなくても、AIに自然言語で「こんなアプリケーションが欲しい」と指示し、対話を重ねるだけでコードが自動生成される。直感とスピードを武器にした、新しい開発スタイルです。
ではなぜ今、〈みずほ〉はただAIに触れるだけでなく、「自らの手で開発する」という実践の場を設けたのでしょうか。そこには、AI活用の推進における明確な狙いがありました。

2. 「体験」ではなく「実践」。藤井デジタル戦略部長が語る「DXカフェ BUILD」の狙い

「体験」ではなく「実践」。藤井デジタル戦略部長が語る「DXカフェ BUILD」の狙い

開会にあたり、参加者の前に立ったデジタル戦略部長の藤井達人は、今回の「DXカフェ BUILD」に込めた強い思いと狙いを次のように語りました。

藤井:前回の「DXカフェ デラックス」は、まずはAIに触れ、可能性を知ることに重きを置きました。今回の「DXカフェ BUILD」はそこから一歩踏み込み、皆さんの日々の業務に直結するツールを自らの手で形にする挑戦の場です。

単なる体験で終わらせず、実用に耐えうるプロトタイプを作り上げること。そして真に有用なものであれば、本格的なプロジェクトへと昇華させていく。本日は、その導火線に火をつける重要な1日にしたいと考えています。

藤井 達人の画像

では、なぜ「自ら作る」ことにこだわるのか。藤井はその意図をこう説明します。

藤井:社内には「この業務課題をAIで解決したい」という強い意欲を持つ社員が数多く存在します。私たちが次に見据えるのは、既存の汎用ツールの組み合わせではなく、“現場の課題をピンポイントで解決する専用ツール”を自ら生み出すことです。

業務の要件を最も深く理解しているのは、現場の社員に他なりません。彼ら自身の手でボトルネックを解消できれば、業務負荷は劇的に軽減されます。コスト削減や人的ミスの防止にも直結するため、現場発のAI活用こそが今の〈みずほ〉には不可欠なのです。

1日でここまでできる。現場課題から生まれたプロトタイプの実例と参加者のリアルな声

各チームは事前に持ち寄った自部署の課題をベースに、1日がかりの開発に臨みました。AIへ指示を出し、結果を確認しながら修正を重ねていく。壁にぶつかっても、各チームに付いたメンターから助言を受けすぐに手を動かす。そうした試行錯誤を通じて、圧倒的なスピードでアイデアを形にしていきました。

「DXカフェ BUILD」で生まれた代表的な事例が、事務企画部による稟議業務の効率化アプリケーション「サクサク稟議くん」です。従来は情報収集から稟議書の作成、回付まで煩雑な工程を要していた稟議業務に対し、自然言語の指示だけで稟議書のドラフトを自動生成するAIツールを、わずか1日で開発しました。

プロトタイプの実例

プロトタイプの実例

「簡単な日本語だけでアプリケーションができて驚いた。業務フローを根本から変える発想を得られました」「指示が多少曖昧でも、AIが意図を汲み取って解像度の高いツールにしてくれる安心感がありました」と、参加者は振り返ります。

ほかにも、手続改定のファイル管理を一元化するツールや、顧客からの問い合わせ理由を自動で集計・分析するツール等が次々と生み出され、事後アンケートでは参加者全員が「満足」「AI活用のハードルが下がった」と回答しています。

「今の仕事の仕方が大きく変わると感じた」「AIに苦手意識があったが、感動するほど簡単だった」「AIがプログラムのロジックまで作ってくれるとは」等、現場レベルでの確かな手応えを実感する声があふれていました。

4. 小さな成功体験を、組織の力へ。「DXカフェ BUILD」のその先

小さな成功体験を、組織の力へ。「DXカフェ BUILD」のその先

こうして熱狂のうちに全行程を終えた「DXカフェ BUILD」。丸1日、参加者たちが実際に手を動かしてプロトタイプを作り上げた会場は、大きな熱気に包まれていました。

イベントの最後には、グループCDOの上ノ山信宏が総括を行いました。まず上ノ山が言及したのは、実践を通じてAIについて理解する重要性です。

上ノ山:これからの時代、AIを競争力に変えるには、その仕組みへの深い理解が欠かせません。座学で終わらせず、自ら手を動かしてツールを作り、試行錯誤を繰り返す。そうした実践を通じてこそ、AIを使いこなす力は定着するのです。

上ノ山 信宏の画像

一方で、ただAIを使いこなすだけでは不十分だとも語ります。上ノ山が繰り返し強調したのは、「業務プロセス全体を俯瞰する」ことの重要性でした。

上ノ山:「自分の担当業務が大変だから、ここだけ直す」という発想では、かつてRPAの導入が伸び悩んだのと同じく、部分的な改善に留まってしまいます。プロセス全体を俯瞰し、批判的に見直して再構築する。これはAIにはできない人間ならではの役割であり、その訓練こそが重要です。

これまでの「DXカフェ」で、AIの可能性に触れる入り口を広げてきた〈みずほ〉。上ノ山は、次のフェーズとして「トップダウンとボトムアップの循環」を掲げます。

上ノ山:今回集まったような意欲的な社員がさらにAIになじみ、プロセス全体を俯瞰する新しい思考を持てば、自然と周囲へ波及していきます。トップダウンとボトムアップの両方が循環していく、そのきっかけを作る場として非常に価値がありました。

「DXカフェ BUILD」で生まれた成功体験は、今はまだ小さな芽かもしれません。しかし、「自分にもできる」という確かな手応えを持ち帰った社員たちの積み重ねが、組織を変える大きな原動力となります。〈みずほ〉のDXは「AIを導入する」段階から、「AIで業務を変革する」段階へ。着実に次のステージへと歩みを進めています。

PROFILE

上ノ山 信宏の画像

株式会社みずほフィナンシャルグループ
執行役常務 グループCDO

上ノ山 信宏

1991年、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。みずほ銀行営業第九部長、みずほフィナンシャルグループ執行役員取締役会室長を経て、2021年には、みずほフィナンシャルグループ取締役兼執行役グループCHROに就任し、グループ5社共通の新たな人事制度・運営への移行等を担当。2024年より、執行役グループCHROに加え、新たにグループCDOを兼務、2025年より現職。みずほフィナンシャルグループのデジタル戦略、データマネジメント、事業領域開発、技術研究開発を担当。

藤井 達人の画像

みずほフィナンシャルグループ
執行役員 デジタル戦略部 部長 兼 デジタル・AI推進室長

藤井 達人

2023年キャリア採用でみずほフィナンシャルグループに入社。1社目の外資IT企業にて、メガバンクの基幹系開発、金融機関向けコンサルティング業務等に従事。2社目の外資IT企業を経て、総合金融グループではフィンテック導入のイノベーションを担当。その後、大手通信事業者の金融持株会社での執行役員、2社目の外資IT企業での業務執行役員を歴任し、現職。金融革新同友会「FINOVATORS」創立メンバー。『フィンテックエンジニア養成読本』(技術評論社)全体監修および共著。

※所属、肩書きは取材当時のものです。

文・写真/みずほDX編集部

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