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“地方の労働力減少”への挑戦。銀行データを活用した「二地域居住の実態調査」とは。

OVERVIEW

国土交通省や地域自治体が取り組む“地方の労働力減少”という課題の解決に貢献すべく、みずほ銀行は、銀行データを活用した「二地域居住の実態調査」を実施しました。この調査が行われた背景には、地域の労働力が減少する中、二地域居住等の新しい手法で労働力を確保する必要性がある一方、「EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)」にあたって二地域居住者の実態が把握できていない現状がありました。今回の調査によって明らかになった実態を活用し、各自治体はどのようにデータに基づく政策決定を行っていくべきか。本記事では、調査の詳細や、社会課題解決における銀行データ活用の可能性についてご紹介します。

INDEX

  1. 1
    銀行データから導き出す、二地域居住のリアル。
  2. 2
    様々な視点から分析。定量調査から見えてきたものとは。
  3. 3
    〈みずほ〉が形作るEBPMで、地域の未来を支える。

銀行データから導き出す、二地域居住のリアル。

銀行データから導き出す、二地域居住のリアル。
“経済活動”の調査・分析を実施。

近年、属人的な経験や既に存在する事例(エピソード)に頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで、データや統計を基に合理的な根拠(エビデンス)に基づいて政策の企画を行うEBPMが注目されています。日本でも、省庁や自治体を中心に人流データや購買データをはじめとした様々なデータ活用が進められています。この流れの中、みずほ銀行も金融ビッグデータによる政策支援を進めてきました。その取り組みの一環として国土交通省の委託を受けて行ったのが「二地域居住の実態把握」調査のプロジェクトです。

地方の労働力減少や地域間の労働力偏在が加速する中、地方自治体の自立的な発展には、二つの場所に生活の拠点を持ち、デュアルライフとも呼ばれる「二地域居住」や移住を進めることが重要だといわれています。この考え方を基に国土交通省では、ライフスタイル普及のための情報発信等を行い、地域活性化や「二地域居住」の推進に取り組んできました。しかし、「二地域居住」の実態に関しては、これまで包括的なデータが存在せず把握が困難な状況でした。

こうした状況を背景に、みずほ銀行は国土交通省の委託のもと、銀行データによって定量的な判断・分析を行う「二地域居住の実態把握」調査を実施しました。これまで明らかになってこなかった二地域居住者の実態を把握し、今後の地域活性化施策の基礎情報として活用することで、都市部と地域経済との労働力分配の最適化を行うことを狙いとしています。

みずほ銀行が扱うのは、都市部と地方部にまたがる経済的な行動データであり、二拠点居住者の経済活動の分析にいかすことができるのが強みです。国土交通省とのディスカッションを通じて、みずほ銀行が保有するデータが二地域居住の推進にいかせる可能性が高いこと、そして、データによるまちづくりや社会課題へのアプローチが〈みずほ〉のめざす持続的な地域創生に合致することから、今回の調査実施に至りました。

統計データから様々な視点で分析を実施。調査から見えてきたものとは。

定量調査のデータイメージ

統計データから様々な視点で分析を実施。
調査から見えてきたものとは。

今回の調査では、定量調査とインタビューによる定性調査の二段階で、二地域居住者の実態の把握を行いました。個人情報保護法を遵守したうえで、個人が特定されない統計情報として分析し、厳重な情報の取り扱いを行っています。

定量調査では、「都市部を主軸として、地域に関わりを持つ二地域に拠点を有する」特徴データを持つグループに着目。みずほ銀行が保有する統計データから、地域ごとの「就業」や「滞在期間」に関する特性を分析しました。

分析から分かったのは、二地域居住を実現するには一定以上の収入が必要となる一方で、その収入は地方で就業することによって補完される傾向があるということです。この相互関係が、継続的な二地域居住を促すための重要な要素であることが推測されます。また、主要拠点や就業している業種等、地域ごとにターゲットとなる二地域居住者の属性が異なることも判明。これらターゲットの違いから、二地域居住者を呼び込むための戦略に画一性はなく、各地域が「誰をどこから呼び込むか」を自律的に検討する必要があることが分かりました。

定性調査では、副業プラットフォームを運営する企業の協力のもと、定量調査で得られた特定の属性に該当するインタビュー対象を選定。二地域居住と地方就業の相互関係や、地方との関わりを深めるまでのプロセス、地方での良好な就業事例を把握するためのインタビューを行いました。

これらのインタビューから、二地域居住を始めるきっかけは、「居住先行型」と「就労先行型」の二つに大別でき、いずれも地域での複業※が二地域居住の継続に極めて重要な役割を果たしているという共通点があることが明らかに。一方で、共通の課題として、主に移動費等の経済的負担があり、初期投資や固定費を抑えられるサブスクリプション型の居住形態や、行政による交通費・固定費支援のニーズが高くあることも分かりました。

※地方部を主としている就業者や、複数の業をかけ持つ対象もいたことから、「複業」と表現

金融データで、地域の未来を支える。〈みずほ〉が形作るEBPMのこれから。

金融データで、地域の未来を支える。
〈みずほ〉が形作るEBPMのこれから。

今回の定量・定性調査を通じて、複数世帯については特に高収入層が二地域居住をする傾向があり、光熱水費、移動費等の支出も高いことが判明しました。同時に、地方で複業を行うことで、都市部のみで就業するより高い収入を得られることが定量的に示される結果に。また、地域との経済交流等、二地域居住者の地域経済への貢献についても改めて明らかになり、二地域居住を推進していくにあたってのハードル、メリットの両面から有用な知見を得ることができました。
さらに分析からは、二地域居住者の層を拡げるうえで「年収が高くなくとも身軽に拠点を持てる単身者にどのように地域に来てもらうか」や「冬期の光熱費の負担が大きく、滞在期間が短くなる傾向の寒冷地への居住対策をどうするか」、「労働者の業種とエリアのマッチングをいかに進めるか」等、地域ごとの特性に合わせたターゲット選定と戦略策定を進めて、実効性高く労働力を呼び込むことが重要だということがうかがえました。

今回の調査は、みずほ銀行が地域とのつながりの中で長年培った銀行データの知見・ノウハウを地域創生に活用した先進的な試みです。二地域居住者の属性や特徴、各地域における職業の分布等、これまで実態として見えてこなかった新たなインサイトの可視化と分析の成功は、銀行データ活用の新しい可能性を示したと言えるでしょう。

前例のない取り組みだったため、試行錯誤しながらの進行でしたが国土交通省からは調査の成果や今後への期待等、ポジティブなコメントをいただいており、以下でご紹介します。

~~国土交通省ご担当者さまコメント~~

地域の労働力減少は、持続可能性に直結する重要な課題です。その解決策の一つとして、二地域居住の推進は非常に大きな可能性を秘めています。異なる地域をつなぐ新しいライフスタイルを広げることで、地域への関与や多様な働き方の実現が期待されます。
一方で、EBPMの観点からも、定量的なデータに基づく施策設計が求められる中で、これまで二地域居住の実態を包括的かつ定量的に把握することは困難でした。今回、みずほ銀行の金融データを活用した調査は、こうした課題を補う取り組みであり、特に、地域金融機関などの地域の主体の有する定量的・定性的なデータと組み合わせて、より精緻な二地域居住の実態把握とそれに基づく施策展開の基礎となり得る、非常に意義深いものと考えています。
今後は、こうしたデータに基づき、地域特性に応じた戦略を官民が連携して推進されていくこととなり、ひいては、単なる居住形態の変化にとどまらず、労働形態の柔軟化も含めた地方創生の新しいモデルとなる二地域居住が幅広く展開していくことを強く期待しています。

〈みずほ〉では、今回の調査結果をさらに進化させるために、自治体をはじめ、様々な地域の産官学のステークホルダーと協力し、特定の地域や業種に焦点を当てた詳細な調査や、より具体的な施策の展開に貢献します。
そのためにも、企業や他の金融機関との幅広いアライアンス構築は欠かせません。
これらを基に、データを起点として地域活性化を後押しし、地方と都市部の新たな労働力の関係性の解明や、デュアルライフや地域との労働力シェアをはじめとした、新たな取り組みにつなげていきたいと考えています。

社会課題の本質的な解決をめざす“地方創生×金融ビッグデータ”への挑戦。これからも〈みずほ〉は、社会をよりよくするEBPMの取り組みを推進し、施策の成功を確実なものとするデータを持つ強力なパートナーとして、地域経済に寄り添い、伴走していきます。

文・写真/みずほDX編集部

「二地域居住の実態調査」に関するお問合せはこちら

みずほ銀行
リテール・デジタル業務部

contact.mizuhobd@mizuho-bk.co.jp

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