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ともに創る、データの新たな価値。〈みずほ〉発、シビックテック担当者にインタビュー。

ともに創る、データの新たな価値。
〈みずほ〉発、シビックテック担当者にインタビュー。

OVERVIEW

みずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズ(以下「みずほRT」)は、国内最大のシビックテック非営利団体である一般社団法人コード・フォー・ジャパン(以下「CfJ」)と連携し、東京都の委託を受け、「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」や「オープンデータの利活用サービス事例等に対するデータ拡充・整備支援」に、運営事務局として参画しています。国内の大手金融機関がシビックテックに関わるケースはまだ少ない中、〈みずほ〉が取り組みを進めている理由とは。CfJとの連携の背景や舞台裏について、プロジェクトメンバーに話を聞きました。

INDEX

  1. 1
    テクノロジーを活用して、社会課題の解決を。
  2. 2
    日本のシビックテックの現在地。
  3. 3
    〈みずほ〉ならではのシビックテックを追求。
  4. 4
    ネットワークをいかして、全国展開をめざす。

テクノロジーを活用して、社会課題の解決を。
〈みずほ〉が着目する「シビックテック」とは。

近年、少子高齢化や資源供給の制限といった構造的な課題が深刻化し、国や自治体のみではこれらの課題を十分に解決しきれない状況が続く中、市民が主体となってテクノロジーを活用して社会課題の解決に取り組む「シビックテック」が盛り上がりを見せています。

「ともに挑む。ともに実る。」というパーパスのもと、お客さまや社会への貢献を進めてきた〈みずほ〉も、このシビックテックに着目。〈みずほ〉の金融における知見やノウハウ、ネットワーク、技術力でシビックテックに寄与する取り組みを進めており、現在は国内最大の推進団体であるCfJと連携し、東京都が主催する「都知事杯オープンデータ・ハッカソン(以下「都知事杯ハッカソン」)」や「オープンデータの利活用サービス事例等に対するデータ拡充・整備支援(以下「オープンデータ拡充・整備支援」)」事業を受託・運営※しています。

「都知事杯ハッカソン」は、東京都のオープンデータを活用して、行政課題の解決に向けたデジタルサービスを企画・開発するイベントで、今年の参加者は約1,300人に上り、130以上のアイデアが提案されました。もう一方の「オープンデータ拡充・整備支援」事業は、オープンデータによる社会課題解決の「下支え」として、自治体が公開するオープンデータを拡充・整備していく取り組みです。東京都内の各地域にコネクションを持つみずほ銀行がCfJと連携し62の区市町村に対してデータ提供の呼びかけを支援しました。

今回、ともに取り組みを進めてきたCfJの陣内一樹氏、石塚清香氏、みずほ銀行の甲斐敬輔、羽田裕哉、隈本裕二、みずほRTの佐々木敬にインタビューを実施。アライアンス構築の背景から現場でのエピソードまで幅広く話を聞きました。

※「都知事杯オープンデータ・ハッカソン2025の企画運営業務委託」をみずほリサーチ&テクノロジーズが受託、「令和7年度オープンデータの利活用サービス事例等に対するデータ拡充・整備支援委託」をみずほ銀行が受託。

なぜ今、社会に強く求められているのか。日本のシビックテックの現在地。

左から陣内 一樹氏、石塚 清香氏(CfJ)

なぜ今、社会に強く求められているのか。
日本のシビックテックの現在地。

─CfJのお二人の経歴と、「都知事杯ハッカソン」での役割について教えてください。

陣内氏:CfJの副代表理事として団体全体のマネジメントと大規模プロジェクトの統括、オンライン・オフライン双方のコミュニティ運営を担っています。2024年度からは、〈みずほ〉とともに「都知事杯ハッカソン」を運営・支援※しています。

※「都知事杯オープンデータ・ハッカソン2024の企画運営業務委託」を一般社団法人コード・フォー・ジャパンが受託

石塚氏:CfJの「GovTech(テクノロジーを行政サービスに活用する取り組み)」チームに所属し、各地で自治体のDX支援や人材育成研修を手がける他、国の地域情報化アドバイザーや各種検討会委員等も務めています。「都知事杯ハッカソン」では、参加者からの技術的・制度的な相談に答える役割を担っています。

─シビックテックが今、社会に求められているのはなぜでしょうか?

石塚氏:「自分たちで現状を変えていきたい」と思う人が増えてきたからではないでしょうか。様々な課題を抱える現代の日本社会においては、行政だけでなく、市民も自ら手を動かし、地域の課題解決に関わっていくことが重要だと考えます。CfJは2013年の設立以来、「ともに考え、ともにつくる。」という理念を掲げ、行政・市民・企業が協働する仕組みづくりを進めてきましたが、ここ数年は、我々のように、市民が主体性を持って意思決定を行う「民主的ガバナンス」の理念が強く求められている感覚があります。

陣内氏:石塚さんが言われるように、実際に政治の領域でも、関心を持つ若い層を中心に「デジタル民主主義」の概念が広がっていて、インターネットやAI等のデジタル技術を活用して、市民が政治や政策決定に直接参加していく仕組み作りが加速しつつあります。一方でシビックテックは災害が起こった際に注目されることも多く、コロナ禍に開発した東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」をきっかけに、CfJのチャットツールコミュニティには8,000人規模という非常に多くの参加者が集まりました。一方、参加者の“継続性”には課題があります。災害時のみでなく、日常に戻っても“継続して手を動かせる人”を増やすのは簡単ではなく、平時からコミュニティを支える基盤が必要だと感じています。

─〈みずほ〉と連携することで、それらの“継続性”に変化はありましたか?

陣内氏:「都知事杯ハッカソン」の参加者層が広がったことは大きな変化ですね。〈みずほ〉のアライアンス力をいかすことで、私たちが普段リーチしにくい企業の事業開発担当者の方が参加してくれました。また、オープンデータと社内課題をかけ合わせるといった新しい動きが出てきたのは、質の高い連携ができた証拠だと思います。これがビジネスとしても回っていけば、更なる継続性につながりますし、データ活用のエコシステムを広げていく力になると感じています。

地域との関わりの深い〈みずほ〉だからこそ実現できるシビックテックを追求。

左から佐々木 敬(みずほRT)、羽田 裕哉、隈本 裕二、甲斐 敬輔(みずほ銀行)

地域との関わりの深い〈みずほ〉だからこそ実現できるシビックテックを追求。

─〈みずほ〉の皆さんの普段の業務内容と、シビックテック案件での役割について教えてください。

甲斐:みずほ銀行のリテール・デジタル業務部ビジネスディベロップメントチームに所属しています。非金融領域を含めたマーケティング支援や新規ビジネスの構想から実行まで一気通貫で担っており、「都知事杯ハッカソン」では、CfJさんとともに全体ディレクションを担当しました。

羽田:普段の業務内容は、甲斐さんに説明いただいた内容とほぼ同じですが、今回の取り組みではハッカソンの他に、東京都の「オープンデータ拡充・整備支援」事業を担当しています。こちらの事業でも技術面をCfJさんにサポートいただき、オープンデータ活用の土台を作るべく、区市町村からのデータ収集に取り組んでいます。

隈本:私は、みずほ銀行の社会・産業基盤第一部で営業を担当しており、みずほ銀行の窓口として、都が抱える課題を運営サイドに共有する橋渡し的な役割を担っています。

佐々木:みずほRTのデジタルコンサルティング部に所属し、産官学の関係者を巻込み、デジタル技術や先端テクノロジーを用いて、社会課題をイノベーションにより解決を図る取り組みを進める中で、スタートアップと連携したイノベーティブな新規ビジネスの創出にも力を入れています。「都知事杯ハッカソン」では、全体のプロジェクトマネジメントを担い、東京都との調整やみずほRTのネットワークを活用しての集客等に携わっています。

─〈みずほ〉がシビックテックに取り組む背景を教えてください。

甲斐:銀行法改正に伴い、銀行にも非金融領域での新しい価値提供が求められ、〈みずほ〉は2020年頃から企業や官公庁・自治体に向けて金融ビッグデータを提供する取り組みをスタートしました。その過程で重要だと感じたのが「データ活用の手前にある土台づくり」です。ビジネスとしての価値を生み出すためには、オープンデータの整備や活用を通じて、まずは私たちがデータを上手く扱える文化を作ることが必要だと考え、市民主体のボトムアップ型でサービス開発を行うシビックテックに着目しました。

羽田:その流れで、CfJさんにお声がけをさせていただいた次第です。全国に支店を持つ銀行だからこそ、地域の課題に寄り添う意義がありますし、CfJさんの「ともに考え、ともにつくる。」と、〈みずほ〉の「ともに挑む。ともに実る。」という理念は、言葉の近さもありますが、思いの部分でもつながりの強さを感じています。

─〈みずほ〉とハッカソン運営を行う中で、CfJさんが印象的に感じたエピソードを教えてください。

陣内氏:今年の「都知事杯ハッカソン」では「行政課題」をテーマに、多摩動物公園、神代植物公園といった公共施設でフィールドワークを行ったのですが、これが実現できたのは自治体との関わりの深い〈みずほ〉ならではだと思います。

石塚氏:本当にそう思います。ハッカソンではアイデアが画一的になってしまいがちなのですが、今回、現場の事情を踏まえた多様なアイデアが生まれていた点はとても印象的でした。

取り組みの全国展開をめざして。〈みずほ〉発、シビックテックのこれから。

取り組みの全国展開をめざして。
〈みずほ〉発、シビックテックのこれから。

─今回のシビックテックに関する取り組みは、〈みずほ〉のお客さまに何をもたらすと考えますか?

甲斐:まず挙げられるのは、「先進事例としての横展開」です。今回、「都知事杯ハッカソン」を通して、データ利活用における大きな事例の一つを創出することができました。また、「オープンデータ拡充・整備支援」によって様々な領域のデータ整備に携わらせていただいたことで、都内の他の区市町村や全国の自治体に対しても、〈みずほ〉の支店ネットワーク×CfJのコミュニティで新たな支援の提案ができるようになりました。

羽田:甲斐さんのおっしゃる通りですね。法人のお客さまからの「自社データをどう活用していいか分からない」という相談に、これまでは主に金融データとのかけ合わせを提案してきましたが、今後はオープンデータや「オープンデータ拡充・整備支援」を通じて新たに整備されたデータも組み合わせて、より多様な価値提案が可能になると考えています。

─今回の〈みずほ〉とCfJとの連携を通して、どんな可能性が感じられましたか?今後の展望についてそれぞれ教えてください。

陣内氏:これからの社会ではボランタリーな活動とビジネスの境界がますます曖昧になっていくと考えます。行政がデータを出すだけでは解決できない課題に対して、民間企業の資源やノウハウをどう組み込んでいくかが重要です。他の企業との関係性を広く持つ〈みずほ〉がそのハブとして機能することで、行政・企業・市民をつなぐ新たなコラボレーションの可能性が広がることを期待しています。

石塚氏:10年以上オープンデータ推進に関わってきましたが、まだまだ多くの人にとっては親しみのないもので、粘り強く「データでこんなことができる」という実例を示していく必要性を感じています。今回の取り組みが“起爆剤”となって、少しでも多くの人の理解促進につながってくれると嬉しいです。

甲斐:全国の行政、大学、研究機関・企業との接点がある〈みずほ〉と、全国のシビックテック・コミュニティとつながるCfJが連携することで、東京都以外にも、地域ごとの課題に応じた取り組みを展開していく余地は大きいはずです。
非金融領域の取り組みを通じて、社会にどう寄り添い、新たな価値を生み出すか。いま銀行に問われていることですが、シビックテックはその具体的な答えの一つになりうるものです。今回の手応えを起点に、より社会課題へのアプローチの幅を広げていきたいと思います。

羽田:シビックテックの最終的な目的は、社会課題の解決です。「オープンデータ拡充・整備支援」担当として、サービス提供側・自治体側双方に存在するハードルをトータルにサポートし、データが揃っただけで終わりではなく、サービスが普及して社会課題が実際に解決されるところまで一気通貫で支援できる体制を広げていけたらと思います。

隈本:羽田さんがおっしゃったように、社会課題が解決される事例が生まれた時が、この取り組みをやってよかったと心から思える瞬間だと思います。行政担当として、その時を少しでも早く迎えるべく、関係各所とのリレーション構築に邁進できればと思います。

佐々木:多様化する社会課題やお客さまの課題に対して、シビックテックやオープンデータ、データ活用の知見を持っていることがコンサルティングの強みになると考えます。この知見をいかして、今後様々な課題に対してより広い選択肢を提示し、事業創出から社会実装、そしてその先の社会課題解決まで伴走していきたいです。

このように取り組みを通じて連携が始まった〈みずほ〉とCfJですが、11月29日に行われた、CfJ主催のシビックテックイベント「Code for Japan Summit 2025」では、みずほ銀行による協賛の他、イベントのラストを飾るライトニング・トークに甲斐も登壇しました。
イベントで甲斐は、みずほ銀行が持つ銀行データの具体的な活用事例を紹介。シビックテックに対して銀行がどのように貢献し、協業できるかについて語り、その言葉の節に今回の連携で培ったCfJへの深い信頼感もにじませました。

行政や企業が持つデータと一人ひとりの「現状を変えたい」という熱意。どちらも社会課題の解決に不可欠であることが、インタビューを通して伝わってきました。
今回のプロジェクトでは、それらが組み合わさることで生まれる価値が示されました。そしてその価値は、東京のみならず、日本全国に広がる可能性を秘めています。“データが灯す未来”を、行政・企業・市民がともに作る時代へ。〈みずほ〉とCfJの挑戦はまだ始まったばかりです。

PROFILE

甲斐 敬輔の画像

みずほ銀行
リテール・デジタル業務部
ディレクター

甲斐 敬輔

2022年キャリア採用でみずほ銀行入行。大手コンサルファーム等にて、パブリック領域における産業振興、地方創生、官民連携、財務・資産評価、知財活用、キャッシュレス、オリパラといった各種調査、戦略策定、伴走・実装支援等を幅広く担当。現職にて当行の金融データ利活用サービスの統括として新規事業開発に従事。

羽田 裕哉の画像

みずほ銀行
リテール・デジタル業務部
マネジャー

羽田 裕哉

2023年キャリア採用でみずほ銀行入行。金融系SIerでの新規事業開発、広告代理店でのマーケティング支援等の経験を経て2023年より現職。東京都のオープンデータ活用支援に加え、民間企業のデータと〈みずほ〉の金融データを掛け合わせたマーケティング支援等に幅広く従事。

隈本 裕二の画像

みずほ銀行
社会・産業基盤第一部

隈本 裕二

2008年みずほ銀行入行。証券部やみずほ信託銀行の大企業営業等を経て2024年8月より現職。東京都デジタルサービス局をはじめ、政策企画局、産業労働局、スタートアップ戦略推進本部等を担当。

佐々木 敬の画像

みずほリサーチ&テクノロジーズ
デジタルコンサルティング部

佐々木 敬

2023年にキャリア採用でみずほリサーチ&テクノロジーズに入社。2016年より大手Slerでシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、エネルギー自由化に伴うシステム改修や、ドローン・AI技術を活用した新規事業の企画・立ち上げに携わる。現在は、製造・小売・不動産の新規事業創出支援や自治体向けスマートシティ推進を主導するほか、産官学連携のMaaS事業に参画する等、多岐にわたる領域で事業開発・DX支援を推進中。

陣内 一樹 氏の画像

一般社団法人コード・フォー・ジャパン
副代表理事

陣内 一樹 氏

NECにて大手キャリア向けシステム開発の事業部の事業計画に従事。2013年から2015年まで福島県浪江町役場に出向し、町民向けアプリを開発。2017年からCode for Japanにて、中小企業庁とのアジャイル開発や東京都コロナウイルス対策サイトの運営の他、コミュニティ運営等を幅広く担当。

石塚 清香 氏の画像

一般社団法人コード・フォー・ジャパン
Govtech 推進コンサルタント

石塚 清香 氏

横浜市役所で25年に渡りICT関連の部署を歴任し、パーソナライズ型子育てポータルのほか、防災、行政手続オンライン化等でメディアに取り上げられるプロダクトを複数手掛ける。現在は自治体におけるDX支援および人材育成研修等を担当。

※所属、肩書きは取材当時のものです。

文・写真/みずほDX編集部

「シビックテック」に関するお問合せはこちら

みずほ銀行
リテール・デジタル業務部

contact.mizuhofb@mizuho-bk.co.jp

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