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〈みずほ〉生まれのAIシステム!? 正確さと素早さで、国債の電子取引を、もっと支えていくために。

〈みずほ〉生まれのAIシステム!? 正確さと素早さで、
国債の電子取引を、もっと支えていくために。

〈みずほ〉生まれのAIシステム!? 正確さと素早さで、国債の電子取引を、もっと支えていくために。

トレーダーの勘や経験が頼りだった国債取引を、AIで変える!

最近さまざまな業界でAI(人工知能)の導入が進んでいて、AIによる投資やAIを使ったトレードなど新しいサービスが広がりを見せていますよね。もちろん〈みずほ〉でも金融の領域でAIの開発や実用化が進んでいて、今回ご紹介するのは、みずほ証券が開発した、国債の電子取引に人工知能を活用した新システム「ALPHA(アルファ)」です。大きな特長は、トレーダーに対して、お客さまによりよいレートを提示するためのアドバイスをリアルタイムに行えること。これまでは、トレーダーが一つ一つの注文に対して個別に、できる限り正確なレートを提示するという作業を行っていました。でも、数秒という時間制限がある中で同じタイミングで大量の注文が来るとトレーダーの余裕がなくなってしまうことも…。そして何より、こうしたトレーダーの作業は、一人ひとりのトレーダーの勘や経験といった目に見えない部分に頼っていました。ここにAIのサポートを加えて、より精緻なレートをより速く、より多く提示できるようにしようと開発されたのがALPHAです。AI投資やAIトレーダーなどAI活用への注目が高まる中、国債と人工知能というこれまでになかったイノベーティブな組み合わせは、業界に大きなインパクトを与えました。

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お客さまにいちばん良い価格提示をするために、
215種類もの情報をリアルタイムで分析!?

もともと〈みずほ〉では、国債の電子取引の増加に対応するため、2019年に一部の注文に対して自動的にレートを提示する「Tangoro」というシステムの運用を開始しました。このシステムにより、「より速く、より多く」という量に対する対応はできるようになりましたが、お客さまへの提示レートをより良くしたり、約定後のヘッジを最適化したりするといった質に対する課題は残されたままでした。「ALPHA」はその解決をめざして開発されました。

ALPHAはAIが過去の取引や市場環境などを分析し、それぞれの取引のマーケットインパクトやヘッジ手法をトレーダーに対してアドバイスするシステムです。その仕組みですが、ALPHAはお客さまから注文が来るたびに、リアルタイムに様々な情報を取得します。

例えば、どの銘柄をどれくらい買うか、といった引き合い情報。その引き合いを行ったお客さまの過去の取引に関する情報。日銀の買入オペや財務省の国債入札に関するイベント情報。金利水準やリスク値などに関する銘柄情報など。リアルタイムに分析する情報の数は、全部で215種類に及びます。そして、機械学習を使って、数分から数十分後の相場の変化を予想するのです。

この予想をもとに、ALPHAは二つのアドバイスをトレーダーにします。一つ目はその取引に対する提示レートを良くしたほうがいいのか、二つ目はリスクをコントロールするためのヘッジ取引に何を使えばよいのかです。こうした、これまで人間が考えていたことをALPHAが教えてくれるようになりました。しかも、引き合いが来てから、アドバイスまで約0.2秒のスピードです。ALPHAが導き出したアドバイスを、お客さまの引き合いに活かすかどうかはトレーダーが判断しますが、急にたくさんの引き合いが来て思考が追いつかなくなったとき、難しい取引で自分のオペレーションに自信が持てない時などに威力を発揮し、いわばトレーダーの背中を押すパートナーのような存在として役立っています。

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リリースまで、わずか9ヵ月!
〈みずほ〉の社員だけで開発に挑んだ背景とは?

ALPHAは開発や運用を社内で行っていて、「100%社内開発」で実現したAIシステムです。そうしたのには理由があって、構想段階でこういった目的のシステムがそもそも実現可能なのか確信を持てなかったことや、システムの仕様も市場の変化やトレーダーの要望に合わせて頻繁に変わることが予想できたため、外注が難しかったのです。そこで、すべて社内で開発しようと考え、機械学習モデル構築のエキスパートやプログラム開発、システム運用の専門家など、各分野のプロフェッショナルが集結しました。また、システムは「使い手」にとっての使いやすさも重要になります。ALPHAの場合、実際のユーザーは国債電子取引のトレーダーです。そこで、社内で開発に加わってくれるトレーダーはいないかと持ちかけ、手を挙げてくれたトレーダーも加えた、オール社内メンバーによって開発されました。企画からデータ分析、モデルの作成、プログラム開発、サーバー運用、そして画面のどこに何が表示されたら見やすいかなど、さまざまな面からトレーダーと意見交換を行いながら開発が進められました。ALPHAの企画を立てたのが2021年4月。7月にはメンバー全員が揃い、12月には運用を開始。企画からわずか9ヵ月間でリリースできた背景には、100%社内開発であったこと、そしてそれを実現できるだけの人材が社内にいたという〈みずほ〉の底力があったのです。

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何が起こるか分からない時代だからこそ、
改善しつづけることを忘れない。

ALPHAはリリース以降、順調に動き続けていましたが、ウクライナ戦争や世界的なインフレなどが起こり、それまで変動の少なかった国債市場も大きな変化に見舞われました。こうした、ALPHAが学習していない事態に対応するために、「トレーダーならやらないこと」をさせないためのルールをシステムに追加したり、予想外のことが起きた場合、リスクの高いアドバイスをさせないようにしたりなど、改善がつづいています。さらに、できる限り最新の状況を学習させようと、現在も約2週間に1回のペースでAIモデルの更新がされています。日々移り変わる情勢に合わせてスピーディーにアップデートを繰り替えしていく、これも社内開発だからできる大きなメリットの一つです。

金融の進化に必要なものが世の中に無かったら、自分たちでつくってしまおう──。

ALPHAは、そんなチャレンジ精神の結晶です。目指す金融の未来に向かって〈みずほ〉ならではの挑戦への姿勢を忘れず、それを支える人材力やチーム力で新しい価値をこれからも生み出していきます。

文・写真/みずほDX編集部

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