生成AIの活用で、監査業務プロセスの変革に挑む。
Blue Labとみずほ銀行が開発中の「AiHawk Filter」。
2024年11月27日
- BLBlue Lab
Blue Labはみずほ銀行と協働し、生成AIを活用してメールの事後監査や各種リスクチェックを自動化・効率化するソリューション「AiHawk Filter」の開発を進めています。
「AiHawk Filter」は「監査業務の労力を軽減し、より創造的な業務に集中できるようにすることで組織を活気づける」ことをミッションに、これまで社員の目視や手作業に依存し、膨大な労力が掛かっていた監査業務をAIがサポートするツールです。具体的には膨大な監査対象データから不正事例の兆候等、検知条件を設定することで目視で見るべきデータをAIが選定し、社員の負担軽減につなげます。また、「AiHawk Filter」は、既存の大規模言語モデルを基に作られているため、一般的なAIツールと比べて教師データを必要とせず、独自のプロンプトとシステムの併用(特許出願中)により、インプットデータを高い精度で分析することができます。さらにプロンプトの調整等、最小限のカスタマイズで様々なユースケースに対応することも可能です。
本来このような監査業務は、金融機関の信頼を根底から支える重要な業務であり、変革が困難だとされてきましたが、〈みずほ〉の新規事業開発を推進する組織であるBlue Labが主体となり、新たな変化やこれまでにない常識を生み出す挑戦を行なっています。
取り組みのポイント
- Blue Labとみずほ銀行が協働し、大量のデータの監査・モニタリング業務を自動化・効率化する、生成AIを活用したソリューションを開発中。
- 独自のプロンプトとシステムの併用(特許出願中)により、教師データ不要で利用可能。
- 開発は全てBlue Labで内製化しており、最小限のカスタマイズで幅広いユースケースに対応できる。
- みずほ銀行でPoCを行った結果、96%以上の削減率をマークする非常に高い評価を得ており、実利用も前向きに検討中。
- 今後は音声や添付ファイル等、多様な監査・モニタリング業務に対応させることで、他金融機関・官公庁等、多くのお客さまへの展開もめざす。
担当者コメント
人にしかできないことに、もっと時間を注げる。
そんな、活気に満ちた世界を作りたい。
このソリューションを着想したのは、銀行や保険等、金融機関出身のBlue Labメンバーとの会話を通じて、「金融機関の監査やモニタリング業務に多大な労力を費やしている」という問題への気づきがきっかけでした。さらに他の金融機関へのヒアリングを重ねていくと、肉体的な負担だけでなく、単調な確認作業の繰り返しや、リスクを見逃せないというプレッシャーからくる精神的な疲労も、同様に大きいことが分かってきました。そこで、「監査業務の労力を軽減し、より創造的な業務に時間を注げるようにすることで、組織を活気づけたい」と考えるようになり、「AiHawk Filter」のアイデアへとつながっていきました。
本格的に開発をスタートしたのは、2023年の秋頃です。当初は、従来の機械学習や初期の大規模言語モデルの活用を試みましたが、期待する分析精度を達成するのは困難でした。また、実際の業務フローへの組み込みを検証してみると、既存プロセスとの兼ね合いで想定していたほどの効果が得られないことが分かり、改めてユースケースを洗い出し、実現可能性の高いシナリオの特定・検証を繰り返す等、試行錯誤を続けました。
2024年に入ると、大規模言語モデルの性能が飛躍的に向上し、技術的なハードルが次々と解消されていきました。プロトタイプも完成し、みずほ銀行と協働しながら実データを用いたPoC(実証実験)を実施したところ、96%以上の削減率をマークする非常に高い評価を得るとともに、本番環境での利用も前向きに検討中です。現在は〈みずほ〉以外の金融機関や事業会社等の問い合わせも増えきており、これからも各社・各部署が抱える課題にしっかりと寄り添い、より多くの人に使っていただけるソリューションへと育てていきたいと考えています。
Blue Lab
(みずほフィナンシャルグループ デジタルイノベーション部)
吉野 大輝
※所属、肩書きは取材当時のものです。
文・写真/みずほDX編集部
「AiHawk Filter」についてのお問い合わせはこちら