社員発の新規事業創出をめざす「みずほGCEOチャレンジ」。経営トップである木原GCEO(グループ・チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)に、社員自らアイデアを披露するピッチイベントを通過すると、事業化に向けた予算の割り当てや異動など、手厚い後押しがあるそう。私、黒島結菜がインタビューに伺いました。通過者たちはどんな想いでこのピッチイベントに挑んだのでしょうか?また、このピッチイベントの企画・運営を手掛ける梅宮CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)に、「みずほGCEOチャレンジ」にかける想いや〈みずほ〉のこれからについてもお話いただきました。
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―みんなが意見を言いやすい環境を作ると、見えてこなかったものが見えてくる。俳優の仕事をしていて、お芝居をより良いものにするために自分の意見や考えを口に出すのはとても大事なことだと実感しています。そんな風に「自分の考えを伝えることの大切さ」について考えているときに、〈みずほ〉では「みずほGCEOチャレンジ」というピッチイベントが盛り上がっていると知りました。社員の皆さんはどのような想いで、新規事業の立ち上げに挑んだのでしょうか?
2023年3月に行われた「みずほGCEOチャレンジ」では、一体どんなアイデアが〈みずほ〉の経営層に評価されたのでしょうか?アイデアが通過して、新規事業化の本格検討まで進んだ2チームにお話を伺いました。
一つ目のアイデア「Pochette(ポシェット)」は、親子で楽しみながらお金について学べるアプリ。発起人である小原さんは、働きながら子育てをする〈みずほ〉社員が多いことに着目。日々忙しく仕事と育児を両立する人たちの力になりたいという想いからこのプロジェクトを立ち上げました。「銀行の空きスペースを活用した学童保育事業からスタートしましたが、リアルでの実施は人・場所ともにリソースの面で限りがあります。そこで、コロナ禍を経てオンラインで学べる金融アプリへと方向転換をしました」と小原さんが教えてくれました。保育士資格を持つ新倉さんは、社内報でこの取り組みについて知り、自分も力になりたいと参加を申し出たそうです。そこに、エンターテインメント企業の担当として、お客さまに金融教育のアプリを提案しようとしていた山浦さんが加わって、今のチームになったそう。
奥の3名、左から「Pochette(ポシェット)」プロジェクトの小原、新倉、山浦
最初は通常の業務をこなしながら新規事業に取り組んでいたそうですが、普段の仕事を続けながら、新しいことに挑戦するのはかなり大変だったのではないでしょうか?
「パートナー企業がなかなか見つからないなど、長引くスランプにもう止めようかと悩んだ時期もありました。そんなときに上司や同僚たちが応援してくれました。皆さん、挑戦することの大切さや難しさをよく理解してくれて、色々サポートをしてくれました。持続的な金融教育の提供には、利益を出し続けなければいけないということで、現在ビジネスモデルのブラッシュアップに四苦八苦していますが、このプロジェクトを通して様々な局面で“続けること”の難しさを実感しました」。3人のお話を聞いていると、アプリ誕生の背景には一冊の本を書けるくらい(!)たくさん大変なことがあったようです。でも、これまでのエピソードを振り返る小原さんたちの表情はどこか楽しそうで、私も思わず笑顔になりました。
もう一つの通過アイデア「会えるんです」は、会いたい企業のキーパーソンに会えるビジネスマッチングサービス。発案者の奈良さんは約9年間の営業活動を通じて、中堅・中小企業がビジネスパートナー探しに難航する様子を数多く目の当たりにしてきたそう。どのような想いでこのプロジェクトを立ち上げたのでしょうか?
「〈みずほ〉のネットワークを駆使することで、お客さまの課題を解決できるのではないかと考えました。新しいビジネスが生まれるきっかけを作りたいという想いで挑戦しましたが、これまで培った社内外の関係性や周囲の協力がなければこのアイデアは成立しなかったと思います。本業と並行して新規事業を進めるのは大変でしたが、『みずほGCEOチャレンジ』を通過したことで専門部署へと異動になり、全力で取り組めるようになりました。ただ、事業化への道はまだまだ始まったばかりで、これからが正念場です」。長い間、お客さまと真剣に向き合ってきた奈良さんならではのアイデアなのですね。私もここから多くのビジネスが生まれていくと良いなと思っています。
2つのチームからお話を伺って、特に印象的だったのが、困った時は必ず助けてくれる人が現れるということ。社員同士のつながりや、協力し合う姿勢はとても素敵だなと感じました。
「会えるんです」プロジェクトの奈良
通過者の新規事業アイデアを聞くうちに、〈みずほ〉がどのような狙いで「みずほGCEOチャレンジ」を行なっているのかを知りたくなった私は、梅宮CDOのもとを訪問。このピッチイベントにかける想いを伺いました。
「これほどに変化の激しい時代だからこそ、私たち経営層は社員やお客さまと一緒に色々なことに挑戦して、一人ひとりが組織や世の中を良くすることを自分ごと化して考える必要があります。また、現場でお客さまやお取引先組織の様々な動きに触れている社員の方が、社会の変化をより機敏に捉えていることも多いはず。トップダウンで社員に会社のビジョンを具現化してもらうのではなく、ボトムアップで様々な声をくみ上げながら、ともに知恵をしぼり、次の〈みずほ〉を築き上げていこうというスタンスでこのピッチイベントを始めました。 そして、これらの考え方は2023年5月に制定した新パーパス『ともに挑む。ともに実る。』(*1)の根底にも流れています」。梅宮CDOは「みずほGCEOチャレンジ」についてそう語ってくれました。
一人ひとりがお客さまや社会が抱える課題に向き合うことで、世の中ひいては〈みずほ〉の未来も良い方向に変えていく。このピッチイベントにはそんな想いがあったのですね。新規事業として選ばれたアイデアは、会社としてどれくらい応援してくれるのでしょうか?「もちろん全力でサポートしますし成功を強く願いますが、一方でそんな簡単なものではないことも理解しています。新規事業が成功する確率は『千件に三つ』と言われるくらい低いので、とにかく挑戦し続けることが大切。また、困難に直面した際に周囲の協力は不可欠です。色々な専門性や視点を持った人がアイデアを持ち寄ったり、議論をしたりすることで〈みずほ〉の中で新しい関係性ができていくことも、この取り組みの価値だと思います」と梅宮CDO。新規事業が上手くいく確率って、そんなに低いんですね!それでも、まずは何かを変えようとすることが大切。アイデア通過者の皆さんが熱意を持って新規事業に取り組むことができる背景には、会社として挑戦を後押しする姿勢がありました。
ワンポイント解説
*1新パーパス「ともに挑む。ともに実る。」…お客さまの挑戦を支え、自らも変革に挑戦しながら、豊かに実る未来を共創していく決意を託した言葉。社員の間でも“自分ごと”として浸透するように、複数回の社員アンケートやワーキンググループによる活動等を通して様々なアイデアを集め、経営層との双方向コミュニケーションから誕生。
「みずほGCEOチャレンジ」が今後、どのような展開を見せるのか、〈みずほ〉がこれからどのようにイノベーション推進をしていくのか、梅宮CDOにさらに詳しく伺ってみました。「同じ組織にいるとどうしても考え方や視野が固定されてしまいがち。現在の『みずほGCEOチャレンジ』は社員限定ピッチイベントですが、今後は外部の方も交えてもう少しオープンに開催できたら、社員の刺激にもなるのではと思います」。
梅宮CDOのおっしゃる通り、外部の人でも自由に意見を言える環境があれば、〈みずほ〉そのものもさらに活性化しそうです。これからの〈みずほ〉について伺うと「『みずほGCEOチャレンジ』を通じて、社内の空気が少しずつ変わってきていると感じています。また〈かなで〉(*2)という新しい人事の枠組みを導入する等、社員一人ひとりの働きがいや働きやすさを追求していますが、そこに『みずほGCEOチャレンジ』を掛け合わせて、〈みずほ〉に誰もが手を挙げて挑戦できるカルチャーを作っていきたい。今の時代、何をするにしてもデジタルの活用は欠かすことのできない視点です。生成AIが大きなインパクトを与えたように、技術を使いこなさないと生き残れないという危機感もあります。メガバンクグループとして、社内はもちろん、お取引先や産業構造も含めて日本全体の非効率的な部分をどう変えていくかが私に課されたミッションです。立場に関係なく発言でき、経営層もそれをしっかりと受け止めて変わっていく。言うは易く行うは難し。だからこそ、私自身が率先して変わって行きたいです」と大きな展望を描いて〈みずほ〉のDX推進に取り組む梅宮CDO。社内に留まらず、日本の社会や経済までも上向きに変えていこうという想いが伝わってきました。
*2〈かなで〉…経営や各ビジネスをリードする人材の戦略的な育成、ビジネス戦略に応じた機動的な人材配置等を実現していくことを目的とした、新しい人事枠組み。社員が強みや持ち味を発揮し、心身ともに活力に満ち、成長に喜びを感じられるように、一人ひとりに向き合い、人事を大胆に見直していく。
皆さんが生き生きと働く背景には、発言しやすい環境と、挑戦を後押しする独自の風土がありました。時代のスピードを先取りして変化し続ける〈みずほ〉のこれからに期待です!
PROFILE
株式会社みずほフィナンシャルグループ取締役 兼 執行役副社長(代表執行役) グループCDO
梅宮 真
2017年にグループCFOに就任し、財務戦略、財務・税務、IRを統括。2022年にはCFOに加え、デジタル・イノベーション分野も統括し、2023年からはCDOとしてデジタル戦略を担当。新規事業開発のBlue Labの代表取締役社長も務める。他にみずほ銀行 副頭取執行役員 / みずほ信託銀行 副社長執行役員を兼務。
株式会社みずほ銀行個人業務部
小原 綾子
2007年にみずほ銀行に入行。国際営業部や直投支援部にて、日本企業の海外進出を多数支援。国際戦略情報部ではミャンマー・ヤンゴン支店立ち上げ支援等に携わる。2017年より外為営業部で営業及びデータ分析業務に携わり、2023年3月「みずほGCEOチャレンジ」に通過。同年5月より現職。
新倉 康幸
2006年にみずほ信託銀行に入行。みずほ信託銀行で確定給付年金の資産運用/管理、みずほ銀行で確定拠出年金の制度運用/設計にかかる事務・システム企画業務に従事。営業店・本部へ新規システムを導入する等、社内DXを推進。2023年3月「みずほGCEOチャレンジ」に通過し、同年5月より現職。
株式会社みずほ銀行コーポレート&インベストメントバンキング業務部 価値共創チーム
山浦 康二
2008年にみずほ銀行に入行。京都での法人営業を担当後、ビジネスソリューション部、産業調査部、営業第十八部(現情報通信・リテール第二部)を経て、2020年より現職。現在は2023年4月に発足した価値共創チームにて、お客さまの社会課題への対応や新規需要の創出、新たな事業モデル実現への挑戦を支援。
株式会社みずほ銀行法人業務部
奈良 真羽汰
2014年にみずほ銀行に入行。都内営業部店や地方営業部店にて、中堅・中小企業のお客さまを中心に渉外活動に従事。2023年3月「みずほGCEOチャレンジ」に通過し、同年5月より現職。
※所属、肩書きは取材当時のものです。
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