1. トップ
  2. DX事例一覧
  3. “金融の深み”を捉え、業務効率化の先につなげる。「みずほLLM」開発プロジェクトが進行中。

“金融の深み”を捉え、業務効率化の先につなげる。「みずほLLM」開発プロジェクトが進行中。

“金融の深み”を捉え、業務効率化の先につなげる。
「みずほLLM」開発プロジェクトが進行中。

近年、生成AI技術が急速な進化を遂げていますが、金融業務においては専門用語や複雑な法律、独自の慣習が多く、一般的なAIモデルそのままではどうしても対応しきれないという課題がありました。そこで〈みずほ〉では、「金融業界特有の知見や専門用語」「規制・法令」「社内データ」等、汎用LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)では扱いきれない情報を理解して高度な判断ができる「みずほLLM」の開発を進めています。

「みずほLLM」は、「金融特化LLM」「特定業務LLM」「協調型エキスパートLLM」の三層構造で構想しています。
土台となる「金融特化LLM」は、金融の基礎知識、法令、社内手続等、金融分野の専門知識を幅広く学習させ、一般的な照会応答や資料作成をサポート。その次に、融資・市場・法務といった部署ごとの専門モデル「特定業務LLM」を構築し、実際の手続相談や与信判断の支援、稟議の下書き作成等、〈みずほ〉社員の高度な判断を助ける領域まで踏み込んでいきます。最後に、複数の特定業務に特化したモデルが連携し合い、一人では難しい複合的な判断を支援する「協調型エキスパートLLM」の実現をめざします。

このうち、「金融特化LLM」の開発は既に進んでおり、外部で公開されているオープンウェイトモデル※をベースとして、社内に蓄積されているマニュアルや研修資料、規定や手続き等を追加的に学習させています。さらに、過去の問題を使ったトレーニングや、必要な情報を自動で参照するRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)等、各種手法を比較・検討、組み合わせることで、実務に強いAIへと育て上げています。なお、開発の学習基盤にはAmazon Web Servicesを採用し、機密性の高いデータをセキュリティが担保された安全な環境で取り扱っています。

こうした取り組みは成果として現れており、「金融特化LLM」の能力を測るために実施した預金、融資、外国為替、財務分析等の実務テストでは、設定した合格水準を達成しました。これは「みずほLLM」の実現に向けた確かな一歩と言え、〈みずほ〉では既にこの成果を起点として、より専門性の高い業務への適用に向けた開発・検証フェーズへの移行も始まっています。

「みずほLLM」の実現に向けては、今回基準を達成したモデル以外にも研究開発を継続し、業務ごとに「回答精度」「処理速度」「コスト」を総合的に評価し活用していく方針です。また、より機密性の高いデータの取り扱いと社内での幅広い活用を見据え、自社基盤の強化にも取り組んでいます。
すべては、多様な選択肢の中から最適な技術を選定・活用し、お客さまにとってより便利で安心な金融サービスの提供をめざすこと。「みずほLLM」開発の続報に、ぜひご期待ください。

※AIの構成データ(設計図)が一般に公開されており、カスタマイズすることができるAIの基盤モデル。

取り組みのポイント

  • 社内の専門チームが、データ収集から学習・評価まで一気通貫で実施。
  • 精度評価では銀行の実務テストをクリアし、GPT-5に匹敵する性能を実証。
  • 複数の開発手法を比較検証して、最も効果的な組み合わせの見極めを行った。
  • チームで連携して試行錯誤しながら、短期間の集中開発で成果に結びつけた。

担当者コメント

独自LLMを構築して、より高度で専門的な業務での活用をめざす。

「金融特化LLM」は、一般的なLLMでは十分に扱いきれない金融業界特有の知識や社内ルールをしっかり理解できるモデルをめざし、社内の専門チームで企画からデータ収集・前処理、学習、評価までを一気通貫で取り組みました。限られた期間の中、継続事前学習や教師ありファインチューニング、RAG、合成データ生成、推論プロセスの学習等、様々な手法を比較し最適な組み合わせを探りました。

その結果、社内で設定した銀行の実務テストにおいて、GPT-5と同程度の性能を確認することができました。今回の取り組みは「金融基礎力」の土台づくりが中心ですが、これで終わりではありません。今後は得られた知見を基に、より実務に近い中堅社員レベルの知識習得や、手続照会、与信判断のサポート、稟議案の作成等、さらに高度で専門性の高い業務での活用をめざします。併せて、開発スピードの向上や機密データを安全に扱うための体制づくり、そして将来的な幅広い社内活用を見据え、社内GPU基盤の強化にも取り組んでいきます。

みずほフィナンシャルグループ
デジタル戦略部

皆川 拓

※所属、肩書きは取材当時のものです。

文・写真/みずほDX編集部

RECOMMEND

  • Twitterシェアアイコン
  • Facebookシェアアイコン
  • LINEシェアアイコン
  • リンクをコピーしました