トップ DX事例一覧 ベトナムNo.1の金融プラットフォーマー「MoMo」をみずほ銀行がサポート。成長を支え、アジアリテール金融の未来を描く。 ベトナムNo.1の金融プラットフォーマー「MoMo」をみずほ銀行がサポート。成長を支え、アジアリテール金融の未来を描く。 OVERVIEW アジアにおいて、「デジタル」を軸とした金融サービス提供による金融包摂への貢献と、事業ポートフォリオの拡充をめざすみずほ銀行は、ベトナム社会主義共和国(以降、ベトナムと称する)のモバイル決済市場でシェア6割超を誇るデジタル決済事業会社「Mサービス」に出資。「テクノロジーでベトナムの金融包摂に貢献する」というビジョンを掲げ、スーパーアプリ「MoMo」の開発、運営を行う同社にみずほ銀行のノウハウ、ネットワークを紹介することで、 金融サービス事業の強化・成長につなげるとともに新たなビジネス創出をめざしています。 INDEX ベトナムで3番目となるユニコーン企業にみずほ銀行が出資した訳は? 映画チケットに旅行の手配まで。暮らしに寄り添う「MoMo」のビジネス戦略 めざすはデータビジネスの拡大と成長。現地で駐在員が取り組んでいること みずほ銀行が見据えるアジアリテール金融 の「これから」 DXを軸にアジアの経済成長への貢献をめざして。ベトナムで3番目となるユニコーン企業「Mサービス」に出資。 ここ数年のDXの波で急速にキャッシュレス化が進み、モバイル決済は私たちの生活に身近なものとなりました。それは日本でだけではなく、他のアジアの国々でも同じこと。日本以上に、キャッシュレスの普及が進んでいる国も少なくありません。 そんな中、みずほ銀行では、アジアの経済成長を取り込むことを念頭に、デジタル領域に強みのあるローカルプレイヤーの力を借りながら、DXを軸とした金融サービスを提供し、金融包摂(ファイナンシャルインクルージョン)への貢献と事業ポートフォリオの拡充をめざしています。金融包摂とは、経済活動に必要な金融サービスをすべての人々が利用できるようにする取り組みのことで、貧困や差別などによって金融サービスから取り残され、経済的に不安定な状況にある人々が基本的な金融サービスへアクセスできるよう支援することを指します。この取り組みの一つとして、みずほ銀行は、2021年12月、ベトナムのモバイル決済市場でシェア6割超を誇るデジタル決済事業会社「Online Mobile Services Joint Stock Company(以下「Mサービス」)」に出資を行いました。 Mサービスは、モバイル決済アプリ「MoMo」を運営するベトナムのデジタル決済事業会社。電子ウォレット機能を中心に、ユーザーのあらゆる生活シーンにおいてお得で便利なサービスを展開。さらに銀行口座を保有していない人々もオンラインかつペーパーレスで提携銀行の口座開設ができるといった、ユーザーファーストな姿勢から利用者数を伸ばし続け、2021年にはベトナムで3番目となるユニコーン企業に認定されました。 「テクノロジーでベトナムの金融包摂に貢献する」というビジョンを掲げる同社。今では加盟店数や提携金融機関数など、ベトナムNo.1のエコシステムを擁しています。そこにみずほ銀行の金融機関としてのノウハウや現地ネットワークを共有することで、同社の金融サービス事業の強化・成長につなげるとともに新たなビジネス創出をめざしています。 電子ウォレット決済だけじゃない。映画チケットや旅行の手配まで。ベトナムの暮らしに寄り添う「MoMo」のビジネス戦略。 ベトナム中のコンビニや飲食店のレジ先でよく目にする「MoMo」のピンク色のロゴ。もともとはベトナム初の電子ウォレットアプリとして、徐々にそのユーザーを増やしてきましたが、いまでは個人間の送金、公共料金の支払いから、映画や航空チケットの手配、募金にいたるまで、日常生活のあらゆる決済シーンでサービスを展開しています。最近では、ローンや保険など金融サービスにも範囲を拡大。いわゆる、「スーパーアプリ」として現地の人たちの暮らしに浸透しています。銀行口座の所有率が低いベトナムにおいては様々な送金手段があり、それらを統合して使用できるのも特徴の一つです。また、当地の金融機関では対応が難しいマス個人向け後払い決済、分割払いも、AI分析を用いて実現しています。「MoMo」のビジネスは人口1億人のベトナムにおいて3600万人のユーザーデータを保持するのがなによりの強み。強固なeKYC(オンラインによる本人確認)によって得られる信頼性の高いユーザーデータとベトナムNo.1加盟店ネットワークを通じた決済ビッグデータは、先進的なデジタルマーケティングの基盤となっています。特に、アプリ内で動画コマーシャルを閲覧して受け取った電子バウチャーを加盟店に提示することで、ユーザーが割引や特典を受けられる仕掛けは、ユーザーと加盟店を結びつけ、エコシステム拡大における好循環を生み出しています。また、みずほ銀行が主導する新たな取り組みとして、他のプラットフォーマーとの協業によるビッグデータの統合を通じた顧客基盤の拡充を模索しています。暮らしに寄り添った様々なサービス開発や、その利便性から既にベトナムの人々に欠かせないアプリとして成長している「MoMo」は、フィンテックとして日本のモバイル決済サービスよりも先を進んでいるといえるでしょう。 「MoMo」に出向の福島(左から2人目)と社員 データビジネスの拡大と成長をめざして。みずほ銀行と「MoMo」が現地で取り組んでいること。 そんな「MoMo」と、出資時に派遣されたみずほ銀行駐在員が現地で取り組んでいるのは主に以下の二つのこと。まず一つめは、企業に掛け合い「MoMo」を使用できるシーンを増やすこと。ベトナムにおけるNo.1プラットフォーマーであることから、自ずと国内企業からの引き合いはあるものの、日系企業の間では「MoMo」のモバイル決済以外のサービス内容について知られていないというケースも少なくありません。そこでみずほ銀行が決済以外のデジタルマーケティング領域や、ローンや分割払いなどの個人向け与信サービスを梃子にして日系企業にアプローチ。ブリッジ的な役割を担って、Mサービスのエコシステムの拡大に寄与しています。二つめは、同じくみずほ銀行の出資先であるベトナム最大手の商業銀行ベトコムバンクとの協業の推進。信頼・安定を重視する大手銀行・ベトコムバンクと気鋭のユニコーン企業であるMサービスというカルチャーの大きく異なる両社の間を、みずほ銀行が取り持って提携の強化を図ります。具体的には、金融ライセンスを持たない「MoMo」がフロントに立って、ベトコムバンクにスコアリングモデルを共有。ベトコムバンクがそのスコアをベースに審査して融資判断を行うといったスキームで、ベトコムバンク単独では提供しえない金融サービスをつくり出していきます。このような取り組みを通して、みずほ銀行は、ベトナムの多くの人たちが「MoMo」サービスの利便性を享受できるような環境づくりのサポートを行っています。 テクノロジーでより良い社会を。みずほ銀行が見据えるアジアリテール金融の「これから」。 「MoMo」とみずほ銀行の取り組みは今後も加速していきます。その中の一つに「MoMo」が持つ決済データの更なる活用があります。他のプラットフォーマーや外部パートナーと協業を通じたビッグデータの増強を推進しながら、行政サービスや都市開発といった社会のインフラ事業への浸透を図ります。デジタルマーケティングにおいては、ベトナム発の新しい世界をつくっていくことも模索。また、「MoMo」で得た知見をみずほ銀行が運営するモバイル決済サービス「J–Coin Pay」やインターネットバンキング「みずほダイレクト」へどのように還元できるかを探求しつつ、最終的には技術そのものではなく、小単位でのテストと実装を繰り返すアジャイル開発を主とするベトナムのフィンテックのスピード感やノウハウを逆輸入することめざします。さらには、「MoMo」と同じくみずほ銀行が出資しているフィリピン、インドネシアのローカルプレイヤーとのパイプ役となり、アジアリテール金融の発展に寄与していくことも展望しています。「ともに挑む。ともに実る。」をスローガンとして掲げる〈みずほ〉は、変化のスピードの著しいアジアのリテール金融の現場において「MoMo」の新しい取り組みをサポートし、自らも変わり続けながら様々な課題に対峙。金融や社会のあるべき未来を見据えて「MoMo」とともに成長していきます。 文・写真/みずほDX編集部 新しい記事へ 記事一覧ページへ 過去の記事へ 記事一覧ページへ 関連リンク ベトナムのデジタル決済事業会社「Mサービス」への出資について Mサービス「MoMo」ウェブサイト RECOMMEND 2023年7月24日 DXで日本の企業を元気にして、社会課題を解決するため、技術と経営に強い〈みずほ〉のコンサルタントにできること 2023年6月15日 コンタクトセンターの利用満足度向上と業務効率アップをめざして。シニア層も活用する電話のDX「AI音声ボット」。 2023年4月3日 地域経済をDXでもっと元気に!みずほ銀行が提供する電子地域振興券とは?