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「探す」から「対話で導かれる」へ。OpenAIの技術を活用した〈みずほ〉の対話型AIアシスタント「あおまるバンク」が変える、お客さまと銀行の関係

「探す」から「対話で導かれる」へ。OpenAIの技術を活用した〈みずほ〉の対話型AIアシスタント「あおまるバンク」が変える、お客さまと銀行の関係

OVERVIEW

お客さまがAIと対話しながら、迷わず答えにたどり着ける。そんな新しい銀行体験の実現をめざして開発されているのが、対話型AIアシスタント「あおまるバンク」です。まずはお問い合わせ対応からスタートし、将来的には各種手続きや資産形成・運用に関する相談まで支援領域を広げていく構想です。気軽にお金の相談ができる、生活に根差した銀行へ。あおまるバンクは、お客さまと銀行の関係を変えていく挑戦です。

本記事では、あおまるバンクの開発にビジネスアナリストとして携わる、みずほフィナンシャルグループ デジタル戦略部の北村、田中へのインタビューを通じて、OpenAIとの連携を含む開発の裏側と、〈みずほ〉があおまるバンクを通じて描く未来に迫ります。

INDEX

  1. 1
    お客さまと銀行の関係を変える。OpenAIの技術を活用した〈みずほ〉の対話型AIアシスタント「あおまるバンク」
  2. 2
    「迷わず答えにたどり着ける体験」へ。理想から逆算して定めたStep1
  3. 3
    プロトタイプを「〈みずほ〉の本番水準」へ。スピードと品質を両立させた合意形成
  4. 4
    お問い合わせから、手続き・相談へ。あおまるバンクを通じて描く未来と、それを形づくる仕事

お客さまと銀行の関係を変える。OpenAIの技術を活用した〈みずほ〉の対話型AIアシスタント「あおまるバンク」

「あおまるバンク」は、テキストや音声で問いかけると、AIが対話の中で必要な確認を行い、みずほ銀行のFAQや公式情報をもとに適切なご案内や次のアクションを提示する対話型AIアシスタントです。

これまで、お客さまと銀行の主な接点は、店舗、コールセンター、ウェブサイト、アプリ等の各チャネルでした。あおまるバンクは、その入り口に「AIとの対話」を加え、お客さまと銀行の関係を変えていく構想です。

「あおまるバンク」のサービス全体像について

「あおまるバンク」のサービス全体像について

2026年9月(予定)に「みずほダイレクトアプリ」で提供を開始し、将来的にはみずほ銀行のウェブサイト等、アプリ以外のチャネルにも広げていきます。AIを活用したお客さま向けアプリとしては、〈みずほ〉初の挑戦となります。

サービスを企画・運営する社内の事業部門(以下、ユーザー部門)と開発ベンダーの間に立ち、要件定義からプロダクト価値の最大化までを担うビジネスアナリストとして、プロダクトオーナーの役割も果たしながらプロジェクトをリードするデジタル戦略部の北村と田中は、開発の背景をこう語ります。

北村:あおまるバンクの出発点は、単なるFAQの高度化ではありません。AIと対話しながら振込等の手続きや資産運用の相談まで支援できる、新しい体験をお客さまに提供することでした。

北村 慶(みずほフィナンシャルグループ)

北村 慶(みずほフィナンシャルグループ)

田中:〈みずほ〉には店舗、コールセンター、ウェブサイト等、多くのチャネルがあります。あおまるバンクは、こうした接点を束ね、将来的には最適なお手続きやチャネルへのご案内の起点となることをめざしています。

田中 嵩人(みずほフィナンシャルグループ)

田中 嵩人(みずほフィナンシャルグループ)

北村:この将来像を具現化するため、まずはデジタル戦略部の内製開発ラボで「動くプロトタイプ」を約1ヵ月で作成しました。将来機能を想定し、資産運用の相談や振込が会話で進む挙動を実際に見せることで、経営層やユーザー部門と一気に具体的なイメージを共有できました。言葉で説明するより、実物を見てもらうのが一番早いからです。

この構想を形にするうえで、〈みずほ〉はOpenAIの先進的なAI技術も活用しながら、社内外の関係者とともに開発を進めています。その背景と技術へのこだわりについて、二人はこう続けます。

北村:単に情報を検索して返すのではなく、対話を通じてお客さまの状況や意図をくみ取り、適切な案内へつなげる。そのために重要だったのは、どのようなAIモデル・技術を使うかでした。品質を比較検証した結果、今回はOpenAI APIの活用を決めました。私たちが培ってきた金融業務の知見やお客さまへの理解に、こうしたOpenAIの技術を掛け合わせることで、将来の拡張を見据えた開発基盤を構築しています。また、文字入力に不慣れな方でも、手が離せない状況でも自然に使える「音声だからこそ届けられる体験」を、最初から狙いに据えていました。

田中:その要となるのが、OpenAIの先進的な音声AI技術です。実装にあたっては、音声を文字に変換して処理する「Speech-to-Text/Text-to-Speech」方式と、音声を入力し音声で応答する「Speech-to-Speech」方式をプロトタイプで比較しました。私たちは後者の方が、求めているより自然な対話体験につながると感じました。OpenAIの技術があったからこそ、一問一答ではない、店舗やコールセンターでの応対に近い自然な対話体験に向けて、手応えを得ることができました。

「迷わず答えにたどり着ける体験」へ。理想から逆算して定めたStep1

壮大な構想を、どうやって現実のサービスに落とし込んでいくのか。そのかじ取りこそが、ビジネスアナリストの仕事です。まず何から着手するか。その裏にあった問題意識を、北村はこう説明します。

北村:AIの進化は目覚ましく、誰もが使える汎用的なAIサービスにはない価値を、みずほ銀行としてどう提供するか。プロジェクトはこの問いから始まりました。その価値をいかに早くお客さまに届けるかを最優先に考え、最初に取り組む範囲をお問い合わせ対応(FAQ)に決めました。振込等の手続きは勘定系システム(振込や預金等を処理する銀行の基幹システム)との連携に時間を要する一方、FAQであれば既存のデータをいかして高い精度かつ短期間で実装できる、と見立てたからです。

お客さまからのお問い合わせ対応を担うカスタマーリレーション推進部(CR推進部)へのヒアリングでも、既存のチャットボットではお客さまの意図をくみ取りきれないという現場の切実な課題が見えていました。そこで、この領域に焦点を絞りました。

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田中:ユーザー部門は目の前のチャネル改善をめざしていくものですが、そこを一歩引いた視点から「既存の業務フローにとらわれず、お客さまの体験そのものを一から見直してしまえばいいのではないか」と提案できるのがデジタル戦略部の強みです。FAQに絞ったことで成果が可視化されやすくなり、次のステップへ進むための土台となりました。

絞り込んだ領域の中で、チームが核となる価値と定めたのが「迷わず答えにたどり着ける体験」でした。その考え方を、北村はこう語ります。

北村:例えば、お問い合わせの多い住所変更です。実はご利用中のサービス(住宅ローンや投資信託、債券口座の有無等)によって、必要なお手続きの方法は複雑に分かれます。従来のFAQはお客さま自身が一覧から該当パターンを探す必要があり、大きな負担でした。

あおまるバンクでは逆に、AIから「投資信託の口座をお持ちですか」と問いかけ、答えていただくだけで「あなたに最適な手続きはこれです」と最終的な答えまで導きます。情報の中から探すのではなく、対話によって導かれる体験こそが、私たちが届けたい価値です。

プロトタイプを「〈みずほ〉の本番水準」へ。スピードと品質を両立させた合意形成

Step1として定めたサービスを実際にお客さまへ提供するためには、品質、セキュリティ、運用体制のすべてを「金融機関の本番水準」まで引き上げる必要があります。多くの部門が関わる中で、ビジネスアナリストがハブとなり、いかにしてスピードと品質を両立させたのか。その合意形成の舞台裏を、田中はこのように語ります。

田中:プロトタイプの段階で「こうしたい」というイメージは共有できていたのですが、いざ本番のシステムとして作り込むとなると、細かな仕様や要件がどうしても曖昧になります。そこで品質とスピードを両立させるため、私と北村を含めた計3名でCR推進部のフロアに席を借りて常駐することにしました。週次の定例会を待つことなく、ほぼ毎日のように顔を合わせ、「この表現の意図は本当に合っていますか」「こういう見せ方もあります」と確認を重ねながら、要件を一つひとつ着実に固めていきました。

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さらに、金融機関ならではの挑戦もありました。品質への説明責任が極めて重い中で、AIを活用したサービスの安全性をどう担保するか。田中はこう続けます。

田中:従来の金融機関におけるリスク管理は、「誤りを未然に防ぐ」ことを大前提に組み立てられてきました。また、AIを用いたサービスのリスク評価という前例はほとんどありませんでした。そのため、「AIの持つ不確実性を前提として、サービスの価値とリスクをどう評価するか」という新しいリスク管理の考え方に舵を切る必要がありました。そこでリスク管理部門と連携し、AI活用を前提としたリスク評価・管理の枠組みを再設計しました。AI活用に伴い想定されるリスクを洗い出したうえで、事前テストを重ね、あわせてモニタリングや運用体制を整備し、金融機関として必要な安全性を担保できる仕組みを構築しました。こうした検証と体制づくりを重ね、お客さまに安心してご利用いただけるサービスとして提供できるよう取り組んでいます。

この品質を担保しつつ、開発のスピードを落とさずに推進できた背景には、経営層を巻き込む〈みずほ〉ならではの意思決定の体制があったと北村は語ります。

北村:セキュリティや法令の観点からプロダクトをチェックする部門は社内に複数あり、通常であれば段階的に上層部へ上げていくため時間がかかります。今回は、意思決定のスピードを上げるために経営層が整備してきた、関係する各部門の責任者が一堂に会する既存の会議体を活用し、経営目線で大方針をその場で即決いただきました。あらかじめ方針が決まっているため、現場の議論もスムーズになります。さらにCR推進部等との週次の定例会には役員自らも同席し、目の前のプロトタイプを触りながら、担当者とリアルタイムに議論を交わしました。役員がプロトタイプを前に現場と直接議論する体制が、意思決定の速さにつながりました。

本格的な開発フェーズに入ってからの軸は、ベンダーと一体のチームで、短いサイクルで開発と改善を繰り返すアジャイル開発です。ここでも二人がプロダクトオーナーの役割として担うのは、プロダクトの価値を最大化するための、機能開発の「優先順位づけ」です。

北村:私たちはベンダーと同じチームを組み、スプリント(1週間等の短い開発期間の単位)ごとに何を作るかという計画から、成果の確認までを一緒に回しています。開発を進める中で、バグが起これば優先順位は日々入れ替わります。それを調整し、何が起こっても定められた期間内にプロダクトを形にするのが私たちの仕事です。判断軸はただ一つ、「お客さまにとっての価値を最大化できるものはどれか」です。それを常に見失わないようにしています。

お問い合わせから、手続き・相談へ。あおまるバンクを通じて描く未来と、それを形づくる仕事

こうした数々の壁を地道な調整で乗り越え、あおまるバンクはまず「お問い合わせ対応」からスタートします。しかし、これはあくまで第一段階に過ぎません。

Step1の先には、対応チャネルの拡大や、各種手続きを対話の中で完結できる世界も見据えています。さらにその先では、資産形成・運用に関する相談支援も構想しています。

北村:「お金を増やしたいけれど、何から始めればいいか分からない」というお客さまに、金融のプロとして、対話を通じて安心感のある情報をお届けしていきます。お問い合わせへの回答にとどまらず、お手続きとご相談が一つの体験の中で完結する世界を実現したいと考えています。将来的には、お客さまの認証情報をもとに、一人ひとりの状況に応じたご提案や情報提供を行う、パーソナライズドな顧客体験の構築もめざしていきます。

めざすのは、単純な業務の自動化にとどまりません。最新のテクノロジーを通じて、お客さまと銀行の「関わり方そのもの」をアップデートしていくことです。あおまるバンクが広がった先に、お客さまにとって銀行はどのような存在になっていくのでしょうか。

北村:対面での丁寧な対応は、これからも変わらず私たちの強みとして大切にしていきます。そのうえで、サービスの入り口となる部分をAIが担い、必要に応じて店舗や専門人材へつなぐ形をつくっていきたいと考えています。労働人口が減少していく中でも、AIが定型的な対応を補うことで、お客さまとの接点を今まで以上に増やしていけるはずです。

田中:私は以前、支店で法人営業を担当していましたが、現場では事務作業やお問い合わせの対応に多くの時間が割かれているのを実感していました。そこをAIが効率化できれば、行員はより生産性の高い業務に集中し、お客さまと深く向き合う時間を増やせます。それはお客さまにとっても、現場の行員にとっても、間違いなくより良い未来です。

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こうした銀行のあり方を形づくる大きな変革をリードするのが、〈みずほ〉のビジネスアナリストです。ユーザー部門と開発ベンダーの間に立つ仕事の魅力を、二人はこう語ります。

北村:私たちは必ずしも技術の専門知識を極めているわけではありません。しかし、だからこそユーザー部門に足を運んで現場の課題を聞き出し、それをかみ砕いてベンダーへ伝達し、優先順位をつけながらプロダクトへ落とし込んでいけます。どちらの組織にとっても欠かせないハブとして、プロジェクト全体を見渡せることに、この仕事の面白さがあります。

田中:ユーザー部門からはシステムやAIのプロとして見られ、ベンダーからはビジネス側の代表として見られる。その双方の期待に応える難しさはありますが、だからこそ面白いんです。ITの感覚でビジネスの現場を見ることで新しい発見があり、その逆もあります。両方の視点を柔軟に自分のものにしていける経験は、個人としても大きな財産になります。

部門や立場を越えて率直に議論し、プロトタイプを起点に意思決定を進めていく。そんな現場が〈みずほ〉にはあります。お客さまが迷わず答えにたどり着ける、新しい銀行体験の実現に向けて、〈みずほ〉はこれからも進化を続けていきます。

PROFILE

北村 慶の画像

株式会社みずほフィナンシャルグループ

北村 慶

2024年にキャリア採用でみずほフィナンシャルグループへ入社。前職では国内大手損害保険会社にて、保険金支払いのデジタル化や、AIを活用した新規事業開発の企画・マネジメントに従事。入社後は、業務効率化に向けた翻訳AIツールの企画・開発におけるプロジェクトマネジメント業務や、社内向けAIツールのグループ内展開・推進業務を担当。現在は、AIを活用したお客さま向けサービス「あおまるバンク」のプロジェクト推進に携わっている。

田中 嵩人の画像

株式会社みずほフィナンシャルグループ

田中 嵩人

2021年に新卒にてみずほ銀行に入社。新潟法人部にて法人営業に2年間従事したのち、2023年にみずほフィナンシャルグループ主計部へ異動し、グループの米国決算や会計基準改正対応、部内のDX企画・推進に携わる。2025年よりみずほフィナンシャルグループデジタル戦略部に異動し、現在は「あおまるバンク」のプロジェクト推進に従事。

※所属、肩書きは取材当時のものです。

文・写真/みずほDX編集部

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