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〈みずほ〉が見据える、10年後の金融。生成AIを活用して、業務効率化と新たなイノベーションの実現へ。

〈みずほ〉が見据える、10年後の金融。
生成AIを活用して、業務効率化と新たなイノベーションの実現へ。

〈みずほ〉が見据える、10年後の金融。生成AIを活用して、業務効率化と新たなイノベーションの実現へ。

OVERVIEW

生成AIが盛り上がりを見せるなか、国内全社員が使える社内向けテキスト生成AIの導入にスピーディに踏み切った〈みずほ〉。次なる取り組みとして、業務効率化における生成AI活用を模索しており、その対象となっているのが、業務に多大な時間とリソースを要している「事務手続照会」と「与信稟議作成」です。「事務手続照会」はAIチャット導入による照会時間の短縮と柔軟な顧客対応の実現をめざしPoC(概念実証)を進行中。「与信稟議作成」はワンクリックで稟議資料ドラフトを自動作成できる「稟議作成サポートAI」開発によるプロセスの高度化を進めています。さらには、社員発の生成AI活用の取り組みも加速中。その背景には、10年後を見据えた〈みずほ〉ならではの想いがありました。

INDEX

  1. 〈みずほ〉が取り組む、生成AI活用拡大
  2. 社内照会作業の負担を軽減。「事務手続照会」は生成AIでどう変わる?
  3. ワンクリックでドラフトを自動作成。生成AIでめざす、これからの「与信稟議作成」
  4. 社員発のアイデアも進行中!未来を見据えた〈みずほ〉の新たな提供価値

生成AIを活用して業務効率化を推進。「事務手続照会」と「与信稟議作成」をより円滑に。

生成AIを活用して業務効率化を推進。
「事務手続照会」と「与信稟議作成」をより円滑に。

2022年末頃から急速に広まったテキスト生成AI。この革新的な技術の登場は、人々の生活や働き方を大きく変えつつあり、〈みずほ〉でも、業務の効率化を含め、生成AIを活用したこれからの働き方を模索すべく2023年2月下旬から導入の検討をスタートしました。6月には社内向けテキスト生成AI「Wiz Chat」を導入し、導入後は社員に業務の中でテキスト生成AIの使い方を試してもらい、活用方法を社内SNSなどで共有。さらに、7〜8月にかけては生成AI活用の「アイデアソン」(アイデアとマラソンを掛け合わせた造語。アイデア創出のための短期プログラム)も行われ、社員から2,000件超の応募がありました。

また、グループ全社を上げて生成AIとの接点を創出するため、今後の生成AI活用計画としてPhase1〜3を制定。Phase1は、いち早く社内で導入してとにかく使ってみる段階。前述の「Wiz Chat」導入とアイデアソン開催がこの段階にあたります。Phase2では社内データに加え外部の最新データも活用して業務効率化を推進、Phase3ではそれらと社内外のデータを活用してハイパー・パーソナライズド・マーケティングといったお客さまへのサービス向上につなげることをめざしています。

現在は、Phase2に位置し、「Wiz Chat」に次ぐ、生成AIアプリ「Wizシリーズ(「Wiz Search」、「Wiz Create」)」の開発が進んでいます。この「Wizシリーズ」で効率化を進めているのが、業務に多大な時間とリソースを要している「事務手続照会」と「与信稟議作成」の業務。「事務手続照会」は、検索に注力した「Wiz Search」の機能の一つとして、業務関連のQ&Aをサポート。「与信稟議作成」は、コンテンツ作成に注力した「Wiz Create」のシリーズとして、主に稟議資料作成をサポートします(2023年12月現在)。それぞれ業務効率化に高い効果が期待されることや、その汎用性から優先的に検証を進めており、これらを起点に他の業務へも生成AIの活用を広げていく予定です。

社内照会作業の負担を軽減。「事務手続照会」は生成AIでどう変わる?

社内照会作業の負担を軽減。
「事務手続照会」は生成AIでどう変わる?

「事務手続照会」は、現場からも多く生成AI活用の声が上がり、効率化が見込める業務です。〈みずほ〉の事務手続書は、社員誰もが間違いなく効率的に事務サービスの提供が行えるよう、原則的な取扱い方法やリスクの所在を記載した「事務サービスを提供する際の指針」です。一方で、取扱い範囲が広く事務手続書だけでも3万ページにも及ぶ他、各種マニュアルや個別事項の判断根拠、考え方を示したFAQなど様々な資料が点在し、検索方法も複雑なため、社内からは「どこを参照すればよいかわからない」「手続の抜け漏れが不安」「何から調べればいいかわからない」と言った意見が寄せられ、実際に業務を進める際には「手続照会窓口」という社内サポート窓口に架電し、確認・相談するという時間や手間が発生しているのが現状です。

この手続照会窓口への照会行為までの一連の流れを「事務手続照会」と呼び、これまでも現場の声を反映しながら手続書を改定したり、AIチャットツールを導入したりと銀行としてできる手は打ってきました。しかし、最後は電話照会頼りとなっており、照会する側・される側双方に大きな負担となっています。

そのような背景もあり、「事務手続照会」の負荷軽減・業務効率化の実現に向け生成AIの活用に向けたPoCが早急に進められています。

具体的な対策としては、生成AIと社内情報(事務手続書や関連情報など)を連携したチャットボットを構築。これを利用することで、業務範囲が広く多様な照会業務に対し、照会者の質問意図を理解した回答内容が生成されるかを検証しています。曖昧な照会内容についての状況確認を兼ねた論点整理や、手続の進め方のアドバイス、個別事象に合わせた対応提案などといった柔軟性のある対応はシステム化しにくい部分が多く、これまで人の知見に頼らざるを得なかった領域でした。それらについて、生成AIがどこまで対応できるのか可能性を探る開発を、実際に手続照会の電話を受電しているメンバーと協力しながら進めています。

もちろん、高度な知識や経験を要するオペレーター同等のクオリティを生成AIに持たせるのは難易度の高いところです。だからこそ、PoCを行う意義があると考えています。生成AIの活用により、簡単なものは効率化していく。そして、より高度な判断を要するものに人間が割ける時間を捻出することで、お客さまの特性・ニーズを踏まえた柔軟な事務サービスの提供が可能になると期待しています。

ワンクリックで稟議資料のドラフトを自動作成。生まれた時間でお客さまと深く向き合う。

ワンクリックで稟議資料のドラフトを自動作成。
生まれた時間でお客さまと深く向き合う。

さらに生成AIの活用を予定している業務は、「与信稟議作成」。法人のお客さまに対して融資を行うための判断材料となる資料の作成を指します。銀行において融資は根幹業務の一つであり、「与信稟議作成」は、適切な審査を行う上で欠かせないものです。

「与信稟議作成」にあたっては、お客さまの事業検証に加え、融資種類に応じた検証ポイントの確認を行う必要があります。従来、都度の作成資料見直しや、審査部のサポートなどが行われてきましたが、若手の法人営業担当者や、キャリア採用者の割合増加による経験・スキルのバラツキなどの理由から、時間や人手を大幅に要する業務となっていました。そのため「与信稟議作成」業務は、本来、法人営業担当者が注力すべき提案などのお客さま対応を阻害する原因の一つとなっていました。

この様な現場の課題感が生成AIを活用した業務効率化に取り組む理由であり、めざすのは、ワンクリックで稟議資料ドラフトが自動生成できる仕組みの実現です。

この仕組みが実現すると営業担当者は、融資相談を通じ作成・確認した面談記録書や財務諸表などをシステムに取り込むことで、運転資金や設備資金など融資種類に応じた資料を自動作成できるようになります。これにより、これまで1件あたり平均1~2時間程度を要する所要時間を約10分に短縮することに加え、稟議資料についても、一定水準の品質を維持する効果が見込まれます。

このように稟議作成のスピードアップと高度化を通じ、負担軽減や個々のスキル差の解消によって生まれた時間は、お客さまへの回答スピード、ソリューション提供頻度の向上を始めとした、様々な価値提供につなげていきます。

さらに、稟議を通すために確認すべきポイントをリマインドしてくれる審査チャットボットといった機能も構想中。これらのアイデアはまだまだ想像の範疇を超えませんが、お客さまとの面談の際のやりとり音声が自動的に文字起こしされて、データとして組み込まれて、支店に帰れば稟議のドラフトが作られている……という様に高度化された業務がシームレスに進行する未来をめざしています。

社員発のアイデアも進行中!金融の未来展望を見据えた、〈みずほ〉の新たな提供価値。

社員発のアイデアも進行中!
金融の未来展望を見据えた、〈みずほ〉の新たな提供価値。

〈みずほ〉では、社員による生成AI活用の取り組みもますます加速中です。冒頭でも触れた、社内向けに開催された「生成AIアイデアソン」では「AIによる投資能力判断」「AIによる提案書作成」をはじめとするアイデアが採用され、既に実現に向けて走り始めています。以下に先ほど挙げた2つのアイデアのそれぞれの内容をご紹介します。

「AIによる投資能力判断」は、お客さまの非金融データをインプットすることで認知・判断能力の衰えを判断するアイデア。AIを活用することで、年齢による画一的な対応ではなく、お客さま一人ひとりの状況を踏まえながら、フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)に則したサービスの提供と事務手続きの簡素化をめざします。

「AIによる提案書作成」は、現状、社内外に情報が分散して工数を要している提案書の自動作成を行うアイデア。〈みずほ〉が保有する情報や社内外のレポートなどをインプットすることで、個社ごとのニーズを抽出。指定した形式でのコンテンツ作成に特化した「Wiz Create」の機能の1つとして、それぞれのお客さまにパーソナライズされた最適な提案書の自動生成をめざします。

今回ご紹介した事例も含め、生成AIは、今後人々の生活と社会にパラダイムシフトをもたらすと考えられます。それは金融機関も例外でなく、人と店舗を軸にした従来型のビジネスモデルは変革を余儀なくされるでしょう。〈みずほ〉は、そうした状況を鑑みて、生成AIの業務適応を通じ、10年後の金融の未来図を見据えた戦略策定を行なっています。

業務効率化で生まれた時間をどう活用していくかは、これからも議論の余地があるところ。AI利用における倫理や法規制・業界基準を守り、責任あるAI推進を実行すると共に、生成AIを活用した新しい仕掛けづくりなどのイノベーション創出、さらには最新動向や業界への影響分析といった経営層向けの啓蒙活動に至るまで、〈みずほ〉はAIや先進テクノロジーによる体験の高度化・ビジネス効率化の実行と新たな市場の創造に向けて引き続き邁進していきます。

文・写真/みずほDX編集部

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