企業風土変革
「人的資本の強化」と「企業風土の変革」を通じて、〈みずほ〉がどのようにお客さまや経済・社会とともに価値を創造していくのかを包括的にご説明するため、「人的資本レポート」を発行しています。各種人事施策における取り組み詳細は、人的資本レポートをご参照ください。
組織風土は〈かなで〉において「社員ナラティブ」を重視しながら「戦略人事」を徹底するうえでの重要な基盤であり、良好な風土のもとでこそ企業価値創出の源泉である人材が能力を最大限に発揮することができます。〈みずほ〉では、“すべての役員・社員が企業理念を自分ごととして捉え、その体現に向け自発的に思考し、行動して一体となり、お客さま・経済・社会に価値提供できる状態”をめざし、企業風土変革に取り組んでいます。
企業風土変革を通じた社員エンゲージメントの向上は〈みずほ〉の成長戦略を支える基盤であり、自発的な貢献意欲をもった社員一人ひとりが強みや個性を発揮し、他者とつながりながら自分らしく活躍することがビジネス面における成長の原動力となります。またビジネス面の成長によって、社員の働きがいが一層高まっていく好循環が生まれます。
この循環を続けるためには社員の置かれた状態を適時的確に把握することが必要であるため、定期的な社員意識調査を実施し、その結果を基に打ち手を講じています。ここ数年〈みずほ〉が企業風土変革を課題と捉え取り組んできた結果、社員の意識に着実な変化が表れており、これは経営のメッセージ発信や現場との対話等の積み重ねが実を結んだものと考えています。
社員意識調査結果に見られる確かな変化
2023年度から一貫して、企業理念を社員一人ひとりが自分ごと化するための取り組みや、社内コミュニケーションの活性化等の施策を進めてきた結果、“変化の兆し”が見え始めていましたが、2024年度はさらに企業風土や社員一人ひとりの意識・行動の変容が一過性でない確かな変化として定着してきていることを感じています。その表れとして、社員意識調査ではKPIの1つであるインクルージョンスコアは中期経営計画目標を超え、またエンゲージメントスコアもあと一歩の水準まで来ています。なお、その他の重要結果指標についても順調にスコアが改善しています。
重要結果指標に対する肯定的回答率の割合

エンゲージメントスコア

インクルージョンスコア

課題の抽出と経営コミットメントのもとでの打ち手
社員意識調査ではこれまでの取り組み成果の表れとして多くの設問でスコア改善が見られていますが、依然としてスコア改善が見られない、または低位にとどまるものも存在します。スコア分析から以下4つの課題を分類・抽出し、グループを挙げて取り組んでいます。
戦略の理解・実践
継続した経営メッセージの発信や、社員一人ひとりの企業理念に対する理解を深める取り組みを通じて、戦略にかかる経営陣の考えや企業理念の共有を進めてきました。タウンホールミーティングや拠点訪問等を通じた経営陣と社員の対話も繰り返し実施しており、社員の受け止め方にも変化がみられています。
加えて、企業理念を組織内で一層定着化させるため、部店長層を対象にワークショップ等を開催した結果、部店長がパーパス・バリューを自分ごと化し主体的に自組織メンバーと対話する等、より良い組織へ変えようとする動きが拡大し、意識の高まりも感じています。
パーパスへの共感については一定の効果が確認されたことから、現在はバリューへの共感に注力対象をシフトしており、引き続き重層的な取り組みを継続していきます。
コミュニケーションの活性化
自発的にチャレンジできる企業風土や、自分らしさを認め合うことを通じた一体感の醸成、社内コミュニケーションの活性化に向け、各種施策を実施してきました。
2022年度からは「人と人との関係性」に働きかけ、組織の活力を高める組織開発の取り組みを実施しており、働きがいの実感や組織の一体感醸成につながっています。また、様々な社員参加型企画や社内SNSの活用等により、社員同士のつながりを高め、コミュニケーションを活性化させるとともに社員の主体的な行動をサポートしています。
しかし、一体感に関する社員の受け止めには改善の余地があり、今後も社員意識調査を通じて効果確認を行いながら粘り強く取り組みを進めていきます。
キャリア目標の達成
社員の挑戦・成長を後押しし貢献に報いる〈かなで〉の制度運営の浸透に向け、2024年度はキャリア自立について社員の意見や疑問に答えるための説明会も実施し、双方向コミュニケーションを通じた一層の理解・浸透を図っています(P.20「丁寧な対話による新人事制度の着実な浸透」参照)。加えて社員の挑戦を支える各種制度拡充やミドルマネジメント層の強化にも注力しました(P.13「キャリア自立の実現を促す「キャリアディベロップメント運営」」、P.18「「キャリア自立」を後押しするミドルマネジメント層の強化」参照)。その結果、着実にスコア改善が見られるものの依然として満足できる水準には到達しておらず、社員のキャリア志向や個々の状況に応じたキャリアサポートが必要と認識しています。
生産性・リソースの充足
ファシリティやITインフラ等の環境改善は社員が働くうえで欠かせない要素であり、店舗設備の改修やPC更改、ITツールの導入等の取り組みを順次進めています。社員に向けた改善状況等の情報発信も図っていますが、効果表出や社員の利益実感はこれからであり、各組織の置かれた状況を把握しながら必要な取り組みを進めていきます。
