ページの先頭です

エクエーター原則適用事例

このページを印刷する

事例1. インドネシア・タングーLNGプロジェクト

事例概要

タングーLNGプロジェクトは、インドネシア西パプア州ビントゥニ湾において、確認埋蔵量14.4兆立方フィートにおよぶガス田から、年産760万トンのLNGを供給するプラントを建設・運営する大規模な開発プロジェクトです。

このプロジェクトは、近年のLNG需要の高まりを背景に、世界中から大きな注目を集めています。特に、世界最大のLNG輸入国である日本の関心は高く、複数の日本企業がプロジェクトに参画しました。

2006年8月と2007年11月の2度にわたり、みずほコーポレート銀行(当時)が、国際協力銀行(JBIC)やアジア開発銀行(ADB)など国際的な金融機関との協調のもとに融資を実施しました。また、2016年6月には、第3系列を建設・運営するプロジェクトに対して融資契約を締結しました。

融資にあたり、みずほコーポレート銀行はエクエーター原則採択銀行として、同プロジェクトが現地に及ぼす環境側面、社会的側面での影響を確認するアセスメントを実施しました。

自然環境の維持・保全に向けて

環境側面では、プラントやガス田におけるポリューションコントロール(汚染状況の管理)が現地の法律やIFC*1の定める環境基準に則して行われているか、現地の自然環境の維持・保全に向けて適切な対策が講じられているか、などを確認しました。

なかでも重視したのが、岸辺に生息するマングローブ林の保護でした。その理由は、マングローブは現地近海漁の主産物であるエビの生育に適した環境を構成しており、生物多様性への配慮はもちろん、現地社会の経済基盤を支える上でも、その保全が重要な課題となっていたからです。

オペレーターであるBP社は、こうした自然環境への配慮を徹底するため、「生物多様性・アクションプラン」を策定するほか、生態系保護のためのきめ細かな対策を実施しました。たとえば、海底のガス田と陸上のLNGプラントをつなぐパイプラインの敷設にあたっては、岸辺の動植物の生息環境への影響を最低限に抑えるため、最先端の工法を導入。陸上と海底の両方からパイプラインサイズの海底トンネルを水平方向に掘削、貫通させておき、海底側から押し入れたパイプラインを陸上側から引き上げました。これにより、パイプライン埋設のために岸辺のマングローブ林の地面を切り開く必要がなく、マングローブ林を維持できました。

  • *1IFC:国際金融公社(International Finance Corporation)の略称。世界銀行グループで民間プロジェクトへの投融資を担当する機関。

現地社会の独自性に配慮した取り組み

ビントゥニ湾周辺には、多様な言語と価値観をもつ民族が、広域にわたって多数の村落を形成しています。社会的側面では、プラント建設地となるため丸ごと移転を要する村落(127世帯*2)をはじめ、現地社会といかに共存共栄を果たしていくかが大きなテーマでした。

事業会社はプロジェクト実施に先立ち、現地社会に対するきめ細かなアセスメントを実施。その結果、現地の価値観では、「ビントゥニ湾の産物から得られる利益は湾岸近隣の村々で分配されるべき」という考えがあることがわかりました。そこで、移転する必要があった村落への補償だけでなく、周辺の村落にも配慮するという方針をとりました。

具体的には、移転する村落に対し、「土地取得および住民移転のためのアクションプラン」を策定し、「移転に際する補償は、住民の生活環境が従来よりも改善されるように実施するべき」というIFC基準の主旨に沿って、住居やインフラも含めたきめ細かな補償を実施。さらに、周辺の村落も含めた現地社会全体に向けて、持続的な発展をサポートするための「総合社会プログラム」を策定し、農業や食品加工などの技術指導を含む雇用創出支援をはじめ、衛生や教育など多方面からの支援を実施しています。

事例2. ラオス・ナムニエップ1プロジェクト

事例概要

ナムニエップ水力発電プロジェクトは、ラオスのナムニエップ川において、289メガワットの水力発電所を建設・運営するプロジェクトです。

このプロジェクトはラオスの電力供給量に貢献すると共に、隣国タイへの電力売却によって国家発展のための資金を確保する目的があります。そのプロジェクト規模から、アジア開発銀行(ADB)や国際協力銀行(JBIC)をはじめ、様々な市中銀行が融資に参加しました。

現地社会の独自性に配慮した取り組み

本プロジェクトは実施地域の広さゆえに、建設・運営にあたり、近隣の住民への影響が非常に大きいことが課題でした。

事前調査によって、約800世帯(5,000人以上)の土地所有者から用地を取得する必要があると同時に、水没予定区域内に自宅がある人や、田畑の水没によって生計手段を失う可能性がある人など、合計で400世帯以上(約3,000人)の住民が移転する必要があることが分かりました。

事業会社は、移転対象者の住民と話し合って移転先を決定するとともに、移転先住居の建築様式は住民の文化的背景を考慮した設計にしました。さらには、移転対象となる住民の99%はモン族であるのに対し、移転先のコミュニティは99%がラオ族であったことから、プロジェクト実施者はモン族出身者やモン族の文化に詳しい人類学者を専門スタッフとして雇用し、移転先住民のケアを実施するなど、移転住民への配慮した取り組みを実施しました。

また、移転後は、水没分と同等以上の広さの農地を準備し、工作機械の提供や農業支援などを実施すると共に、影響を受ける住民はもちろん、既存住民も利用できる教育施設や保健医療施設を建設し、移転住民・既存住民双方の生活環境の回復・改善に取り組むなど、様々な側面から支援を行っています。

事例3. モロッコ サフィIPPプロジェクト

事例概要

サフィIPPプロジェクトは発電総量1,250メガワットのアフリカで初となる超々臨界石炭火力発電所を建設・運営するプロジェクトです。人口増加と経済発展に伴い、モロッコではこの数十年間で電力消費量が急増しています。一方で、モロッコは使用電力量の15%を輸入に頼っているため、この状況を打開するために本件のようなプロジェクトを進めています。

本件には国際協力銀行(JBIC)や独立行政法人 日本貿易機構(NEXI)、イスラム開発銀行をはじめ、多くの市中銀行が参加しました。

自然環境の維持・保全に向けて

本件は、17種類の鳥類がプロジェクト実施地域の海域に生息しており、そのうち1種類は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されていることが事前調査によって分かりました。

これに対して事業会社は、建設期間中は環境の専門家を配置し、国際的な基準に則ってプロジェクトが進行していることを確認しながら作業を進め、運用開始後は策定した水質管理計画に基づき、冷却用に使用した水の海への放出などを管理し、海鳥や渡り鳥のえさ場や繁殖地域となる海岸付近の自然環境への配慮を継続的に実施しています。

ページの先頭へ