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エクエーター原則(赤道原則)とは

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エクエーター原則(赤道原則)の誕生

石油・ガス開発、鉱山開発、発電所建設、ダム建設、工場建設といった大規模な開発や建設プロジェクトは、その計画内容や実施方法によっては、自然環境や地域社会に大きな影響を与える可能性があります。

たとえば、1980年代からインド中西部のナルマダ川でダム建設が進められてきたサルダル・サロバル・プロジェクトは、下流地域に電力と灌漑用水を供給するために上流地域の先住民族を中心とする20万人以上の住民を十分な補償もなく立ち退かせ、彼らの生活を破壊するものとして、インド国内はもとより国際的にも厳しい批判を浴びました。特にNGOなどがナルマダ救済運動を展開して国際世論に訴えた結果、世界銀行や日本政府のODA(政府開発援助)による同プロジェクトへの援助も打ち切りとなりました。

このように、大規模開発プロジェクトにおける影響に関心が高まるなかで、世界銀行のような多国間開発金融機関、OECD加盟国の公的輸出信用機関などは、1990年代後半までにそれぞれ環境・社会ガイドラインを導入し、大規模プロジェクトの環境・社会リスク管理に取り組んできました。しかし、その一方で民間金融機関による取り組みは決して十分なものではなかったため、企業の社会的責任への注目度が高まるなか、環境NGO等から、民間金融機関にも独自の環境・社会リスク管理を求める声が高まっていました。

こうした世論に応えて、ABNアムロ銀行と世界銀行グループにおいて民間プロジェクトを担当する国際金融公社(IFC)は、2002年10月、海外プロジェクトファイナンス業務を展開する主要金融機関をロンドンに集め、民間版の環境・社会ガイドラインの作成を呼びかけました。これがきっかけとなって、シティバンク、ABNアムロ銀行、バークレイズ銀行、ウェストエルビー銀行の4行が環境・社会リスク管理のための枠組みづくりに着手し、2003年6月、国際金融公社(IFC)と連携してエクエーター原則を策定しました。

エクエーター原則は、2006年4月「IFCセーフガードポリシー」が「IFCパフォーマンススタンダード(PS)」に改定されたことに伴い、2006年7月に改定されました(第二次改定版)。

さらに2012年1月にIFCパフォーマンススタンダードが改定されたことに対応し、また環境・社会に対する配慮を一層強化するために2回目の改定が実施され、2013年6月に第三次改定版が発効しました。

コラム:エクエーター原則の命名の由来

エクエーター原則は、検討段階の会議がロンドン近郊で開催されたことから、当初、「グリニッジ原則」と命名されました。その後、環境NGOの意見を取り入れ、北半球・南半球を問わずグローバルに適用する原則にふさわしい名称として、エクエーター原則(赤道原則)に改められました。動詞としてのエクエイト(Equate)には「基準に合わせる」という意味もあることを考慮し、みずほ銀行では、「エクエーター原則」と称しています。

エクエーター原則の概要

エクエーター原則とは、民間金融機関が大規模な開発や建設のプロジェクトに融資を実施する場合に、プロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響に十分配慮して実施されることを確認するための枠組みです。採択銀行は、エクエーター原則の枠組みに従い、IFCの策定した環境・社会ガイドラインである「IFCパフォーマンススタンダード(PS)」および「世界銀行グループEHS(環境・衛生・安全)ガイドライン」に従って各行独自のガイドラインを文書化するとともに、事業者によるプロジェクトの環境・社会配慮の状況を確認するための内部管理体制を構築します。

採択銀行は、この体制の下に、大規模プロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響を評価し、ガイドラインを充足するための対策の遵守を融資条件とします。

エクエーター原則協会のロゴ

コラム:エクエーター原則前文より(抜粋)

  • エクエーター原則の採択と遵守は、当該プロジェクトによって影響を受ける地域社会に対する顧客の取り組みを通じて、我々自身と顧客、地元のステークホルダーに大きな恩恵をもたらすものと考える。
  • したがって我々(エクエーター原則採択金融機関)は、エクエーター原則に則ったデューデリジェンスを実施することで、金融機関という役割を通じて責任ある環境管理と人権尊重を含めた社会的に責任ある開発を推進する機会を与えられた、と認識する。
  • 我々(エクエーター原則採択金融機関)は、顧客がエクエーター原則を遵守しない、または遵守出来ないプロジェクトに対してはプロジェクトファイナンスもしくはプロジェクト紐付きコーポレートローン(Project–Related Corporate Loan: PRCL)を提供しない。

このように、エクエーター原則は、民間金融機関の社会的責任として「資金の流れ」を環境・社会配慮の実現に向ける仕組みであり、持続可能な開発の推進という意味では現地社会はもちろん、事業者や金融機関自身にとっても恩恵をもたらす原則と考えることができます。

全文はエクエーター原則と関連ガイドライン「エクエーター原則」に掲載しています。

エクエーター原則採択銀行一覧(英文)

エクエーター原則の対象となる金融商品

エクエーター原則は、全世界かつ全ての業種が適用対象です。

エクエーター原則は、新規案件に関して以下の4つの金融商品・業務に対して適用されます。

  1. プロジェクトファイナンスアドバイザリーサービス。プロジェクト総額が10百万米ドル以上の全ての案件。
  2. プロジェクトファイナンス。プロジェクト総額10百万米ドル以上の全ての案件。
  3. プロジェクト紐付きコーポレートローン(PRCL)(バイヤーズクレジット型の輸出金融を含む)。以下4つの条件を全て満たす場合。
    1. 借入額の過半が、顧客が当該プロジェクトの実質的な支配権を(直接的または間接的に)有する単一のプロジェクト関連向けである。
    2. 総借入額が100百万米ドル以上。
    3. そのエクエーター原則採択金融機関のコミット額(シンジケーション組成もしくはセルダウン前)が50百万米ドル以上。
    4. 貸出期間が2年以上。
  4. ブリッジローン。貸出期間2年未満で、上述条件を満たすプロジェクトファイナンス、もしくはPRCLによってリファイナンスされることを意図したもの。

エクエーター原則の準拠する環境・社会基準

エクエーター原則の採択銀行は、対象となるプロジェクトについて、「現地国環境法」の遵守、ならびに「IFCパフォーマンススタンダード」と「世界銀行グループEHS(環境・衛生・安全)ガイドライン」の遵守を確認します。

「IFCパフォーマンススタンダード」

公害防止や自然環境の保護に加え、プロジェクトにより影響を受ける地域住民や労働者の人権保護のための基準であり、以下の8項目で構成されています。

本8項目は原文(英文)をみずほ銀行が独自に翻訳したものであり、公定訳ではありません。日本語訳にあたっては、内容の正確性および完全性を確保するよう十分な注意を払っておりますが、みずほ銀行は内容の正確性および完全性、また本翻訳の利用者が原文(英文)の内容通りに解釈できることを保証するものではありません。英語原文はIFC公式ウェブサイト(英文)に掲載しています。

  1. PS1 – 環境・社会に対するリスクと影響の評価と管理
  2. PS2 – 労働者と労働条件
  3. PS3 – 資源効率と汚染防止
  4. PS4 – 地域社会の衛生・安全・保安
  5. PS5 – 土地取得と非自発的移転
  6. PS6 – 生物多様性の保全および自然生物資源の持続的利用の管理
  7. PS7 – 先住民族
  8. PS8 – 文化遺産

「世界銀行グループEHS(環境・衛生・安全)ガイドライン」

世界銀行グループが定めたプロジェクトの「環境(Environment)」「衛生(Health)」「安全(Safety)」に関する基準です。全産業に共通する一般ガイドラインと62の産業別ガイドラインで構成されています。これらの中で提示された公害防止基準は、IFCのみならず多国間金融機関およびOECD加盟国の公的輸出信用機関の基準としても活用されています。

全文はIFC公式ウェブサイト(英文)に掲載されています。

エクエーター原則の適用対象の拡大(2013年6月に第三版発効)

2013年6月発効のエクエーター原則第三版により、エクエーター原則の対象が拡大しました。これまでは、プロジェクトファイナンスが対象でしたが、改定によりコーポレートファイナンス仕立てであっても内容が実質プロジェクトものの融資についてもエクエーター原則が適用されることになりました。

採択銀行が80行を超え、新興国市場における国際的なプロジェクトファイナンスの約70%がエクエーター原則の採択銀行によってアレンジされていると言われており、プロジェクトファイナンスの分野においては、エクエーター原則が、民間金融機関の事実上の標準となっています。

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