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2020年4月15日

株式会社みずほフィナンシャルグループ

サステナビリティへの取り組み強化について

~脱炭素社会実現に向けたアクション強化~

株式会社みずほフィナンシャルグループ(執行役社長:坂井 辰史)は、サステナビリティへの取り組みを進めることで、さまざまなステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現し、SDGs達成に貢献していくことを目指しています。

<みずほ>は、グループ全体で戦略と一体的にサステナビリティへの取り組みを推進する態勢を強化してきました。今般、社会の期待や<みずほ>の戦略、責任銀行原則(※1)を踏まえた取り組みをさらに進めるため、「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」の改定(別紙1)を行いました。また、気候変動が金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要なグローバル課題の一つであるとの認識のもと、環境・気候変動への対応を経営戦略における重要課題として位置付け、経営会議、リスク委員会、取締役会等で議論を重ね、さまざまな取り組み強化を行いました。

  • 1.環境・気候変動への取り組み強化
    • 「環境方針」制定(別紙2)
      当社は『<みずほ>の企業理念』を実践していく上で、経営および業務上の各種決定を行う際、常に拠り所とするものとして、「みずほの企業行動規範」を制定し、本規範において「環境への取り組みは企業の存立と活動に必須の要件であることを認識し、自主的、積極的に行動する」ことを定めています。
      <みずほ>は、この考え方のもと、長年にわたり環境ファイナンスや環境・エネルギー関連コンサルティングに積極的に取り組むとともに、アジア初のエクエーター原則採択銀行として環境に与える影響の低減・回避に努めてきました。
      今般、当社は、企業行動規範のもと、「人権方針」と並ぶ「環境方針」を制定し、気候変動を含む環境への取り組みの機軸となる課題認識や具体的な行動、脱炭素社会の実現に向けた気候変動への取組姿勢を明確化しました。本方針において取締役会による監督を明文化し、環境への取り組みを戦略と一体的に推進する強固なガバナンス体制を構築するとともに、当社グループ会社においても同様の方針を定め、グループ一体で環境への取り組みを実践していきます。
    • サステナブルビジネス推進強化(別紙3)
      <みずほ>は、サステナビリティ重点項目(マテリアリティ)とKPI(モニタリング指標)を定め、サステナブルビジネスを推進してきました。今般、金融グループとしてのお客さまを通じた間接的なインパクトの重要性を踏まえ、お客さまとの積極的な対話(エンゲージメント)を通じて課題やニーズを深く理解し、気候変動対応や脱炭素社会への移行をはじめとしたお客さまのSDGs/ESGへの取り組み、イノベーション、リスク低減をサポートしていくために、グループ一体でのサステナブルビジネス推進体制を強化しました。また、環境保全やSDGs達成に向けた資金の流れをつくる役割を積極的に果たしていくため、サステナブルファイナンス・環境ファイナンスの目標を設定しました。
      • サステナブルファイナンス・環境ファイナンス目標
        2019年度~2030年度累計25兆円(うち環境ファイナンス12兆円)
    • 気候変動リスク管理の強化
    • a.トップリスク運営
      <みずほ>は、当社グループに重大な影響を及ぼすリスクを経営で認識する「トップリスク運営」において、「環境・社会に配慮しない投融資」へのモニタリングを継続してきました。今般、顕在化は中長期的な時間軸であっても数年内に対応が求められる重大なリスクである「エマージングリスク」として気候変動リスクを位置付け、関連指標の定期的なモニタリングを開始しました。
    • b.環境・社会に配慮した投融資
      ステークホルダーからの期待・目線を踏まえて投融資における環境・社会への配慮を強化するため、従来は、環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高いセクターに関する取り組み方針を定めていましたが、今般、セクター横断的な禁止・留意項目を加えた包括的な方針(「環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針」)に改定しました。加えて、気候変動リスクへの対応強化の観点から、石炭火力発電所の新規建設を資金使途とするファイナンスを行わないという方針への厳格化や石炭採掘セクターの追加、石油・ガスセクターにおける移行リスク対応の確認追加等の改定(※2)(別紙4)を行い、本方針に基づいて石炭火力発電所向け与信残高を削減する定量目標を設定しました。
      • 「環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針」に基づく石炭火力発電所向け与信残高削減目標
        2030年度までに2019年度*比50%に削減し、2050年度までに残高ゼロとする
    • *2019年度末残高は約3,000億円の見込み
    • c.TCFD提言に基づくシナリオ分析
      TCFD提言に基づき、セクター別に気候変動に伴う機会とリスクの定性評価を行い、その結果等を踏まえ、一定のシナリオのもと、移行リスクと物理的リスクのシナリオ分析を実施しました。
      移行リスクについては、高リスクと特定された電力ユーティリティ・エネルギーセクターを対象に、国際エネルギー機関(IEA)の持続可能な発展シナリオ(SDS)等において2050年までに予想される電源別発電量やエネルギー別生産量等の推移見込みを踏まえた業績影響予想から、<みずほ>の与信コストの変化を分析しました。なお、業績影響予想には、現状の事業構造を転換しないシナリオ(Staticシナリオ)と、事業構造転換を行うシナリオ(Dynamicシナリオ)を用いた結果、2050年までの与信コストの増加額は約1,200億円~約3,100億円と試算されました。なお、金額のレンジはDynamicシナリオとStaticシナリオとの差異から起因するものであり、事業構造転換を前提とするシナリオの方が中長期的には与信コストの増加が抑えられることが確認されました。
      物理的リスクについては、台風・豪雨による風水災から生じる国内担保不動産(建物)の損傷に起因した<みずほ>の与信コストへの影響(直接影響)を分析し、影響は限定的であることが確認されました。また、建物損傷による事業停滞がお客さまの業績に影響を及ぼした場合の<みずほ>の与信コストへの影響(間接影響)については、現在分析中であり、その結果は今後開示する予定です。
      今般実施したシナリオ分析から、脱炭素社会への移行に向けて中長期を見据えて今から対応を行うことの重要性を改めて認識しました。気候変動対応に関するお客さまとの建設的な対話(エンゲージメント)をより一層強化し、お客さまごとの課題やニーズを深く理解し対応することで、ビジネス機会の捕捉とリスク管理の強化につなげていきます。(※3)(別紙5)
  • 2.開示・コミュニケーションの強化
    • <みずほ>は、制改定した方針等についてグループ各社の役職員に周知徹底し、お客さまにとって価値ある対話ができるようSDGsやサステナビリティへの理解促進を図るとともに、各ステークホルダーとのコミュニケーションを強化・充実させていきます。
      また、国際的な開示のフレームワークを活用しつつ、開示の高度化に努めます。今後、新たにTCFDレポート(5月予定)、ESGデータブック(7月予定)、SASBスタンダードへの対応状況(9月予定)、責任銀行原則への対応状況(12月予定)などを開示していく予定です。
  • ※1「責任銀行原則」2019年8月6日付プレスリリース「責任銀行原則への署名について」
    https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20190806release_jp.html
  • ※2「環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針」の主な変更点は以下の通り
    (変更後の詳細は別紙4)

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項目 改定前 改定後
全般
  • 特定セクターに対する取り組み方針
  • 環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針へ変更
    • 特定セクターに対する方針に加え、セクター横断的な禁止・留意項目もカバーする包括的な方針に変更
セクター横断的な禁止対象
  • 項目追加
    • ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業
    • ユネスコ指定世界遺産へ負の影響を与える事業(当該国政府及びUNESCOから事前同意がある場合を除く)
    • ワシントン条約に違反する事業(各国の留保事項には配慮)
    • 児童労働・強制労働を行っている事業
セクター横断的な留意対象
  • 項目追加
    • 先住民族の地域社会へ負の影響を与える事業
    • 非自発的住民移転に繋がる土地収用を伴う事業
兵器
  • クラスター弾についてはその非人道性を踏まえ、資金使途に関わらず、クラスター弾を製造する企業に対する投融資等は行わない
  • 対人地雷・生物化学兵器の追加
    • クラスター弾、対人地雷、生物化学兵器についてはその非人道性を踏まえ、資金使途に関わらず、これらを製造する企業に対する投融資等は行わない
石炭火力発電
  • 原則、世界最新鋭である超々臨界圧及び、それ以上の高効率の案件に限定(運用開始日以前に支援意思表明済みの案件は除く)
  • 国際的なガイドライン(OECD公的輸出信用ガイドラインなど)、導入国のエネルギー政策・気候変動対策、日本のエネルギー政策や法規制と整合する場合に限り対応
  • 対応方針厳格化
    • 石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする投融資等は行なわない(運用開始日以前に支援意思表明済みの案件は除く)
    • 但し、当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠であり、かつ、温室効果ガスの削減を実現するリプレースメント案件は慎重に検討の上、対応する可能性あり
    • また、エネルギー転換に向けた革新的、クリーンで効率的な次世代技術の発展等、脱炭素社会への移行に向けた取り組みについては引き続き支援
石炭採掘
  • セクターの追加
    • 環境に及ぼす影響および労働安全衛生等に十分に注意を払い取引判断
    • Mountain Top Removal(山頂除去)方式で行う炭鉱採掘事業への投融資等は行わない
    • 気候変動に伴う移行リスクへの対応等を取引先とのエンゲージメントを通じて確認
石油・ガス
  • セクターの取り組み方針を定めていたが非開示
  • 環境に及ぼす影響および先住民や地域社会とのトラブルの有無等に十分に注意を払い取引判断
  • 本セクターについては今回から開示
  • 気候変動に関する対応状況確認の追加
    (左記に以下を追加)
    • 気候変動に伴う移行リスクへの対応等を取引先とのエンゲージメントを通じて確認
パームオイル、
木材・紙パルプ
  • 認証の取得状況、先住民や地域社会とのトラブルの有無等に十分に注意を払い取引判断
  • 気候変動・人権の観点で対応状況確認・要請の厳格化(左記に以下を追加)
    • 取引期間において、違法な活動が確認された場合には早急に改善を促す
    • 社会的課題に対して適切な対応がなされていない場合には、改善に向けてエンゲージメントを実施し、改善策が不十分である場合は新規の投融資等は実施しない
    • 当該セクターの取引先については、「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE: No Deforestation, No Peat and No Exploitation)等の環境への配慮を定めた方針の策定や、地域住民等への「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC: Free, Prior and Informed Consent)の尊重を求めていく
  • ※3TCFD提言に基づくシナリオ分析の概要は以下の通り(詳細は別紙5)

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項目 概要
移行リスク 与信コスト 約1,200億~3,100億円の増加
シナリオ IEA1のSDS2シナリオ/NPS3シナリオ
対象セクター 国内電力ユーティリティ、国内エネルギー(石油・ガス、石炭)
対象時期 2050年(IEAのシナリオは2040年までの公表ながら、2050年まで推計)
示唆・必要なアクション 脱炭素への移行に向け、中長期を見据えて今から対応を行うことの重要性を再認識
取引先とのエンゲージメントをより一層強化し、取引先のニーズや課題を深く理解することで、ビジネス機会の捕捉とリスク管理強化につなげていく
物理的リスク 与信コスト 担保価値影響:限定的 事業停滞影響:(分析中)
シナリオ IPCC4のRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)、RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)
分析内容 担保価値影響と事業停滞影響
分析対象 国内のみ、事業停滞影響は本社所在地ベース(中堅中小企業が対象)
示唆・必要なアクション 国内担保価値影響は軽微であることを確認
事業停滞影響は分析中であり、分析結果を踏まえ必要な対応を検討
  • 1IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関
  • 2SDS(Sustainable Development Scenario):気温上昇を2℃以内に抑える脱炭素化が進むシナリオ
  • 3NPS(New Policies Scenario):パリ協定で公約した施策が実施されることを想定したシナリオ
  • 4IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
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