PCAFを活用したカーボンアカウンティングへの取り組み
カーボンアカウンティング(炭素会計)とは、ある事業活動がどれだけ温室効果ガス(GHG)の排出あるいは削減に寄与したかを算定し集計する取り組みです。みずほ銀行では、気候変動問題への取り組みとして、独自の算出手法による「カーボンアカウンティング(炭素会計)」を用いて、融資した発電プロジェクトから排出されるCO2排出量を把握し、2006年度から集計結果を公表しています。2019年度からは、国際的なイニシアチブの一つであるPCAFのコンセプトを活用し、更に信頼性と透明性のある情報を開示します。そして、蓄積した集計結果を、将来の経営情報として活用し、脱炭素社会構築に役立てることを目指しています。
カーボンアカウンティングの概要
PCAFとは
金融向け炭素会計パートナーシップ(Partnership for Carbon Accounting Financials)。金融機関が融資・投資を通じて資金提供した先のGHGの排出を整合的に算定するための枠組。
(https://carbonaccountingfinancials.com/)
みずほ銀行のカーボンアカウンティング(炭素会計)は、2006年度以降、該当年度に調印した新規の大規模発電プロジェクトを対象としていましたが、2019年度からは、プロジェクトファイナンスを活用した発電プロジェクトのポートフォリオを対象として、PCAFのコンセプトを採用し公表しています。
CO2排出量
PCAFスタンダードにある以下の計算式により排出量を算定しています。
発電セクターポートフォリオのFinanced Emissions = Σ(年間発電量×セクター別排出係数×みずほ帰属係数)
CO2削減貢献量
「削減貢献量(Avoided Emissions)」とは、自社の製品・サービスの使用を通じて、社会全体のGHG排出削減に貢献した量を定量化したものです。脱炭素社会の実現に向けて、自社やバリューチェーンのGHG排出量の削減に取り組むことが重要である一方、経済活動や事業活動が増えればGHG排出量はおのずと増加します。こうしたことから、経済成長とGHG排出量削減を両立させる上で、削減貢献量を適正に評価し、脱炭素ソリューションを資金面で支えていくことの重要性が増しています。
みずほ銀行でも、自身のプロジェクトファイナンスのポートフォリオにおける削減貢献量を計測するために、PCAFスタンダードのAvoided Emissionsのコンセプトを活用しています。プロジェクトが所在する地域において、最も大きな発電量に寄与している化石燃料のCO2排出係数を利用し、みずほ銀行が融資する再生可能エネルギーによる発電プロジェクトのCO2排出削減量を算定しました。みずほ銀行による削減貢献量については、上記のみずほ帰属係数をPCAFスタンダードに沿って活用しています。
削減貢献量のイメージ図
- ①各案件のベースライン排出量:プロジェクトが所在する地域において、最も大きな発電量に寄与している化石燃料のCO2排出係数を利用し算定した理論上のCO2排出量であり、各案件において参照する基準のシナリオとなります。
- ②CO2排出削減量:再生可能エネルギーの導入により生じる、当該ベースライン排出量との差分が各案件のCO2排出削減量として算定されます。
- ③みずほ銀行の削減貢献量:各案件のCO2排出削減量にみずほ帰属係数を掛け合わせることで、みずほ銀行の削減貢献量を算定しています。
- ※上図はイメージであり、必ずしも各案件の状況を正確に表すものではありません。
PCAFを用いた算定結果
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単位 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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発電セクターポートフォリオのFinanced Emissions | キロトンCO2 | 8,901 | 8,627 | 8,765 | 10,308 | 10,502 |
発電セクターポートフォリオのCO2削減貢献量 | 4,349 | 4,688 | 4,871 | 6,390 | 6,942 |
〈みずほ〉では、電力の脱炭素化への経路は、各国・地域のエネルギー安全保障や地理的・社会的要因によって多様であり、各国・地域の実情に即した秩序ある移行の促進が必要と考えています。こうしたことから、みずほ銀行の発電セクターポートフォリオのFinanced Emissionsについても、国や地域の実情に応じて増加することがあります。一方で、〈みずほ〉は今後も再生可能エネルギーの普及に向けて支援を継続して行い、社会全体の脱炭素化に貢献していきます。