「アートとジェンダー」共同研究プロジェクト
「アートとジェンダー」共同研究プロジェクトは2023年に開始し、共同研究・レクチャー・ワークショップ等を通じて、〈みずほ〉の社員と東京藝大がともに考察を深め、社会課題に取り組んでいます。
本プロジェクトでは、ジェンダーやこどもを取り巻く環境など、現代社会が直面する課題をテーマに掲げ、2024年度は〈みずほ〉の社員9名と東京藝大キュレーション教育センター(CCS)のスタッフが連携して活動を行いました。
CCSは、現代社会の課題を反映して多様化する「キュレーション」に取り組む教育と研究の場であり、アートと社会をつなぐ領域横断的な活動を展開しています。これからもシンポジウムや展示、イベントなどを通じて社会に向けた発信を行い、ジェンダーやこどもを取り巻く環境といった社会課題への取り組みを進めていく予定です。
研究助成
「アートとジェンダー研究会」
藝大生と〈みずほ〉の社員がともに考察を深め、社会課題に取り組むプロジェクトです。
2024年度
2年目となる2024年度は、1年目に参加していた有志の藝大生や教職員が、下記4つのリサーチ・プロジェクトを立ち上げ、実施しました。




シンポジウム | アートとジェンダー:ケアの視点から(2024年11月30日)

第1部 トーク&ディスカッション「ケアと芸術─音・身体・フィクション」
ゲスト:伊藤亜紗さん(美学者)
聞き手:清水知子さん(東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科教授)
モデレーター:難波祐子さん(東京藝術大学 キュレーション教育センター 特任准教授)
第2部 リサーチ企画報告会
登壇者:伊志嶺絵里子さん、大石みちこさん、Cho Hyesuさん、寺田健人さん
2023年度
1年目の2023年度は、レクチャーシリーズ&リサーチプログラムとして「アートの現場における女性の社会進出」をテーマに、多彩なゲストを迎えて下記の全5回のレクチャーやディスカッション、有志の藝大生・教職員+〈みずほ〉の社員によるチームが、アートの実践の場における諸問題をジェンダーの観点からリサーチしました。
第1回 | 2023年10月27日
アートとジェンダー -過去・現在・未来-
ゲスト:清水知子さん(東京藝術大学国際芸術創造研究科・准教授)
※2023年度当時
第4回 | 2023年12月8日
女性演奏家をめぐる労働環境について
ゲスト:箕口一美さん(東京藝術大学国際芸術創造研究科・准教授)
※2023年度当時
第2回 | 2023年11月24日
「盛り」の誕生:女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識
ゲスト:久保友香さん(メディア環境学者)
第5回 | 2023年12月15日
子育てとフリーランス・キュレーターをめぐる問題について
ゲスト:難波祐子さん(東京藝術大学キュレーション教育研究センター・特任准教授)
第3回 | 2023年12月1日
女性であることとつくることについて
ゲスト:碓井ゆいさん(アーティスト)
第1回 | 2023年10月27日
アートとジェンダー -過去・現在・未来-
ゲスト:清水知子さん(東京藝術大学国際芸術創造研究科・准教授)
※2023年度当時
第2回 | 2023年11月24日
「盛り」の誕生:女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識
ゲスト:久保友香さん(メディア環境学者)
第3回 | 2023年12月1日
女性であることとつくることについて
ゲスト:碓井ゆいさん(アーティスト)
第4回 | 2023年12月8日
女性演奏家をめぐる労働環境について
ゲスト:箕口一美さん(東京藝術大学国際芸術創造研究科・准教授)
※2023年度当時
第5回 | 2023年12月15日
子育てとフリーランス・キュレーターをめぐる問題について
ゲスト:難波祐子さん(東京藝術大学キュレーション教育研究センター・特任准教授)
モデル事業「こどもと地域」に関する研究
東京藝大では、2019年度から足立区を拠点にこどもを取り巻く環境における課題にアートで取り組むプロジェクトを行っています。
2023年度より〈みずほ〉も連携し、社会課題のリサーチやワークショップ、イベントの実施などに参画しています。
2024年度
昨年度の企画を一歩発展させて、藝大生やアーティスト、地域のこどもがともに創りあげる「アートなお祭り」や、アートパフォーマンス「Memorial Rebirth千住」による市民参加型のイベントを実施しました。
- ムジタンツクラブのアートなお祭り パート3 〜ハロウィン編〜
- 思春期のこどもたちに届けるオリジナルオーディオドラマ
- 大巻伸嗣 Memorial Rebirth 千住 2024 舎人公園
- 関連ワークショップ

2023年度
こどもを取り巻く環境をテーマに特別企画を実施しました。
事業助成
東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト
東京藝大は、「世界を変える創造の源泉」として、アートが持つ無限の可能性を社会に向けて伝え、実践によって示すため、2019年度より企画公募事業『東京藝大「I LOVE YOU」プロジェクト』を展開しています。
2024年度からはCCSと〈みずほ〉の共同研究の一環として、東京藝大の卒業・修了生を対象に「ジェンダー」「こども」をテーマにした企画募集を開始し、初年度は、多数の応募の中から映像・音楽・伝統芸能など様々な分野の企画、計8件が採択されました。
本事業の特徴は、CCSスタッフと〈みずほ〉の社員が協力して、採択者の企画実現をサポートするという点です。
〈みずほ〉の社員は、採択者に対してプロジェクトマネジメントや広報面のサポート、ワークショップなどイベントでの支援、プロジェクトについての相談や振り返りなどを行いました。
こうした取り組みを通じて〈みずほ〉は、アーティストを経済的な側面だけでなく、社会実装の観点からも支援しました。
アーティストそれぞれが持つ興味や関心を社会に向けて展開し、さらなる自己成長の機会とするために〈みずほ〉はアーティストと社会の懸け橋としての役割を担い、CCS・採択者とともに挑戦しています。
2024年度に採択された8件のうち、採択者有志による活動紹介が行われました。



「I LOVE YOU」プロジェクト 2024 採択企画
- あそびとこころのみかた展
東京藝大DOORの授業内で制作された成果物を中心に、ケアにまつわる作品を集めた展覧会の開催 - Projects HAKI-DASHI:吐き出し喫茶・ハキダシラヂオ
アート関係者が抱える夢や愚痴を吐き出す窓口として「吐き出し喫茶」を、ゲストを迎え情報発信を行う「ハキダシラヂヲ」を実施 - 土弄りのお色直し:土着の伝統文化をクィアに着熟すための催し
愛媛県松山市にてクィア文化を紹介、地方に生きるクィアにとって居場所となるような、コミュニティベースのプロジェクトを実施 - まちへ飛び出せ!子ども自習室〜身近な自然・産業から学ぼう〜
こどもたちが居住地のまちを探索し、そこで出会ったマテリアルを用いた制作を行う。3-4か月をかけてこどもたちにアーティストになりきってもらう - This is (not) my lullaby
「音楽とフェミニズム」をテーマにしたマガジンの作成・出版、およびその出版記念イベント - 子どもが演じるとき〜廣原暁監督特集上映会&トークイベント〜
子どもを主演にした映画を多数制作している廣原暁監督の特集上映会とトークイベントの開催 - みらいのおんがくかい~ヴァイオリン、こと、ピアノでつむぐ~
各国の女性作曲家をテーマにしたコンサートの実施。年齢制限を設けず、未就学児も受け入れる - 狂言による児童養護施設でのワークショップの実施
児童養護施設にて簡易的な能舞台を作り、実演を交えた狂言のワークショップを行う
ゲストレクチャー
トーク&ディスカッション「アーティストに今求められるプロデュース力とは」
「I LOVE YOU」プロジェクト2024の採択者、CCSスタッフ、伴走支援を行った〈みずほ〉の社員が登壇し、1年間の取り組みを振り返るイベントが開催されました。
イベントでは、各採択者が企画を通じて得られたことや困難だった点をエピソードとともに報告し、〈みずほ〉の社員からは実際に行ったサポート、伴走支援の感想、採択者への想いなどを共有しました。
イベントを通じて、参加者からは「企画や運営のヒントがたくさん得られた」、「共同研究や伴走支援の意味がよくわかった」といったコメントが寄せられ、助成事業に応募する心理的ハードルが緩和されたようです。CCSスタッフから〈みずほ〉に対しては、卒業生・修了生への支援を充実させる第1歩となったという前向きなフィードバックがあり、有意義な時間となりました。
2025年度も引き続き東京藝大との連携を深め、アーティストとして自立した活動を希望する卒業生・修了生を支援し、アートと社会の橋渡しとしての役割を果たしていきます。

メッセージ
2023年度から始まった「アートとジェンダー」共同研究プロジェクトでは、社会課題に対し様々な取り組みを行ってきました。
研究助成では、アートが抱えるジェンダーに関する課題への取り組みや、アートを通じてこどもを取り巻く環境などの社会課題について考えるきっかけを作りました。事業助成では、若手アーティストの想いや彼らのアイデアの実現にアドバイスを行うなど、CCS・〈みずほ〉がともに経済的・人的サポートを行いました。それぞれのプロジェクトに共通する重要なことは「継続」です。変化の灯火を、世界を照らす光へと育むため、今後も敬意と愛情をもって支援活動を続け、アートと社会が共存し、ともに豊かな実りを実現する世界を目指していきます。