2022年3月25日
株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほ銀行
【FinTech】端末の位置情報や顔認証技術を活用したDigital IDによる本人認証および継続的顧客管理に関する実証実験の完了
株式会社みずほフィナンシャルグループ(執行役社長:木原正裕)の中核子会社である株式会社みずほ銀行(頭取:藤原弘治)は、2020年4月10日付プレスリリース(*1)の通り、2020年5月より、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社、株式会社野村総合研究所および大日本印刷株式会社と共同で、端末の位置情報(ジオロケーション)や顔認証技術を活用した「デジタルアイデンティティ(Digital ID)」による、「インターネットバンキングにおける本人認証」および「継続的顧客管理(CDD:Customer Due Diligence)」のシステム基盤の構築、サービスの実現に向けた実証実験を実施してきましたが、本実証実験は2021年9月に完了しました。本実証実験は、金融庁の「FinTech実証実験ハブ(*2)」第6号支援案件として採用されており、金融機関33行の参加協力を得て、取り組みました。
- (*1)【FinTech】端末の位置情報や顔認証技術を活用したDigital IDによる本人認証および継続的顧客管理に関する実証実験の開始
- (*2)FinTech実証実験ハブ:金融庁による、フィンテックを活用したイノベーションに向けたチャレンジを加速させるための、フィンテックに係る実証実験を容易にする取り組み。FinTech実証実験ハブは、金融庁がフィンテック関連の企業や銀行等が、実験を通じて整理したいと考えている論点(コンプライアンスや監督対応上のリスク、利用者にサービスを提供する際に生じうる法令解釈に係る実務上の課題等)について、継続的な支援を行うスキームです。
1. 実証実験の概要
- (1)趣旨
本実証実験では、インターネットバンキングにおける本人認証や顧客の登録情報管理において、スマートフォン等の端末の位置情報や顧客の生体情報等を活用することにより、インターネットバンキングにおけるセキュリティの確保や、銀行による顧客管理(カスタマー・デュー・ディリジェンス)の高度化が可能か等を検証。 - (2)期間
2020年5月から2021年9月まで - (3)参加者
株式会社みずほ銀行 本実証実験の考案、設計、効果検証等主幹事行
グーグル・クラウド・ ジャパン合同会社 当実証実験における技術支援の提供
株式会社野村総合研究所 インターネットバンキングにおけるアプリおよびサーバーシステムの構築
大日本印刷株式会社 顔認証技術を活用した本人確認機能の提供、API連携による顔認証機能・e-KYC機能の構築
協力銀行(33行、記載は銀行番号順) 株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、
株式会社りそな銀行、ソニー銀行株式会社、
株式会社北海道銀行、株式会社青森銀行、
株式会社七十七銀行、株式会社東邦銀行、
株式会社横浜銀行、株式会社第四北越銀行、
株式会社山梨中央銀行、株式会社八十二銀行、
株式会社静岡銀行、株式会社滋賀銀行、
株式会社池田泉州銀行、株式会社中国銀行、
株式会社広島銀行、株式会社琉球銀行、
株式会社山口銀行、株式会社京都銀行、
株式会社紀陽銀行、株式会社伊予銀行、
株式会社四国銀行、株式会社福岡銀行、
株式会社肥後銀行、株式会社鹿児島銀行、
株式会社西日本シティ銀行、
株式会社北九州銀行、株式会社北洋銀行、
株式会社もみじ銀行、株式会社西京銀行、
株式会社愛媛銀行、株式会社ゆうちょ銀行- (4)実証結果
- ①顔認証と位置情報の組み合わせによる本人認証ではなく、インターネットバンキングの本人認証における従来のID・パスワード方式の二要素目もしくは三要素目として活用可能性あり。
- ②取引に利用された端末の位置情報は、金融機関において適切に把握できる態勢を構築し、他の顧客管理手法に加えて使用することを前提に、顧客情報の確認や最新化に活用可能性がある。
尚、実装に向けては、上記①は機能詳細設計等、上記②は技術的課題や人員態勢など運用課題等への対応が必要。
(ご参考)実験内容の詳細
本実証実験では、実証実験用アプリケーションを用いて、主に以下の流れで、顔認証(口座開設時登録した顔情報と取引時の顔情報との照合)及び位置情報を用いた取引認証を行い、その認証精度やユーザビリティ等を検証。
- (1)新規口座開設段階におけるe-KYC時に位置情報を取得。また、本人確認書類(券面)の顔写真との一致を確認した顔画像情報を取得。
- (2)実証実験用アプリケーションでの疑似取引時に顔情報及び位置情報を取得し認証を実施。
※実験では、便宜的に、取引時における顔情報及び位置情報による認証とした。 - (3)住所や職場等取引場所として登録した場所以外での取引を検知した場合等に、居住性確認通知(登録場所での位置情報取得の要請)を実施。位置情報が登録場所と一致せず居住を確認できない場合には登録場所の変更を促す通知を送付。
2. 本技術を用いて目指す提供価値
- (1)犯罪抑止/不正送金防止
ネットワークを介した遠隔操作による不正送金(サイバー犯罪)が増加するなか、送金オペレーションの場所の限定や特定(追跡)により犯罪を抑止。 - (2)キャッシュレスにおける安心感
ユーザー自身が決済・送金等のオペレーションの場所(自宅や職場等を想定)を指定し、不正抑止。キャッシュレスへの安心感に繋がる。 - (3)見守り(保護者等による使用制限)
保護者や介護者が子供や認知症高齢者の送金オペレーションの場所を限定でき、想定外の浪費を抑制可能、或いは、送金オペレーションの場所を追跡可能。
3. 今後の取り組み方針
銀行やペイメント業者のモバイル決済アプリのセキュリティ向上や顧客管理への活用について検討を進め、キャッシュレスサービスが拡大するなか、不正取引防止やユーザーの安心感に繋げていくことを目指します。
以上