2020年4月10日
株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほ銀行
【FinTech】端末の位置情報や顔認証技術を活用したDigital IDによる本人認証および継続的顧客管理に関する実証実験の開始
株式会社みずほフィナンシャルグループ(執行役社長:坂井 辰史)の中核子会社である株式会社みずほ銀行(頭取:藤原 弘治)は、2020年5月より、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社、株式会社野村総合研究所および大日本印刷株式会社と共同で、端末(*1)の位置情報(ジオロケーション)や顔認証技術を活用した「デジタルアイデンティティ(Digital ID)」による、「インターネットバンキングにおける本人認証」および「継続的顧客管理(CDD:Customer Due Diligence)」のシステム基盤の構築、サービスの実現に向けた実証実験を開始します。
本実証実験は、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」(*2)の第6号支援案件として採用されています。
- (*1)スマートフォン、タブレット、ノートパソコン等のモバイル端末
- (*2)FinTech実証実験ハブ:金融庁による、フィンテックを活用したイノベーションに向けたチャレンジを加速させるための、フィンテックに係る実証実験を容易にする取り組み。FinTech実証実験ハブは、金融庁がフィンテック関連の企業や銀行等が、実験を通じて整理したいと考えている論点(コンプライアンスや監督対応上のリスク、利用者にサービスを提供する際に生じうる法令解釈に係る実務上の課題等)について、継続的な支援を行うスキームです。
- 1.実証実験に取り組む背景
昨今、サイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、2019年には9,519件と過去最多を記録しました(*3)。インターネットバンキングが普及する一方で犯罪への脅威が高まっています。現在、インターネットバンキングにおける本人認証は、セキュリティ確保とお客さまの利便性のバランスを図るため、ID・パスワード等の「知識」と、専用カードやワンタイムパスワード等の「所有物」の二要素認証が主流です。しかし、これら二要素での認証では、フィッシング等によるパスワードの漏洩や他人に対する専用カードの不正な貸与等を通じた不正アクセスを完全に排除することは困難であり、お客さまの利便性を損なわないまま、さらにセキュリティを高めていくことが求められています。
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(*3)警察庁「令和元年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2020年3月5日)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R01_cyber_jousei.pdf
また、CDDは、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策において金融機関に求められている責務であり、FATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)も重視している分野です。
こうした環境の中、<みずほ>は、本実証実験で、スマートフォン等の端末の位置情報や顔認証技術を活用することによるインターネットバンキングにおけるセキュリティの確保や、端末の位置情報を活用したCDDの高度化が可能か等を検証します。
- 2.本実証実験の目的
本実証実験では、従来にない以下の新たな価値を検証し、提供することを目指します。
<位置情報、顔認証技術を活用したDigital IDにおける新たな提供価値>
- ①位置情報、顔認証を活用した安心感のある本人認証
- 自宅住所等での端末操作を認証の制約にすることで不正アクセスを防止
- 顔認証を活用してフィッシング詐欺等を防止
- ②クラウド照合による端末に制約されない認証
- 紛失の心配がない顔認証とクラウド照合の組み合わせにより、端末紛失時にも安全と利便性を確保(端末紛失時にも機動的かつ正確な再認証が可能)
- 端末に依拠しないので、端末がない環境での認証にも利用可能
- ③サービスレベルごとの認証設定
- 高額取引は自宅住所での端末操作に限る等の設定が可能となり、セキュリティを向上させ不正利用を防止しながら、安心して高額取引をすること等が可能
- ④住所等の変更に伴う適切な情報更新
- 登録情報が実態と異なる場合に適切な情報更新を促すことが可能
(活用事例)

- 3.実証実験の概要
- (1)固定式のID・パスワートドを使用せずに、端末の位置情報・顔認証技術を活用したDigital IDによるインターネットバンキングの本人認証を検証。
- (2)端末の位置情報・顔認証技術を活用したDigital IDシステムによるCDDの高度化を検証。
- 実施期間:2020年5月11日~2020年10月9日
- 実施内容:仮想口座を利用した口座開設(初期登録)、送金、住所変更、登録情報変更の要請
- 参加者および実施内容
株式会社みずほ銀行:本実証実験の設計、効果検証等
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社:当実証実験における技術支援の提供
株式会社野村総合研究所:インターネットバンキングにおけるアプリおよびサーバーシステムの構築
大日本印刷株式会社:顔認証技術を活用した本人確認機能の提供、API連携による顔認証機能・eKYC機能の構築 - 個人情報の取り扱い:実証実験参加者の個人情報は「FISC安全対策基準」(*4)に従って策定した基準に則り取り扱います。
(*4)FISC安全対策基準:公益財団法人金融情報システムセンター発刊の「金融機関等コンピュータシステムに関する安全対策基準・解説書」
- 4.今後の取り組み方針
本実証実験の結果は、金融庁のFinTech実証実験ハブのWebページで公表する予定です。技術的側面以外に、法律、セキュリティ等に関する整理も行い、商品化の実現可能性を検証の上、商品化を目指します。
以上