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2017年10月13日

株式会社みずほフィナンシャルグループ

配当を取締役会で決定することについて

株式会社みずほフィナンシャルグループ(執行役社長:佐藤 康博、以下、「当社」)は、第15期定時株主総会(以下、「本株主総会」)において株主さまからのご提案として、第3号議案「定款一部変更の件(剰余金の配当等の決定機関)」(以下、「本議案」)を上程いたしました。当社取締役会は、剰余金の配当等について株主提案を可能とする本議案について慎重に審議・検討を重ねた上で、これに反対いたしましたが、その一方で、Institutional Shareholder Services Inc.(以下、「ISS」)は本議案に賛成推奨を行いました。

本議案につきましては、株主さまから同様のご提案を受けた2015年以降、当社はこれを真摯に受け止め、慎重に検討を行ってまいりました。また、本株主総会後も、コーポレートガバナンス・コード(補充原則1–1①)の趣旨を踏まえ、議論・検討を続けてまいりました。

まず、2017年7月24日開催の「社外取締役会議」において、独立社外取締役のみで議論を行い、同会議でまとめた独立社外取締役の見解が当社の執行役社長に伝えられました。その後、2017年8月17日開催の取締役会において、独立社外取締役の見解を踏まえた議論を、改めて実施いたしました。

本議案への賛成を推奨したISSの見解に準拠された株主さまも多いことから、今般、下記のとおり、ISSの見解に対する当社の考え方を含め、当社取締役会の見解を改めてご説明申し上げます。

1.配当の定款授権をめぐる経緯

当社は、2014年に指名委員会等設置会社に移行する際に、定款の定めにより剰余金の配当等の決定機関を株主総会ではなく取締役会とすることといたしました(以下、「配当の定款授権」)。これは、後述のとおり、重要な経営事項である資本政策は、配当も含めて、取締役会で経営方針と一体で総合的に判断すべきという考え方に基づきます。
この配当の定款授権に対して、第13期定時株主総会(2015年度)、第14期定時株主総会(2016年度)において、株主さまから定款一部変更のご提案がなされ、当社が反対意見を表明する一方で、株主提案に対し、それぞれ41%、48%の賛成が集まりました。

2016年度には、株主提案への賛成が半数近くに上ったことを真摯に受け止め、当社としては、まず、株主の皆さまの立場に立つ者として独立社外取締役のみで構成する会議で、次いで、取締役会で、何が株主の皆さまの利益になるかとの視点に立って徹底的に議論し、独立社外取締役も含めた当社取締役会としての見解を共有いたしました。
この見解を、個々の機関投資家に対して丁寧にご説明させていただき、併せて『第15期中間 株主の皆さまへ』の冊子などを通じて、株主の皆さまへ説明を行ってまいりました。また、株主提案に対して賛成の推奨を行ったISSとも対話を重ねてまいりました。

第15期定時株主総会(2017年度)においても、株主さまから同様のご提案がなされました。当社の説明を受けて前年度から意見を変えていただいた機関投資家もあり、賛成は前年度より低い43%となりましたが、ISSは、今回も株主提案への賛成を推奨しました。

コーポレートガバナンス・コードには、ガバナンス体制が整った企業においては、総会決議事項の一部を取締役会に委任するよう株主総会に提案することが、経営の機動性・専門性の確保の観点から望ましい場合があることが記載されています(補充原則1–1②:末尾注参照)。

当社取締役会は、豊富な経験や高い知見を有するメンバーで構成されており、経営に関するあらゆる事項(マクロ経済・収益見通し・金融規制等)について、リスク委員会の助言なども踏まえつつ、高度な専門性を持って深い議論を行う体制を整えております。また、取締役会議長(以下、「議長」)を独立社外取締役が務め、指名委員会、報酬委員会ともに独立社外取締役のみで構成していることに加え、今年の6月に監査委員会の委員長を独立社外取締役として、指名、報酬、監査の法定3委員会がいずれも独立社外取締役が委員長を務める体制となるなど、高い監督機能を有しております。こうした体制を有する当社が配当の定款授権を行うことは、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に沿ったものであると確信しております。

本リリースは、配当の定款授権に関する当社の見解を、独立社外取締役も含めた当社取締役会の総意として、改めてお示しするものであり、併せて、当社の見解に一定の理解を示しながらも株主提案への賛成を推奨したISSの見解に対する当社取締役会の見解をご説明するものです。

2.配当の定款授権に対する当社の見解

当社は、高度な経営判断である配当、自己株式取得等の資本政策に係る事項は、取締役会が全責任を持って、経営方針と一体で決めるべきであり、そうすることが中長期的な企業価値向上ひいては株主の皆さまの中長期的な利益の最大化につながるものと、考えております。
ただし、取締役会で配当の決定を行うためには、取締役会が株主の皆さまの立場に立って決定を行うに足るガバナンス体制を整えていることが必須要件であると考えます。
当社は、2014年に指名委員会等設置会社に移行し、ガバナンス体制を抜本的に改革して以来、以下のようにガバナンスの実効性を高める努力を続けてきております。

  • 重要な経営の基本方針である中期経営計画、毎年度の業務計画等は、策定初期段階から取締役会で議論し、決定している。
  • 毎回の取締役会における議案の設定や論点の明確化には、独立社外取締役である議長が深く関与するとともに、各議案については、全ての取締役が納得いくまで議論を尽くしている。納得が得られない場合、臨時取締役会を開催することもある。
  • 執行側との緊密な意思疎通と信頼感の醸成のために、取締役会以外の場で、執行側メンバーと独立社外取締役において個別ミーティングを頻繁に実施している。
  • 取締役会が有効に機能しているかについての評価は、第三者機関による実効性評価を行い、その結果を含めて定期的に自己評価を行っている。
  • 独立社外取締役のみの会議を年に数回開催し、取締役会の運営やガバナンス体制のあり方等を議論している。
  • 取締役会の議論の状況については、当社が主催する「Mizuho IR Day」等を通じて、議長が投資家に説明している。

このように、当社の取締役会は株主の皆さまに対する受託者責任を十分果たし得る体制を整えております。

自己資本を強化することを経営上の最重要課題の一つとする当社にとっては、剰余金の配当等を含む資本政策を、株主総会でなく取締役会にて、経営方針と一体的かつ機動的に議論することの必要性は一段と高いと考えております。
特に、国際的な金融規制(バーゼル規制等)は常に変化しており、足許においても強化の動きがあるなかで、グループとしてG–SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)にも指定されている当社が、自己資本比率を高めつつ、株主還元を充実させていくためには、経営を取り巻く環境を適時に見定めながら、非公開情報なども踏まえて、機動的・専門的に資本政策を議論し、決定することが求められます。

3.ISSの見解に対する当社見解

当社の第15期定時株主総会(2017年度)の第3号議案『定款一部変更の件(剰余金の配当等の決定機関)』に関し、ISSが2017年6月3日付で発表したレポートによれば、株主提案への賛成理由として、おもに次の2点が示されているとの認識です。

  • 利益分配についての代替提案は、効率的な資本配分に関する経営陣のより高いアカウンタビリティを確保することになるとともに、指名委員会等設置会社への移行時に不必要に奪われた株主の権利を回復することになる。
  • 株主が配当についての見解を表明する機会を増やすことにより、当社が株主とのコミュニケーションを増進するのに役立つ。同時に、取締役会も、会社提案を株主総会に付議することを選択できるため、恩恵を受けるはずである。

この見解に対して、当社は次のように考えます。

  • (1)当社における配当の定款授権は、「総会決議事項の一部を取締役会に委任する」ことが「経営判断の機動性・専門性の確保の観点から望ましい場合があることを考慮に入れるべきである」とするコーポレートガバナンス・コードの補充原則1–1②に沿った対応を行っているものであります。
    配当の定款授権により、取締役会が、経営に関するあらゆる事項(マクロ経済・収益見通し・金融規制等)や多くの非公開情報をも適時に考慮に入れつつ、配当の確定やその他の資本活用策の機動的な決定が可能となります。
    また、当社とISSとの対話において、当社のガバナンス体制が、補充原則1–1②にいう「取締役会においてコーポレートガバナンスに関する役割・責務を十分果たし得るような体制が整っていること」という要件を充足していることについては、重ねて説明し、異論は示されませんでした。
    補充原則1–1②に即して判断すれば、当社の配当の定款授権が「経営判断の機動性・専門性の確保の観点から望ましい場合がある」といえるかどうかにより判断すべきで、当社の場合、これに該当することは明らかであり、現にISSからは、同レポートはもとより当社との再三にわたる対話においても、この点についての疑念は一切示されておらず、相互の意見に食い違いはないはずです。
    こうしたことからも、当社の配当の定款授権については、日本の法令(会社法及びコーポレートガバナンス・コード等のソフトローを含む)において、何ら問題ないものと考えております。
  • (2)ISSの見解の中にある「アカウンタビリティの確保」、「株主とのコミュニケーション」についてですが、本リリースからもご理解いただけますとおり、当社は、経営陣のみならず、取締役会ないし独立社外取締役においても、株主の皆さまに対して積極的に情報開示を行い、株主の皆さまと十分な意見交換を行うことについて格段の努力をしております。当社においては、経営陣のアカウンタビリティや当社と株主の皆さまとの間のコミュニケーションの素地が十分に確保されていると認識しております。
  • (3)しかしながら、ISSの見解においては、当社のガバナンス体制、コーポレートガバナンス・コードの補充原則1–1②の趣旨、当社の服する規制環境、当社の配当決定に必要な情報の質と量、当社取締役会や独立社外取締役による株主の皆さまへの情報開示や株主の皆さまとの意見交換の姿勢といった個別具体的事情が軽視され、結論として、「不必要に奪われた株主の権利を回復する」「当社が株主とのコミュニケーションを増進するのに役立つ」など、ISSは当社が展開した本質的な議論とは全く別の観点から、機械的・類型的な株主の権利に関する一般論に終始していると当社は考えております。
  • (4)わが国において指名委員会等設置会社の約7割は、配当を定款授権していますが、ISSが、これらの企業に対して、配当の定款授権を理由とした取締役の選任議案への反対推奨を行っているケースは見当たりません。株主提案がなければ配当の定款授権を認め、当社のように株主提案があった場合には認めないとするISSの推奨行動からは、議決権行使助言には限界があるように思われます。
    ISSは同レポートにおいて、「指名委員会等設置会社に関するISSのポリシーに従い、我々はみずほの取締役会が剰余金の配当を決定することについては問題視していない。しかし、株主による提案提出を禁止することには特別な注意を要する」とも記載しており、ISSの推奨は、当社取締役会の見解の妥当性やガバナンスの状況、株主・機関投資家との対話の努力等に関係なく、剰余金の配当にかかる株主提案権の有無のみでの判断に見え、各業種の規制や個社の個別具体的な事情も含めた適切な判断を行っているとは到底言い難いと当社は考えております。
    世界各国の資本市場において、影響力が益々大きくなっているISSに対しては、各企業の株主総会議案において、機械的・類型的な一般論に終始するのではなく、各社の個別具体的な状況を十分踏まえた推奨判断を行っていただくことを切に望みます。

当社の全ての取締役は、毎年の株主総会で、株主の皆さまによって選任され、経営を付託されていることの重みをしっかりと認識し、剰余金の配当に関しても株主の皆さまの中長期的な利益の観点から最適な判断を行わなければならない、という強い自覚を持ち、当社の経営に取り組んでおります。

株主・機関投資家の皆さまにおかれましては、当社のガバナンス体制やコーポレートガバナンス・コードへの対応、対話・コミュニケーションへの取り組み等を踏まえ、剰余金の配当等にかかる決定機関についての当社の考え方につき、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

  • 注:「コーポレートガバナンス・コード 補充原則1–1②」
    上場会社は、総会決議事項の一部を取締役会に委任するよう株主総会に提案するに当たっては、自らの取締役会においてコーポレートガバナンスに関する役割・責務を十分に果たし得るような体制が整っているか否かを考慮すべきである。他方で、上場会社において、そうした体制がしっかりと整っていると判断する場合には、上記の提案を行うことが、経営判断の機動性・専門性の確保の観点から望ましい場合があることを考慮に入れるべきである。

以上

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