
〈みずほ〉社員のA面/B面
2026年8月21日
〈みずほ〉社員が学生大会を支える理由とは?AI変革とライフル射撃、2つの現場で挑戦を後押しする社員
「この素晴らしい競技を、次の世代へとつないでいきたい」。そう話すのは、みずほフィナンシャルグループの小野。仕事(A面)でAIによる〈みずほ〉の変革をサポートするかたわら、プライベート(B面)では、20年以上続けるライフル射撃で、学生の大会や組織運営を支えてきました。畑の違う2つの現場で、小野が「支える側」に立ち続ける理由とは。
みずほフィナンシャルグループ
小野 広人
【A面】AIによる〈みずほ〉の変革を、予算運営で支える
—普段のお仕事を教えてください。
私が所属するのは、AIによって〈みずほ〉のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する部署です。〈みずほ〉は今、AIの活用に全社で取り組んでいます。AIを使いこなすことで、お客さまに届けられる価値やサービスの幅は大きく広がっていく。そこに、これからの金融の可能性があると考えています。
現在はまだ、どのアイデアから新しい価値を創出できるのかを探っている状態です。部内では、大小様々なAI関連のプロジェクトが同時に動いていて、その一つひとつで実証実験を重ねています。
そうしたAI推進体制の中で私が担っているのは、予算管理です。限られた予算のうち、どのプロジェクトにどれだけ必要かを見極め、実際に計画通り使われているかを確認します。状況の変化に応じて、より効果的に予算を振り分けられるように調整し、プロジェクトが滞りなく進むようにしています。
部内で動いているプロジェクトは、どれも一度は予算の確認で私のところを通ります。目立つ役回りではありませんが、起点を担っているぶん、すべての挑戦に、少しずつ関わっていると感じます。

AI活用を進める部署で、予算管理を担う小野
—予算に携わる立場から、挑戦をどのような思いで支えているのですか。
チャレンジを止めるのではなく、挑戦する人の隣で、一緒に前へ進む存在でありたいと考えています。
プロジェクト担当者は、実現したいことを明確に持っています。ただ、当事者だからこそ社内決裁のための書類において前提や背景の説明が抜けてしまい、決裁者にプロジェクトの意図がうまく伝わらないケースが少なくありません。だからこそ、私は、第三者の目線で「この背景を補いましょう」と一緒に書類を整えて、誰が読んでも伝わるかたちにしていきます。
決裁者が判断するための論点が整理されていないと正しい判断ができず、どんなに良い施策でも承認されません。同時にいくつも走るプロジェクトの優先順位を見極め、調整していく予算管理には難しさもありますが、私の役割は進行を阻むことではありません。スムーズにプロジェクトを進めるためのパートナーとして、第三者の目線で必要な背景や根拠を一緒に補強していきます。
そのために欠かせないのが、本音で相談し合える関係です。オープンに話してもらえる信頼関係を、何より大切にしています。
—そうした思いは、どこから来ているのですか。
以前、個人向けの決済サービス等の商品企画を担当していた頃、私は「このサービスをもっと多くのお客さまに届けたい」と情熱を注いでいました。その一方で、予算の確保や周囲への説明には常に頭を悩ませていました。
商品担当者は高い熱量で動きますが、予算担当者は冷静な目線で見極めなければなりません。ただ、かつての自分と重なるからこそ、担当者の思いや焦りは痛いほど分かります。だからこそ気持ちに寄り添う一番の理解者でありたい。フラットな視点で線引きをしつつも、挑戦を止める「壁」ではなく「伴走者」であり続ける姿勢を忘れないよう、日々自分に言い聞かせています。
—今後に向けて取り組んでいることを教えてください。
予算については、日々、本当に多くの相談が寄せられます。ただ、そのすべてを私が個別にフォローし続けていては、部として育ちません。今後プロジェクトが増えていけば、なおさらです。
そこで、誰もが自分の力でプロジェクトを前に進められるよう部内の体制づくりにも取り組んでいます。例えば、スムーズに予算の手続きを進めるためのポイントをまとめた部内マニュアルを作ったり、部内向けの勉強会も開催したりしました。
地道な取り組みではありますが、この土台があるかどうかで、挑戦の数も、スピードも大きく変わってきます。そしてそれが、いずれお客さまへ届けられる「新しい価値」の創出につながっていくと信じています。

部内向けに勉強会も開催
【B面】ライフル射撃歴20年。競技の裾野を広げ、次の世代を育てる
—ライフル射撃を始めたのは、いつ頃ですか。
大学生のときです。幼い頃からぜんそくを患っていたこともあり、それまでスポーツとは縁遠い人生を送っていました。ただ、射撃は、的を狙って当てる静的なスポーツ。これなら自分にもできそうだと思って始めてみたら、とても性に合っていたのです。
競技にのめり込むうちに、自然と後輩に教える立場にもなっていました。大学卒業後は、恩師を手伝うかたちで母校のコーチとなり、やがて監督も引き継ぎました。自分がプレイヤーとして上をめざすというよりは、お世話になった場所に恩返しをしたいという気持ちが強かったですね。

20年以上続けるライフル射撃。的を狙って構える小野
—今は、日本学生射撃スポーツ連盟(以下、学生連盟)の運営にも深く関わっていらっしゃるそうですね。
現在、私は学生連盟の理事や競技普及委員長といった立場で運営に携わり、学生たちの相談役を務めています。力を入れているのは、射撃をやってみたい人を増やすこと、そして始めた人が続けられるように育てること。この2つです。
全国大会には400人以上の学生が集まります。その大会運営を中心に学生連盟の運営全般を支えています。毎年5月には、競技を始めたばかりの学生向けの講習会で講師を務め、2026年も100人以上が参加してくれました。
教える以上はきちんと学びたいと思い、コーチの資格を取りました。その後、国際審判の資格も取り、東京で開かれた世界的なスポーツの大会では、開催国側の役員として運営に携わりました。そこで身につけたことが、今の学生の大会運営にもいきています。
—学生たちの現場では、どのような課題があるのでしょうか。
2~3年前から関東の大学を一つずつ訪ねて回るうちに、決して放っておけない現実に直面しました。部員の少ない大学には指導者がおらず、学生だけで競技を続けている状況です。そのため、コロナ禍等で部員が一度でも途切れてしまうと、それまで受け継がれてきた技術や経験が失われてしまいます。
また、ライフル銃の価格は高騰しており、一度手放した銃を買い戻せない大学も少なくありません。かつての名門校が、資金難や部員不足によって静かに姿を消していく。このままでは、競技そのものが先細ってしまう、という強い危機感を抱きました。

2026年秋に愛知県で開かれる世界的な大会でも役員として運営に参加する予定
—そうした中で、ビームライフルの大会も開催されたそうですね。
ある大学では部員自体は20人以上いるものの、公式戦に出られる「選手登録をしている部員」は3人しかいませんでした。それに加えて、公式戦の出場には実銃の登録が必要ですが、価格高騰により手が出ず、部員の多数は体育館や教室等でも手軽に扱える、光線式のビームライフルで射撃を楽しんでいたのです。
こうした環境で「新しい銃を買って本格的に取り組もう」とは、なかなか言えません。それなら、今できることから手を打っておきたい。そう思って声をかけ、2025年に学生たちと登録選手以外も参加できるビームライフルの大会を開きました。区立の体育館を1日借りて行った小さな大会ですが、今後も定期的に続けていこうと考えています。
一方で、実弾にこだわる声もあります。ただ、形式に縛られて競技がなくなってしまっては意味がありません。始めるハードルを下げることで競技人口の裾野を広げることが、射撃を次の世代へ残すことにつながると思っています。
目の前の一人ひとりに寄り添い、挑戦の「土台」であり続ける
—仕事と射撃、それぞれの経験が、もう一方にいきていると感じることはありますか。
仕事で身につけた仕組みづくりの力が、射撃でもいきています。学生連盟が一般社団法人になったのを機に、非営利団体向けのクラウドサービスを取り入れ、大会の参加申し込みをオンラインで受け付けられるよう、システムを作りました。効率よく運営できるようになったのは、仕事で様々なサービスやプロジェクトに触れる経験があったからです。
逆に、学生たちと真摯に向き合う経験は、仕事での「聞く力」を大きく育ててくれました。学生からの相談は、最初から言いたいことが整理されているとは限らず、本音や核心がすぐに見えないことも少なくありません。それを根気よく聞いて、本当に求めていることを一緒に探る。その積み重ねが、仕事で担当者の狙いを引き出すときにも役立っています。
若い世代と関わり続けることで、自分の感覚を常にアップデートできるのも、ありがたいことです。

韓国合宿にて、未来の日本代表を担う学生たちと
—仕事でも射撃でも「支える側」に立ち続けています。その原動力は、どこにあるのでしょうか。
自分のしたことが巡り巡って誰かの役に立ち、その先の人に喜んでもらえる。それが、なによりの喜びです。
そうして人と向き合っていると、温かいつながりがずっと続いていきます。卒業した学生がふと近況を報告してくれたり、かつて競技をしていた社会人の方が、使わなくなった道具を「次の世代に使ってほしい」と譲ってくださったり。この関係こそが、私にとっての最大の財産なのかもしれません。
譲り受けた道具は、今まさに必要としている学生へと手渡していきます。実際に今も、これから競技を始める学生のために、練習用のコートや靴を方々から集めているところです。目の前の一人ひとりの挑戦を後押しできることが、今の私の楽しみになっています。
仕事でも射撃でも、やっていることは変わりません。誰かが一歩を踏み出すその隣で、一緒に走り続けていきたいと思っています。