
〈みずほ〉社員のA面/B面
2026年6月19日
システムの現場でもフットサルでも、いいパスを出し続ける。現役プロフットサル選手の社員
仕事(A面)とプライベート(B面)、両面で挑み続ける〈みずほ〉社員の姿に迫る連載。今回は、みずほ銀行の下田です。金融取引を支えるシステムの基盤をクラウドへ移行するプロジェクトに携わる一方、日本フットサルリーグ「Fリーグ」の現役選手としてピッチに立ち続けています。
株式会社みずほ銀行
下田 康聖
【A面】取引システムのクラウド移行プロジェクトを推進
—下田さんの普段のお仕事を教えてください。
私はIT部門で、サーバーやネットワークといったインフラ領域を担当しています。現在は、日々の業務で使用する「コモディティデリバティブ※」と呼ばれる金融取引を支える社内のシステムを刷新するプロジェクトに携わっています。
※原油、金、農産物といった「コモディティ(商品)」の価格を参照する金融派生商品(デリバティブ)のこと。コモディティは天候や国際情勢などによって価格が大きく変動しやすく、将来の価格変動リスクを回避(ヘッジ)するために使われる。例えば食品メーカーが原料となる小麦を仕入れる際、天候不順などによる将来の価格高騰リスクに備える場面において、〈みずほ〉は、お客さまのヘッジニーズに応じてコモディティ・デリバティブ取引等の提供を通じ、リスク管理を支援している。
具体的には、システムの機能自体は変えずに、それを動かしている土台であるサーバーをインターネット経由で利用する「クラウドサービス」へ移行するプロジェクトを進めています。ただ、金融取引を支えるシステムは一瞬でも止まれば取引に影響が出ます。稼働させたまま、接続している先の一つひとつが移行後も問題なく動作するよう調整していく。そこが難しくも、やりがいのある部分です。
—専門的な業務だと思いますが、大学ではITを学んでいたのですか。
実は大学では法学を専攻していたので、システムの知識はゼロからのスタートでした。入社して最初に配属されたのが〈みずほ〉として初めてクラウドサービスを導入したチームで、そこで一からシステムやクラウドの基礎を学びました。クラウドサービスへの移行プロジェクトを担当している今、改めて振り返ると、クラウド移行に関する設計書がしっかりと整っている環境で学べたことは、幸運でした。当時の経験で得た知見は、現在のプロジェクトでも大きな支えです。

入社3年目ながら、ツール開発やチームの進捗管理も担う
—現在のプロジェクトの中で、特に手応えを感じた場面はありますか。
基盤の移行に伴い、業務担当者が日常業務で使っていたデータの出力形式が変わってしまうという課題がありました。そのため、データ形式を変換するツールを自分で一から設計・開発したんです。担当者に仕様を説明し、フィードバックをもらいながら改良を重ねることで、ユーザーがデータを受け取るまでの時間を以前より短縮することができました。「作業が楽になった」という声をもらい、とてもうれしかったです。
—仕事をするうえで大切にしていることはありますか。
「いいパスを出せば、いいパスが返ってくる」。これはフットサルでも仕事でも共通して意識していることです。
具体的には、コミュニケーションの回数をとにかく増やすようにしています。些細なことでもすぐにチャットや電話で確認する。そうすることで、「こんなこと聞いていいのかな」という相手の心理的なハードルがどんどん下がっていくんです。その積み重ねが、チーム全体の働きやすさにもつながっていると感じます。
今後の目標は、新システムのリリースを確実に完遂すること。そして将来的には、これまで積み上げてきた経験をいかして、クラウド活用を推進するリーダーをめざしていきたいです。

日々、現場の声を聞きながら経験を積み重ねる下田
【B面】Fリーグで輝き、子どもたちに背中を見せたい
—フットサルはいつ頃始めたんですか?
小学1年生でサッカーを始め、その後フットサルに転向しました。サッカーよりもコートが狭く人数が少ない分、より多くボールに触れられる点に魅力を感じたのがきっかけです。小学5年生で地元・名古屋のトップクラブの育成チームに入り、大学生まで続けました。ただ、平日も毎日昼から練習があったため大学生活との両立が難しくなり、大学入学後1年でチームを退団することにしました。
でも、フットサル自体を諦めたわけではありません。その後は、夜に練習がある地域リーグのクラブに移り、3年間プレーを続けていました。Fリーグ※では、ほとんどの選手が働きながらプレーしています。それなら自分も、仕事もフットサルも全力でやればいい。そう考えたのが、今の生活の原点です。
※Fリーグ:日本フットサルのトップリーグ。Division.1(12チーム)とDivision.2(10チーム)の2部制。
—その後、どのようにして現在所属する「リガーレヴィア葛飾」と出会ったのですか。
育成チームにいた頃から、日本フットサル界のレジェンドである森岡薫さんにすごくかわいがっていただいたんです。Fリーグの初代最優秀選手で、得点王を4回獲得された方です。その森岡さんが当時、Fリーグのリガーレヴィア葛飾に所属されていて、「一緒にやろう」と声をかけてくださったので、迷うことなく入団を決めました。

育成チーム時代の下田と、フットサル界のレジェンド森岡薫さん(左)
そのため、就職先は東京で働けることを条件に探しました。ありがたいことに、いくつか内定をいただきましたが、当時、大きく変わろうと挑戦している〈みずほ〉の姿勢に共感して、入社を決めました。

Fリーグ Division.2のリガーレヴィア葛飾で、攻撃の要としてプレーする
—具体的に、どんな両立生活を送っているのか教えてください。
平日の火・水曜日は21時から23時まで、木曜日は24時まで練習があります。月・金曜日もジムで自主トレを重ね、土・日曜日はチームの活動があるので、週7日フットサルに関わっている状態です。正直、両立するのは肉体的にも精神的にも、きつい時期はあります。
—それでもフットサルを続けている理由は何ですか。
クラブの地域活動で小学校を訪問したり、イベントを開催したりすると、目を輝かせてくれる子どもたちがいるんです。毎試合見に来てくれる子もいて。自分が小さい頃に森岡さんに憧れたように、今度は自分が誰かの憧れになれている。
子どもたちって、試合だけでなく選手の生活や人生、すべてを見ているんですよね。だから、中途半端な姿は見せたくない。社会人として働きながらでもここまでやれるんだということを、背中で見せていきたいんです。

イベントで地域の子どもたちと触れ合う下田
今の目標は、Fリーグの得点王になることです。背番号9は森岡さんから直接受け継いだ番号で、サポーターの方が作ってくれた私の横断幕には、スペイン語で「王を継ぐ者」と書いてあります。この番号を背負っている以上、得点王になって当たり前だと思って挑んでいます。

満員のホームアリーナで、ゴールを決め応援席に向けて両手を広げる下田(背番号9)
小さい頃の自分に恥じない自分でいたい
—仕事とフットサル、それぞれの経験がもう一方にいきていると感じることはありますか。
前述した「いいパスを出せば、いいパスが返ってくる」という考え方は、フットサルで何度も体感してきたことです。仲間が次のプレーをしやすい場所に自分がパスを出すと、仲間からも同じようにいいパスが返ってくる。その繰り返しの中で身についた意識で、仕事にも向き合っています。
また、フットサルの試合では、事前にどれだけ戦術を準備しても、相手がいる以上、プラン通りにいかないことがほとんどです。試合開始直後に失点が重なることもある。そんなとき、冷静に「何が起きているのか」を分解して、チームメートと共有し、リアルタイムに改善していく。このPDCAを高速で回す感覚は、仕事で想定外の事態が起きたときにそのままいきています。
逆に、「目標から逆算して、やるべきことを順番に分解する」という考え方を仕事で学び、フットサルの練習計画にもいかせるようになりました。仕事とフットサルは本当につながっていると感じます。
—自身の中で両者のよい循環が起こっているからこそ、どちらも大切な時間なんですね。そこまで頑張れる原動力はどこにあるんですか。
小さい頃の自分を裏切りたくないんです。あの頃に憧れた存在は、きっと一切妥協しなかった。だから自分も、そうありたいと思っています。
正直、肉体的、精神的に両立を続けるのはきついと感じるときもあります。そんなときに心の支えになっているのが、僧侶をしている曽祖父が書いた言葉です。実家にある掛け軸をスマートフォンで写真に収めて、ときどき見返しています。

迷いが生じたとき、原点に立ち返るために見返す曽祖父の言葉
掛け軸の言葉を見ると、ケガやうまくいかないことがあっても、地道に向き合って一つずつ課題を解決していけば、少しずつでも前に進めるんだという気持ちになります。〈みずほ〉は大きく変わろうとしている最中にあり、Fリーグ参入から間もないリガーレヴィア葛飾もまた、これからのチームです。その偶然のつながりを感じながら、どちらのチームでも全力でやっていきたいと思っています。