ページの先頭です
本文の先頭です

CEOメッセージ

PDF/3,329KB

「ともに挑む。ともに実る。」を胸に、あらゆる主体の挑戦を支え、新たな価値を共創する「志」の高い金融機関をめざします。みずほフィナンシャルグループ取締役 兼 執行役社長 グループCEO 木原 正裕
写真

2025年度は、親会社株主純利益が初の1兆円超となる1.2兆円、ROEも1つの通過点として目標にしていた10%超を達成する等、各注力領域において様々な進展がありました。一人ひとりの社員の頑張り、お客さまからの叱咤激励、そして株主の皆さまから多くのご支援とご助言を頂戴した結果です。ここに関係者の皆さまにお礼申しあげます。また、2025年度は銀行の基幹系システム「MINORI」の更新に着手しました。10月の第一弾の更新を無事に終えることができたのは、システム障害の教訓を踏まえ、入念な準備とテストを繰り返した結果と認識しています。2026年度も更新が続きますが、油断は禁物であり、気を引き締めて準備を進めます。

さて今、時代は地殻変動にも等しい大きな転換点を迎えています。地政学リスクが高まる中、危機と機会が背中合わせの状況にあります。あらゆる国家は、危機を乗り越えるとともに機会を捕捉することで国力を高めていく必要があります。キーワードは「自律性」と「不可欠性」です。例えば、日本。今回の中東情勢の緊迫化により、原油をはじめ様々な物資の調達をホルムズ海峡経由に依存しているサプライチェーンの脆弱性が露呈しています。まさに産業や生活に不可欠な物資をいかに安定的に確保していくか、「自律性」をいかに高めていくか、長期的な視点で議論が必要です。代替調達先を確保するとともに、水素等CO2フリーのエネルギー源の開発やサーキュラーエコノミーの構築を進める必要があります。もう一方の「不可欠性」。日本の製造業の地盤沈下がいわれて久しいですが、日本は品質や製品開発における「すり合わせ力」で依然として強みを発揮しています。例えば、半導体。設計を経て最終製品に至る一連のサプライチェーンの中で、半導体製造装置・部材・マテリアルハンドリングの分野で日本はなくてはならない存在です。また、自動車産業やロボット産業も日本の強みです。しかし、世界における競争は激化しています。積極的な研究開発、AI活用、そしてスタートアップとの連携を進めることで、「不可欠性」を継続的に磨いていく努力が必要です。重要なことは、自律性と不可欠性は相互依存関係にあり、完全な自給自足ができる国はないということです。分断の時代においても、国家間の協働を通じて国力を高めていく必要があります。

このように複雑な時代において、〈みずほ〉は、自律性と不可欠性を高めていくあらゆる主体の挑戦を支える「志」の高い金融機関をめざします。これこそが、「ともに挑む。ともに実る。」をパーパスに掲げ、渋沢栄一をはじめ多くの先人のDNAを引き継いできた、我々〈みずほ〉の使命です。

統合報告書2026では、最初に、〈みずほ〉がめざす「志」とは何か、「志」を実現していくための「4+α」戦略についてご説明します。統合報告書2025では、5つのビジネステーマをご説明しました。「4+α」戦略の「4」は、そのうちの4領域です。そして「α」とは、4つの注力領域と各注力領域内の機能を相互に「つなぐ」ことで新たな付加価値を創出していこうとする取り組みです。まさに我々の「志」を実現していくうえで肝となる考え方です。サステナビリティもこの「α」で実現していきます。また、統合報告書2025でも取り上げましたが、全社レベルの課題やカルチャー改革、グローバル化についてご説明します。

「志」の高い金融機関をめざして~「4+α」戦略を通じて~

それでは、〈みずほ〉の「志」とは何か。私なりに考える4つの大きな「志」をお伝えします。

1点目:日本産業の競争力回復への挑戦

1点目は、日本産業の競争力回復の好機に、〈みずほ〉が日本産業の「勝ち筋」を描き、その成長支援に不退転の決意で挑むことです。〈みずほ〉が持つ様々な機能を「つなぎ」、日本産業の不可欠性を強化していく取り組みです。日本の製造業の強みは「すり合わせ」をベースにしたサプライヤー間の連携にあります。一方で、高齢化による事業の存続が日本の大きな課題となっています。事業承継を通じ、中堅中小企業の技術を存続させる。大企業と中堅中小企業、首都圏と地域を「つなぐ」ことで、日本のサプライチェーン強靭化に貢献していきます。

また、スタートアップや新しい産業の育成も重要です。例えば、宇宙産業。有望なスタートアップが登場しており、既存産業が構築したサプライチェーンとの連携が可能な産業です。スタートアップと日本の大企業・中堅中小企業を「つなぐ」ことで新たな産業の成長を支えます。

2点目:国際的な連携を推進する懸け橋になる

これからの時代、あらゆる国が自律性と不可欠性を高めていく必要がありますが、すべてを自給自足できる国はありません。例えば、半導体。爆発的なAI開発により、AI領域以外の半導体不足がテーマとなっています。一方で、半導体のサプライチェーンはグローバルに広がっています。自律性を高めるために自国内に半導体の製造拠点を作ろうとしても、多くの海外サプライヤーとの協力が不可欠です。〈みずほ〉の強みは、日本における企業との強固なリレーション、グローバルに広がるネットワーク、そして米国で構築してきた投資銀行機能です。国内法人部門の強みとグローバルCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)の強みを「つなぐ」ことで、国際的な連携を推進し、各国の自律性と不可欠性の強化を支援していきます。

3点目:サステナビリティの推進

今後は、国としての自律性を確保する観点から、サステナビリティが改めて脚光を浴びる局面がくると考えています。日本は原油・エネルギーをはじめとする資源確保の海外依存、労働力不足、インフラ老朽化といった課題を抱えています。水素等の再生可能エネルギーの開発、原油に依存しない新素材の開発、サーキュラーエコノミーの構築、インフラ更新への自治体間の連携や民間投資の取り込みといった施策は、海外の企業やスタートアップとの連携も不可欠です。ここでも、国内法人部門の機能とグローバルCIBの機能とを「つなぐ」ことで、持続可能な成長に貢献していきます。

4点目:個人のお客さまの豊かな人生の実現

金融に求める個人のお客さまの期待は何か。日常生活では「利便性」の高さを求められています。UI・UXに優れたアプリで取引したい、資産形成も「分かりやすい」かつ「選びやすい」プラットフォーム上で行いたい。お客さまとの接点で、煩わしさを取り除く努力が不可欠です。また、デジタルにとどまらず、対面コンサルティング機能を持っていることが我々の強みです。インフレ時代では、「生活を守る」ために資産を増やしていくことがとても重要になり、「相談したい」というニーズが出てきます。企業オーナーであればビジネスの成長と同時に資産をいかに増やしていくか、そして次の世代にどのように残していくか、事業承継や資産承継が課題となります。「おもてなし」の心でお客さまに寄り添い、様々な情報提供を通じて人生におけるチャレンジを乗り越えていくお手伝いをさせていただく。将来に向けた安心感や豊かさをお届けする。これこそが私が考える〈みずほ〉の4つ目の「志」です。利便性の高い金融サービス、ウェルスマネジメントそして信託が提供する相続承継機能を「つなぐ」ことで、この志を実現していきます。

大事なことが2つあります。第一に、「志」は実現されてこそ意味があります。〈みずほ〉は、「志」を社員一人ひとりが自分事として捉え、共鳴し、実現のために果敢に挑戦し続ける個の集団でありたい、と考えています。第二に、ここに示した4つの「志」は、あくまでも、現時点で私なりに考えるものです。取り巻く環境やお客さま・社会のニーズの変化と、〈みずほ〉自身の成長に伴って深めていくべきものです。我々が「志」として何を掲げるべきであるか、社員一人ひとりが、自らの挑戦や失敗そして感謝や反省の中から日々考え続けてほしいと思っています。

「4+α」の4領域について

前段で、〈みずほ〉の「志」の具体例と、「4+α」戦略の中で「+α(つなぐ)」の具体例をご説明しました。一方で、「+α」が付加価値を創出するには4つの領域が〈みずほ〉の強みとなっている必要があります。ここからは、4つの領域について進捗と課題を簡単にご説明します。

顧客利便性の徹底追求(マスリテールビジネス)

金融機関の役割は、資金とリスクの仲介です。お客さまから大切な預金をお預かりし、資金を必要とされるお客さまにお応えしていく。預金基盤は、お客さまや社会の成長を支える重要な原資です。2025年度は新規預金口座開設数が前年度比+26%の50万口座となりました。「みずほ楽天カード」の発行枚数もKPI対比+30%となり、粘着性の高い預金基盤の構築に成果がありました。一方で、預金残高は微増にとどまっており、課題があります。新たにRBC共同カンパニー長に就任した猪股副社長のもと、預金残高を伸ばしていく施策を可視化し、迅速に実行していきます。また2025年度、AI与信と法人向けカードに定評があるスタートアップ、UPSIDERに出資しました。同社とみずほ銀行、双方の機能をつなぎ合わせて新たな中堅中小企業のお客さま向けサービスを展開していくことで、預金も拡大させていきます。

「資産所得倍増」に向けた挑戦(ウェルスマネジメント&アセットマネジメント)

顧客セグメントの見直し、担当者のコンサルティング力向上、ラップ販売強化、米国Golub Capitalのプライベートクレジットファンドの富裕層向け販売等により、預かり資産・収益ともに拡大しました。一方で、他証券・他メガ対比では依然として見劣りしています。アセットマネジメントOneが提供するラップ型投信やファンドラップをベースに、お客さまへのポートフォリオ提案を強化します。また、巨大な経済圏をバックとする楽天証券との連携も、さらに進めていきます。

アセットマネジメントビジネスでは、競争環境が熾烈になっており、アセットマネジメントOneの特徴を際立たせていくことが重要です。国内アセットクラスを中心とした運用力とともに、目利き力をベースに海外ファンドのゲートキーピング機能を強化していきます。

日本企業の競争力強化(企業成長支援)

大企業取引では、伝統的に強みのある産業調査力、信託の株主戦略を含めた財務・資本戦略構築力、証券の投資銀行機能を融合し、お客さまの成長戦略に深く関与し、多くのコーポレートアクションを支援しました。後述のグローバルCIBとの協働も進化させ、クロスボーダーM&Aや国内企業の外債発行でポジションを上げました。

中堅中小企業取引では、成長支援強化が奏功し、2025年度は当社グループのM&A関与率が飛躍的に拡大しました。また、事業承継でも好事例が発現しました。スタートアップでは、ディープテック領域で地域金融機関が参画するシンジケートローンの組成に成功する等、リスクマネー供給で進展がありました。今後は資金需要の大幅な拡大が見込まれる中、強みとする銀行・信託・証券の連携をベースにそれぞれのソリューションを結集し、工夫を加えることで、お客さまの多様なファイナンスニーズへの対応を強化していきます。

グローバルCIBビジネス

写真

米国で買収したM&Aアドバイザリー会社Greenhillの統合は終了し、M&Aを起点としたファイナンス組成や日米間のクロスボーダーM&Aの拡大等、意図したシナジーが発現しています。2025年12月にインドの投資銀行Avendus Capitalの株式の60%超を取得することに合意し、米国・欧州・アジア・日本の4極をつなぐM&Aプラットフォームが完成することになり、大きな期待を寄せています。欧州ではユニバーサルバンク化と構造改革が完了し、徹底したフォーカス戦略により、ビジネス拡大の局面になってきました。プロダクツ面では2025年、米州のFICC※トップであるThomas Hartnett氏に米州・欧州両地域を管掌してもらうことで、米欧間の連携が深まっています。アジアでは、これまで進めてきた非日系企業との為替取引等のトランザクションバンキングが拡大しています。日本を含めた各地域間の連携が今後の成長ドライバーとなります。グローバルな投資銀行リーグテーブルで現在15位ですが、中期的に10位以内をめざしていきます。

  • 債券・為替・コモディティ部門

全社レベルの課題

コスト構造改革

これまでのコスト増加は主に人件費・システム費・物件費の上昇によるものです。インフレ、人的資本投資、これまで抑制してきた領域へのシステム投資等の結果であり、不可避である一方で、コストとリターンの関係を徹底的に検証するとともに継続的なコスト削減努力が重要です。これまでも商品・サービスの改廃や第三者への業務委託の内製化・廃止に取り組んできました。これからも不断の努力により、今後3年間で1,500億円の岩盤コスト削減に取り組みます。

バランスシートコントロール

中東情勢を受けたお客さまの流動性確保や、ビジネスモデル変革に向けたコーポレートアクションの拡大を受け、資金調達の拡大が見込まれます。今こそ産業金融に強みがある〈みずほ〉の出番です。一方でお客さまのニーズにお応えするには、信用リスク・市場リスク・流動性リスクを適切に管理していく必要があります。リスクリターンを意識したポートフォリオ運営、遊休資産の削減、有価証券ポートフォリオへの過度な依存排除、適切な流動性の確保等、頑強なバランスシート構築に努めていきます。

AI活用

AI・データ活用については、新しい顧客体験の創出とプロセスの生産性向上の2つの観点で取り組みを進めています。2025年度は、社員によるAI活用や各種プロセスの生産性を高める様々なツールの実装を進めるとともに、デジタルマーケティング基盤の整備等、お客さま一人ひとりのニーズに応じた最適な情報提供や提案の高度化に取り組みました。

一方で、ここもとのAIの目覚ましい発展は、プロセスや顧客体験そのものを抜本的に変革し得る可能性を秘めています。係る視点からCDTOの進言を受け、AIによりビジネス自体を大胆に変革し得る重点5領域を経営として特定し、初期的な実装を進めています。AIドリブンな会社へ変革していかなければ競争力を失うとの危機感を、私自身強めています。今後はさらに取り組みを加速するために、各ビジネスラインにDXLead※を設置し推進していきます。

なお、プロセスの生産性向上は、プロセス全体を俯瞰して再設計し、AI化に適するよう整流化を行うことが先決だと認識しています。2026年4月、事務グループの名称をプロセスデザイングループに変更しました。同グループが隅々までプロセスを検証し、必要な整流化を各部門と推進したうえでAI化を進めていきます。

  • 各部門におけるDX推進の責任者

戦略とリソース配分の整合性

競争環境は厳しさを増しており、成長ポテンシャルを極限まで高めるためには、全体最適を踏まえた経営資源配分が鍵となります。この観点から、海外のカストディビジネスをノンコアと位置付け売却しました。また、コアビジネスである中堅中小企業向けビジネスでも、収益性の高い領域に注力するため人材の再配置に着手しました。

2026年度からは、CSO/CFO/CHROを中心にリソースアロケーション委員会を立ち上げ、人材ポートフォリオ・経費・投資について、全体最適を踏まえた配分を徹底していきます。特に、AI化を踏まえ、量と質の両面から今後の中期的な人材ポートフォリオを構築していく必要性を痛感しています。AIに代替される領域がある一方で、人間ならではの共感力や洞察力が必要とされる領域もあります。退職等による自然減と新入社員を含めた採用のベストな組み合わせは何か。社員のリスキリングにより新たな需要が生まれる領域はどこか。AI時代に必要な人材要件は何か。多くの要素が複雑に絡み合い、また多くの社員が影響を受けますが、避けて通れない命題です。

妥協を許さない領域の経営基盤強化

例えば、サイバーセキュリティです。金融サービスのデジタル化の進展、地政学リスクのサイバー空間への流入や生成AIの進化を受け、サイバーセキュリティは、お客さまの信頼を守り、社会インフラとしての金融機能を安定的に果たすうえで不可欠な基盤です。内外環境の変化をタイムリーに捉えてアジャイルに対策を進め、安心かつ持続的にご利用いただける金融基盤の強化を進めていきます。

また、金融犯罪対策も、妥協を許さない経営基盤の1つです。マネー・ローンダリング等の手口が高度化・複雑化する中、確認・モニタリング・管理態勢の高度化を通じて、金融システムの健全性と社会からの信頼を守っていきます。

カルチャー改革とグローバル化

カルチャー改革

2025年度に申しあげた通り、「健全なカルチャー」と「社員が成功体験を味わえる戦略」、この2つが循環することで社員が挑戦し、〈みずほ〉が成長する。この経営哲学に変化はなく、カルチャー改革に終わりはありません。現状維持バイアスから脱却し、新しいことに挑戦していく環境を整備していく必要があり、権限委譲の促進や無駄の排除による生産性向上を推進してきました。また、2024年度より新しい人事制度〈かなで〉を開始していますが、社員一人ひとりが付加価値を高めていく挑戦を促すため、2026年10月より枠組みのブラッシュアップを図ります。

グローバル化

統合報告書2025で、「グローバルに展開する日本の金融機関」から、「日本の価値観に根差した、多様な文化をつなぐグローバル金融機関」へ変貌すると申しあげました。2025年度、副社長に任命したSuneel Bakhshi氏は、この1年精力的に活動し、海外人材の発掘やグローバルモビリティプログラムの制度設計に着手しています。また、2026年度より米国のJohn Buchanan氏をみずほフィナンシャルグループ(持株会社)の常務執行役員グローバルCIB副カンパニー長に、Thomas Hartnett氏をみずほ証券の常務執行役員に、それぞれ任命しました。さらに、各地域の出身者から当社のマネジメント職に就任する人材も生まれました。小さな一歩ですが、着実に進んでいきます。

〈みずほ〉は、あらゆるお客さまに対して、また社員に対して、オープンでフェアな金融機関であり続けます。多様な主体と共創しながら、パーパス「ともに挑む。ともに実る。」を体現し、「志」の輪を社会全体へと広げていくことが、我々の使命です。産業・企業・個人それぞれの挑戦を、金融の力で強く支えていけるよう、社員・役員が一丸となって全力で取り組んでいきます。今後とも、株主・投資家の皆さまをはじめ、ステークホルダーの皆さまのご理解と変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。

木原 正裕
写真
海外タウンホールミーティング
ページの先頭へ