私は中堅・中小企業RMとして、東京23区内の約100社の企業およびそのオーナーのお客さまを担当しています。法人のお客さまであれば運転資金や事業拡大のための設備資金等、資金調達に関するご相談が多く、オーナーである社長さま個人であれば、ご自身の資産運用から資産承継・事業承継のご相談が中心となります。そのような様々なお客さまのニーズ・課題に対して、銀行のみならず、証券、信託、さらにグループ会社を含めOne MIZUHOでお応えしていくこと――これが<みずほ>の戦略であり、私の役割でもあります。
私が担当していた法人のお客さまで、過去には相応のお取引をいただいていながら、近年新たなお取引をいただく機会がなくなっていた企業がありました。毎年成長を続け、社員数も増えている企業であり、なんとかして関係を強化していきたいと考えた私は、今お客さまが求めていらっしゃることは何か、想定問答を繰り返しました。どの企業にも金融ニーズがあるのは当然ですが、例えば一口に借り入れによる資金調達といっても、資金使途や金額、借入期間など、ニーズはさまざまです。重要なのは、仮説を立てながら、どのような金融ニーズがあるのかを考えること。今回の場合は、<みずほ>のネットワークを活用したビジネス・マッチングなど、金融以外のサービスも含めた提案のために定期的にお客さまを訪問する中で、オフィスが手狭になっていることに気付きました。そこで「本社移転」という仮説を立て新社屋購入のための資金調達をご提案したところ、お客さまが手狭になった本社を移転する計画を進めていたことが分かったのです。
「本社移転計画」というお客さまのニーズに沿った形でご提案を行ったことが、「他の金融機関にはないスピード感のある提案」と評価され、お客さまとの距離が一気に縮まり、法人としてもオーナーである社長さま個人としても、多くのお取引をいただけるようになりました。お客さまは近い将来、IPO(株式公開)を計画しているため、現在は上場をサポートする証券のみならず、上場後の証券代行業務も視野に、信託とも協同してアプローチを続けています。お客さまのニーズをタイムリーに把握した上で提案を行うことの難しさと面白さを、この案件で改めて痛感しました。
入社してから4年半、私は個人RMとして都内の支店で個人のお客さまを担当していました。当時の知識や経験は法人RMとなった今でも活きています。法人RMは、担当する企業で働く従業員の方々の資産形成に関するご提案も行っているからです。私が個人RMだった頃に感じたことは、多くの方々が資産形成に関心を持ってはいるものの、知識が不十分なために資産運用に躊躇してしまう傾向がある、ということでした。資産形成は若いうちから始めるのが理想的ですし、現在は、NISA(少額投資非課税制度)を上手に活用することで、少額でも積み立て投資ができます。そこで、企業の経営層に対し「資産形成の重要性を従業員の方々に知っていただきたい」と真摯にご説明した結果、資産形成とNISA活用に関するセミナー開催を依頼されるようになり、お客さまとの関係がより一層深まりました。
入社5年目に、それまで携わってきた個人RMではなく法人RMとして異動した際、若干の不安はありました。しかし、目の前のことに無我夢中で取り組む中で、お客さまと何でも話せる間柄になるためには、「相手の求めること」をスピーディーにご提供するしかなく、それは個人RMと全く同じであるということに気付いてからは、毎日が楽しくなりました。個人RM時代も常に「スピード感」を意識して仕事をしていた自負がありますから、これまでの自分の強みをそのまま生かせばいいと考えたのです。今も、「明日以降でいい」と言われたことでも、必ずその日のうちにレスポンスを返すなど、お客さまに依頼されたことは、お客さまの予想以上に素早く対応するよう心がけています。お客さまとの信頼関係を築く上で、また他社との差別化が図れるのも「スピード感」だと信じているからです。
中堅・中小企業RMとしての仕事の面白さは、何といっても事業家として成功を収めている経営者の方々から、直接お話を伺えること。人生の大先輩でもある経営者の方々のお話は、興味深く、刺激になることばかりです。私自身、今後もさらに経験を積み、将来的には営業店のマネジメントを行う立場、あるいは、より高度な知識を身につけてプロダクツの専門分野で活躍する立場となることで、様々な課題・悩みを抱える経営者の方々に寄り添い、お客さまの成長をサポートしていきたいと思います。