Interview 01

自ら変わることで、
世界を変えていく。

「次世代金融への転換」をめざし、変革に挑むみずほフィナンシャルグループ。〈みずほ〉はその推進役を担う外部人材の採用に力を入れている。求めるのは“異能人材”。自身が金融業界未経験での入社という柳田晃嗣リテール・事業法人カンパニー 副カンパニー長が、その狙いについて語った。
(※記事中の役職名は掲載当時のもの)

2022年4月14日掲載 日経転職版より転載

Kouji Yanagida

柳田 晃嗣

株式会社みずほフィナンシャルグループ
執行理事 リテール・事業法人カンパニー
副カンパニー長 兼 グループ副 CDO

アップルストアオンラインにてリーダーシップを執った後、グーグルジャパン合同会社オンラインパートナーシップグループ本部長(JP/APAC)を経て、2013年アマゾンジャパン合同会社に入社。モバイルショッピング事業本部の立ち上げやアレクサビジネス本部を本部長として歴任。2020年6月にみずほフィナンシャルグループに入社。21年7月より現職。

Googleとの戦略提携に見える
「変革」への情熱

コロナ禍だけでなく、少子高齢化やデジタル化といった大きな潮流の中、〈みずほ〉では「次世代金融への転換」を進めています。その一つの現れが今年3月23日に発表された、みずほフィナンシャルグループとGoogle(グーグル・クラウド・ジャパン)の戦略提携です。お客さまからの反響は大きく、「驚いた」「何が始まるのだろう」といった熱い期待が寄せられていると感じています。
実店舗やATM、コールセンター等お客さまと私たちの接点は多様です。グッドデザイン賞受賞のモバイルアプリ『みずほダイレクトアプリ』もその一つです。これらを通じて〈みずほ〉がお客さまに心地よく寄り添う、を実現したいのです。それにはお客さまの必要とされる情報を、必要とされるタイミングで、快適に感じていただけるメディアを通してご提供する必要があります。このようなお客さまの体感の向上のために力をお借りするパートナーとしてGoogleとの提携を発表しております。そのほかにも先進的な金融サービスの実現や、お客さまニーズに迅速にお応えする仕組みづくりに長期的な視点で複層的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを進めてまいります。
また、Googleは良質な企業文化でも世界的に有名です。こうした企業とコラボを進めることによって学ぶことも多いと思います。今回の発表にあげられている分野もマーケティング基盤や開発体制の進化、BaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)などの先進的な取り組みやイノベーティブな企業文化への変革など多岐にわたります。イノベーションとは異質なものが融合することにより生まれてくるものですから、今回の戦略提携に関する反響の大きさは、そうした化学反応に対する期待の表れでしょう。そしてこの協業自体、〈みずほ〉に変革をもたらし、新たな飛躍を促すものと考えています。

お客さまの多様なニーズに
寄り添うために

金融サービスに対するお客さまのニーズは百人百様です。従来の銀行はそのニーズのすべてに寄り添い、お一人おひとりにきめの細かいサポートができているとは残念ながらいえませんでした。
しかしお客さま視点に固執しながら、Googleや得意分野をお持ちの様々なパートナー企業と変革を進めていくことによって、どこよりも安心で便利なサービスを迅速に提供できるようになると考えています。その先に銀行・信託・証券が一体となって「One MIZUHO」のシナジーを発揮することができるでしょう。大企業から中小企業、個人まで幅広い層のお客さまと接点を持っている〈みずほ〉がより良いサービスを提供できるようになることは、すべての人にとってプラスになると考えています。

ネットバンクと違い、デジタル接点がないお客さまもいらっしゃいます。しかしコロナ禍でオンラインのサービスも充実した、リアルの銀行サービスをより求めておられるお客さまも多くなりました。こうしたニーズもきちんと先取りしてご提供できるようにと思っています。道半ばですが『みずほダイレクトアプリ』の高度化などへの取り組みもその一例です。法人においても数多くのお客さまに対応すべく、エンゲージメントオフィスの展開、Web会議の活用を推進しているのは、47都道府県すべてに支店を置く唯一の金融機関である〈みずほ〉のお客さまに寄り添う前向きな試みの一つです。

顧客基盤の大きい企業が
時代に先駆け
変革する方が社会に貢献できる

私は結果的にGAFAと呼ばれるビッグ・テック企業群でキャリアを築いてきました。 そのすべての事業において重要性を認識し続けさせられたのは「お金の流れ」、金融です。すべての消費行動は金融に紐づけられており、その回転率は日に日に高速かつグローバルにめぐるようになっています。しかしそのプロセスには様々なストレスが存在しており、これをどのようにスムースにデザインするのかということは常に課題でした。例えば、数年ほど前から決済を簡単にするために、モバイル決済アプリが登場しました。しかし現在ではその種類の多さも、消費者の新たな負荷(ストレス)になっているように思えてなりません。こうしたストレスを一つひとつなくしていくことがすべての人の楽(ストレスフリー)を追求することだと考えています。
真に価値あるDXの実現には、サービス会社だけではなく金融機関にできることも多いと考えています。めざすべきは、金融にまつわるあらゆるストレスのない世界です。
ジョン・レノンに言わせれば、「お金」も意識しなくてもいい世界こそ究極の理想像かもしれませんね。そういう夢を持たずに何をめざすのでしょうか?

そのような思いが、私を金融業界へのキャリアチェンジへと駆り立てました。あらゆる層の法人・個人と接点を持つ金融機関、銀行だからこそなし得ることです。なかでも、約2,400万人のお客さまと取引があり、リアル店舗もデジタル接点も展開している〈みずほ〉こそ、ふさわしいと考えました。
現在、私はリテール・事業法人カンパニー副カンパニー長として、デジタルマーケティング部とリテール法人推進部を統括しています。私には金融業界での経験はありません。それにも関わらず執行理事というポジションのもと、Googleなどとの提携のような重要なミッションを任されることは大きなやりがいです。「次世代金融への転換」をめざす〈みずほ〉の、確かな推進力でありたいと考えています。

〈みずほ〉では、共有すべき価値観・行動軸の一つとして「変革への挑戦」を掲げています。一般的に金融機関は保守的というイメージがありますが、〈みずほ〉には自ら変わろうとする強い意志があると感じました。この印象は入社後も変わっていません。もちろんどんな企業でも変革には時間がかかりますが、大切なのは変わろうとする歩みを止めないことです。私のような金融経験のない人材を採用し、重責を担わせてくれたのは何よりの証明でしょう。既存の枠組みや常識を打ち破ろうとする姿勢が根づいています。
入社後感じた一つに、〈みずほ〉には"あるべき姿"を正面から論じる風土があることです。理想論を交わす。その上で何をなすべきかを考えて、自ら行動に移す。この"構想力"と"実行力"こそ"変革力"の源泉です。
〈みずほ〉はきっと変われる。そして世界を変えていけると私は信じています。

現状に満足することのない
“異能人材”に期待する

キャリア入社の方に期待するのは、〈みずほ〉にはない思考パターン(視座、視点)をバリューとして持ち込んでいただくことです。それを社内で広く発信・共有するために、サイバー上もリーダーシップを発揮できるデジタル人材の活躍を期待しています。
歴史ある企業ほど、均質なカルチャーを持っています。均質であるため"あうん"の呼吸で話が通じたつもりになり、結果的に誤解や行き違い、悪い意味での忖度が発生します。そこに異質な人材が飛び込んでくると、丁寧な説明と理解が必要になり、ロジカルなコミュニケーションが生まれます。その結果、同時にコミュニケーションコストは下がり、意思決定のスピードも上がっていくでしょう。言葉の力は企業変革の重要なスキルなのです。
そうした視点から、金融業界の枠にとらわれない異質な人材、異能人材に大きな期待を寄せています。現状に満足せず、常により良いものにハングリーであること。変わっていくことを面白がれること。私たちが求めるのはそのような姿勢です。
異なる世界にいる優秀な人材が融合しながら化学反応を起こし、それを許容しながら異次元の顧客サービスを作り出していく。誰かにやらされるのではなく内側から、そんなことができたら素敵だと思いませんか?
仕事は自分でつくるものです。職階権限は与えられるものかもしれませんが、仕事においての責任(守備)範囲は自分次第でいくらでも広げられます。そして仕事の範囲は常に権限より大きいものです。「自分の職階はこれだから、仕事の範囲もこれで十分」と決めつける姿勢は、自らの可能性を閉じてしまうことになるでしょう。資質に限って簡単な言葉で伝えれば"向上心"こそ、成長へのパスポートなのです。

〈みずほ〉の変革への歩みを加速するために、今後もキャリア採用にはさらに力を入れていきます。ぜひ多くの異能人材に〈みずほ〉の門を叩いていただきたいと考えています。入社された皆さんには、その高い志にふさわしい機会が数多く待っているとお約束します。