文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当グループが判断したものであります。
①企業理念
当グループは、〈みずほ〉として行うあらゆる活動の根幹をなす考え方として、基本理念・パーパス・バリューから構成される『〈みずほ〉の企業理念』を制定しております。この考え方に基づきグループが一体となって事業運営・業務推進を行うことで、お客さまと経済・社会の発展に貢献し、みなさまに〈豊かな実り〉をお届けしてまいります。
基本理念:企業活動の根本的考え方
パーパス:みずほグループの存在意義
バリュー:パーパスを実現するための価値観・行動軸
②経営計画
当グループは、新たな中期経営計画(2023~2025年度)の3年間を『お客さま、社会の課題に対し、様々な挑戦を繋ぎ、新たな解を創造する3年間』とし、サステナビリティを軸とした、メリハリある事業展開により経営資源を最大限に有効活用し、お客さま、社会とともに、その先の持続的な成長、豊かさへの礎を築くことを目指してまいります。
当中間連結会計期間の経済情勢を顧みますと、米国では財政支出や賃金上昇が個人消費を下支えしているものの、欧米を中心に高インフレとそれを受けた金融引き締めの影響が徐々に表れはじめています。また、中国では不動産市場の調整長期化が経済を押し下げるなど、世界経済に停滞感がみられつつあり、先行きは不透明な状況となっています。
米国経済は、高インフレとそれを受けたFRB(連邦準備制度理事会)による急速な金融引き締めの下でも消費を中心に底堅い成長を続けてきました。消費を支える賃金は、旺盛な労働需要とコロナ禍を経た労働供給の制約から労働需給がひっ迫することで高止まりしています。こうした状況を踏まえ、FRBは利上げペースを緩めながらも金融引き締めの姿勢を維持してきましたが、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利の据え置きを決定しました。今後も実体経済に対する金融引き締めの効果を見極めつつ政策方針を決定していくと考えられ、米国経済と金融政策の先行きを巡る不透明感は非常に強い状態が続いています。
欧州は、景気減速が続いており、今後についてもしばらくは低成長が見込まれます。企業による収益マージンの確保や賃金上昇によりサービス物価が高止まりしており、ECB(欧州中央銀行)は9月まで利上げを継続しています。こうした利上げに伴い、住宅ローン金利が上昇し消費を押し下げているほか、設備投資に先行する企業の借入需要の落ち込みがみられます。また、金融不安が再来するリスクが残存しており、金融市場の動揺は金融政策や景気動向に大きな影響を与える懸念があります。
アジア経済は、中国におけるコロナ禍からの需要回復に支えられ、サービス消費主導で緩やかに回復していますが、弱めの財需要や不動産投資低迷の長期化を受け、景気回復に足踏みがみられます。また、米中対立は継続しており、通商や安全保障等をめぐる先行きの不確実性は依然として高い状況です。新興国では、世界経済の減速、高インフレの影響により成長は鈍化傾向にあります。
日本経済は、設備投資の伸び悩みや半導体不足等から製造業の生産活動が弱含んでいるものの、国内のサービス消費やインバウンド需要の回復に支えられて緩やかな回復が続くとみられます。物価上昇率は、企業による賃上げ等の動きがみられる一方、輸入物価の低下を受けて弱まっていく見通しです。ただし、欧米の金融引き締めに伴う海外経済の減速が設備投資を悪化させる可能性は懸念材料です。また、物価が上振れた場合の日銀による金融政策の変更に対する関心は引き続き高く、実際に変更が実施された場合には、日本経済に影響を及ぼす可能性があります。
世界経済の先行きは、世界的な金融引き締めが実体経済にもたらす影響に不確実性があることから、不透明な状況が続く見込みです。欧米を中心に、労働需給のひっ迫による賃金と物価のスパイラルからインフレが高止まりすること、一層の金融引き締めによる急激な景気悪化や金融システムの混乱、ウクライナ情勢の緊迫化等、状況によっては、金融資本市場の混乱や一層の景気悪化リスクが懸念され、日本経済についても悪影響を受ける可能性があります。
■システム障害再発防止への取り組み
お客さまにみずほのサービスを安心してご利用頂けるよう、大規模なシステム障害の発生を継続して防ぐため、改善対応の効果を維持しながら継続運用を確かなものとすべく、不断の風化防止とあわせ、実効的な取り組みを継続してまいります。
当グループといたしましては、今一度、金融グループとしての社会的役割と公共的使命を自覚するとともに、「お客さま起点の徹底」と「業務の安定化」に全力を注ぎ、お客さま・社会のお役に立つ存在になることを目指してまいります。そして、お客さま、社会の皆さまから真に信頼される存在となるべく、全役職員が一丸となって取り組んでまいります。
■中期経営計画
当グループは、外部環境・内部環境が大きく変化し複雑化する事業環境の中で、改めて、社員の拠り所となる企業理念を再定義するとともに、長期的な成長の方向性を定めた上で、5ヵ年経営計画(2019~2023年度)を一年前倒しし、5ヵ年計画の最終年度の目標達成を前提とした新たな中期経営計画(2023~2025年度)を策定しました。
新中期経営計画の3年間を『お客さま、社会の課題に対し、様々な挑戦を繋ぎ、新たな解を創造する3年間』とし、サステナビリティを軸とした、メリハリある事業展開により経営資源を最大限に有効活用し、お客さま、社会とともに、その先の持続的な成長、豊かさへの礎を築くことを基本方針としています。
〈みずほ〉が描く世界観として、「個人の幸福な生活」と、それを支える「サステナブルな社会・経済」に向け、社会課題の解決や持続的成長に向けた重点分野として、10年後の目指す世界からビジネス面での注力すべきテーマを明確にし、更に、その実現・成長を支える経営基盤を強化することとしました。
(重点取り組み領域)
(1)ビジネス面における注力テーマ
● 「資産所得倍増」に向けた挑戦
▶ NISAを起爆剤に資産形成取引を拡大するとともに、グループ一体の強みを活かし、コンサルティング人材の強化を通じて資産運用や資産承継ニーズを取り込み、お客さまとともに成長
● 顧客利便性の徹底追求
▶ 徹底したデジタル化と他社との連携も活用した利便性を徹底追求し、預金口座の魅力を高め、安定的な個人預金と将来の資産運用・承継のお客さま層の獲得を実現
● 日本企業の競争力強化
▶ 大企業へのサステナビリティ対応を軸とした事業構造転換支援や、中堅上場企業にフォーカスした戦略的 アプローチ等、法人のお客さまの企業価値向上や事業成長を徹底的に支援し、日本企業の国際競争力を高めることに貢献
● サステナビリティ&イノベーション
▶ 産業・事業構造のトランジションに対して資金供給体制を確立するとともに、サステナビリティも含む スタートアップ企業や新技術の確立を支援し、金融を超えた新規ビジネスの機会を創出
● グローバルCIBビジネス
▶ 成長領域である米州・アジアへの経営資源を積極的に投入し、米州では〈みずほ〉の強みであるCIB (コーポレート&インベストメントバンキング)モデル(銀行のバランスシートを使った貸出取引と金融 資本市場プロダクツを一体的に提供する)を更に深化させ、アジアでは、域内ネットワークの『面』と、『国毎』の狙いを明確にしたメリハリある事業展開により地域の成長を取り込み
(2)成長を支える経営基盤の強化
● 企業風土の変革
▶ インターナルコミュニケーション(カルチャー改革)とブランドコミュニケーション(ブランド強化)の 一体での推進を通じた社員・お客さまのエンゲージメントを向上
● 人的資本の強化
▶ 戦略に即した人材ローテーションや経営リーダーの育成などの戦略人事の徹底と、キャリア形成支援や働く環境作りなど社員ナラティブを大切にするアプローチを通じ、人的資本を強化
● DX推進力の強化
▶ グループの強みを最大限活用したインキュベーション・スケール化の促進、及び業務のデジタル化等による生産性向上、DX人材育成やデータ利活用等により、DX推進基盤を強化
● IT改革の推進
▶ 事業戦略実現に必要なIT投資拡大に向けた、システム構造の最適化、及びユーザーと一体で開発・運用 及び投資運営の高度化等を通じ、IT改革を推進
● 安定的な業務運営
▶ システム障害風化防止と平時の危機対応力を強化
▶ G-SIBsに相応しいサイバーセキュリティ態勢を不断に高度化
▶ マネー・ローンダリング対策・テロ資金供与対策(AML/CFT)態勢を更に強化・拡充
▶ グローバルガバナンスの徹底強化と、外部環境を踏まえた機動的なリスクコントロール
(当グループの経営計画を踏まえた当行の運営方針等)
当グループの中期経営計画を踏まえ、当行は、戦略・計画の執行及び内部管理・内部統制を担う「オペレーティングエンティティ」として、以下の運営方針を軸に取り組みを進めてまいります。
(運営方針)
安定的な業務運営とお客さま接点の品質に磨きをかけ、〈みずほ〉の強みを繋ぎ合わせることを通じ、お客さま・社会の課題解決に貢献
● 顧客接点の質追求
▶ 深い顧客理解に基づくお客さまの将来や成長への貢献するとともに、あらゆる接点の基礎品質を向上
▶ 顧客本位の業務運営(フィデューシャリーデューティー)を徹底
● 強みを磨き、発揮する
▶ グループの連携の起点として〈みずほ〉の強みを繋ぎ合わせるとともに、長所を伸ばし、差別化要素を構築
▶ 専門領域の深堀り・領域横断的な連携により、顧客からの信頼を獲得
● 安定的な業務運営
▶ システム障害の風化防止に不断に取り組むとともに、平時危機対応力を強化
▶ 現場実態に基づき、内部管理・内部統制を強化
▶ 業務運営の安定を実現するために、無駄を排除し、業務を効率化
▶ 客観的に部店の立ち位置を把握できるデータを本部から還元し、部店経営へ活用
● 挑戦・自走する組織へ
▶ 一人ひとりが自立・工夫し、何かを動かし変える起点となり、その喜び・楽しみを多くの仲間と共感できる
組織へ変革
[カンパニー・ユニットの取り組み]
当グループは、お客さまの属性に応じた銀行・信託・証券等グループ横断的な戦略を策定・推進する5つのカンパニーと、全カンパニー横断的に機能を提供する2つのユニットを設置し、グループを運営しております。
各カンパニー・ユニットの今後の取り組み方針(対処すべき課題)は次の通りです。
リテール・事業法人カンパニー
個人・中小企業・中堅企業の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券等グループ一体となったコンサルティング営業や、先進的な技術の活用や他社との提携等を通じた利便性の高い金融・非金融サービスの提供等に取り組んでおります。
(今後の取り組み方針)
安定的な業務運営体制の構築・持続的強化を継続するとともに、お客さまの課題に対するソリューション提供力強化に向けメリハリのある経営資源配分を通じた事業成長・拡大フェーズへ転換を図ります。
具体的には、個人のお客さまに対しては、「人生100年時代」におけるライフデザインのパートナーとして、グループ一体で総合資産コンサルティングの更なる充実を図り、お客さまの想い・希望の実現に向けたサポートを行います。法人のお客さまに対しては、成長戦略を支援し企業価値の向上・継承・創出に向け、領域横断の取り組みによるニーズ対応力強化、リスクテイク力発揮によりお客さまの持続的成長を後押しします。
また、アライアンスやデジタルチャネル・決済サービスの改善を通じ、全てのお客さまに安心感を持ってご利用頂ける利便性の高いサービスを提供いたします。
コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー
国内の大企業法人・金融法人・公共法人の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、お客さまの金融・非金融に関するニーズに対し、M&Aや不動産関連ビジネス等の投資銀行プロダクツ機能を通じて、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションをグループ横断的に提供しております。
(今後の取り組み方針)
産業構造転換、社会的課題に対する関心の高まり、地政学的リスクの顕在化等により、お客さまを取り巻く環境は、急速に変化しています。そうした中、銀行・信託・証券に加え、みずほリサーチ&テクノロジーズ等も含めたグループの総力を結集し、産業知見や投資銀行を始めとしたプロダクツ知見を活かしたソリューション提供力を一層高めることで、サステナビリティ等の社会的課題の解決を通じてお客さまと日本経済の持続的成長に繋げ、価値共創パートナーとしての真価を発揮してまいります。
グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー
海外の日系企業及び非日系企業等を担当するカンパニーとして、お客さまの事業への深い理解と、銀証連携を軸としたグループ一体でのソリューション提供により、産業の変化・事業構造のトランスフォームを支える金融機能の発揮を目指してまいります。
(今後の取り組み方針)
〈みずほ〉が強みとする、米国資本市場におけるプレゼンスを活かし、CIB(コーポレート&インベストメントバンキング)ビジネスモデルの確立に取り組むとともに、アジア経済圏におけるネットワークを活かし、金融面からお客さまのトランジションをサポートし社会的課題の解決に貢献していきます。
更なる事業ポートフォリオの最適化とリスクマネジメントの強化を通じて、持続的成長を実現してまいります。
2023年5月22日に、株式会社みずほフィナンシャルグループの子会社である米州みずほLLCは、関連当局の認可等の取得を前提として、米国M&Aアドバイザリー会社Greenhill & Co.,Inc.の全株式を取得することとしました。本件買収では、M&Aビジネスの強化に求められる「人材」、及び実績に裏打ちされた「企業ブランド」を獲得し、〈みずほ〉としてグローバルなアドバイザリー機能を内製化することを狙いとし、米国資本市場ビジネスを更に高いステージに成長させていきます。
グローバルマーケッツカンパニー
お客さまのヘッジ・運用ニーズに対してマーケット商品全般を提供するセールス&トレーディング業務、資金調達やポートフォリオ運営等のALM・投資業務を担当しております。銀行・信託・証券の連携やCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)アプローチにより、マーケッツの知見を活かした〈みずほ〉にしかできないソリューション・プロダクトの提供を目指してまいります。
(今後の取り組み方針)
セールス&トレーディング業務においては、各地域での銀行・証券の実質一体運営の更なる深化により、お客さまへのソリューション提供力向上の継続及びセールス&トレーディングのグローバル連携やDX活用を通じたトレーディング力強化により、更なるプレゼンス向上に取り組んでまいります。
ALM・投資業務においては、不確実性の高い相場環境の継続が想定される中、予兆管理と緻密な市場分析による機動的なオペレーションを通じたリスクコントロールにより、安定的な収益を実現します。また、金融政策の転換が進む中で、グローバルALM運営を深化させ、安定的で効率的な外貨資金調達を通じて、グループ全体のビジネスに貢献してまいります。
加えて、セールス&トレーディング・投資・資金調達の各分野におけるサステナビリティ推進・DX推進に取り組んでまいります。
アセットマネジメントカンパニー
アセットマネジメントに関連する業務を担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券及びアセットマネジメントOne株式会社が一体となって、個人から機関投資家まで、幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品やサービスを提供しております。
(今後の取り組み方針)
お客さまの中長期志向の資産形成をサポートし、国内金融資産の活性化に貢献してまいります。その達成に向けて、「選択と集中」により運用力・ソリューション提供力を一層強化し、NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)での税制度の後押しを追い風に、〈みずほ〉の強みである企業のお客さまとの接点も活かして、個人のお客さまの資産形成ニーズにグループ一体となって応えてまいります。また、安定的な業務運営に加え、人的資本投資・DXを活用した生産性向上など、持続的成長に不可欠なビジネス基盤強化に取り組んでまいります。加えて、非対面ビジネスへの対応等を通じ、更なる成長に向けて加速してまいります。更に、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)や、ESG情報を投資プロセスに組み込んだ運用、商品提供により、お客さまの資産形成と社会・投資先企業の持続的成長に資する取り組みを推進してまいります。
グローバルトランザクションユニット
幅広いセグメントのお客さまに向けた、トランザクション分野のソリューション提供業務を担当しております。国内外決済や資金管理、証券管理等、各プロダクツに関する高い専門性を発揮し、高度化・多様化するお客さまのニーズに応えることを目指してまいります。
(今後の取り組み方針)
サプライチェーン・生産体制の見直し等の事業構造変化の動きや、各国の金融政策動向等を機敏に捉え、多様化するお客さまのニーズに柔軟に応えてまいります。国内外各拠点間で緊密に連携しながら、お客さまの課題解決に資するソリューション提供に努め、お客さまとともに〈みずほ〉の成長にも貢献してまいります。
また、決済業務の安定的な提供は金融機関の責務であり、インフラ基盤の維持・増強に最優先で取り組んでまいります。
加えて、決済分野における新技術・インフラの出現といった社会の潮流も踏まえつつ、長期的な視点での次世代ビジネスの創出にも取り組んでまいります。
リサーチ&コンサルティングユニット
産業からマクロ経済まで深く分析するリサーチ機能と、経営戦略からサステナビリティ・デジタル等の専門分野にわたるコンサルティング機能を担うユニットとして、各カンパニーと緊密に連携し、グループ一体となってお客さまや社会に対する価値創造の拡大を目指します。
(今後の取り組み方針)
経済・社会の不透明感の高まりや、サステナビリティ・DXの潮流加速等を受けて、リサーチ・コンサルティング領域における人材獲得競争の激化が見込まれる中、高い専門性を有する人材の確保に向けた取り組みを強化してまいります。また、グループ一体運営の更なる進化に加え、グループ外との連携等にも取り組み、お客さまや社会に対する価値創造を一層拡大してまいります。
当事業年度の半期報告書における、前事業年度の有価証券報告書「事業等のリスク」からの重要な変更は以下の通りです。本項に含まれている将来に関する事項は、本半期報告書提出日現在において判断したものです。なお、LIBOR等の指標金利の公表停止及び後継指標への移行に向けた対応が概ね完了したことに伴い、「1.金融諸環境等に関するリスク」のうち「⑥LIBOR等の指標金利に関するリスク」は削除いたします。
以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.事業等のリスク」の項目番号に対応するものです。
2.財務面に関するリスク
当行及び当グループの資金調達は、主に預金、債券発行及び市場からの調達により行っております。特に、外貨資金は、円貨資金に比べ市場からの調達の依存度が高くなっております。そのため、資金調達の安定性の観点から、流動性ストレス状況下における資金繰り逼迫の影響分析や資金繰りの状況に応じた対応方針の策定等、厳格な管理を行っております。
しかしながら、国内外の景気悪化、金融システム不安、金融市場の混乱等により資金流動性が低下した場合、あるいは当行及び当グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生し、予想外の資金流出が発生した場合には、資金調達コストの増加や、外貨資金調達等に困難が生じることがあり、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.業務面に関するリスク
当行及び当グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。
当行及び当グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。
しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生した場合には、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。
2021年2月以降、当行において複数のシステム障害が発生し、営業部店やATMでの取引、インターネットバンキング取引、内為・外為取引等が一部不能となりました。これに伴い、当行及び当グループは、2021年9月22日及び同年11月26日に銀行法第26条第1項及び同法第52条の33第1項に基づき、金融庁より業務改善命令を受けました。その後、11月26日付の業務改善命令に基づき、当行及び当グループは、2022年1月17日に金融庁へ業務改善計画を提出いたしました。また、同命令に基づき、当該業務改善計画の実施状況について、2022年3月末の実施状況を初回として、以降3ヶ月毎に報告を実施しており、直近では2023年10月13日に報告書を金融庁に提出いたしました。
このような事案を含め、システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネロン対策」という)の重要性が急速に高まっております。「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(2021年2月改正)の本邦金融当局からの発出や、2021年8月の我が国のマネロン対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査結果の公表など、金融機関のマネロン対策の強化が課題となっています。当行及び当グループは、国内外において事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けており、当行及び当グループでは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。
しかしながら、マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
2023年度中間連結会計期間における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は以下の通りと分析しております。
なお、本項における将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
・当中間連結会計期間の連結粗利益は、顧客部門、市場部門ともに堅調に推移したことに加え、円安影響等もあり、前中間連結会計期間比1,289億円増加し、1兆450億円となりました。
・営業経費は、円安・インフレ等の環境要因による費用増加に加え、海外を中心とした成長領域への資源投下等により、前中間連結会計期間比654億円増加し、5,626億円となりました。
・これらの結果、連結業務純益は、前中間連結会計期間比738億円増加し、4,871億円となりました。
なお、連結業務純益にETF関係損益を加えた連結業務純益+ETF関係損益は、前中間連結会計期間比834億円増加し、5,043億円となりました。
・与信関係費用は、外部環境の悪化に備えたフォワード・ルッキングな引当を積み増しした一方、一部の個社で戻入益を計上したこと等もあり、前中間連結会計期間比392億円減少し、112億円の費用計上となりました。なお、中間連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りの方法及び当該見積りに用いた主要な仮定については前連結会計年度に係る連結財務諸表に記載した内容から変更しておりません。
・株式等関係損益は、前中間連結会計期間比45億円減少し、302億円の利益となりました。
・これらの結果、経常利益は、前中間連結会計期間比1,108億円増加し、5,223億円となりました。
・特別損益は、退職給付信託の返還益が増加したこと等により、前中間連結会計期間比161億円増加し、227億円の利益となりました。
・税金関係費用は、前中間連結会計期間比772億円増加し、1,881億円となりました。
・以上の結果、親会社株主に帰属する中間純利益は、前中間連結会計期間比497億円増加し、3,564億円となりました。
前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における損益状況は以下の通りです。
(図表1)
当中間連結会計期間の連結粗利益は、前中間連結会計期間比円安影響を含め1,289億円増加し、1兆450億円となりました。項目ごとの収支は以下の通りです。
(資金利益)
資金利益は、貸出金利息の増加より預金利息・売現先利息の増加が上回ったこと等により、前中間連結会計期間比563億円減少し、4,450億円となりました。
(役務取引等利益)
役務取引等利益は、証券関連業務手数料の増加等により、前中間連結会計期間比388億円増加し、2,842億円となりました。
(特定取引利益・その他業務利益)
特定取引利益は、海外連結子会社の特定取引利益の増加等により、前中間連結会計期間比2,189億円増加し、2,019億円となりました。また、その他業務利益は、外国為替売買益の減少等により、前中間連結会計期間比723億円減少し、1,137億円となりました。
営業経費は、円安・インフレ等の環境要因による費用増加に加え、海外を中心とした成長領域への資源投下等により、前中間連結会計期間比654億円増加し、5,626億円となりました。
不良債権処理額(含:一般貸倒引当金純繰入額)に、貸倒引当金戻入益等を加算した与信関係費用は、外部環境の悪化に備えたフォワード・ルッキングな引当を積み増しした一方、一部の個社で戻入益を計上したこと等もあり、前中間連結会計期間比392億円減少し、112億円の費用計上となりました。なお、中間連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りの方法及び当該見積りに用いた主要な仮定については前連結会計年度に係る連結財務諸表に記載した内容から変更しておりません。
株式等関係損益は、前中間連結会計期間比45億円減少し、302億円の利益となりました。
持分法による投資損益は、前中間連結会計期間比65億円増加し、196億円の利益となりました。
その他は、13億円の利益となりました。
以上の結果、経常利益は、前中間連結会計期間比1,108億円増加し、5,223億円となりました。
特別損益は、退職給付信託の返還益が増加したこと等により、前中間連結会計期間比161億円増加し、227億円の利益となりました。
以上の結果、税金等調整前中間純利益は、前中間連結会計期間比1,270億円増加し、5,450億円となりました。
税金関係費用は、前中間連結会計期間比772億円増加し、1,881億円となりました。
中間純利益は、前中間連結会計期間比497億円増加し、3,569億円となりました。
非支配株主に帰属する中間純損益(利益)は、前中間連結会計期間並みの、4億円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する中間純利益は、前中間連結会計期間比497億円増加し、3,564億円となりました。
中間包括利益は、中間純利益の計上等により、前中間連結会計期間比5,424億円増加し、4,423億円(利益)となりました。
-参考-
(図表2)損益状況(単体)
(注)費用項目は△表記しております。
前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間におけるセグメント情報の概要は、以下の通りです。
なお、詳細につきましては、第5 経理の状況、1.中間連結財務諸表等、(1) 中間連結財務諸表の(セグメント情報等)に記載しております。
(図表3)報告セグメントごとの業務粗利益+ETF関係損益、業務純益+ETF関係損益及び固定資産の金額に関する情報
* 業務純益は、一般貸倒引当金繰入前の計数であります。
前連結会計年度及び当中間連結会計期間における財政状態のうち、主なものは以下の通りです。
(図表4)
(図表5)
有価証券は44兆580億円と、前連結会計年度末比7兆2,537億円増加しております。
(図表6)
貸出金は90兆2,195億円と、前連結会計年度末比2兆9,886億円増加しております。
(図表7)
預金は144兆4,094億円と、前連結会計年度末比3兆4,884億円減少しました。
また、譲渡性預金は17兆3,593億円と、前連結会計年度末比4兆1,570億円増加しております。
当中間連結会計期間末の純資産の部合計は、前連結会計年度末比762億円減少し、7兆7,272億円となりました。主な変動は以下の通りです。
株主資本合計は、剰余金の配当等により、前連結会計年度末比1,602億円減少し、7兆636億円となりました。その他の包括利益累計額合計は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末比807億円増加し、6,126億円となりました。非支配株主持分は、前連結会計年度末比32億円増加し、509億円となりました。
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の中間貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに中間貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付を行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次の通り区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(図表10)銀行法及び再生法に基づく債権
当中間会計期間末の不良債権残高(要管理債権以下(A))は、前事業年度末比1,067億円増加し、1兆1,385億円となりました。債権区分では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が54億円減少、危険債権が411億円減少、要管理債権が1,533億円増加しております。不良債権比率((A)/(B))は1.07%となっております。
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第11号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
(図表11)
連結自己資本比率(国際統一基準)
連結レバレッジ比率(国際統一基準)
総自己資本の額は、前連結会計年度末比9,535億円増加し、10兆7,232億円となりました。一方、リスク・アセットの額は、前連結会計年度末比6兆1,380億円増加し、71兆5,098億円となりました。この結果、連結総自己資本比率は前連結会計年度末比0.05ポイント上昇し、14.99%となりました。
また、連結レバレッジ比率は前連結会計年度末比0.01ポイント上昇し、4.04%となりました。
-参考-
(図表12)
単体自己資本比率(国際統一基準)
単体レバレッジ比率(国際統一基準)
前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。
(図表13)
営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の減少等により2,586億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得・売却・償還等の結果6兆1,026億円の支出となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付借入金の返済による支出等により4,518億円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、56兆9,040億円となりました。
外貨につきましては、対顧預金の獲得に加え、市場調達等により十分な流動性を確保しております。
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当中間連結会計期間において、資金運用収支・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は1兆450億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内に本店を有する連結子会社(以下「国内連結子会社」という)であります。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」という)であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
4.資金調達費用は金銭の信託運用見合額を控除しております。
当中間連結会計期間において、資金運用勘定の平均残高は196兆4,544億円、利息は2兆6,268億円、利回りは2.66%となりました。資金調達勘定の平均残高は219兆7,620億円、利息は2兆1,817億円、利回りは1.98%となりました。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、国内連結子会社については、四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外連結子会社については、四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(注) 「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
当中間連結会計期間において、役務取引等収益は3,727億円、役務取引等費用は885億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
当中間連結会計期間において、特定取引収益は6,982億円、特定取引費用は4,962億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
4.内訳科目はそれぞれの収益と費用で相殺し、収益が上回った場合には収益欄に、費用が上回った場合には費用欄に、国内・海外・合計毎の純額を表示しております。
当中間連結会計期間末において、特定取引資産は12兆2,579億円、特定取引負債は6兆8,516億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
(注) 1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
4.預金の区分は次の通りであります。
① 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
② 定期性預金=定期預金+定期積金
(注) 1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
(注) 「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げております。
(注) 1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
該当ありません。
該当ありません。