当四半期連結累計期間における、前事業年度の有価証券報告書「事業等のリスク」からの重要な変更は以下の通りです。本項に含まれている将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において判断したものです。
なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2.事業等のリスク」の項目番号に対応するものです。
1.金融諸環境等に関するリスク
② 新型コロナウイルスに関するリスク
新型コロナウイルスの感染拡大リスクは後退しつつあるものの、供給制約に伴うサプライチェーンの混乱が日本を含む世界経済への下押し圧力となる懸念が残存しています。これまでのところ、グローバルな金融システムにおける著しい信用収縮は回避され、金融市場は落ち着いて推移しておりますが、世界の感染状況には跛行性があり、その動向には今後も留意が必要な状況です。
当社グループでは、新型コロナウイルスの感染拡大防止に取り組むとともに、社会機能維持に不可欠な金融インフラとしてお客さまへの事業資金の供給や資金決済などの金融機能の維持・継続にグループ一丸となって努めてまいりました。
欧米諸国のみならず、日本国内においても新型コロナウイルスとの共生を模索する動きが広がりつつありますが、感染が再拡大した場合、厳しい防疫措置が講じられる国・地域を中心に世界経済が下押しされるだけでなく、金融市場でもボラティリティが高まり易い状況となることが想定されます。これらに伴い、当社グループにおいても、与信関係費用の大幅な増加や、保有資産等の評価損や減損の発生・拡大、資金流動性の低下等につながる可能性があります。また、こうした事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.財務面に関するリスク
(4) 自己資本比率等に係るリスク
① 自己資本比率規制
当社グループ及び銀行子会社には、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)に基づき、金融庁の定める自己資本比率規制(当社グループがグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)に選定されていることに伴う、G-SIBsバッファーに係る規制を含む)が適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書に基づく改正後の自己資本比率規制は、2024年3月末(金融庁への届出により2023年3月末以降の早期実施も可能)から実施されます。
仮に当社グループや銀行子会社の自己資本比率が一定基準を下回った場合には、その水準に応じて、金融庁から社外流出の制限や資本の増強を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国・地域において、現地の自己資本比率規制に服しており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制及び命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② レバレッジ比率規制
当社グループ及び銀行子会社には、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキストに基づき、金融庁の定めるレバレッジ比率規制が適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書に基づき、G-SIBsに対するレバレッジ比率の上乗せ措置(レバレッジ・バッファー)に係る規制が2023年3月末から適用されます。さらに、当該最終規則文書に基づくレバレッジ比率の算出方法の改正については、2024年3月末(金融庁への届出により2023年3月末以降の早期実施も可能)から実施されます。
仮に当社グループや銀行子会社のレバレッジ比率が一定基準を下回った場合には、その水準に応じて、金融庁から資本の増強に係る措置を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国・地域において、現地のレバレッジ比率規制に服しており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制及び命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 総損失吸収力(TLAC)規制
G-SIBsに選定されている当社グループ及び主要子会社には、FSBが公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」等に基づき、金融庁の定めるTLAC規制が適用されております。
仮に当社グループの外部TLAC比率や主要子会社の内部TLAC額が一定基準を下回った場合には、金融庁から外部TLAC比率の向上や内部TLAC額の増加に係る改善策の報告を求められる可能性に加えて、業務改善命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 資本調達
普通株式等Tier1資本を除き、当社グループの資本調達(TLAC規制に対応した調達を含む)は、主に債券発行により行っております。
仮に当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等のほか、国内外の景気悪化、金融システム不安や金融市場の混乱等が生じた場合には、資本調達コストの増加や、十分な資本調達が出来ないことにより、企図した水準への自己資本比率等の向上が図れない事象等が生じる可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.業務面に関するリスク
① システムリスクの顕在化による悪影響
当社グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。
当社グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。
しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生した場合には、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。
2021年2月以降、株式会社みずほ銀行(同年8月20日の障害は、みずほ信託銀行株式会社も含む)において複数のシステム障害が発生し、営業部店やATMでの取引、インターネットバンキング取引、内為・外為取引等が一部不能となりました。これに伴い、当社及び株式会社みずほ銀行は、2021年9月22日及び同年11月26日に銀行法第52条の33第1項及び同法第26条第1項に基づき、金融庁より業務改善命令を受けました。その後、11月26日付の業務改善命令に基づき、当社及び株式会社みずほ銀行は、2022年1月17日に金融庁へ業務改善計画を提出いたしました。また、同命令に基づき2022年3月末の実施状況を初回として、以降3ヶ月毎に報告を実施しており、直近では2023年1月13日に報告書を金融庁に提出いたしました。
このような事案を含め、システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネロン対策」という)の重要性が急速に高まっております。「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(2021年2月改正)の本邦金融当局からの発出や、2021年8月の我が国のマネロン対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査結果の公表など、金融機関のマネロン対策の強化が課題となっています。当社グループは、国内外において事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けており、当社グループでは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。
しかしながら、マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
株式会社みずほ銀行は、外為法第17条に基づく銀行等の確認義務の履行に関し、2021年11月26日に財務省より是正措置命令を受け、同年12月17日に改善・再発防止策等に係る報告書を財務省に提出いたしました。同命令に基づき2022年1月以降毎四半期末日までに状況報告を実施しており、直近では2022年12月27日に報告書を財務省に提出いたしました。
トップリスク運営
当社は、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識をトップリスクとして選定する「トップリスク運営」を導入しています。企業価値毀損につながるようなリスク事象を当社の脆弱性や外部環境変化等を踏まえて幅広く収集した後、リスクの波及経路や蓋然性・影響度等の評価をもとに重要なリスク事象を選定し、リスクコントロールの難度も勘案の上、経営陣での議論を踏まえトップリスクを選定しております。この運営を通じて当社グループ内のリスクコミュニケーションを深め、リスク認識に対する目線の統一を図り、関連する各リスク管理態勢におけるリスク認識においても整合性を確保しています。選定したトップリスクについては、未然防止策や事後対応等の追加的なリスクコントロール強化策の検討、業務計画への反映等を通じ、リスクコントロールやガバナンスの強化に活用しています。
また、リスク委員会や取締役会等に報告し、外部委員や社外取締役も含め多面的に選定の妥当性やコントロール状況等について確認しており、期中においても内外環境変化を踏まえ、機動的な見直しを行っております。
2022年9月現在、以下をトップリスクとして選定しております。
トップリスク |
|
リスク事象 |
リスクシナリオ |
インフレ高進とグローバルリセッション |
・コロナ禍からの経済正常化に伴う高水準の需要に対する供給能力の乖離に加え、ウク ・各国中銀による急速かつ継続的な利上げが市場変動性の高まりや深刻な景気後退をも |
米中対立の激化と中国経済の低迷 |
・台湾情勢を含む米中対立の激化が、中国及び近隣地域への投資抑制を招き、持続的な ・ゼロコロナ政策の堅持や不動産市況の長期低迷、過剰債務等の各種構造問題への対応 |
世界の分断の加速 |
・ウクライナを巡る対立の長期化に伴う、価値観に基づく陣営の形成の加速により、経 ・サプライチェーンの寸断やグローバル企業の国際的なビジネス展開の阻害が、世界経 |
気候変動影響の深刻化 |
・気候変動への対応に遅れた企業の資金調達が困難化し、業績悪化等から与信関係費用 ・金融機関の気候関連金融リスクに対する規制・監督の厳格化 ・当社の脱炭素に向けた取り組みへの批判に伴う企業価値の毀損 |
システム障害 |
・人為的過失、機器の故障、災害等を要因としてシステム障害が発生し、お客さまに不 |
サイバー攻撃 |
・犯罪・テロ組織等からの攻撃により業務停止や情報漏えい、不正送金等が発生し、お |
マネロン・テロ資金供与 |
・金融サービスが犯罪行為等に悪用され、国際社会からの批判に発展、お客さま・取引 |
役職員による不適切な行為・不作為 |
・国内外における法令・規制違反事例の発生や社会的目線から乖離した行為・不作為に |
人材不足等による持続的成長の停滞 |
・キャリア観の多様化や労働市場の流動化等を受けた人材の確保や育成の困難化による |
デジタル社会の急速な進展 |
・革新的な金融サービスの急拡大や新たな経済圏の登場、異業種の参入に伴い競争が一 |
※従前トップリスクに選定していた「新型コロナ影響の長期化」については、留意すべきリスク認識を「インフレ高進とグローバルリセッション」及び「米中対立の激化と中国経済の低迷」に反映の上、トップリスクから除外しました。
2023年3月期第3四半期における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態及び経営成績の状況は以下の通りと分析しております。
なお、本項における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
1.財政状態及び経営成績の状況
[総論]
①連結業務純益
・当第3四半期連結累計期間の連結粗利益は、前第3四半期連結累計期間比484億円増加し、1兆7,439億円となりました。
・営業経費は、構造改革による経費削減が進んだ一方で為替影響による費用増加等もあり、前第3四半期連結累計期間比474億円増加し、1兆576億円となりました。
・これらの結果、連結業務純益は、前第3四半期連結累計期間比44億円減少し、6,762億円となりました。
なお、連結業務純益に銀行単体合算ベースのETF関係損益とみずほ証券連結の営業有価証券等損益を加えた連結業務純益+ETF関係損益等は、外部環境悪化を受け市場部門が苦戦も顧客部門が堅調に推移したこと等により、前第3四半期連結累計期間比26億円減少し、6,818億円となりました。
②親会社株主に帰属する四半期純利益
・与信関係費用は、前第3四半期連結累計期間に計上した一部大口の引当の剥落等により、前第3四半期連結累計期間比825億円減少し、653億円の費用計上となりました。なお、四半期連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りの方法及び当該見積りに用いた主要な仮定については前連結会計年度に係る連結財務諸表に記載した内容から変更しておりません。
・株式等関係損益は、政策保有株式の売却を着実に進めたことに加え、前第3四半期連結累計期間に計上した株式含み益の一部固定化を目的に導入したベアファンドの解約影響が剥落したこと等により、前第3四半期連結累計期間比773億円増加し、474億円の利益となりました。
・これらの結果、経常利益は、前第3四半期連結累計期間比1,604億円増加し、6,581億円となりました。
・特別損益は、前第3四半期連結累計期間に計上した大口の退職給付信託の返還益の減少等により、前第3四半期連結累計期間比256億円減少し、318億円の利益となりました。
・税金関係費用は、前第3四半期連結累計期間に財務構造改革の一環として実施したみずほ証券の資本適正化に伴う税効果影響の剥落等もあり、前第3四半期連結累計期間比755億円増加し、1,425億円となりました。
・以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間比646億円増加し、5,432億円となり、年度計画5,400億円の水準に到達しております。
[損益の状況]
前第3四半期連結累計期間及び当第3四半期連結累計期間における損益状況は以下の通りです。
(図表1)
|
|
前第3四半期 連結累計期間 (自 2021年 4月1日 至 2021年 12月31日) |
当第3四半期 連結累計期間 (自 2022年 4月1日 至 2022年 12月31日) |
比較 |
|
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
連結粗利益 |
① |
16,954 |
17,439 |
484 |
資金利益 |
|
7,142 |
7,240 |
98 |
信託報酬 |
|
447 |
435 |
△12 |
うち信託勘定与信関係費用 |
①' |
- |
- |
- |
役務取引等利益 |
|
5,211 |
5,148 |
△63 |
特定取引利益 |
|
2,755 |
2,124 |
△630 |
その他業務利益 |
|
1,397 |
2,489 |
1,091 |
営業経費 |
② |
△10,101 |
△10,576 |
△474 |
不良債権処理額 (含:一般貸倒引当金純繰入額) |
③ |
△1,603 |
△701 |
901 |
貸倒引当金戻入益等 |
④ |
123 |
47 |
△76 |
株式等関係損益 |
⑤ |
△298 |
474 |
773 |
持分法による投資損益 |
⑥ |
233 |
206 |
△27 |
その他 |
⑦ |
△332 |
△308 |
24 |
経常利益(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦) |
⑧ |
4,976 |
6,581 |
1,604 |
特別損益 |
⑨ |
574 |
318 |
△256 |
税金等調整前四半期純利益(⑧+⑨) |
⑩ |
5,551 |
6,899 |
1,348 |
税金関係費用 |
⑪ |
△669 |
△1,425 |
△755 |
四半期純利益(⑩+⑪) |
⑫ |
4,881 |
5,474 |
592 |
非支配株主に帰属する四半期純損益 |
⑬ |
△94 |
△41 |
53 |
親会社株主に帰属する四半期純利益(⑫+⑬) |
⑭ |
4,786 |
5,432 |
646 |
|
|
|
|
|
四半期包括利益 |
⑮ |
2,509 |
867 |
△1,642 |
|
|
|
|
|
与信関係費用(①’+③+④) |
⑯ |
△1,479 |
△653 |
825 |
(注) 費用項目は△表記しております。 |
||||
(参考)連結業務純益 |
|
6,807 |
6,762 |
△44 |
(参考)連結業務純益+ETF関係損益等 |
|
6,845 |
6,818 |
△26 |
*連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)+持分法による投資損益等連結調整 |
||||
*ETF関係損益等=銀行単体合算ベースのETF関係損益+みずほ証券連結の営業有価証券等損益 |
① 連結粗利益
当第3四半期連結累計期間の連結粗利益は、前第3四半期連結累計期間比484億円増加し、1兆7,439億円となりました。項目ごとの収支は以下の通りです。
(資金利益)
資金利益は、前第3四半期連結累計期間比98億円増加し、7,240億円となりました。
(信託報酬)
信託報酬は、前第3四半期連結累計期間比12億円減少し、435億円となりました。
(役務取引等利益)
役務取引等利益は、前第3四半期連結累計期間比63億円減少し、5,148億円となりました。
(特定取引利益・その他業務利益)
特定取引利益は、特定金融派生商品費用の増加等により、前第3四半期連結累計期間比630億円減少し、2,124億円となりました。また、その他業務利益は、外国為替売買益の増加等により、前第3四半期連結累計期間比1,091億円増加し、2,489億円となりました。
② 営業経費
営業経費は、構造改革による経費削減が進んだ一方で為替影響による費用増加等もあり、前第3四半期連結累計期間比474億円増加し、1兆576億円となりました。
③ 不良債権処理額及び④貸倒引当金戻入益等(⑯与信関係費用)
不良債権処理額(含:一般貸倒引当金純繰入額)に、貸倒引当金戻入益等を加算した与信関係費用は、前第3四半期連結累計期間に計上した一部大口の引当の剥落等により、前第3四半期連結累計期間比825億円減少の653億円の費用計上となりました。なお、四半期連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りの方法及び当該見積りに用いた主要な仮定については前連結会計年度に係る連結財務諸表に記載した内容から変更しておりません。
⑤ 株式等関係損益
株式等関係損益は、政策保有株式の売却を着実に進めたことに加え、前第3四半期連結累計期間に計上した株式含み益の一部固定化を目的に導入したベアファンドの解約影響が剥落したこと等により、前第3四半期連結累計期間比773億円増加し、474億円の利益となりました。
⑥ 持分法による投資損益
持分法による投資損益は、前第3四半期連結累計期間比27億円減少し、206億円の利益となりました。
⑦ その他
その他は、308億円の損失となりました。
⑧ 経常利益
以上の結果、経常利益は、前第3四半期連結累計期間比1,604億円増加し、6,581億円となりました。
⑨ 特別損益
特別損益は、前第3四半期連結累計期間に計上した大口の退職給付信託の返還益の減少等により、前第3四半期連結累計期間比256億円減少し、318億円の利益となりました。
⑩ 税金等調整前四半期純利益
以上の結果、税金等調整前四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間比1,348億円増加し、6,899億円となりました。
⑪ 税金関係費用
税金関係費用は、前第3四半期連結累計期間に財務構造改革の一環として実施したみずほ証券の資本適正化に伴う税効果影響等もあり、前第3四半期連結累計期間比755億円増加し、1,425億円となりました。
⑫ 四半期純利益
四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間比592億円増加し、5,474億円となりました。
⑬ 非支配株主に帰属する四半期純損益
非支配株主に帰属する四半期純損益(利益)は、前第3四半期連結累計期間比53億円減少し、41億円となりました。
⑭ 親会社株主に帰属する四半期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間比646億円増加し、5,432億円となりました。
⑮ 四半期包括利益
四半期包括利益は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前第3四半期連結累計期間比1,642億円減少し、867億円となりました。
-参考-
(図表2)損益状況 (株式会社みずほ銀行及びみずほ信託銀行株式会社2行合算ベース(以下「銀行単体合算ベース」))
|
前第3四半期 累計期間 (自 2021年 4月1日 至 2021年 12月31日) |
当第3四半期 累計期間 (自 2022年 4月1日 至 2022年 12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
業務粗利益 |
11,142 |
11,258 |
116 |
資金利益 |
6,430 |
6,581 |
150 |
信託報酬 |
452 |
440 |
△12 |
うち一般合同信託報酬 |
29 |
29 |
0 |
うち信託勘定与信関係費用 |
- |
- |
- |
役務取引等利益 |
3,079 |
3,043 |
△35 |
特定取引利益 |
433 |
△66 |
△499 |
その他業務利益 |
747 |
1,260 |
512 |
経費(除:臨時処理分) |
△6,338 |
△6,266 |
71 |
実質業務純益(除:信託勘定与信関係費用) |
4,804 |
4,992 |
187 |
臨時損益等(含:一般貸倒引当金純繰入額) |
△1,726 |
174 |
1,900 |
うち一般貸倒引当金純繰入額+不良債権処理額 |
△1,601 |
△365 |
1,236 |
うち貸倒引当金戻入益等 |
114 |
43 |
△70 |
うち株式等関係損益 |
△305 |
380 |
686 |
経常利益 |
3,078 |
5,166 |
2,088 |
特別損益 |
579 |
359 |
△220 |
四半期純利益 |
2,390 |
4,010 |
1,619 |
|
|
|
|
与信関係費用 |
△1,487 |
△321 |
1,165 |
与信関係費用=一般貸倒引当金純繰入額+不良債権処理額+貸倒引当金戻入益等+信託勘定与信関係費用 |
[セグメント情報]
前第3四半期連結累計期間及び当第3四半期連結累計期間におけるセグメント情報の概要は、以下の通りです。
なお、詳細につきましては、第4 経理の状況、1.四半期連結財務諸表の(セグメント情報等)に記載しております。
(図表3)報告セグメントごとの業務粗利益+ETF関係損益等及び業務純益+ETF関係損益等の金額に関する情報
|
前第3四半期連結累計期間 (自 2021年4月1日 至 2021年12月31日) |
当第3四半期連結累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) |
比較 |
|||
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
||||
業務粗利益 +ETF関係 損益等 |
業務純益 +ETF関係 損益等 |
業務粗利益 +ETF関係 損益等 |
業務純益 +ETF関係 損益等 |
業務粗利益 +ETF関係 損益等 |
業務純益 +ETF関係 損益等 |
|
リテール・事業法人 カンパニー |
5,198 |
579 |
5,030 |
447 |
△167 |
△132 |
大企業・金融・公共法人 カンパニー |
3,517 |
2,053 |
3,492 |
2,090 |
△25 |
37 |
グローバルコーポレート カンパニー |
4,456 |
2,404 |
4,868 |
2,716 |
411 |
312 |
グローバルマーケッツ カンパニー |
3,583 |
1,887 |
3,355 |
1,470 |
△228 |
△417 |
アセットマネジメント カンパニー |
440 |
147 |
414 |
98 |
△25 |
△49 |
その他 |
△204 |
△227 |
333 |
△5 |
537 |
222 |
みずほフィナンシャル グループ(連結) |
16,992 |
6,845 |
17,494 |
6,818 |
502 |
△26 |
*業務粗利益は、信託勘定償却前の計数であり、業務純益は、信託勘定償却前及び一般貸倒引当金繰入前の計数であります。
[財政状態の分析]
前連結会計年度及び当第3四半期連結会計期間の末日における財政状態のうち、主なものは以下の通りです。(図表4)
|
前連結会計年度
(2022年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2022年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
資産の部 |
2,370,661 |
2,517,912 |
147,250 |
うち有価証券 |
446,410 |
356,658 |
△89,751 |
うち貸出金 |
847,362 |
912,309 |
64,946 |
負債の部 |
2,278,651 |
2,427,626 |
148,974 |
うち預金 |
1,388,308 |
1,434,916 |
46,607 |
うち譲渡性預金 |
168,689 |
189,405 |
20,715 |
純資産の部 |
92,010 |
90,286 |
△1,723 |
うち株主資本合計 |
81,301 |
84,687 |
3,385 |
うちその他の包括利益累計額合計 |
9,471 |
4,841 |
△4,630 |
うち非支配株主持分 |
1,235 |
757 |
△478 |
[資産の部]
① 有価証券
(図表5)
|
前連結会計年度
(2022年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2022年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
有価証券 |
446,410 |
356,658 |
△89,751 |
国債 |
256,387 |
156,218 |
△100,168 |
地方債 |
4,196 |
5,501 |
1,305 |
社債 |
30,420 |
32,441 |
2,021 |
株式 |
32,394 |
30,182 |
△2,211 |
その他の証券 |
123,012 |
132,313 |
9,301 |
有価証券は35兆6,658億円と、国債(日本国債)の減少を主因に、前連結会計年度末比8兆9,751億円減少しました。
② 貸出金
(図表6)
|
前連結会計年度
(2022年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2022年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
貸出金 |
847,362 |
912,309 |
64,946 |
貸出金は、前連結会計年度末比6兆4,946億円増加し、91兆2,309億円となりました。
[負債の部]
預金
(図表7)
|
前連結会計年度
(2022年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2022年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
預金 |
1,388,308 |
1,434,916 |
46,607 |
譲渡性預金 |
168,689 |
189,405 |
20,715 |
預金は143兆4,916億円と、前連結会計年度末比4兆6,607億円増加しました。
また、譲渡性預金は18兆9,405億円と、前連結会計年度末比2兆715億円増加しました。
[純資産の部]
(図表8)
|
前連結会計年度
(2022年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2022年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
純資産の部合計 |
92,010 |
90,286 |
△1,723 |
株主資本合計 |
81,301 |
84,687 |
3,385 |
資本金 |
22,567 |
22,567 |
- |
資本剰余金 |
11,253 |
11,293 |
40 |
利益剰余金 |
47,564 |
50,911 |
3,347 |
自己株式 |
△83 |
△86 |
△2 |
その他の包括利益累計額合計 |
9,471 |
4,841 |
△4,630 |
その他有価証券評価差額金 |
7,198 |
2,300 |
△4,897 |
繰延ヘッジ損益 |
△767 |
△2,270 |
△1,502 |
土地再評価差額金 |
1,321 |
1,311 |
△10 |
為替換算調整勘定 |
23 |
2,242 |
2,219 |
退職給付に係る調整累計額 |
1,696 |
1,257 |
△439 |
在外関係会社における債務 評価調整額 |
△0 |
△0 |
0 |
新株予約権 |
0 |
0 |
△0 |
非支配株主持分 |
1,235 |
757 |
△478 |
当第3四半期連結会計期間末の純資産の部合計は、前連結会計年度末比1,723億円減少し、9兆286億円となりました。主な変動は以下の通りです。
株主資本合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により、前連結会計年度末比3,385億円増加し、8兆4,687億円となりました。
その他の包括利益累計額合計は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末比4,630億円減少し、4,841億円となりました。
非支配株主持分は、前連結会計年度末比478億円減少し、757億円となりました。
[不良債権に関する分析(銀行単体合算ベース)]
(図表9)銀行法及び再生法に基づく債権(銀行勘定+信託勘定)
|
|
前事業年度
(2022年3月31日) |
当第3四半期 会計期間 (2022年12月31日) |
比較 |
|
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
破産更生債権及びこれらに準ずる債権 |
411 |
345 |
△65 |
|
危険債権 |
|
7,260 |
6,611 |
△648 |
要管理債権 |
|
3,185 |
2,953 |
△232 |
三月以上延滞債権 |
|
24 |
6 |
△18 |
貸出条件緩和債権 |
|
3,160 |
2,946 |
△214 |
小計(要管理債権以下) |
(A) |
10,856 |
9,910 |
△946 |
正常債権 |
|
979,335 |
1,064,261 |
84,926 |
合計 |
(B) |
990,192 |
1,074,172 |
83,980 |
(A)/(B)(%) |
|
1.09 |
0.92 |
△0.17 |
当第3四半期会計期間末の不良債権残高(要管理債権以下(A))は、前連結会計年度末比946億円減少し、9,910億円となりました。不良債権比率((A)/(B))は0.92%となっております。
2.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1)経営方針
①企業理念
当社グループは、〈みずほ〉として行うあらゆる活動の根幹をなす考え方として、基本理念・ビジョン・みずほValueから構成される『〈みずほ〉の企業理念』を制定しております。この考え方に基づきグループが一体となって事業運営・業務推進を行うことで、お客さまと経済・社会の発展に貢献し、みなさまに<豊かな実り>をお届けしてまいります。
基本理念:〈みずほ〉の企業活動の根本的考え方
〈みずほ〉は、『日本を代表する、グローバルで開かれた総合金融グループ』として、
常にフェアでオープンな立場から、時代の先を読む視点とお客さまの未来に貢献できる 知見を磨き最高水準の金融サービスをグローバルに提供することで、
幅広いお客さまとともに持続的かつ安定的に成長し、内外の経済・社会の健全な発展に グループ一体となって貢献していく。
これらを通じ、〈みずほ〉は、いかなる時代にあっても変わることのない価値を創造し、 お客さま、経済・社会に<豊かな実り>を提供する、かけがえのない存在であり続ける。
|
ビジョン:〈みずほ〉のあるべき姿・将来像
|
|
|
|
『日本、そして、アジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、 グローバルで開かれた総合金融グループ』
|
|
|
1.信頼No.1の〈みずほ〉 2.サービス提供力No.1の〈みずほ〉 3.グループ力No.1の〈みずほ〉
|
|
みずほValue:役職員が共有すべき価値観・行動軸
1.お客さま第一 ~未来に向けた中長期的なパートナー~ 2.変革への挑戦 ~先進的な視点と柔軟な発想~ 3.チームワーク ~多様な個性とグループ総合力~ 4.スピード ~鋭敏な感性と迅速な対応~ 5.情熱 ~コミュニケーションと未来を切り拓く力~ |
②経営計画
当社グループは、2019年度からの5年間を計画期間とする「5ヵ年経営計画 ~次世代金融への転換」をスタートいたしました。
この計画では、新たな時代の顧客ニーズに対応して、顧客との新たなパートナーシップを構築していく『次世代金融への転換』を実現し、『来るべき時代において、お客さまから今まで以上に必要とされ頼りにされる、より強力で強靭な金融グループ』を形作ってまいります。
(2)経営環境
当第3四半期連結累計期間の経済情勢を顧みますと、米国を中心とした世界的なインフレの継続、中国でのゼロコロナ政策に伴う消費・貿易の停滞、ウクライナ情勢に起因するグローバルな商品・資源価格の高騰が続いており、世界経済の先行きは不透明な状況となっています。
米国経済は、旺盛な労働需要と新型コロナウイルスの感染拡大などを背景とする労働供給の制約から、人材確保のための賃上げ等の動きや多くの品目でのインフレが継続しています。これに伴い、足もとでは個人消費の回復が鈍化しています。FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ継続を受け、一部、ひっ迫していた労働需給に緩和の兆しが見られ、また財物価の伸び率にも鈍化の兆しが見られるものの、サービス価格を中心とした物価上昇や金融引き締めにより景気減速感が高まっており、先行き不透明な状況が続いています。
欧州では、ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰や、供給制約から、経済成長の鈍化とインフレの加速が見られます。ガス価格の上昇は一服したものの依然高水準であるほか、食料価格の上昇などを受けインフレは高止まりし、消費を押し下げています。物価だけでなく、賃金の伸びも加速していることから、ECB(欧州中央銀行)は利上げを継続しています。ウクライナ情勢の長期化、利上げによる消費の低迷、金融引き締めによる設備投資の落ち込みなど、今後の景気の減速懸念は高まっています。
アジアでは、中国における不動産投資の低迷が長期化していることに加え、ゼロコロナ政策の継続により消費者マインドの低迷が続きました。そのため、中国政府はゼロコロナ政策を解除したものの、感染者数が急増し景気が下押しされました。また、米中対立は継続しており、通商や安全保障等をめぐる先行きの不確実性は依然として高い状況です。新興国では、行動制限の緩和に伴い景気に持ち直しの動きが見られる一方、ウクライナ情勢に起因する商品・資源価格の高騰や、米国の利上げに伴う通貨安によるインフレ、世界経済減速の影響が継続しています。
日本経済は、商品・資源価格の高騰や円安による輸入物価の上昇を受け雇用者所得が押し下げられることで消費マインドが弱含む一方、行動制限の緩和等に伴い、サービス関連消費、インバウンド需要を中心に緩やかな持ち直しの動きが見られます。今後は商品市況高騰の一服を受け、物価押し上げ圧力の低下が見込まれるものの、海外経済減速などによる、企業収益や消費の下押しが懸念されます。また、日銀が12月の金融政策決定会合で、長期金利の変動幅拡大を決定したことで、今後の金融政策の更なる変更に対する関心が高まっており、実際に追加の変更が実施された場合には、日本経済に影響を及ぼす可能性があります。
世界経済の先行きは、世界的な金融引き締めや中国の消費回復に不確実性があることから、不透明な状況が続く見込みです。また、ウクライナ情勢の長期化、米国を中心としたインフレが更に深刻化するなどの状況によっては、金融資本市場の混乱や、一層の景気悪化リスクが懸念され、日本経済についても、悪影響を受ける可能性があります。
(3)対処すべき課題
■システム障害の再発防止への取り組み
当社及びみずほ銀行は、2021年11月26日付で金融庁より銀行法第52条の33第1項及び銀行法第26条第1項に基づく業務改善命令を受けました。これを踏まえ、当社及びみずほ銀行は、2022年1月17日に金融庁に対して業務改善計画を提出しております。業務改善計画を踏まえた再発防止策を確実に実行し、継続していくことを通じ、多層的な障害対応力の一層の向上を図ってまいります。また、みずほ銀行は、2021年11月26日付で、外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」)第17条の2第1項の規定に基づき、外為法第17条に基づく銀行等の確認義務の履行に関し、財務省より是正措置命令を受けました。これを踏まえ、みずほ銀行は、2021年12月17日に財務省に対して、同命令の趣旨を踏まえた改善・再発防止策の策定及び監査態勢の整備等に係る報告書を提出しております。みずほ銀行は、再発防止策の確実な実行、継続にとどまることなく、発生原因等を再検証し、外為法令にかかる適切な内部管理態勢の再構築にも取り組んでまいります。
2022年12月末については、来年度以降の継続的実施につなげるための「安定化」を目指す1年において、当初業務改善計画全施策が完了、各種点検等の施策具体化と運用がほぼ一巡しており、多くの領域で継続運用に向けたPDCAサイクルを実行するなど、継続に向けた態勢と自律的な定着化プロセス入りを確認しております。具体的には、システム障害未然防止にかかる各種点検は遅延なく着実に実施中で、2023年3月末までに一巡する計画です。ITガバナンスにおいては、現場実態把握や要員管理を起点とした施策立案・推進が定着してきております。SCP・BCPウォークスルー・訓練を通じて、システムの安定稼働や障害発生時のお客さま対応にかかる対応力は着実に向上しております。「お客さま・営業現場の声の活用」「人と組織の強化」といった施策についても、インフラ整備や枠組の強化が完了し、運用を開始しております。今後は、継続運用を確かなものとするため、組織対応を根付かせ、実効性の維持に注力してまいります。また、下期を通じて環境変化や追加事案等を踏まえた新たな課題等があれば、引き続き適切に課題を追加してまいります。
当社グループといたしましては、今一度、金融グループとしての社会的役割と公共的使命を自覚するとともに、「お客さま起点の徹底」と「業務の安定化」に全力を注ぎ、お客さま・社会のお役に立つ存在になることを目指してまいります。そして、お客さま、社会の皆さまから真に信頼される存在となるべく、全役職員が一丸となって取り組んでまいります。
■5ヵ年経営計画の実行
当社グループの5ヵ年経営計画(2019~2023年度)では、新たな時代のお客さまニーズに対応して、お客さまとの新たなパートナーシップを構築していく『次世代金融への転換』を実現し、『来るべき時代において、お客さまから今まで以上に必要とされ頼りにされる、より強力で強靭な金融グループ』を形作っていくことを目指しております。
デジタル化や少子高齢化、グローバル化等のメガトレンドに加えて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を契機として、人びとの生活や経済・社会のあり方が大きく、かつ急速に変化しています。新たな時代において、従来の「金融」という枠に捉われない新しい価値を提供する企業であるべく、『前に進むための3つの構造改革』を着実に実行してまいります。
(財務目標)
連結ROE*1 |
2023年度 7%~8%程度 |
連結業務純益*2 |
2023年度 9,000億円程度 |
*1 その他有価証券評価差額金を除く
*2 連結業務純益+ETF関係損益(株式会社みずほ銀行、みずほ信託銀行株式会社合算)+営業有価証券等損益(みずほ証券株式会社連結)
(重点取り組み領域)
①ビジネス構造の改革
経済・産業・社会の構造変化に対応し、当社グループの強みを活かしつつ、以下の取り組みを中心にビジネス
構造を改革してまいります。
・ 新たな社会におけるライフデザインのパートナー
▶ 人生100年時代のライフデザインをサポートする資産形成とそれを支える人材育成
▶ 事業承継ニーズに対する高度なソリューション提供と経営人材確保ニーズへの対応
▶ コンサルティング中心のリアル店舗とデジタルチャネルを融合した次世代店舗展開
▶ テクノロジー活用やオープンな協業を通じた新たな顧客層の開拓や需要の創出
・ 産業構造の変化の中での事業展開の戦略的パートナー
▶ イノベーション企業への成長資金供給、産官学連携など成長加速へのオープンな協働
▶ 産業知見等を活用し、事業リスクをシェアする新たなパートナーシップの構築
▶ グローバルな顧客の事業展開を支援すべく、アジアの顧客基盤やネットワークを活用
・ 多様な仲介機能を発揮する市場に精通したパートナー
▶ グローバルネットワークとプロダクト提供体制の最適化により、投資家と投資家、発行体と投資家を繋ぐ
多様な仲介機能発揮
▶ 実現益と評価損益のバランスを重視しつつ、機動的なアセットアロケーションも活用した、ALM・
ポートフォリオ運営の高度化
②財務構造の改革
以下の取り組みにより財務構造を改革し、事業環境・競争環境の変化に対応した柔軟な事業・収益構造への転換を実現いたします。
・事業・収益構造の課題を、以下の4つの視点でビジネス領域ごとに可視化
①リスクリターン(粗利ROE)、②コストリターン(経費率)、③成長性、④安定性
・上記に基づいた、効率化分野から成長分野への集中的な経営資源再配分
・安定収益基盤を確立した上で、機動的にアップサイド収益を追求する収益構造へ転換
③経営基盤の改革
ビジネスの持続的な優位性を支える経営基盤を強化すべく、以下の取り組みを行ってまいります。
・新たな業務スタイルへの変革
▶ 人材・職場、IT・デジタル、チャネル、グループ会社を重点分野として取り組み
▶ 人事については、「社員の成長ややりたい仕事」を軸とする考え方に基づき人事制度を改定し、「社内外
で通用する人材バリュー」を最大化する新たな人事戦略を推進
・グループガバナンスの強化
▶ 持株会社とグループ各社間の役員兼職拡大等により、銀行・信託・証券以外のグループ会社も含めた一体
運営を更に強化し、重要戦略や構造改革を着実に遂行
・コミュニケーションを軸とした新たなカルチャーヘの変革
■サステナビリティへの取り組み
基本的考え方や推進方法等を定めた「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」のもと、グループ全体で戦略と一体的にサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。また、ステークホルダーからの期待・要請に対し、〈みずほ〉の戦略における重要性や親和性、中長期的な企業価値への影響を踏まえて特定した、マテリアリティ(サステナビリティ重点項目)について、各カンパニー・ユニット・グループの戦略に織り込み、グループ一体で取り組んでまいります。また、2022年9月に、〈みずほ〉におけるサステナビリティ領域の推進責任者として、新たにサステナビリティ推進担当(グループCSuO)を新設するとともに、CSuO直下に、サステナブルビジネスの企画業務等を担う「サステナブルビジネス部」、グループ全体の方針策定等を担う「サステナビリティ企画部」を新設し、グループ全体のサステナビリティに関する企画機能を集約・再編いたしました。当該新設部を通じて、グループ横断での中長期的な取り組みや、各種知見の集約・強化を図るとともに、お客さまの課題解決に向けた先見性のある取り組みをより活発化してまいります。
最も重要なグローバル課題の一つである気候変動については、「環境方針」や2022年4月に策定した「2050年ネットゼロに向けた〈みずほ〉のアプローチ」に基づき、気温上昇を1.5℃に抑制するための努力を追求し、自らの事業活動における温室効果ガス排出量(Scope1,2)の2030年度カーボンニュートラル、およびファイナンスポートフォリオから発生する温室効果ガス排出量(Scope3)の2050年ネットゼロを目指してまいります。
引き続き、グローバルかつ長期的な視点で機会とリスクを捉え、総合金融グループとしての機能と知見を活かして取り組みを積極的に進めることで、企業価値の向上を図り、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
また、各ステークホルダーとの対話を重視し、当社グループのサステナビリティへの取り組みが社会の常識と期待に沿うものとなるよう、情報開示の高度化に継続して努めてまいります。
[カンパニー・ユニットの取り組み]
当社グループは、お客さまの属性に応じた銀行・信託・証券等グループ横断的な戦略を策定・推進する5つのカンパニーと、全カンパニー横断的に機能を提供する2つのユニットを設置し、グループを運営しております。
各カンパニー・ユニットの今後の取り組み方針(対処すべき課題)は次の通りです。
なお、株式会社みずほフィナンシャルグループは、2022年6月1日に、農林中央金庫が保有する全てのみずほ証券株式会社の普通株式を株式譲渡により取得し、みずほ証券株式会社を完全子会社としております。
リテール・事業法人カンパニー
個人・中小企業・中堅企業の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券等グループ一体となったコンサルティング営業や、先進的な技術の活用や他社との提携等を通じた利便性の高い金融・非金融サービスの提供等に取り組んでおります。
(今後の取り組み方針)
一連のシステム障害の反省を踏まえ、お客さまの声や現場実態を踏まえた安定的な業務運営体制を構築したうえで、法人・個人別に再編した新営業部店体制のもと、高い専門性の発揮によりお客さまニーズへの対応力を一層強化していきます。
具体的には、個人のお客さまに対しては、「人生100年時代」におけるライフデザインのパートナーとして、グループ一体で総合資産コンサルティングの更なる充実を図り、お客さまの想い・希望の実現に向けたサポートを行います。法人のお客さまに対しては、事業構造改革や成長戦略等の支援に向け、中長期的な経営課題を踏まえたお客さまニーズ起点でのプラン策定とソリューション提供を強化し、お客さまの持続的成長を後押ししていきます。
また、不可逆的なデジタル化の潮流を捉え、DXを起点とした成長加速・生産性向上にも取り組み、スマホ中心の生活への変化に対応した金融サービス変革、生産性向上に向けた社内業務変革を進めていきます。
2022年10月7日に、みずほ証券株式会社及び、楽天グループ株式会社の連結子会社である楽天証券ホールディングス株式会社は、「あらゆる個人のお客さまニーズに応える、本格的なハイブリッド型の総合資産コンサルティングサービス」を共同で実現すべく、戦略的な提携を行うことに合意いたしました。本提携に伴い、みずほ証券株式会社と楽天証券ホールディングス株式会社は同日付で株式譲渡契約書を締結し、併せて株主間契約を締結の上、2022年11月1日に、みずほ証券株式会社は楽天証券株式会社の普通株式の19.99%を取得し、楽天証券株式会社を持分法適用関連会社としております。
2019年5月27日に設立いたしましたLINE Bank設立準備株式会社では、「LINE」とリンクした、親しみやすく利用しやすい“スマホ銀行”を提供することで、銀行をより身近な存在へと変化させ、利用者の皆様に寄り添い、日常的にご利用いただける新銀行の設立に向けて、準備を進めてまいります。
大企業・金融・公共法人カンパニー
国内の大企業法人・金融法人・公共法人の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、お客さまの金融・非金融に関するニーズに対し、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションを、グループ横断的に提供しております。
(今後の取り組み方針)
産業構造転換、サステナビリティへの社会的関心の一層の高まり、地政学的リスクの顕在化等により、お客さまを取り巻く環境は、急速に変化しています。そうした中、銀行・信託・証券に加え、みずほリサーチ&テクノロジーズ等も含めたグループの総力を結集し、単なる資金供与のみならず、より一層の業種・プロダクト知見を活かした提案等を実現することで、お客さまの持続的な発展に向けて、“最も頼りがいのあるホールセールバンク”ブランドを確立するとともに、価値共創パートナーとしての真価を発揮してまいります。
グローバルコーポレートカンパニー
海外進出日系企業および非日系企業等の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、お客さまの事業への深い理解と、貸出・社債引受等のコーポレートファイナンスやトランザクション分野での強みを活かし、様々なソリューションの提供をめざしてまいります。
(今後の取り組み方針)
お客さまの事業変革をグローバルに支える戦略パートナーとして、アジア経済圏におけるネットワークや米国資本市場におけるプレゼンスを活かし、地域を超えたバリューチェーンの活性化に取り組みます。また、サステナビリティへの取り組みでは、金融面からお客さまのトランジションをサポートし社会的課題の解決に貢献していきます。
経済的および政治的に不確実性が高まる中、事業ポートフォリオの最適化とリスクマネジメントの強化を通じて、持続的成長を実現してまいります。
グローバルマーケッツカンパニー
お客さまのヘッジ・運用ニーズに対してマーケット商品全般を提供するセールス&トレーディング業務、資金調達やポートフォリオ運営等のALM・投資業務を担当しております。銀行・信託・証券連携により、アジアトップクラスのグローバルマーケットプレイヤーをめざしてまいります。
(今後の取り組み方針)
セールス&トレーディング業務においては、各地域での銀・証実質一体運営の更なる深化により、お客さまへのソリューション提供力向上の継続、およびグローバルリスク集約などを通じたトレーディング力強化やDX推進により更なるプレゼンス向上に取り組んでまいります。
ALM・投資業務においては、金利上昇圧力の継続が想定される市場環境のなかで、予兆管理と緻密な市場分析による機動的なオペレーションを通じたリスクコントロールを継続いたします。また、金融政策の転換が進むなかで、グローバルALM運営を深化させ、安定的で効率的な外貨資金調達を通じて、グループ全体のビジネスに貢献してまいります。
加えて、セールス&トレーディング・投資・資金調達の各分野におけるサステナビリティ推進に取り組んでまいります。
アセットマネジメントカンパニー
アセットマネジメントに関連する業務を担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券およびアセットマネジメントOne株式会社が一体となって、個人から機関投資家まで、幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品やサービスを提供しております。
(今後の取り組み方針)
お客さまの中長期志向の資産形成をサポートし、国内金融資産の活性化に貢献してまいります。その達成に向けて、「選択と集中」により運用力・ソリューション提供力を強化し、アセットマネジメント機能の付加価値を高め、変容するお客さまのニーズをグループ一体となって捕捉し対応してまいります。また、安定的な業務運営に加え、イノベーションや業務プロセスの改革等を通じて、効率性や先進性を追求し、中長期にわたるビジネス成長基盤を強化してまいります。加えて、非対面ビジネスへの対応等を通じ、更なる成長に向けて加速してまいります。さらに、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)や、ESG情報を投資プロセスに組み込んだ運用、商品提供により、お客さまの資産形成と社会・投資先企業の持続的成長に資する取り組みを推進してまいります。
グローバルプロダクツユニット
個人・法人・投資家等の幅広いセグメントのお客さまに向けた、投資銀行分野とトランザクション分野のソリューション提供業務を担当しております。M&Aや不動産、プロジェクトファイナンスから、国内外決済、資金管理、証券代行まで、各分野において高い専門性を発揮し、高度化・多様化するお客さまのニーズに応える事を目指してまいります。
(今後の取り組み方針)
気候変動対応をはじめとするサステナビリティへの社会的要請の高まりや各国の金融政策の転換等の環境変化を機敏に捉え、お客さまの事業構造転換や企業価値向上を最大限サポートしてまいります。
投資銀行分野においては、事業の再編や承継の加速、保有資産の見直し等、お客さまの経営戦略・成長戦略に応じて、グループ横断で最適なソリューションを提供してまいります。トランザクション分野においては、サプライチェーン・生産体制の見直し等の構造変化の動きに対し、アジアを中心に国内外各拠点間で緊密に連携し、お客さまの多様なニーズに柔軟に応えてまいります。また、安定的な決済基盤を維持しつつ、DXの進展を踏まえたビジネスの高度化等、様々な領域で、潮流変化を捉えた長期的視点からのソリューション提供に取り組んでまいります。
リサーチ&コンサルティングユニット
産業からマクロ経済まで深く分析するリサーチ機能と、経営戦略から環境・デジタル等の専門分野にわたるコンサルティング機能を担うユニットとして、各カンパニーと緊密に連携し、グループ一体となってお客さまや社会に対する価値創造の拡大を目指します。
(今後の取り組み方針)
経済・社会の不透明感の高まりや、サステナビリティ・DXの潮流加速等を受けて、リサーチ・コンサルティング領域における人材獲得競争の激化が見込まれる中、高い専門性を有する人材の確保に向けた取り組みを強化してまいります。また、グループ一体運営のさらなる深化に加え、グループ外との連携等にも取り組み、お客さまや社会に対する価値創造を一層拡大してまいります。
みずほ証券株式会社及び楽天証券ホールディングス株式会社による戦略的な資本業務提携の締結について
当社の連結子会社であるみずほ証券株式会社及び、楽天グループ株式会社の連結子会社である楽天証券ホールディングス株式会社は、2022年10月7日に、「あらゆる個人のお客さまニーズに応える、本格的なハイブリッド型の総合資産コンサルティングサービス」を共同で実現すべく、戦略的な提携を行うことに合意いたしました。本提携に伴い、みずほ証券株式会社と楽天証券ホールディングス株式会社は同日付で株式譲渡契約書を締結し、併せて株主間契約を締結の上、2022年11月1日に、みずほ証券株式会社は楽天証券株式会社(楽天証券ホールディングス株式会社の連結子会社)の普通株式の19.99%を取得し、楽天証券株式会社を持分法適用関連会社としております。