当四半期連結累計期間における、前事業年度の有価証券報告書「事業等のリスク」からの重要な変更は以下の通りです。本項に含まれている将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において判断したものです。
なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2.事業等のリスク」の項目番号に対応するものです。
1.新型コロナウイルスに関するリスク
新型コロナウイルスの感染拡大により、日本を含む世界経済に強い下押し圧力がかかっており、広範な企業活動に悪影響が及んでいます。これまでのところ、各国政府・中銀が相次いで打ち出した財政政策・金融緩和策等により、グローバルな金融システムにおける著しい信用収縮は回避され、金融市場は落ち着いて推移しております。しかしながら、足もとでは変異株のまん延により、世界各地において感染が再拡大しております。
当社グループでは、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するために対策本部を設置し、同対策本部を中心として、新型コロナウイルスの感染拡大防止に取り組むとともに、社会機能維持に不可欠な金融インフラとしてお客さまへの事業資金の供給や資金決済などの金融機能の維持・継続にグループ一丸となって努めてまいりました。
新型コロナウイルスによる影響は当面継続し、グローバル経済の回復に時間を要する懸念があります。また、金融市場ではボラティリティが高まり易い状況が続くものと想定されます。これらに伴い、当社グループにおいても、与信関係費用の大幅な増加や、保有資産等の評価損や減損の発生・拡大、資金流動性の低下等につながる可能性があります。また、こうした事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.財務面に関するリスク
(4) 自己資本比率等に係るリスク
①自己資本比率規制
当社グループには、2013年3月期より、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)に基づき金融庁の定める自己資本比率規制が段階的に適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会は、2017年12月に、バーゼルⅢ規制の見直しに係る最終規則文書を公表しており、当該見直し後の規制は当初2022年から段階的に適用される予定でしたが、バーゼル銀行監督委員会の上位機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループは、2020年3月に、新型コロナウイルス感染症への対応として銀行や監督当局の実務上の対応力を高めるため、当該規制の段階的な適用開始を一年先送りして2023年からとすることを公表しています。これに伴い、金融庁は、同月に、本邦においては2023年3月期から実施する予定である旨を公表しています。加えて、2021年3月及び9月に、最終化されたバーゼルⅢ規制の本邦での実施に向けた告示改正案を公表しています。
当社グループは、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第20号)に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。また、当社の銀行子会社であるみずほ銀行及びみずほ信託銀行も、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。
さらに、当社グループは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)として選定されており、より高い水準の自己資本比率が求められることとなります。また、G-SIBsのグループ及び追加的に求められる資本水準は年次で更新されるため、今後、当社グループに対してさらに高い資本水準が求められる可能性があります。
当社グループは、事業戦略と一体となったリスクアセット運用計画、資本の効率性並びに本項に示した各種リスクの状況等を踏まえ、適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、本項に示した各種リスクの顕在化や自己資本比率の計測手法の変更等により、当社グループや銀行子会社の自己資本比率が低下する可能性があります。また、自己資本比率規制においては、のれん及びその他の無形固定資産、繰延税金資産、金融機関等の資本調達手段の保有等、調整項目については所定の要件のもとで自己資本から控除されますが、かかる規制により、当社グループや銀行子会社の自己資本の額が減少し、自己資本比率が低下する可能性もあります。
仮に当社グループや銀行子会社の自己資本比率が一定基準を下回った場合には、自己資本比率の水準に応じて、金融庁から、社外流出の制限や資本の増強を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国において、自己資本比率規制を受けており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制及び命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② レバレッジ比率規制
2017年12月にバーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢ規制の見直しに係る最終規則文書において、レバレッジ比率規制の枠組みが最終化され、2019年3月に金融庁は、当該文書に基づくレバレッジ比率規制に係る府省令の一部改正及び関連する告示等を公表し、2019年3月31日より当社グループ及び当社の銀行子会社に対して一定比率以上のレバレッジ比率の維持を求めるレバレッジ比率規制の段階的な適用が開始されております。本邦における最終化された定義に基づくレバレッジ比率規制及びG-SIBsに対するレバレッジ・バッファー比率の導入は、当初は2022年3月31日から適用開始の予定でしたが、最終化されたバーゼルⅢの導入延期に伴い、1年延期され、2023年3月31日より適用開始の予定です。これに伴い、2021年10月に、最終化されたバーゼルⅢの本邦での実施に向けた告示改正案が公表されています。なお、2020年6月に金融庁は、新型コロナウイルス感染症の影響拡大が懸念される中、日本銀行による金融政策と銀行等への健全性規制との調和を図るため、例外的なマクロ経済環境を勘案して最低所要レバレッジ比率につき金融庁長官が別に定める比率を適用する場合には、レバレッジ比率の算定にあたり、分母である総エクスポージャーの額から日銀預け金を除外すること等の措置を、2021年3月末を期限として導入し、その後当該措置を2022年3月末まで延長しております。さらに、2021年12月に、当該措置の2024年3月末までの再延長に向けた告示改正案を公表しております。
当該規制は、自己資本比率規制上の国際統一基準が適用される銀行持株会社及び銀行に対して、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率を一定比率以上に維持することを求めるものであり、当該規制により、仮に当社グループや当社の銀行子会社のレバレッジ比率が一定比率を下回った場合には、レバレッジ比率の水準に応じて、金融庁から、資本の増強に係る措置を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 総損失吸収力(TLAC)規制
2015年11月にFSBは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)に対して、一定比率以上の総損失吸収力(TLAC)を求める最終文書を公表しており、2019年3月に金融庁は、当該文書に基づくTLAC規制に係る銀行法施行規則の一部改正及び関連する告示を公表し、2019年3月31日より当社グループ及び当社の主要子会社に対して本邦TLAC規制の段階的な適用が開始されております。なお、2020年6月に金融庁は、例外的なマクロ経済環境を勘案して最低所要レバレッジ比率につき金融庁長官が別に定める比率を適用する場合には、レバレッジ比率の算定にあたり、分母である総エクスポージャーの額から日銀預け金を除外すること等の措置を、2021年3月末を期限として導入し、その後当該措置を2022年3月末まで延長しております。さらに、2021年12月に、当該措置の2024年3月末までの再延長に向けた告示改正案を公表しております。当該措置により、レバレッジ比率の算定にあたり、分母である総エクスポージャーの額から日銀預け金を除外する場合は、総エクスポージャーベース外部TLAC比率及び最低所要内部TLAC額の算定にあたっても、分母である総エクスポージャーの額から日銀預け金を除外することとなります。
TLAC規制は、当社グループを含むG-SIBsに対して、自己資本比率規制に加えて追加的に適用される規制であり、当該規制により、仮に当社グループの外部TLAC比率や当社の主要子会社の内部TLAC額が一定基準を下回った場合には、金融庁から、外部TLAC比率の向上や内部TLAC額の増加に係る改善策の報告を求められる可能性や、業務改善命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.業務面に関するリスク
① システムリスクの顕在化による悪影響
当社グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。
当社グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。
しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生した場合には、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。例えば、2021年2月以降、株式会社みずほ銀行(同年8月20日の障害は、みずほ信託銀行株式会社も含む)において複数のシステム障害が発生し、営業部店やATMでの取引、インターネットバンキング取引、内為・外為取引等が一部不能となりました。これに伴い、当社及び株式会社みずほ銀行は、2021年9月22日及び同年11月26日に銀行法第52条の33第1項及び同法第26条第1項に基づき、金融庁より業務改善命令を受けました。その後、11月26日付の業務改善命令に基づき、当社及び株式会社みずほ銀行は、2022年1月17日に金融庁へ業務改善計画を提出いたしました。
このような事案を含め、システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネロン対策」という)の重要性が急速に高まっております。「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(2021年2月改正)の本邦金融当局からの発出や、2021年8月の我が国のマネロン対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査結果の公表など、金融機関のマネロン対策の強化が課題となっています。当社グループは、国内外において事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けており、当社グループでは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。
しかしながら、マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、外為法第17条に基づく銀行等の確認義務の履行に関し、株式会社みずほ銀行は2021年11月26日に財務省より是正措置命令を受け、同年12月17日に改善・再発防止策等に係る報告書を財務省に提出いたしました。
トップリスク運営
当社は、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識をトップリスクとして選定する「トップリスク運営」を導入しています。企業価値毀損につながるようなリスク事象を当社の脆弱性や外部環境変化等を踏まえて幅広く収集した後、リスクの波及経路や蓋然性・影響度等の評価をもとに重要なリスク事象を選定し、リスクコントロールの難度も勘案の上、経営陣での議論を踏まえトップリスクを選定しております。この運営を通じて当社グループ内のリスクコミュニケーションを深め、リスク認識に対する目線の統一を図り、各リスク管理等態勢におけるリスク認識においても整合性を確保しています。選定したトップリスクについては、コントロール状況等を確認し、必要に応じて追加的なリスクコントロール策を検討すること等に活用します。また、リスク委員会や取締役会等に報告し、外部委員や社外取締役も含め多面的に選定の妥当性やコントロール状況等について確認しています。
2021年9月現在、以下をトップリスクとして選定しております。
トップリスク
・新型コロナ影響の長期化
・米中対立の先鋭化
・気候変動にかかる社会変革の急激な進展
・米国のインフレ・金利上昇
・システム障害
・サイバー攻撃
・マネロン・テロ資金供与
・役職員による不適切な行為・不作為
・デジタル社会の急速な進展
なお、「事業等のリスク」は、トップリスク等も踏まえて選定しています。
2022年3月期第3四半期における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態及び経営成績の状況は以下の通りと分析しております。
なお、本項における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
1.財政状態及び経営成績の状況
[総論]
①連結業務純益
・当第3四半期連結累計期間の連結粗利益は、顧客部門が堅調に推移したこと等により、前年同期比759億円増加し、1兆6,954億円となりました。
・営業経費は、数理計算上の差異の償却負担が減少したことに加え、構造改革による経費削減が着実に進展したこと等により、前年同期比124億円減少し、1兆101億円となりました。
・これらの結果、連結業務純益は、前年同期比723億円増加し、6,807億円となりました。
なお、連結業務純益に銀行単体合算ベースのETF関係損益とみずほ証券連結の営業有価証券等損益を加えた連結業務純益+ETF関係損益等は、連結業務純益の増加等により、前年同期比738億円増加し、6,845億円となりました。
②親会社株主に帰属する四半期純利益
・与信関係費用は、一部の取引先にて大口の引当を計上したこと等もあり、前年同期比497億円増加し、1,479億円の費用計上となりました。なお、四半期連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りの方法及び当該見積りに用いた主要な仮定については前連結会計年度に係る連結財務諸表に記載した内容から変更しておりません。
・株式等関係損益は、政策保有株式の売却の継続やETF関係損益の増加等の一方、株式含み益の一部固定化を目的に導入したベアファンドについて解約を進めたほか、株式の償却等により、前年同期比9億円増加し、298億円の損失となりました。
・これらの結果、経常利益は、前年同期比487億円増加し、4,976億円となりました。
・特別損益は、前連結会計年度より財務構造改革の一環として取り組んでいる退職給付信託の返還による返還益を計上した一方で、前連結会計年度に計上した年金制度改定に伴う特別利益が剥落したこと等により、前年同期比121億円減少し、574億円の利益となりました。
・税金関係費用は、財務構造改革の一環として実施したみずほ証券の資本適正化に伴う税効果影響等もあり、前年同期比925億円減少し、669億円となりました。
・以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比1,242億円増加し、4,786億円となりました。これは、修正後の年度計画5,300億円に対し、90%の進捗率となっております。
[損益の状況]
前第3四半期連結累計期間及び当第3四半期連結累計期間における損益状況は以下の通りです。
(図表1)
|
|
前第3四半期 連結累計期間 (自 2020年 4月1日 至 2020年 12月31日) |
当第3四半期 連結累計期間 (自 2021年 4月1日 至 2021年 12月31日) |
比較 |
|
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
連結粗利益 |
① |
16,195 |
16,954 |
759 |
資金利益 |
|
6,496 |
7,142 |
646 |
信託報酬 |
|
405 |
447 |
41 |
うち信託勘定与信関係費用 |
①' |
- |
- |
- |
役務取引等利益 |
|
4,714 |
5,211 |
497 |
特定取引利益 |
|
3,313 |
2,755 |
△558 |
その他業務利益 |
|
1,265 |
1,397 |
132 |
営業経費 |
② |
△10,226 |
△10,101 |
124 |
不良債権処理額 (含:一般貸倒引当金純繰入額) |
③ |
△1,039 |
△1,603 |
△563 |
貸倒引当金戻入益等 |
④ |
57 |
123 |
66 |
株式等関係損益 |
⑤ |
△308 |
△298 |
9 |
持分法による投資損益 |
⑥ |
171 |
233 |
62 |
その他 |
⑦ |
△362 |
△332 |
29 |
経常利益(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦) |
⑧ |
4,488 |
4,976 |
487 |
特別損益 |
⑨ |
695 |
574 |
△121 |
税金等調整前四半期純利益(⑧+⑨) |
⑩ |
5,184 |
5,551 |
366 |
税金関係費用 |
⑪ |
△1,595 |
△669 |
925 |
四半期純利益(⑩+⑪) |
⑫ |
3,588 |
4,881 |
1,292 |
非支配株主に帰属する四半期純損益 |
⑬ |
△44 |
△94 |
△50 |
親会社株主に帰属する四半期純利益(⑫+⑬) |
⑭ |
3,544 |
4,786 |
1,242 |
|
|
|
|
|
四半期包括利益 |
⑮ |
5,768 |
2,509 |
△3,259 |
|
|
|
|
|
与信関係費用(①’+③+④) |
⑯ |
△981 |
△1,479 |
△497 |
(注) 費用項目は△表記しております。 |
||||
(参考)連結業務純益 |
|
6,084 |
6,807 |
723 |
(参考)連結業務純益+ETF関係損益等 |
|
6,107 |
6,845 |
738 |
*連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)+持分法による投資損益等連結調整 |
||||
*ETF関係損益等=銀行単体合算ベースのETF関係損益+みずほ証券連結の営業有価証券等損益 |
① 連結粗利益
当第3四半期連結累計期間の連結粗利益は、前年同期比759億円増加し、1兆6,954億円となりました。項目ごとの収支は以下の通りです。
(資金利益)
資金利益は、貸出金利息の減少より預金利息の減少が上回ったこと等により、前年同期比646億円増加し、7,142億円となりました。
(信託報酬)
信託報酬は、前年同期比41億円増加し、447億円となりました。
(役務取引等利益)
役務取引等利益は、個人運用関連の手数料の増加等により、前年同期比497億円増加し、5,211億円となりました。
(特定取引利益・その他業務利益)
特定取引利益は、商品有価証券収益の減少等により、前年同期比558億円減少し、2,755億円となりました。また、その他業務利益は、国債等債券売却損益の増加等により、前年同期比132億円増加し、1,397億円となりました。
② 営業経費
営業経費は、数理計算上の差異の償却負担が減少したことに加え、構造改革による経費削減が着実に進展したこと等により、前年同期比124億円減少し、1兆101億円となりました。
③ 不良債権処理額及び④貸倒引当金戻入益等(⑯与信関係費用)
不良債権処理額(含:一般貸倒引当金純繰入額)に、貸倒引当金戻入益等を加算した与信関係費用は、一部の取引先にて大口の引当を計上したこと等もあり、前年同期比497億円増加の1,479億円の費用計上となりました。なお、四半期連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りの方法及び当該見積りに用いた主要な仮定については前連結会計年度に係る連結財務諸表に記載した内容から変更しておりません。
⑤ 株式等関係損益
株式等関係損益は、政策保有株式の売却の継続やETF関係損益の増加等の一方、株式含み益の一部固定化を目的に導入したベアファンドについて解約を進めたほか、株式の償却等により、前年同期比9億円増加し、298億円の損失となりました。
⑥ 持分法による投資損益
持分法による投資損益は、前年同期比62億円増加し、233億円の利益となりました。
⑦ その他
その他は、332億円の損失となりました。
⑧ 経常利益
以上の結果、経常利益は、前年同期比487億円増加し、4,976億円となりました。
⑨ 特別損益
特別損益は、前連結会計年度より財務構造改革の一環として取り組んでいる退職給付信託の返還による返還益を計上した一方で、前連結会計年度に計上した年金制度改定に伴う特別利益が剥落したこと等により、前年同期比121億円減少し、574億円の利益となりました。
⑩ 税金等調整前四半期純利益
以上の結果、税金等調整前四半期純利益は、前年同期比366億円増加し、5,551億円となりました。
⑪ 税金関係費用
税金関係費用は、財務構造改革の一環として実施したみずほ証券の資本適正化に伴う税効果影響等もあり、前年同期比925億円減少し、669億円となりました。
⑫ 四半期純利益
四半期純利益は、前年同期比1,292億円増加し、4,881億円となりました。
⑬ 非支配株主に帰属する四半期純損益
非支配株主に帰属する四半期純損益(利益)は、前年同期比50億円増加し、94億円となりました。
⑭ 親会社株主に帰属する四半期純利益(⑮四半期包括利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比1,242億円増加し、4,786億円となりました。また、四半期包括利益は、前年同期比3,259億円減少し、2,509億円となりました。
-参考-
(図表2)損益状況 (銀行単体合算ベース)
|
前第3四半期 累計期間 (自 2020年 4月1日 至 2020年 12月31日) |
当第3四半期 累計期間 (自 2021年 4月1日 至 2021年 12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
業務粗利益 |
10,834 |
11,142 |
308 |
資金利益 |
5,784 |
6,430 |
645 |
信託報酬 |
410 |
452 |
41 |
うち一般合同信託報酬 |
30 |
29 |
△0 |
うち信託勘定与信関係費用 |
- |
- |
- |
役務取引等利益 |
3,118 |
3,079 |
△39 |
特定取引利益 |
920 |
433 |
△487 |
その他業務利益 |
599 |
747 |
147 |
経費(除:臨時処理分) |
△6,573 |
△6,338 |
235 |
実質業務純益(除:信託勘定与信関係費用) |
4,261 |
4,804 |
543 |
臨時損益等(含:一般貸倒引当金純繰入額) |
△1,576 |
△1,726 |
△149 |
うち一般貸倒引当金純繰入額+不良債権処理額 |
△1,012 |
△1,601 |
△589 |
うち貸倒引当金戻入益等 |
53 |
114 |
60 |
うち株式等関係損益 |
△416 |
△305 |
110 |
経常利益 |
2,684 |
3,078 |
393 |
特別損益 |
618 |
579 |
△38 |
四半期純利益 |
2,185 |
2,390 |
204 |
|
|
|
|
与信関係費用 |
△958 |
△1,487 |
△528 |
与信関係費用=一般貸倒引当金純繰入額+不良債権処理額+貸倒引当金戻入益等+信託勘定与信関係費用 |
[セグメント情報]
前第3四半期連結累計期間及び当第3四半期連結累計期間におけるセグメント情報の概要は、以下の通りです。
なお、詳細につきましては、第4 経理の状況、1.四半期連結財務諸表の(セグメント情報等)に記載しております。
(図表3)報告セグメントごとの業務粗利益+ETF関係損益等及び業務純益+ETF関係損益等の金額に関する情報
|
前第3四半期連結累計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) |
当第3四半期連結累計期間 (自 2021年4月1日 至 2021年12月31日) |
比較 |
|||
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
||||
業務粗利益 +ETF関係 損益等 |
業務純益 +ETF関係 損益等 |
業務粗利益 +ETF関係 損益等 |
業務純益 +ETF関係 損益等 |
業務粗利益 +ETF関係 損益等 |
業務純益 +ETF関係 損益等 |
|
リテール・事業法人 カンパニー |
4,840 |
151 |
5,190 |
593 |
350 |
441 |
大企業・金融・公共法人 カンパニー |
3,309 |
1,802 |
3,499 |
2,055 |
189 |
252 |
グローバルコーポレート カンパニー |
3,383 |
1,588 |
3,883 |
2,049 |
500 |
460 |
グローバルマーケッツ カンパニー |
4,250 |
2,670 |
3,516 |
1,871 |
△733 |
△799 |
アセットマネジメント カンパニー |
364 |
75 |
440 |
147 |
75 |
71 |
その他 |
69 |
△182 |
461 |
128 |
392 |
311 |
みずほフィナンシャル グループ(連結) |
16,218 |
6,107 |
16,992 |
6,845 |
774 |
738 |
*業務粗利益は、信託勘定償却前の計数であり、業務純益は、信託勘定償却前及び一般貸倒引当金繰入前の計数であります。
[財政状態の分析]
前連結会計年度及び当第3四半期連結会計期間の末日における財政状態のうち、主なものは以下の通りです。(図表4)
|
前連結会計年度
(2021年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2021年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
資産の部 |
2,255,862 |
2,254,249 |
△1,612 |
うち有価証券 |
436,972 |
400,105 |
△36,866 |
うち貸出金 |
837,046 |
830,860 |
△6,186 |
負債の部 |
2,162,240 |
2,160,187 |
△2,052 |
うち預金 |
1,333,124 |
1,290,034 |
△43,089 |
うち譲渡性預金 |
171,925 |
192,855 |
20,930 |
純資産の部 |
93,622 |
94,062 |
440 |
うち株主資本合計 |
78,072 |
80,772 |
2,700 |
うちその他の包括利益累計額合計 |
14,490 |
12,089 |
△2,401 |
うち非支配株主持分 |
1,057 |
1,199 |
141 |
[資産の部]
① 有価証券
(図表5)
|
前連結会計年度
(2021年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2021年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
有価証券 |
436,972 |
400,105 |
△36,866 |
国債 |
214,005 |
173,660 |
△40,345 |
地方債 |
4,635 |
4,380 |
△255 |
社債 |
27,609 |
31,370 |
3,761 |
株式 |
35,701 |
33,652 |
△2,048 |
その他の証券 |
155,021 |
157,041 |
2,020 |
有価証券は40兆105億円と、国債(日本国債)の減少を主因に、前年度末比3兆6,866億円減少しました。
② 貸出金
(図表6)
|
前連結会計年度
(2021年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2021年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
貸出金 |
837,046 |
830,860 |
△6,186 |
貸出金は、前年度末比6,186億円減少し、83兆860億円となりました。
[負債の部]
預金
(図表7)
|
前連結会計年度
(2021年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2021年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
預金 |
1,333,124 |
1,290,034 |
△43,089 |
譲渡性預金 |
171,925 |
192,855 |
20,930 |
預金は129兆34億円と、前年度末比4兆3,089億円減少しました。
また、譲渡性預金は19兆2,855億円と、前年度末比2兆930億円増加しました。
[純資産の部]
(図表8)
|
前連結会計年度
(2021年3月31日) |
当第3四半期 連結会計期間 (2021年12月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
純資産の部合計 |
93,622 |
94,062 |
440 |
株主資本合計 |
78,072 |
80,772 |
2,700 |
資本金 |
22,567 |
22,567 |
- |
資本剰余金 |
11,359 |
11,253 |
△106 |
利益剰余金 |
44,216 |
47,034 |
2,817 |
自己株式 |
△71 |
△82 |
△11 |
その他の包括利益累計額合計 |
14,490 |
12,089 |
△2,401 |
その他有価証券評価差額金 |
11,324 |
9,764 |
△1,560 |
繰延ヘッジ損益 |
316 |
△533 |
△849 |
土地再評価差額金 |
1,363 |
1,354 |
△8 |
為替換算調整勘定 |
△1,395 |
△580 |
814 |
退職給付に係る調整累計額 |
2,880 |
2,083 |
△797 |
新株予約権 |
1 |
0 |
△0 |
非支配株主持分 |
1,057 |
1,199 |
141 |
当第3四半期連結会計期間末の純資産の部合計は、前年度末比440億円増加し、9兆4,062億円となりました。主な変動は以下の通りです。
株主資本合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により、前年度末比2,700億円増加し、8兆772億円となりました。
その他の包括利益累計額合計は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前年度末比2,401億円減少し、1兆2,089億円となりました。
非支配株主持分は、前年度末比141億円増加し、1,199億円となりました。
[不良債権に関する分析(銀行単体合算ベース)]
(図表9)金融再生法開示債権(銀行勘定+信託勘定)
|
|
前事業年度
(2021年3月31日) |
当第3四半期 会計期間 (2021年12月31日) |
比較 |
|
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
破産更生債権及びこれらに準ずる債権 |
487 |
385 |
△101 |
|
危険債権 |
|
4,110 |
7,057 |
2,946 |
要管理債権 |
|
3,330 |
3,385 |
55 |
小計(要管理債権以下) |
(A) |
7,927 |
10,828 |
2,900 |
正常債権 |
|
951,443 |
954,134 |
2,690 |
合計 |
(B) |
959,371 |
964,962 |
5,591 |
(A)/(B)(%) |
|
0.82 |
1.12 |
0.29 |
当第3四半期会計期間末の不良債権残高(要管理債権以下(A))は、前年度末比2,900億円増加し、1兆828億円となりました。不良債権比率((A)/(B))は1.12%となっております。
2.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1)経営方針
①企業理念
当社グループは、〈みずほ〉として行うあらゆる活動の根幹をなす考え方として、基本理念・ビジョン・みずほValueから構成される『〈みずほ〉の企業理念』を制定しております。この考え方に基づきグループが一体となって事業運営・業務推進を行うことで、お客さまと経済・社会の発展に貢献し、みなさまに<豊かな実り>をお届けしてまいります。
基本理念:〈みずほ〉の企業活動の根本的考え方
〈みずほ〉は、『日本を代表する、グローバルで開かれた総合金融グループ』として、
常にフェアでオープンな立場から、時代の先を読む視点とお客さまの未来に貢献できる 知見を磨き最高水準の金融サービスをグローバルに提供することで、
幅広いお客さまとともに持続的かつ安定的に成長し、内外の経済・社会の健全な発展に グループ一体となって貢献していく。
これらを通じ、〈みずほ〉は、いかなる時代にあっても変わることのない価値を創造し、 お客さま、経済・社会に<豊かな実り>を提供する、かけがえのない存在であり続ける。
|
ビジョン:〈みずほ〉のあるべき姿・将来像
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『日本、そして、アジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、 グローバルで開かれた総合金融グループ』
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1.信頼No.1の〈みずほ〉 2.サービス提供力No.1の〈みずほ〉 3.グループ力No.1の〈みずほ〉
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みずほValue:役職員が共有すべき価値観・行動軸
1.お客さま第一 ~未来に向けた中長期的なパートナー~ 2.変革への挑戦 ~先進的な視点と柔軟な発想~ 3.チームワーク ~多様な個性とグループ総合力~ 4.スピード ~鋭敏な感性と迅速な対応~ 5.情熱 ~コミュニケーションと未来を切り拓く力~ |
②経営計画
当社グループは、2019年度からの5年間を計画期間とする「5ヵ年経営計画 ~次世代金融への転換」をスタートいたしました。
この計画では、新たな時代の顧客ニーズに対応して、顧客との新たなパートナーシップを構築していく『次世代金融への転換』を実現し、『来るべき時代において、お客さまから今まで以上に必要とされ頼りにされる、より強力で強靭な金融グループ』を形作ってまいります。
(2)経営環境
当第3四半期連結累計期間の経済情勢を顧みますと、世界経済は回復基調が続いていますが、足もとでは変異株のまん延や米国を中心としたインフレ圧力の高まりが回復の足かせとなっています。
米国経済は、感染拡大などを背景に労働需給がひっ迫する中、人材確保のための賃上げ等の動きが見られます。FRB(連邦準備制度理事会)は金融緩和を継続していますが、足もとのインフレ圧力の高まりを受けて、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では金融政策の正常化が議論されるなど、高インフレに対する警戒感を強めています。また、大規模な追加景気対策による押し上げ効果が期待される一方、物価上昇が景気を下押しする懸念など、先行きの不透明感は拭い切れていません。
欧州では、主要国の経済活動の再開により景気は持ち直しの動きが見られる一方、供給制約の長期化と感染再拡大が景気回復の重石となっています。ECB(欧州中央銀行)は、金融緩和を維持していますが、12月の政策理事会ではPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)での新規購入を2022年3月に終了することを発表するなど、緩和スタンスに変化が見られます。今後も、景気の持ち直しが継続することが期待される一方、変異株のまん延やインフレ圧力の影響など、景気の先行き懸念は残存しています。
アジアでは、中国において民需は引き続き回復に向かっているものの、不動産投資の減少が景気回復の足かせとなっています。また、米中対立は継続しており、通商や安全保障等をめぐる先行きの不確実性は依然として高い状況です。新興国では、行動制限の緩和により企業が雇用水準の正常化を進める一方で、入国規制による外国人労働者の減少などにより人手不足の問題が発生し、回復の抑制要因になっています。また、資源・観光依存度の高い国や財政出動余地の低い国の経済への悪影響は継続しています。
日本経済は、制限緩和に伴い、サービス関連消費を中心に持ち直しの動きが続いているものの、感染再拡大に対する懸念により、依然厳しさが残っています。政府・日本銀行による政策対応もあり、失業率の上昇や企業倒産件数は抑制されていますが、供給制約を受けた生産への影響が景気回復の重石となっています。また、物価上昇や変異株のまん延により、消費マインドの悪化が懸念されます。
世界経済の先行きは、ワクチンの普及及び各国の金融緩和や財政出動による下支えを背景とした緩やかな回復が続く見込みです。ただし、変異株のまん延や米国を中心としたインフレが想定以上に深刻化するなどの状況によっては、景気悪化リスクが懸念されます。日本経済についても、景気の低迷が長期化し、累積的に大きな負の影響が生じる可能性があります。
(3)対処すべき課題
■システム障害等の原因究明・再発防止への取り組み
当社及びみずほ銀行は、2021年11月26日付で金融庁より銀行法第52条の33第1項及び銀行法第26条第1項に基づく業務改善命令を受けました。これを踏まえ、当社及びみずほ銀行は、2022年1月17日に金融庁に対して業務改善計画を提出いたしました。本計画において、これまで策定してきたシステムの改善対応策のほか、お客さま対応・危機管理にかかる改善対応策等について、予断を持つことなく、各現場の声に耳を傾け、外部目線や専門的知見も取入れながら、有効性・網羅性・継続性の観点から全般に亘り、点検・見直しを行いました。こうした点検・見直しを踏まえた再発防止策を確実に実行し、継続していくことを通じ、多層的な障害対応力の一層の向上を図ってまいります。
また、グループ全体のガバナンス強化に向け、現場実態を踏まえた適切な経営戦略・経営資源配分、ITガバナンスの強化といった枠組みの高度化、システムリスクや法令遵守体制といった内部管理態勢の強化、監督機能を更に発揮するための強化策を策定いたしました。さらには、これら再発防止策や経営管理の実効性を高め、持続的なものとするための礎となる、人と組織体制の強化策や、企業風土の変革にも取組んでまいります。
今後、お客さまにみずほのサービスを安心してご利用頂けるよう、全役職員が一致団結し、お客さまに重大な影響を及ぼすシステム障害を防ぎ、障害発生時にもお客さまへの影響を極小化することができる強固な態勢を構築し、かつ、これを、変化し続ける環境においても取組みを継続してまいります。
また、みずほ銀行は、2021年11月26日付で、外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」)第17条の2第1項の規定に基づき、外為法第17条に基づく銀行等の確認義務の履行に関し、財務省より是正措置命令を受けました。これを踏まえ、みずほ銀行は、2021年12月17日に財務省に対して、同命令の趣旨を踏まえた改善・再発防止策の策定及び監査態勢の整備等に係る報告書を提出いたしました。みずほ銀行は、再発防止策として、外為業務に関連する役職員の外為法令等に関する知識・意識の向上、危機対応時・平時の両面での関係部署間のコミュニケーションにおいて外為法令遵守に向けて適切な検討・判断が行われる仕組みの構築、外為法令遵守のためのシステム管理態勢の強化に取り組んでまいります。加えて、上記にとどまることなく、発生原因等を再検証し、外為法令にかかる適切な内部管理態勢の再構築にも取り組んでまいります。
当社グループといたしましては、今一度、金融グループとしての社会的役割と公共的使命を自覚するとともに、「お客さま起点の徹底」と「業務の安定化」に全力を注ぎ、お客さま・社会のお役に立つ存在になることを目指してまいります。そして、お客さま、社会の皆さまから真に信頼される存在となるべく、全役職員が一丸となって取り組んでまいります。
■5ヵ年経営計画の実行
当社グループの5ヵ年経営計画(2019~2023年度)では、新たな時代のお客さまニーズに対応して、お客さまとの新たなパートナーシップを構築していく『次世代金融への転換』を実現し、『来るべき時代において、お客さまから今まで以上に必要とされ頼りにされる、より強力で強靭な金融グループ』を形作っていくことを目指しております。
デジタル化や少子高齢化、グローバル化等のメガトレンドに加えて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を契機として、人びとの生活や経済・社会のあり方が大きく、かつ急速に変化しています。新たな時代において、従来の「金融」という枠に捉われない新しい価値を提供する企業であるべく、『前に進むための3つの構造改革』を着実に実行してまいります。
(財務目標)
連結ROE*1 |
2023年度 7%~8%程度 |
連結業務純益*2 |
2023年度 9,000億円程度 |
*1 その他有価証券評価差額金を除く
*2 連結業務純益+ETF関係損益(株式会社みずほ銀行、みずほ信託銀行株式会社合算)+営業有価証券等損益(みずほ証券株式会社連結)
(重点取り組み領域)
①ビジネス構造の改革
経済・産業・社会の構造変化に対応し、当社グループの強みを活かしつつ、以下の取り組みを中心にビジネス
構造を改革してまいります。
・ 新たな社会におけるライフデザインのパートナー
▶ 人生100年時代のライフデザインをサポートする資産形成とそれを支える人材育成
▶ 事業承継ニーズに対する高度なソリューション提供と経営人材確保ニーズへの対応
▶ コンサルティング中心のリアル店舗とデジタルチャネルを融合した次世代店舗展開
▶ テクノロジー活用やオープンな協業を通じた新たな顧客層の開拓や需要の創出
・ 産業構造の変化の中での事業展開の戦略的パートナー
▶ イノベーション企業への成長資金供給、産官学連携など成長加速へのオープンな協働
▶ 産業知見等を活用し、事業リスクをシェアする新たなパートナーシップの構築
▶ グローバルな顧客の事業展開を支援すべく、アジアの顧客基盤やネットワークを活用
・ 多様な仲介機能を発揮する市場に精通したパートナー
▶ グローバルネットワークとプロダクト提供体制の最適化により、投資家と投資家、発行体と投資家を繋ぐ
多様な仲介機能発揮
▶ 実現益と評価損益のバランスを重視しつつ、機動的なアセットアロケーションも活用した、ALM・
ポートフォリオ運営の高度化
②財務構造の改革
以下の取り組みにより財務構造を改革し、事業環境・競争環境の変化に対応した柔軟な事業・収益構造への転換を実現いたします。
・事業・収益構造の課題を、以下の4つの視点でビジネス領域ごとに可視化
①リスクリターン(粗利ROE)、②コストリターン(経費率)、③成長性、④安定性
・上記に基づいた、効率化分野から成長分野への集中的な経営資源再配分
・安定収益基盤を確立した上で、機動的にアップサイド収益を追求する収益構造へ転換
③経営基盤の改革
ビジネスの持続的な優位性を支える経営基盤を強化すべく、以下の取り組みを行ってまいります。
・新たな業務スタイルへの変革
▶ 人材・職場、IT・デジタル、チャネル、グループ会社を重点分野として取り組み
▶ 人事については、「社員の成長ややりたい仕事」を軸とする考え方に基づき人事制度を改定し、「社内外
で通用する人材バリュー」を最大化する新たな人事戦略を推進
・グループガバナンスの強化
▶ 持株会社とグループ各社間の役員兼職拡大等により、銀行・信託・証券以外のグループ会社も含めた一体
運営を更に強化し、重要戦略や構造改革を着実に遂行
・コミュニケーションを軸とした新たなカルチャーヘの変革
■サステナビリティへの取り組み
「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」のもと、グループ全体で戦略と一体的にサステナビリティへの取り組みを推進することで、企業価値の向上を図り、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
具体的には、ステークホルダーからの期待・要請に対し、〈みずほ〉の戦略における重要性や親和性、中長期的な企業価値への影響を踏まえて特定した、サステナビリティ重点項目について、各カンパニー・ユニット・グループの戦略に織り込み、グループ一体で取り組んでまいります。
また、最も重要なグローバル課題の一つである気候変動については、取り組みをさらに進めるため、「環境方針」を2021年4月に改定し、2050年の脱炭素社会実現への貢献や、パリ協定の目標と整合するポートフォリオへの転換について明確化しました。同方針に基づき、目指すべきゴールに向けた具体的な道筋(パスウェイ)の明確化に向けた検討を進めてまいります。
取り組みの推進にあたっては、各ステークホルダーとの対話を重視し、当社グループのサステナビリティへの取り組みが社会の常識と期待に沿うものとなるよう、情報開示の高度化に継続して努めてまいります。
[カンパニー・ユニットの取り組み]
当社グループは、お客さまの属性に応じた銀行・信託・証券等グループ横断的な戦略を策定・推進する5つのカンパニーと、全カンパニー横断的に機能を提供する2つのユニットを設置し、グループを運営しております。
各カンパニー・ユニットの今後の取り組み方針(対処すべき課題)は次の通りです。
リテール・事業法人カンパニー
個人・中小企業・中堅企業の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券等グループ一体となったコンサルティング営業や、先進的な技術の活用や他社との提携等を通じた利便性の高い金融・非金融サービスの提供等に取り組んでおります。
(今後の取り組み方針)
お客さまニーズが急速に変化・多様化する中、個人のお客さまに対しては、「人生100年時代」におけるライフデザインのパートナーとして、グループ一体で総合資産コンサルティングの更なる充実を図り、お客さまの想い・希望の実現に向けたサポートを行います。法人のお客さまに対しては、事業構造改革や成長戦略等の支援に向け、中長期的な経営課題を踏まえたお客さまニーズ起点でのプラン策定とソリューション提供を強化し、お客さまの持続的成長を後押ししていきます。これらのお客さまニーズに対し、より専門性の高いアプローチを実現すべく、営業店体制を法人・個人別に再編し、それぞれの専門性を一層追求していきます。
また、コロナ禍を経て社会全体でリモート意識が一層高まる中、ご来店いただかなくてもお取引ができるよう、デジタルテクノロジーを活用したリモート・オンラインのサービス拡充にも取組んでまいります。
なお、当社グループは、グループ一体となった超富裕層サービス提供力を強化するため、2021年12月31日に超富裕層向けサービスを担う株式会社みずほプライベートウェルスマネジメントを発展的に解消し、その機能を株式会社みずほ銀行に承継しております。
また、2019年5月27日に設立いたしましたLINE Bank設立準備株式会社では、「LINE」とリンクした、親しみやすく利用しやすい"スマホ銀行"を提供することで、銀行をより身近な存在へと変化させ、利用者の皆様に寄り添い、日常的にご利用いただける新銀行の設立に向けて、準備を進めてまいります。
大企業・金融・公共法人カンパニー
国内の大企業法人・金融法人・公共法人の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、お客さまの金融・非金融に関するニーズに対し、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションを、グループ横断的に提供しております。
(今後の取り組み方針)
産業構造転換、サステナビリティへの社会的関心の一層の高まり等により、お客さまを取り巻く環境は、急速に変化しています。そうした中、単なる資金供与のみならず、グループ横断的なセクター別営業体制を構築し、より一層の業種・プロダクト知見を活かした提案等を実現することで、お客さまの持続的な発展に向けて、“最も頼りがいのあるホールセールバンク”ブランドを確立するとともに、価値共創パートナーとしての真価を発揮してまいります。
グローバルコーポレートカンパニー
海外進出日系企業および非日系企業等の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、お客さまの事業への深い理解と、貸出・社債引受等のコーポレートファイナンスやトランザクション分野での強みを活かし、様々なソリューションの提供をめざしてまいります。
(今後の取り組み方針)
新型コロナウイルスの長期化が見込まれる中、お客さまの事業変革をグローバルに支える戦略パートナーとして、アジア経済圏におけるネットワークや米国資本市場における強みを活かし、地域を跨ぐバリューチェーンの活性化に取り組んでまいります。また、事業ポートフォリオの健全化・最適化に努め事業基盤の強化を一層図るとともに、持続可能性のある業務展開を通じ、社会的課題の解決に貢献してまいります。
グローバルマーケッツカンパニー
お客さまのヘッジ・運用ニーズに対してマーケット商品全般を提供するセールス&トレーディング業務、資金調達やポートフォリオ運営等のALM・投資業務を担当しております。銀行・信託・証券連携により、アジアトップクラスのグローバルマーケットプレイヤーをめざしてまいります。
(今後の取り組み方針)
セールス&トレーディング業務においては、国内やアジアを中心に銀・証実質一体運営を加速させ、お客さまの多様なニーズに対応するソリューション提供力強化とグローバルリスク集約や電子取引基盤構築などを通じたトレーディング力強化を図ることで、更なるプレゼンス向上に取り組んでまいります。
ALM・投資業務においては、市場分析や予兆分析の更なる高度化により市場の転換時には機動的なアロケーションシフトを実施することで、実現益と評価損益のバランスを重視しながら、含み益の更なる蓄積に取り組んでまいります。また、ALMにおいてはグローバルに安定性と効率性の両立させた運営を追求し、グループ全体のビジネスに貢献してまいります。
加えて、セールス&トレーディング・投資・資金調達の各分野におけるサステナビリティ推進に取り組んでまいります。
アセットマネジメントカンパニー
アセットマネジメントに関連する業務を担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券およびアセットマネジメントOne株式会社が一体となって、個人から機関投資家まで、幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品やサービスを提供しております。
(今後の取り組み方針)
お客さまの中長期志向の資産形成をサポートし、国内金融資産の活性化に貢献してまいります。その達成に向けて、「選択と集中」により運用力・ソリューション提供力を強化し、アセットマネジメント機能の付加価値を高め、お客さまの期待を超える体験をグループ一体となって提供してまいります。また、イノベーションや業務プロセスの改革等を通じて、効率性や先進性を追求し、中長期にわたるビジネス成長基盤を強化してまいります。加えて、非対面ビジネスへの対応等を通じ、更なる成長に向けて加速してまいります。さらに、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)や、ESG情報を投資プロセスに組み込んだ運用、商品提供により、投資家の資産形成と社会・投資先企業の持続的成長に資する取り組みを推進してまいります。
グローバルプロダクツユニット
個人・法人・投資家等の幅広いセグメントのお客さまに向けた、投資銀行分野とトランザクション分野のソリューション提供業務を担当しております。M&Aや不動産、プロジェクトファイナンスから、国内外決済、資金管理、証券代行まで、各分野において高い専門性を発揮し、高度化・多様化するお客さまのニーズに応える事を目指してまいります。
(今後の取り組み方針)
グローバル経済の回復見通しが引続き不透明な中、環境の変化を機敏に捉え、お客さまの事業構造転換や企業価値向上を最大限サポートしてまいります。
投資銀行分野においては、事業の再編や承継の加速、保有資産の見直し等、お客さまの経営戦略・成長戦略に応じて、グループ横断で最適なソリューションを提供してまいります。トランザクション分野においては、サプライチェーン・生産体制の見直し等の構造変化の動きに対し、アジアを中心に国内外各拠点間で緊密に連携し、お客さまの多様なニーズに柔軟に応えてまいります。また、サステナビリティに関連するお客さまの課題への対応や、デジタライゼーションの進展を捉えた決済ビジネスの高度化等、様々なビジネス領域で、潮流変化を捉えた長期的視点からのソリューション提供に取り組んでまいります。
リサーチ&コンサルティングユニット
産業からマクロ経済まで深く分析するリサーチ機能と、経営戦略等の幅広い分野にわたるコンサルティング機能を担うユニットとして、多様なソリューションを提供しております。
(今後の取り組み方針)
コロナ禍を契機として、新たな価値観・行動様式の定着化、デジタル化の進展、脱炭素・循環型社会に向けた転換等、経済・社会の構造変化が加速しています。リサーチ高度化やコンサルティング拡充等に取り組み、高い専門性を発揮することを通じて、〈みずほ〉の価値創造のバリューチェーンの起点となり、お客さまや社会に対する新たな価値の創造に貢献してまいります。
なお、<みずほ>における非金融ビジネスの中核会社として「金融を超える新たな価値」の提供力を飛躍的に向上させることを目的とし、2021年4月1日にみずほ情報総研株式会社とみずほ総合研究所株式会社を統合し、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社を発足しております。
該当ありません。