文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
(1)経営方針
①企業理念
当グループは、〈みずほ〉として行うあらゆる活動の根幹をなす考え方として、基本理念・ビジョン・みずほValueから構成される『〈みずほ〉の企業理念』を制定しております。この考え方に基づきグループが一体となって事業運営・業務推進を行うことで、お客さまと経済・社会の発展に貢献し、みなさまに<豊かな実り>をお届けしてまいります。
基本理念:〈みずほ〉の企業活動の根本的考え方
〈みずほ〉は、『日本を代表する、グローバルで開かれた総合金融グループ』として、
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常にフェアでオープンな立場から、時代の先を読む視点とお客さまの未来に貢献できる 知見を磨き最高水準の金融サービスをグローバルに提供することで、
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幅広いお客さまとともに持続的かつ安定的に成長し、内外の経済・社会の健全な発展に グループ一体となって貢献していく。
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これらを通じ、〈みずほ〉は、いかなる時代にあっても変わることのない価値を創造し、 お客さま、経済・社会に<豊かな実り>を提供する、かけがえのない存在であり続ける。 |
ビジョン:〈みずほ〉のあるべき姿・将来像
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1.信頼No.1の〈みずほ〉 |
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2.サービス提供力No.1の〈みずほ〉 |
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3.グループ力No.1の〈みずほ〉 |
みずほValue:役職員が共有すべき価値観・行動軸
1.お客さま第一 ~未来に向けた中長期的なパートナー~ |
2.変革への挑戦 ~先進的な視点と柔軟な発想~ |
3.チームワーク ~多様な個性とグループ総合力~ |
4.スピード ~鋭敏な感性と迅速な対応~ |
5.情熱 ~コミュニケーションと未来を切り拓く力~ |
②中期経営計画
当グループは、平成28年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画『進化する“One MIZUHO”~総合金融コンサルティンググループを目指して~』を推進しております。
この計画は、従来から推進してきた「お客さま第一(Client-Oriented)」をさらに徹底するとともに、業務高度化・効率化プロジェクトにより「オペレーショナルエクセレンス(卓越した業務遂行力)」を追求することで、「総合金融コンサルティンググループ」という新しいビジネスモデルを構築し、「One MIZUHO戦略」を進化させようとするものです。
資産運用機能やリサーチ&コンサルティング機能を銀行・信託・証券に次ぐ新たな柱として加え、これまで以上にお客さまに最良・最適なサービスを提供し、〈みずほ〉への満足度を高めていただくことで、法人のお客さまの持続的な発展や個人のお客さまの安定した未来のためのOnly Oneのパートナーを目指してまいります。
中期経営計画では、このような新しいビジネスモデルを構築することを目指して、5つの基本方針と、それを事業戦略、財務戦略、経営基盤において具体化した10の戦略軸を設定しております。
中期経営計画における〈みずほ〉の目指す姿
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~お客さまと社会の持続的成長を支える課題解決のベストパートナー~ |
5つの基本方針
1.カンパニー制の導入 |
2.事業の選択と集中 |
3.強靭な財務体質の確立 |
4.金融イノベーションへの積極的取組み |
5.強い〈みずほ〉を支える人材の活躍促進とカルチャーの確立 |
10の戦略軸
〔事業戦略〕 |
① グローバルベースでの非金利ビジネスモデルの強化 |
② 貯蓄から投資への対応 |
③ リサーチ&コンサルティング機能の強化 |
④ FinTechへの対応 |
⑤ エリアOne MIZUHO戦略* |
〔財務戦略〕 |
⑥ バランスシートコントロール戦略とコスト構造改革 |
⑦ 政策保有株式の削減 |
〔経営基盤〕 |
⑧ 次期システムの完遂 |
⑨ 人事運営の抜本的改革 |
⑩ 強い組織を支えるカルチャーに向けた継続的取組み |
* 同一地域における銀行・信託・証券一体でのOne MIZUHO戦略。営業拠点がエリア戦略を主体的に考え実行。
また、本中期経営計画では、以下の項目を財務面の目標の達成状況を測定する指標として掲げております。
One MIZUHO戦略等の競争優位性を活かしながら、事業の選択と集中を図り、「オペレーショナルエクセレンス」の追求等を通じて一層の収益力向上と効率性・品質向上及び経費削減に取り組み、競争環境の変化にも耐えられる強靭な財務基盤の構築を目指します。
資本政策については、安定的な自己資本の充実と着実な株主還元の最適なバランスを引き続き追求いたします。
・普通株式等Tier1(CET1)比率*1
・連結ROE*2
・親会社株主に帰属する当期純利益RORA
・グループ経費率*3
・政策保有株式削減額*4
*1 バーゼルⅢ完全施行ベース(現行規制を前提)、その他有価証券評価差額金を除く
*2 その他有価証券評価差額金を除く
*3 当行、株式会社みずほ銀行、みずほ証券株式会社、アセットマネジメントOne株式会社、及び、持株会社の主要子会社を合算した粗利経費率
*4 国内上場株式、取得原価ベース、平成27年度から平成30年度の累計額
(2)経営環境
当期の経済情勢を顧みますと、世界経済は、中国経済の持ち直し、ITサイクルの改善、先進国を中心とした企業マインドの改善等を背景に、全体として緩やかな回復が続きました。
米国経済は、雇用・所得環境の改善や株価上昇による資産効果から個人消費が堅調に推移したことや、トランプ政権による減税策への期待から設備投資が増加に転じたこと等を受けて、回復基調が継続しました。こうしたなか、FRB(連邦準備制度理事会)は2017年6月、同9月、2018年3月に利上げを実施し、2017年10月にはバランスシートの縮小を開始する等、金融緩和からの出口戦略を進めました。
欧州経済は、ユーロ高の進行が景気の下押し要因となったものの、フランス大統領選を受けた政治不安の後退から先送りされていた設備投資需要が顕在化したことに加え、雇用の増加を受けた個人消費の拡大が続いたことから、回復が続きました。こうしたなか、ECB(欧州中央銀行)は政策金利を据え置く一方、2017年10月に毎月の資産購入額を半減させることを決定し、金融緩和からの出口戦略に向けて舵を切りました。
アジアでは、中国経済が、金融規制の強化や不動産投機抑制策によって設備投資の低調が続いたものの、2017年秋の党大会に向けた政府による景気下支え策や所得の伸びを背景とした堅調な個人消費、輸出の拡大等が景気を支え、堅調に推移しました。新興国経済については、中国経済の底堅さや輸出の拡大等から、回復基調で推移しました。
日本経済は、海外経済の拡大や内需の堅調な推移から回復基調が続きました。内需については、在庫循環の改善、五輪関連や生産性向上に関わる設備投資の増加、経済対策に伴う公共投資の執行が押し上げ要因となったほか、個人消費も耐久財の買い替えや中小企業を中心とした賃上げの効果から持ち直しを維持しました。こうしたなか、株価は堅調に推移し、為替ももみ合いが続いていましたが、2018年2月以降は米長期金利の上昇やトランプ政権による保護主義政策への警戒感から株価が調整に転じ、為替も円高が進行しました。一方、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもと、長期金利は0%近傍の低位での推移が続きました。
今後の先行きについては、世界経済は、米国を中心に引き続き回復が期待されますが、下振れリスクは残存しており、米国大統領の政策運営や欧州の政治情勢、中国経済の動向、地政学リスクの高まり等には更なる注視を要する状況となっております。日本経済についても、各種政策の効果による下支えに加え、個人消費や設備投資の拡大により、緩やかな回復が続くことが期待されますが、海外経済の不確実性の高まりには留意する必要があります。
(3)対処すべき課題
金融機関を取り巻く事業環境は厳しい状況が継続するとともに、大きな構造変化が予想されています。このような環境のなか、10年後を見据えたグループの持続的成長と将来の競争優位性確保に向けて、抜本的構造改革に取り組んでまいります。
テクノロジーのめざましい進展をオープンイノベーションの考えのもとで活用し、金融の枠を超えた他社との協働による新たなビジネス機会の創出も含めたトップライン収益の増強を図るとともに、組織・人員の最適化やチャネルの再構築等にも取り組み、コスト競争力の強化や生産性の向上を図ることで、「One MIZUHO戦略」のさらなる進化を目指してまいります。
平成30年度は、「抜本的構造改革への着手・実行」「中期経営計画の仕上げ」「次期システムの完遂」という3つの重要な課題に対処すべく、「ビジネス構造・基盤の変革に着手し、お客さま第一の再徹底と生産性の抜本的向上による“One MIZUHO戦略”のさらなる進化」を当グループの運営方針とし、以下の事項に重点を置いて、取り組みを進めてまいります。
(「お客さま第一」の徹底を通じた収益力の強化)
お客さまとの接点強化、お客さまのニーズ把握の徹底等を通じて、グループ一体となった「One MIZUHO戦略」をさらに進化させ、課題解決を通じたグループ一体での収益力の強化に取り組んでまいります。また、資産運用関連業務におけるフィデューシャリー・デューティー*の実践に向けた取り組みを進めるとともに、お客さまの声・評価を業務計画フォローのサイクルに取り込み、戦略・施策に反映させてまいります。
* 他者の信認に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い様々な役割・責任の総称
(事業の選択と集中)
注力分野と縮退分野において、ターゲット先やマーケットを絞った経営資源配分のメリハリを強化することで、限られた経営資源を効果的に活用し、収益力を向上させてまいります。注力分野においては、リスクテイクの領域や深度の拡大に取り組むほか、新規ビジネスや成長領域のビジネス強化に着手してまいります。
(強靭な財務体質の確立)
事業環境の変化の予兆を捉えてバランスシートコントロールを機動的・実効的に行うことで、リスク・リターンの適正化を図ってまいります。政策保有株式の削減については、中期経営計画で掲げた目標の達成に向けて取り組んでまいります。
また、「オペレーショナルエクセレンス」への取り組み等を通じた業務プロセスの抜本的見直しや、働き方の見直しによりコスト構造改革を実現してまいります。
(テクノロジー・データの活用)
グループ全体のデジタルイノベーション戦略の企画・推進機能を強化し、業務プロセス高度化による生産性向上、ビジネス基盤の刷新、新規ビジネスの創造、の各々の領域において、テクノロジー・データの活用や、他企業との協働による価値共創に向けた取り組みを推進してまいります。
(人材の活躍促進とカルチャーの変革)
「個」を尊重する人事運営、多様な人材の活躍促進、多様かつ柔軟な働き方を可能とする「働き方改革」、「健康経営」の取り組み等、「人事運営の抜本的改革」の定着・浸透を図るとともに、社員のチャレンジを促す意識改革や内向きエネルギーの排除等、カルチャーの変革に向けた取り組みを進めてまいります。
(次期システムの完遂)
最重要・最大規模のシステムプロジェクトとして、万全の態勢のもと、「安全・着実」に完遂するべく取り組んでまいります。
[事業戦略]
当グループは、お客さまの属性に応じた銀行・信託・証券等グループ横断的な戦略を策定・推進する5つのカンパニーと、全カンパニー横断的に機能を提供する2つのユニットを設置し、グループ運営を行っております。
各カンパニー・ユニットの事業戦略は次のとおりです。
(リテール・事業法人カンパニー)
リテール・事業法人カンパニーは、個人・中小企業・中堅企業のお客さまに向けた業務を担当しており、お客さまとともに成長する「総合金融コンサルティングカンパニー」を目指しております。
個人のお客さまには、資産運用、資産承継等のコンサルティング提供力の向上に努めていくとともに、先進的な技術の活用・他社との提携等による、利便性の高いサービスの開発・提供に取り組んでまいります。
中小企業・中堅企業のお客さまには、コンサルティングを起点とした成長戦略支援を通じて、事業の拡大・承継、海外展開等のニーズや、企業オーナー等の資産承継・運用等のニーズに対し、最適なソリューションをグループ一体で提供してまいります。
(大企業・金融・公共法人カンパニー)
大企業・金融・公共法人カンパニーは、国内の大企業法人・金融法人・公共法人のお客さまに向けた業務を担当しており、お客さまから最も信頼されるパートナーになることを目指しております。
大企業法人のお客さまには、資金調達・運用、経営・財務戦略等に関するお客さまニーズに対し、シンジケートローンや社債引受、M&A等、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションを提供してまいります。
金融法人のお客さまには、財務戦略等に関する助言や各種運用商品の提案、公共法人のお客さまには、公共債の受託、引受を通じた資金調達支援、指定金融機関業務等、グループ横断的に最適な金融サービスを提供してまいります。加えて、日本経済の重要課題である、地方創生に向けた取り組みにも注力してまいります。
(グローバルコーポレートカンパニー)
グローバルコーポレートカンパニーは、海外進出日系企業及び非日系企業等のお客さまに向けた業務を担当しており、大きく変わる世界の経済動向・規制動向のなかで、持続的に成長するカンパニーを目指しております。
お客さまの事業への深い理解と、貸出、社債引受等のコーポレートファイナンスの分野での強みを活かし、様々なソリューションを提供してまいります。
(グローバルマーケッツカンパニー)
グローバルマーケッツカンパニーは、株式・債券等への投資業務に加え、セールス&トレーディング業務として、個人から機関投資家まで幅広いお客さまのリスクヘッジ・運用ニーズに対して、マーケット商品全般を提供してまいります。
銀行・信託・証券連携による幅広い商品提供力を活かし、アジアトップクラスのグローバルマーケットプレイヤーを目指しております。
(アセットマネジメントカンパニー)
アセットマネジメントカンパニーは、個人から機関投資家まで幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品やサービスを提供してまいります。
フィデューシャリー・デューティー*を全うし、個人のお客さまの資産形成を後押しする運用商品の提供や、年金基金等のお客さまの多様化する運用ニーズにお応えするコンサルティング機能の提供等を通じ、お客さまニーズを実現していくことで、国内金融資産の活性化に貢献することを目指しております。
* 他者の信認に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い様々な役割・責任の総称
(グローバルプロダクツユニット)
グローバルプロダクツユニットは、インベストメントバンキング分野とトランザクション分野において、事業・財務戦略アドバイス、資金調達サポート、国内外為替・決済等のソリューションを提供してまいります。
各カンパニーや銀行・信託・証券等グループ会社間の強固な連携と、高度な専門性を駆使して〈みずほ〉の目指す「総合金融コンサルティンググループ」をプロダクツの面から支えることを目指しております。
(リサーチ&コンサルティングユニット)
リサーチ&コンサルティングユニットは、産業からマクロ経済まで深く分析するリサーチ機能と、経営戦略等の幅広い分野にわたるコンサルティング機能に、ITデジタル知見を掛け合わせたソリューションを提供するとともに、〈みずほ〉の法人向け会員制サービスを統合し創設したMIZUHO Membership One(MMOne)を展開してまいります。
お客さまや社会の価値創造の“起点”として、顕在的・潜在的な課題を包括的に解決していくことを目指しております。
当行は、当グループにおける各カンパニー・ユニットに対応した組織として、部門・ユニットを設置しており、上記の事業戦略を踏まえ、業務運営を行っております。当行は、銀行・証券に加え、資産運用会社やシンクタンクとも連携を強化し、グループの総力を結集したコンサルティング機能を発揮することで、専門性の高い信託商品・サービスを提供してまいります。
これらの取り組みに加え、リスクアペタイト・フレームワークの高度化や反社会的勢力との取引遮断をはじめとする法令遵守態勢及びガバナンス態勢の強化につきましても引き続き取り組んでまいります。
なお、既に公表しておりますとおり、持株会社の連結子会社である資産管理サービス信託銀行株式会社は、日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社との間で、経営統合を行う旨の経営統合契約書を締結しております。統合会社は、資産管理業務においてお客さまのあらゆるニーズに幅広くお応えする国内トップの資産管理専門信託銀行を目指してまいります。
また、株式会社みずほ銀行と当行の統合の可能性につきましても、引き続き検討してまいります。
当グループは、SDGs(持続可能な開発目標)*1等の社会的課題の解決に向けて、CSR(企業の社会的責任)への取り組みを推進することで、社会の持続可能な発展にグループの総力を挙げて貢献し、企業価値のさらなる向上に邁進してまいります。
また、多様なステークホルダーの皆さまとの積極的なコミュニケーションの実践や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会*2のサポート等を通じて、今後とも一層のブランド価値向上に向けた取り組みを進めてまいります。
*1 平成27年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された平成28年から平成42年までの国際目標
*2 みずほフィナンシャルグループは、東京2020ゴールド銀行パートナーです
当行及び当グループの事業等において、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりです。本項に含まれている将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
なお、各種リスクの管理態勢等につきましては、有価証券報告書「第4提出会社の状況 6.コーポレートガバナンスの状況等」をご覧ください。
1.財務面に関するリスク
(1)不良債権処理等に係るリスク
① 与信関係費用の増加等による追加的損失の発生
当行及び当グループは、相当程度大口の与信先があります。また、与信先の業種については分散に努めておりますが、不動産業、金融・保険業向けの与信の割合が相対的に高い状況にあります。
当行及び当グループは、個々の与信先の信用状態や再建計画の進捗状況を継続的にモニタリングするとともに、個別企業、企業グループや特定業種への与信集中状況等を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を実施しております。また、与信先から差入れを受けている担保や保証の価値についても定期的に検証しております。
しかしながら、国内外の景気動向、特定の業界における経営環境の変化、不動産等の資産価格下落等によっては、想定を超える新たな不良債権の発生、大口与信先の信用状態の急激な悪化、特定の業界の与信先の信用状態の悪化、担保・保証の価値下落等が生じる可能性があります。こうした事象によって、与信関係費用が増加する等追加的損失が発生し、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 貸倒引当金の状況
当行及び当グループは、自己査定基準、償却・引当基準に基づき、与信先の状況、差入れられた担保の価値及び経済動向を考慮した上で、貸倒引当金を計上しております。
償却・引当の計上にあたっては、貸出資産を適正に評価し、市場売却を想定した厳正な担保評価を行っておりますが、国内外の経済情勢の悪化、与信先の業況の悪化、担保価値の下落等により、多くの与信先で貸倒引当金及び貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)保有資産等の価格変動等に係るリスク
① 株価下落による追加的損失の発生
当行及び当グループは、国内上場企業の普通株式を中心に、市場性のある株式を保有しております。当行及び当グループでは、「上場株式の政策保有に関する方針」を掲げ、株価変動リスクが財務状況に大きな影響を与えうることに鑑み、その保有の意義が認められる場合を除き、上場株式を政策保有しないことを基本方針としており、売却を計画的に進めております。しかしながら、これらの保有株式の株価が下落した場合には評価損や売却損が発生する可能性があります。
また、当行及び当グループの自己資本比率の計算においては、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率が低下する可能性があります。
その結果、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
「上場株式の政策保有に関する方針」及び政策保有株式の保有意義検証等の概要については、株式会社みずほフィナンシャルグループの「コーポレートガバナンスに関する報告書」をご覧ください。
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/structure/governance/pdf/g_report.pdf
② 金利の変動による追加的損失の発生
当行及び当グループは、投資等を目的として国債をはじめとする市場性のある債券等を大量に保有しているため、金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。また、当行及び当グループの金融資産と負債の間では満期等に違いがあるため、金利変動により損失が発生する可能性があります。当行及び当グループは、厳格なリスク管理体制の下、必要に応じて債券の売却や銘柄の入れ替え、デリバティブ取引等によるヘッジを行う等、適切な管理を行っておりますが、金融政策の変更や、財政悪化等によるソブリンリスク顕在化、その他市場動向等により大幅に金利が変動した場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 外国為替相場の変動による追加的損失の発生
当行及び当グループは、資産及び負債の一部を米ドル等の外貨建てで有しております。外貨建ての資産と負債が通貨毎に同額ではなく互いに相殺されない場合には、その資産と負債の差額について、為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。当行及び当グループでは、必要に応じ適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 保有資産の市場流動性低下による追加的損失の発生
当行及び当グループは、市場で取引される様々な資産を保有しておりますが、金融市場の混乱等により保有資産の市場流動性が著しく低下し、その結果、保有資産の価値が下落する可能性があります。グローバルな金融市場混乱や経済・金融環境の悪化等により、保有資産の市場流動性が著しく低下した場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付債務等の変動による追加的損失の発生
当行及び当グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、株式相場並びに金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当行及び当グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 繰延税金資産に係る財務上の影響
繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ ヘッジ目的等の金融取引に係る財務上の影響
ヘッジ目的等で利用するクレジットデリバティブや株式関連デリバティブ等の金融取引については、ヘッジ対象資産と会計上の取扱いや評価方法が異なる場合があります。そのため、市場の変動等により、ある特定の期間において、ヘッジ対象資産の評価が上昇しても、当該金融取引から損失のみが発生する場合があり、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)自己資本比率に係るリスク
① 各種リスクの顕在化や自己資本比率規制の変更による自己資本比率への悪影響
当行及び当グループは、事業戦略と一体となったリスクアセット運用計画、資本の効率性並びに本項に示した各種リスクの状況等を踏まえ、適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、本項に示した各種リスクの顕在化や自己資本比率算出における計測手法の変更等により自己資本比率が低下する可能性があります。なお、自己資本比率規制において、のれん及びその他の無形固定資産、繰延税金資産、金融機関等の資本調達手段の保有等、調整項目については所定の要件のもとで自己資本から控除されます。かかる規制等により、株式会社みずほフィナンシャルグループや当行を含む当グループの銀行子会社の自己資本の額が減少し、自己資本比率が低下する可能性があります。
また、日本の銀行の自己資本比率規制はバーゼル銀行監督委員会が設定した枠組みに基づいておりますが、当該枠組みの内容が変更された場合、もしくは金融庁による日本の銀行への規制内容が変更された場合に、その結果として自己資本比率が要求される水準を充足できなくなる可能性があります。例えば、平成22年12月にバーゼル銀行監督委員会は、金融庁が新たに定める自己資本比率規制等の基となるバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)を公表し、その枠組みに基づき、金融庁は平成24年3月に自己資本比率規制に関する告示を一部改正しました。この新たな規制は平成25年3月31日から段階的に適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会は、平成29年12月に、リスク計測手法等の見直しを行い、バーゼルⅢ規制の最終規則文書を公表しました。当該見直し後の規制は平成34年から段階的に適用される予定です。
さらに当グループは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)として選定されており、より高い水準の自己資本比率が求められることとなります。G-SIBsのグループは年次で更新され、毎年11月に金融安定理事会(FSB)により公表されます。また、平成27年11月にFSBは、G-SIBsに対して、破綻時の総損失吸収力(TLAC)を求める最終文書を公表しており、G-SIBsは平成31年から一定水準以上の総損失吸収力(TLAC)の維持が求められることとなります。平成28年4月には金融庁が本邦における当該規制に係る枠組み整備の方針を、平成30年4月には同方針の改訂版を公表しています。金融庁は、当該方針において、平成31年3月31日より当グループを本邦TLAC規制の適用対象とする方針であるとしています。
仮に当行及び当グループの自己資本比率が一定基準を下回った場合には、自己資本比率の水準に応じて、金融庁から、資本の増強を含む改善計画や社外流出の制限、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当行を含む当グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国において、自己資本比率規制を受けており、当該規制に抵触した場合には、当行及び当グループの業務運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)格付に係るリスク
① 格付引き下げによる悪影響
株式会社みずほフィナンシャルグループや当行等、当グループの一部の会社は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当行及び当グループから格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいています。また、日本国債の格付や日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けているため、常に格付機関による見直し・停止・取下げが行われる可能性があります。
仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や資金調達の困難化、市場関連取引における追加担保の提供、既存取引の解約等が発生する可能性があり、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)資金調達に係るリスク
① 資金調達が困難となることによる追加的損失の発生
当行及び当グループの資金調達は、主に預金、債券発行及び市場からの調達により行っております。そのため、資金調達の安定性の観点から、市場からの調達上限額の設定や資金繰りの状況に応じた対応方針の策定等、厳格な管理を行っております。
しかしながら、当行及び当グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生した場合、あるいは国内外の景気悪化、金融システム不安や金融市場の混乱等により資金流動性が低下した場合には、資金調達コストの増加や、外貨資金調達等に困難が生じることがあり、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.業務面等に関するリスク
(1)業務面に関するリスク
① 当行及び当グループの戦略、施策が奏効しないリスク
当行及び当グループは、平成28年5月に発表した、平成28年度から平成30年度までの3年間を対象期間とする当グループの中期経営計画等、様々な戦略や施策を実行しております。
しかしながら、こうした戦略や施策が実行できない、あるいは、たとえ戦略や施策が実行できた場合でも当初想定した成果の実現に至らない可能性、本項に示した各種リスクの顕在化又は経済環境の変化等により発表した数値目標を達成できない可能性があります。
なお、当グループの中期経営計画の内容につきましては、有価証券報告書「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。
② 業務範囲の拡大等に伴う新たなリスクの発生による悪影響
当行及び当グループは、総合金融コンサルティンググループとして、銀行業・信託業・証券業をはじめとする様々な業務を行っております。さらに、お客さまのニーズの高度化や多様化、ないしは規制緩和の進展等に応じた新たな業務分野への進出や各種業務提携、資本提携を実施しております。当行及び当グループは、こうした新たな業務等に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備しております。しかしながら、想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法令違反等の発生による悪影響
当行及び当グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法や独占禁止法等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、銀行法、金融商品取引法、信託法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用、さらには金融当局の監督を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用とともに金融当局の監督を受けております。
当行及び当グループは、法令諸規制が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底や法務リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。
今後、仮に法令違反等が発生した場合には、行政処分やレピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 事務リスクの顕在化による悪影響
当行及び当グループは、幅広い金融業務において大量の事務処理を行っております。これらの多様な業務の遂行に際して、役職員による過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。
当行及び当グループは、各業務の事務取扱を明確に定めた事務手続を制定するとともに、事務処理状況の定期的な点検を行っており、さらに本部による事務指導の強化や管理者の育成、システム化等を推進しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムリスクの顕在化による悪影響
当行及び当グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。当行及び当グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。また、当行及び当グループは、お客さまへのサービス提供力の向上等を目的に、次期勘定系システムへの移行に取り組んでおりますが、新システムへの移行にあたっては、移行期間中、オンラインサービスを複数回にわたり臨時休止する等、安全・着実な移行に万全を期す観点から、段階的に進めていく予定としております。
しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生し、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。システムリスクの顕在化が発生した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ サイバー攻撃等による悪影響
当行及び当グループが保有する多くのシステムは、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムと、グローバルなネットワークで接続されております。当行及び当グループは、サイバー攻撃の高度化・裾野拡大を踏まえて、サイバーセキュリティ対策を経営の重要課題と認識し、経営主導のもと、サイバーセキュリティ戦略を策定しています。
Mizuho-CIRT*1を中心に、高度なプロフェッショナル人材を配置し、統合SOC*2等による監視、ウイルス解析、多層的防御等の態勢強化に努めるとともに、人材育成、サプライチェーン対策、お客さまの意識啓発にも注力しております。
しかしながら、こうした強化策が奏功せず、サイバー攻撃によるサービス停止、データ改ざん、情報漏えい、不正送金が発生した場合には、それに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
*1 Cyber Incident Response Team
*2 Security Operation Center
⑦ 個人情報等の漏洩等の発生による悪影響
当行及び当グループは、多数の法人・個人のお客さまの情報を保有しているほか、様々な内部情報を有しております。特に、個人情報については、情報の漏洩や不正なアクセスを防止するため、個人情報保護法の下で、より厳格な管理が要求されております。当行においても情報管理に関するポリシーや事務手続等を策定しており、役職員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行い、外部委託先についても同様に情報管理態勢を監督しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 人事上のリスクの顕在化による悪影響
当行及び当グループは、多数の従業員を雇用しており、日頃より有能な人材の確保や育成等に努めております。しかしながら、十分な人材を確保・育成できない場合には、当行及び当グループの競争力や効率性が低下し、業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)その他のリスク
① 財務報告に係る内部統制の構築等に関するリスク
株式会社みずほフィナンシャルグループは、ニューヨーク証券取引所上場企業であり、当グループは、米国サーベンス・オクスリー法に準拠した開示体制及び内部統制の強化を行っております。同法により、同社経営者及び監査法人はそれぞれ同社の財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その評価結果をForm20-Fにより報告することが求められています。
また、金融商品取引法においても、株式会社みずほフィナンシャルグループは、同社の経営者による財務報告に係る内部統制の有効性の評価、及び経営者評価に対する監査法人の意見を内部統制報告書及び内部統制監査報告書により報告することが求められています。
当行及び当グループは、上記に従い財務報告に係る内部統制の構築を行っており、評価の過程で発見された問題点は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、改善が間に合わない場合や、経営者が内部統制を適正と評価したとしても監査法人は不適正とする場合があり、その場合、当行及び当グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 訴訟に関するリスク
当行及び当グループは、国内外において銀行業務・信託業務を中心に様々な業務を行っておりますが、こうした業務を行うにあたり、損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。また、そうした訴訟の動向によっては、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク
当行及び当グループは、リスク管理の方針及び手続に則りリスク管理の強化に注力しております。しかしながら、急速な業務展開に伴い、リスクを特定・管理するための方針及び手続が、必ずしも有効に機能するとは限りません。また、当行及び当グループのリスク管理手法は、過去の市場動向に基づいている部分があることから、将来発生するリスクを正確に予測できるとは限りません。当行及び当グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 米国国務省によりテロ支援国家と指定された国に所在する者との取引に関するリスク
米国法上、米国人は、米国国務省によりテロ支援国家と指定された国(イラン、スーダン、シリア、北朝鮮。以下、「指定国」という。)と事業を行うことが一般的に禁止されており、当行及び当グループは、関係する米国法を遵守する態勢を整備しております。但し、米国外の拠点において、関係法令の遵守を前提に、顧客による輸出入取引に伴う貿易金融やコルレス口座の維持等、指定国に関連する業務を限定的に行っております。なお、当グループにおいては、イランに駐在員事務所を設置しています。指定国に関係するこれらの業務は、当行及び当グループ全体の事業、業績及び財務状態に比し小規模であり、また、関係する日本及び米国の法令を遵守する態勢を整備しております。
指定国が関与する取引に関わる規制は今後強化もしくは改定されていく可能性があり、当行及び当グループの法令遵守態勢が米国における規制に十分対応できていないと米国政府に判断された場合には、当行及び当グループの業務運営に悪影響を及ぼすような、米国政府による何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。また、顧客や投資家を失う、ないしは当行及び当グループのレピュテーションが毀損することで、当行及び当グループの事業又は株式会社みずほフィナンシャルグループの株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.信託業務に関するリスク
① 信託業務における損失発生による悪影響
当行は、信託商品のうち一部の合同運用指定金銭信託等について元本補てん契約を結んでおります。これらの元本補てん契約のある信託商品につきましては、元本の損失発生を避けるべく慎重な運用を行うとともに、厳格なリスク管理体制を構築しております。
しかしながら貸倒れ又は投資損失等の結果、元本補てん契約のある信託勘定において元本に損失が生じた場合、当行は補てんのための支払いをする必要があり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、元本補てん契約のない信託勘定において、受託者の過失等により損失等が生じた場合、当行は損失補てんを行う必要があり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.金融諸環境等に関するリスク
① 金融経済環境の変化による悪影響
当行及び当グループは、日本国内の各地域及び米国や欧州、アジア等の海外諸国において幅広く事業を行っております。日本やこれらの国、地域における経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当行及び当グループの事業の低迷や資産内容の悪化等が生じる可能性があります。昨今、米国大統領の政策運営や欧州の政治情勢、中国経済の動向、地政学的リスクの高まり等、金融経済環境は不透明な状況が続いておりますが、今後、これらのリスクの顕在化等の影響により経済状況の悪化や金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 法令諸規制の改正等による悪影響
当行及び当グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法、独占禁止法や会計基準等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、自己資本比率規制を含む銀行法、金融商品取引法、信託法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用も受けております。
これらの法令諸規制は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供の制限や、追加でのシステム開発負担につながる等、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 金融業界の競争激化による悪影響
当行及び当グループは、国内外の大手金融機関やノンバンク等との激しい競争環境に晒されています。また、昨今は様々なテクノロジー(いわゆるFinTech)の進展により業種の垣根を越えて多くの企業による金融領域への新規参入が相次ぐ等、当行及び当グループを取り巻く競争環境はますます激化する可能性があります。さらに、先の金融危機以降進められてきた金融規制改革により、競合他社との戦略の差別化が難しくなり、特定のビジネスにおける競争環境が激化していく惧れもあります。当行及び当グループが、競争に十分対応することができない場合には、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争激化等に伴い、金融業界において金融機関の再編が進み、当行及び当グループの競争力や株式会社みずほフィナンシャルグループの株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 災害等の発生による悪影響
当行及び当グループは、国内外において店舗、事務所や電算センター等の施設等を保有しておりますが、このような施設等は常に地震や台風等の災害や犯罪等の発生による被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等感染症の流行により、当行及び当グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。当行及び当グループは、各種緊急事態を想定したコンティンジェンシープランを策定し、バックアップオフィスの構築等、緊急時における態勢整備を行っておりますが、被害の程度によっては、当行及び当グループの業務の一部が停止する等、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、平成23年3月に発生した東日本大震災のような大規模な災害に起因して、景気の悪化、多数の企業の経営状態の悪化、株価の下落等が生じる可能性があります。その結果、当行及び当グループの不良債権及び与信関係費用が増加したり、保有株式や金融商品等において売却損や評価損が生じること等により、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 風説・風評の発生による悪影響
当行及び当グループの事業は預金者等のお客さまや市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行及び当グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客さまや市場関係者が当行及び当グループについて事実と異なる理解・認識をされる可能性があります。当行及び当グループは、こうした風説・風評の早期発見に努めるとともに、その影響度・拡散度等の観点から適時かつ適切に対応することで、影響の極小化を図るよう努めておりますが、悪質な風説・風評が拡散した場合には、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況、ないしは株式会社みずほフィナンシャルグループの株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は以下のとおりと分析しております。
なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
みずほフィナンシャルグループの収益状況は、連結経常利益が前連結会計年度比449億円増加して7,824億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同269億円減少して5,765億円となりました。当行グループにつきましては以下のとおりです。
[損益の状況]
連結経常収益は、信託関連業務手数料の増加等を主因に前連結会計年度比116億円増加し2,490億円となりました。
連結経常費用は、国債等債券売却損の増加等により、前連結会計年度比117億円増加し1,836億円となりました。
この結果、連結経常利益は前連結会計年度比ほぼ横ばいの653億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比19億円増加し473億円となりました。
[金利・非金利収支の状況]
① 金利収支の状況
資金利益は、前連結会計年度比11億円増加し313億円となりました。
② 非金利収支の状況
信託報酬は、前連結会計年度比47億円増加し548億円となりました。役務取引等利益は、前連結会計年度比46億円増加し662億円となりました。
(1)経営成績の分析
[損益の状況]
前連結会計年度及び当連結会計年度における損益状況は以下のとおりです。
|
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
比較 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
||
連結粗利益 |
① |
1,519 |
1,469 |
△50 |
資金利益 |
|
301 |
313 |
11 |
信託報酬 |
|
500 |
548 |
47 |
うち信託勘定与信関係費用 |
①' |
- |
- |
- |
役務取引等利益 |
|
615 |
662 |
46 |
特定取引利益 |
|
11 |
8 |
△2 |
その他業務利益 |
|
89 |
△63 |
△153 |
営業経費 |
② |
△1,077 |
△1,062 |
14 |
不良債権処理額 (含:一般貸倒引当金純繰入額) |
③ |
△0 |
△0 |
0 |
貸倒引当金戻入益等 |
④ |
11 |
30 |
19 |
株式等関係損益 |
⑤ |
274 |
293 |
18 |
持分法による投資損益 |
⑥ |
0 |
0 |
△0 |
その他 |
⑦ |
△75 |
△77 |
△2 |
経常利益 (①+②+③+④+⑤+⑥+⑦) |
⑧ |
653 |
653 |
△0 |
特別損益 |
⑨ |
△17 |
△8 |
8 |
税金等調整前当期純利益 (⑧+⑨) |
⑩ |
636 |
645 |
8 |
税金関係費用 |
⑪ |
△172 |
△162 |
10 |
当期純利益 (⑩+⑪) |
⑫ |
463 |
482 |
18 |
非支配株主に帰属する当期純損益 |
⑬ |
△10 |
△9 |
1 |
親会社株主に帰属する当期純利益(⑫+⑬) |
⑭ |
453 |
473 |
19 |
|
|
|
|
|
包括利益 |
⑮ |
580 |
652 |
72 |
|
|
|
|
|
与信関係費用(①'+③+④) |
⑯ |
11 |
30 |
19 |
(注) 費用項目は△表記しております。
① 連結粗利益
連結粗利益は前連結会計年度比50億円減少し1,469億円となりました。項目ごとの収支は以下のとおりです。
(資金利益)
資金利益は、前連結会計年度比11億円増加し313億円となりました。
(信託報酬)
信託報酬は、前連結会計年度比47億円増加し548億円となりました。
(役務取引等利益)
役務取引等利益は、前連結会計年度比46億円増加し662億円となりました。
(特定取引利益・その他業務利益)
特定取引利益は、前連結会計年度比2億円減少し8億円となりました。その他業務利益は、国債等債券売却損益の減少等により、前連結会計年度比153億円減少し63億円の損失となりました。
② 営業経費
営業経費は、前連結会計年度比14億円減少し1,062億円となりました。
③ 不良債権処理額及び④貸倒引当金戻入益等(⑯与信関係費用)
与信関係費用(含む不良債権処理額及び貸倒引当金戻入益等)は、貸倒引当金戻入益等の増加等により、前連結会計年度比19億円減少し30億円の戻り益となりました。
⑤ 株式等関係損益
株式等関係損益は、株式等派生商品収益の増加等により、前連結会計年度比18億円増加し293億円の利益となりました。
⑥ 持分法による投資損益
持分法による投資損益は、0億円の利益となりました。
⑦ その他
その他は、77億円の損失となりました。
⑧ 経常利益
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度比ほぼ横ばいの653億円となりました。
⑨ 特別損益
特別損益は、8億円の損失となりました。
⑩ 税金等調整前当期純利益
以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比8億円増加し645億円となりました。
⑪ 税金関係費用
税金関係費用は、162億円(損失)となりました。
⑫ 当期純利益
以上の結果、当期純利益は、前連結会計年度比18億円増加し482億円となりました。
⑬ 非支配株主に帰属する当期純損益
非支配株主に帰属する当期純損益(利益)は、前連結会計年度比1億円減少し、9億円となりました。
⑭ 親会社株主に帰属する当期純利益(⑮包括利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比19億円増加し473億円となりました。また、包括利益は、前連結会計年度比72億円増加し652億円の利益となりました。
資金運用/調達の状況
種類 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||||
平均残高 (億円) |
利息 (億円) |
利回り (%) |
平均残高 (億円) |
利息 (億円) |
利回り (%) |
|
資金運用勘定 |
66,299 |
405 |
0.61 |
63,918 |
442 |
0.69 |
うち貸出金 |
34,344 |
257 |
0.74 |
33,469 |
253 |
0.75 |
うち有価証券 |
11,675 |
125 |
1.07 |
10,154 |
140 |
1.38 |
うちコールローン及び買入手形 |
76 |
0 |
0.88 |
173 |
2 |
1.53 |
うち債券貸借取引支払保証金 |
2,232 |
0 |
0.00 |
2,339 |
0 |
0.00 |
うち預け金 |
17,570 |
20 |
0.11 |
16,902 |
19 |
0.11 |
資金調達勘定 |
66,912 |
103 |
0.15 |
66,572 |
129 |
0.19 |
うち預金 |
32,954 |
12 |
0.03 |
34,836 |
13 |
0.03 |
うち譲渡性預金 |
2,847 |
0 |
0.02 |
3,149 |
0 |
0.01 |
うちコールマネー及び売渡手形 |
11,386 |
7 |
0.06 |
8,090 |
8 |
0.10 |
うち売現先勘定 |
653 |
9 |
1.50 |
645 |
13 |
2.02 |
うち債券貸借取引受入担保金 |
4,102 |
14 |
0.36 |
2,865 |
24 |
0.87 |
うち借用金 |
3,488 |
9 |
0.26 |
4,047 |
22 |
0.55 |
(注)資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
役務取引の状況
種類 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
役務取引等収益 |
893 |
974 |
81 |
うち信託関連業務 |
628 |
687 |
59 |
役務取引等費用 |
277 |
312 |
35 |
-参考-
損益状況(単体)
|
前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
業務粗利益 |
1,210 |
1,145 |
△65 |
資金利益 |
295 |
310 |
14 |
信託報酬 |
500 |
548 |
47 |
うち信託勘定与信関係費用 |
- |
- |
- |
役務取引等利益 |
313 |
343 |
30 |
特定取引利益 |
11 |
8 |
△2 |
その他業務利益 |
89 |
△66 |
△155 |
経費(除:臨時処理分) |
△806 |
△823 |
△17 |
実質業務純益 (除:信託勘定与信関係費用) |
404 |
321 |
△83 |
臨時損益 |
225 |
252 |
26 |
うち不良債権処理額 (含:信託勘定与信関係費用) |
△0 |
△0 |
0 |
うち貸倒引当金戻入益等 |
8 |
29 |
20 |
うち株式等関係損益 |
302 |
293 |
△9 |
経常利益 |
630 |
573 |
△57 |
特別損益 |
△17 |
△7 |
9 |
当期純利益 |
454 |
442 |
△12 |
|
|
|
|
与信関係費用 |
8 |
29 |
20 |
(注) 費用項目は△表記しております。
[セグメント情報]
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるセグメント情報の概要は、以下のとおりです。
なお、詳細につきましては、第5経理の状況、1.連結財務諸表等、(1)連結財務諸表の(セグメント情報等)に記載しております。
報告セグメントごとの業務粗利益及び業務純益の金額に関する情報
|
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
比較 |
|||
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
||||
業務粗利益 |
業務純益 |
業務粗利益 |
業務純益 |
業務粗利益 |
業務純益 |
|
リテール・事業法人部門 |
495 |
△45 |
534 |
△29 |
39 |
16 |
大企業・金融・公共法人部門 |
597 |
333 |
681 |
407 |
84 |
74 |
グローバルマーケッツ部門 |
261 |
205 |
175 |
117 |
△86 |
△88 |
その他 |
166 |
△41 |
79 |
△97 |
△87 |
△56 |
みずほ信託銀行(連結) |
1,519 |
451 |
1,469 |
397 |
△50 |
△54 |
(注)業務粗利益は、信託勘定償却前の計数であり、業務純益は、信託勘定償却前及び一般貸倒引当金繰入前の計数であります。
(2)財政状態の分析
前連結会計年度及び当連結会計年度における財政状態のうち、主なものは以下のとおりです。
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
資産の部 |
67,931 |
70,199 |
2,268 |
うち有価証券 |
12,329 |
11,042 |
△1,286 |
うち貸出金 |
33,229 |
34,092 |
863 |
負債の部 |
62,100 |
63,943 |
1,842 |
うち預金 |
34,324 |
34,751 |
426 |
うち譲渡性預金 |
3,276 |
4,721 |
1,445 |
純資産の部 |
5,830 |
6,256 |
425 |
株主資本合計 |
4,731 |
4,978 |
246 |
その他の包括利益累計額合計 |
1,044 |
1,212 |
168 |
非支配株主持分 |
54 |
65 |
11 |
[資産の部]
① 有価証券
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
有価証券 |
12,329 |
11,042 |
△1,286 |
国債 |
4,983 |
4,107 |
△876 |
地方債 |
29 |
16 |
△12 |
社債 |
663 |
712 |
48 |
株式 |
2,444 |
2,408 |
△35 |
その他の証券 |
4,209 |
3,797 |
△411 |
有価証券は、国債が減少したこと等により、前連結会計年度末比1,286億円減少し、1兆1,042億円となりました。
② 貸出金
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
貸出金 |
33,229 |
34,092 |
863 |
-参考-(単体)
|
前事業年度 (平成29年3月31日) |
当事業年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
貸出金 |
33,262 |
34,337 |
1,074 |
中小企業等貸出金 * |
14,584 |
15,400 |
816 |
うち消費者ローン |
1,104 |
948 |
△155 |
* 中小企業等とは、資本金3億円(ただし、卸売業は1億円、小売業、飲食業、物品賃貸業等は5千万円)以下の会社又は常用する従業員が300人(ただし、卸売業、物品賃貸業等は100人、小売業、飲食業は50人)以下の企業等であります。
貸出金は3兆4,092億円と、前連結会計年度末比863億円増加しております。
また、当行単体の貸出金残高は3兆4,337億円と、前事業年度末比1,074億円増加しております。
当行単体の中小企業等貸出金残高は、前事業年度末比816億円増加し1兆5,400億円、うち消費者ローンは同155億円減少し948億円となっております。
貸出金のうち連結ベースのリスク管理債権額(銀行勘定及び元本補てん契約のある信託勘定合算)は以下のとおりです。
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
破綻先債権 |
0 |
0 |
0 |
延滞債権 |
73 |
62 |
△10 |
3ヵ月以上延滞債権 |
- |
- |
- |
貸出条件緩和債権 |
77 |
18 |
△58 |
合計 |
150 |
81 |
△68 |
|
|
|
|
貸出金* |
33,353 |
34,204 |
850 |
* 銀行勘定及び元本補てん契約のある信託勘定合算
貸出金に対する割合(%) |
0.45 |
0.23 |
△0.21 |
当連結会計年度末の連結ベースのリスク管理債権残高は、貸出条件緩和債権の減少を主因に前連結会計年度末比68億円減少し、81億円となりました。
貸出金に対するリスク管理債権の割合は、0.23%となっております。
-参考-資産の査定
当行は、銀行勘定及び信託勘定について資産の査定を行っております。
銀行勘定の資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として区分するものであります。
信託勘定の資産の査定は、貸出金等の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として区分するものであります。
区分及び各々の金額は、次のとおりです。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、3ヵ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
債権の区分 |
前事業年度 (平成29年3月31日) |
当事業年度 (平成30年3月31日) |
||
銀行勘定 |
信託勘定 |
銀行勘定 |
信託勘定 |
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
破産更生債権及びこれらに準ずる債権 |
12 |
- |
8 |
- |
危険債権 |
31 |
28 |
24 |
28 |
要管理債権 |
65 |
- |
10 |
- |
正常債権 |
33,418 |
95 |
34,523 |
83 |
国内・海外別業種別貸出状況(末残・構成比)
業種別 |
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
||
金額(億円) |
構成比(%) |
金額(億円) |
構成比(%) |
|
国内(除く特別国際金融取引勘定分) |
33,176 |
100.00 |
34,072 |
100.00 |
製造業 |
4,756 |
14.34 |
4,671 |
13.71 |
鉱業、採石業、砂利採取業 |
21 |
0.07 |
22 |
0.07 |
建設業 |
343 |
1.04 |
348 |
1.02 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
2,431 |
7.33 |
2,691 |
7.90 |
情報通信業 |
1,251 |
3.77 |
1,251 |
3.67 |
運輸業、郵便業 |
2,133 |
6.43 |
2,159 |
6.34 |
卸売業、小売業 |
1,693 |
5.10 |
1,697 |
4.98 |
金融業、保険業 |
2,349 |
7.08 |
2,795 |
8.21 |
不動産業 |
10,727 |
32.33 |
11,149 |
32.72 |
物品賃貸業 |
2,708 |
8.17 |
2,570 |
7.55 |
各種サービス業 |
597 |
1.80 |
563 |
1.65 |
地方公共団体 |
40 |
0.12 |
35 |
0.10 |
政府等 |
1,863 |
5.62 |
2,101 |
6.17 |
その他 |
2,257 |
6.80 |
2,014 |
5.91 |
海外及び特別国際金融取引勘定分 |
52 |
100.00 |
19 |
100.00 |
政府等 |
3 |
6.13 |
- |
- |
金融機関 |
- |
- |
- |
- |
その他 |
49 |
93.87 |
19 |
100.00 |
合計 |
33,229 |
―― |
34,092 |
―― |
(注)1.「国内」とは、当行(特別国際金融取引勘定分を除く)及び国内連結子会社であります。
2.「海外及び特別国際金融取引勘定分」とは、当行の特別国際金融取引勘定分及び海外連結子会社であります。
[負債の部]
預金
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
預金 |
34,324 |
34,751 |
426 |
譲渡性預金 |
3,276 |
4,721 |
1,445 |
-参考-(単体)
|
前事業年度 (平成29年3月31日) |
当事業年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
預金(国内) |
33,734 |
33,976 |
241 |
個人 |
10,063 |
10,651 |
587 |
一般法人 |
13,409 |
11,781 |
△1,627 |
金融機関・政府公金 |
10,262 |
11,543 |
1,281 |
* 譲渡性預金及び特別国際金融取引勘定分は含まれておりません。
預金は、定期預金が増加したこと等により、前連結会計年度末比426億円増加し、3兆4,751億円となりました。また、譲渡性預金は、前連結会計年度末比1,445億円増加し、4,721億円となりました。
なお、当行単体の預金者別預金残高は、個人が前事業年度末比587億円の増加、一般法人が同1,627億円の減少、金融機関・政府公金が同1,281億円の増加となっております。
[純資産の部]
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
純資産の部合計 |
5,830 |
6,256 |
425 |
株主資本合計 |
4,731 |
4,978 |
246 |
資本金 |
2,473 |
2,473 |
- |
資本剰余金 |
155 |
155 |
- |
利益剰余金 |
2,102 |
2,348 |
246 |
その他の包括利益累計額合計 |
1,044 |
1,212 |
168 |
その他有価証券評価差額金 |
957 |
1,000 |
42 |
繰延ヘッジ損益 |
16 |
16 |
△0 |
為替換算調整勘定 |
15 |
13 |
△2 |
退職給付に係る調整累計額 |
54 |
182 |
127 |
非支配株主持分 |
54 |
65 |
11 |
当連結会計年度末の純資産の部合計は、前連結会計年度末比425億円増加し、6,256億円となりました。主な変動は以下のとおりです。
利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末比246億円増加し、2,348億円となりました。
その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末比42億円増加し、1,000億円となりました。
(3)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、提出会社1社です。
① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)
資産 |
||||
科目 |
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
貸出金 |
826,932 |
1.28 |
770,315 |
1.17 |
有価証券 |
903,424 |
1.40 |
317,100 |
0.48 |
信託受益権 |
48,201,745 |
74.60 |
49,697,336 |
75.30 |
受託有価証券 |
290,689 |
0.45 |
307,896 |
0.47 |
金銭債権 |
4,939,175 |
7.64 |
4,741,840 |
7.18 |
有形固定資産 |
6,383,434 |
9.88 |
6,876,726 |
10.42 |
無形固定資産 |
326,024 |
0.51 |
340,307 |
0.51 |
その他債権 |
738,501 |
1.14 |
912,190 |
1.38 |
銀行勘定貸 |
1,272,149 |
1.97 |
1,134,182 |
1.72 |
現金預け金 |
732,209 |
1.13 |
903,890 |
1.37 |
合計 |
64,614,286 |
100.00 |
66,001,786 |
100.00 |
負債 |
||||
科目 |
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
金銭信託 |
19,765,871 |
30.59 |
20,889,820 |
31.65 |
年金信託 |
3,391,830 |
5.25 |
3,145,273 |
4.76 |
財産形成給付信託 |
3,891 |
0.01 |
4,249 |
0.01 |
投資信託 |
16,168,525 |
25.02 |
15,985,056 |
24.22 |
金銭信託以外の金銭の信託 |
1,456,080 |
2.25 |
1,552,611 |
2.35 |
有価証券の信託 |
7,866,868 |
12.18 |
8,241,241 |
12.49 |
金銭債権の信託 |
3,815,400 |
5.90 |
3,746,957 |
5.68 |
土地及びその定着物の信託 |
340,393 |
0.53 |
362,071 |
0.55 |
包括信託 |
11,800,163 |
18.26 |
12,069,244 |
18.28 |
その他の信託 |
5,260 |
0.01 |
5,260 |
0.01 |
合計 |
64,614,286 |
100.00 |
66,001,786 |
100.00 |
(注)1.上記残高表には、金銭評価の困難な信託を除いております。
2.共同信託他社管理財産 前連結会計年度392,866百万円、当連結会計年度288,314百万円。なお、共同信託他社管理財産には、職務分担型共同受託方式による信託財産の該当はありません。
② 貸出金残高の状況(業種別貸出状況)(末残・構成比)
業種別 |
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
情報通信業 |
- |
- |
250 |
0.03 |
金融業、保険業 |
156,326 |
18.90 |
152,174 |
19.76 |
不動産業、物品賃貸業 |
7,328 |
0.89 |
39,583 |
5.14 |
地方公共団体 |
7,350 |
0.89 |
6,711 |
0.87 |
その他 |
655,926 |
79.32 |
571,596 |
74.20 |
合計 |
826,932 |
100.00 |
770,315 |
100.00 |
③ 有価証券残高の状況(末残・構成比)
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
国債 |
430,828 |
47.69 |
280,420 |
88.43 |
社債 |
413,763 |
45.80 |
13,539 |
4.27 |
株式 |
2,165 |
0.24 |
807 |
0.26 |
その他の証券 |
56,666 |
6.27 |
22,332 |
7.04 |
合計 |
903,424 |
100.00 |
317,100 |
100.00 |
④ 元本補てん契約のある信託の運用/受入状況(末残)
金銭信託
科目 |
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
金額(百万円) |
金額(百万円) |
|
貸出金 |
12,455 |
11,217 |
有価証券 |
2 |
2 |
その他 |
746,404 |
820,049 |
資産計 |
758,863 |
831,269 |
元本 |
758,734 |
831,144 |
債権償却準備金 |
38 |
34 |
その他 |
90 |
90 |
負債計 |
758,863 |
831,269 |
(注)1.信託財産の運用のため再信託された信託を含みます。
2.リスク管理債権の状況
前連結会計年度
貸出金12,455百万円のうち延滞債権額は2,876百万円であります。
当連結会計年度
貸出金11,217百万円のうち延滞債権額は2,823百万円であります。
(4)自己資本比率に関する分析
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号。以下、「告示」という。)に定められた算式に基づき、算出しております。
なお、当行は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
連結自己資本比率(国際統一基準)
|
前連結会計年度 (平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (平成30年3月31日) |
比較
|
|
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
||
連結総自己資本比率(④/⑦) |
① |
19.47% |
20.28% |
0.81% |
連結Tier1比率(⑤/⑦) |
② |
18.73% |
20.05% |
1.32% |
連結普通株式等Tier1比率(⑥/⑦) |
③ |
18.73% |
19.99% |
1.26% |
連結における総自己資本の額 |
④ |
4,849 |
5,052 |
203 |
連結におけるTier1資本の額 |
⑤ |
4,664 |
4,994 |
330 |
連結における普通株式等Tier1資本の額 |
⑥ |
4,664 |
4,979 |
315 |
リスク・アセットの額 |
⑦ |
24,895 |
24,905 |
9 |
連結総所要自己資本額 |
⑧ |
1,991 |
1,992 |
0 |
総自己資本の額は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末比203億円増加し、5,052億円となりました。一方、リスク・アセットの額は、前連結会計年度末比9億円増加し、2兆4,905億円となりました。この結果、連結総自己資本比率は前連結会計年度末比0.81ポイント上昇し、20.28%となりました。
(5)キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
|
前連結会計年度 (自 平成28年 4月1日 至 平成29年 3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年 4月1日 至 平成30年 3月31日) |
比較 |
金額(億円) |
金額(億円) |
金額(億円) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
△1,495 |
△1,052 |
443 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
1,732 |
2,018 |
285 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△221 |
△227 |
△5 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、コールマネー等が増加した一方、債券貸借取引受入担保金や信託勘定借の減少等により1,052億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得、売却及び償還等の結果2,018億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより227億円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比738億円増加し1兆7,344億円となりました。
2.生産、受注及び販売の実績
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
該当ありません。
該当ありません。