第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

業績

(1)金融経済環境

 当期の経済情勢を顧みますと、世界経済は、全体としては緩やかな回復が続きましたが、一部には弱さもみられました。先行きは、先進国を中心に引き続き回復が期待されますが、下振れ懸念の残る中国経済の動向や資源価格の動向、地政学的リスクの高まりには注視を要する状況となっております。

 米国経済は、良好な雇用環境の下で回復基調が継続しました。先行きは、底堅い回復が続くことが期待されますが、新興国経済の下振れや金融政策正常化の動きに伴う影響には留意する必要があります。

 欧州経済は、英国、ユーロ圏とも回復テンポに鈍化がみられるものの、底堅く推移しました。今後もこうした基調は維持される見通しですが、高水準の失業率、ロシア経済減速の影響、金融政策の動向などに留意が必要な状況が続いております。

 アジアでは、中国経済の減速基調が続きました。今後についても、各種政策効果が下支えとなるものの、資本ストック調整が重石となり、減速基調を辿るとみられます。新興国経済については、成長に勢いを欠く状況が続きました。先行きは、通貨安や資源価格下落による影響もあり、景気拡大は緩やかなペースにとどまるとみられます。

 日本経済は、輸出、生産は上向きつつあるものの、個人消費は弱含みが続き、全体としては踊り場の状況が続きました。先行きは、雇用者所得の回復を背景とした個人消費の高まりや原油安による企業収益押し上げ効果を支えとして持ち直していくことが期待されますが、為替の動向には留意する必要があります。

 

(2)当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の概況

(ア)連結の範囲

 当連結会計年度の連結の範囲は、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載しておりますとおり、連結子会社は13社、持分法適用関連会社は2社であります。

(イ)業績の概要

 当連結会計年度の業績は、以下のとおりであります。

当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の連結損益状況

 上述のような金融経済環境のもと、当連結会計年度の連結経常収益は前連結会計年度比40億円増加し2,348億円となりました。主な内訳は、信託報酬が前連結会計年度比13億円増加し533億円、資金運用収益が同25億円減少し474億円、役務取引等収益が信託関連業務手数料の増加等により同30億円増加し848億円、特定取引収益が同11億円減少し13億円、その他業務収益が国債等債券売却益の増加等により同71億円増加し253億円、その他経常収益が貸倒引当金戻入益の減少等により同39億円減少し224億円となっております。

 一方、連結経常費用は前連結会計年度比121億円増加し1,706億円となりました。主な内訳は、資金調達費用が前連結会計年度比9億円増加し114億円、役務取引等費用が同7億円増加し260億円、その他業務費用が国債等債券売却損の増加等により同15億円増加し81億円、営業経費が同27億円増加し1,012億円、その他経常費用が株式等売却損の増加等により同61億円増加し237億円となっております。

 これらにより、連結経常利益は前連結会計年度比81億円減少し642億円となりました。

 さらに、法人税、住民税及び事業税180億円などの所要額を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比176億円減少し408億円となりました。

 

当連結会計年度(平成28年3月31日現在)連結貸借対照表

[資産の部]

 資産の部合計は、前連結会計年度末比4,724億円増加し7兆3,832億円となりました。このうち、貸出金は前連結会計年度末比4,273億円増加し3兆4,884億円、有価証券は同4,219億円減少し1兆4,594億円、現金預け金は同2,152億円増加し1兆8,170億円となりました。

[負債の部]

 負債の部合計は、前連結会計年度末比5,054億円増加し6兆8,358億円となりました。このうち、預金は前連結会計年度末比4,154億円増加し3兆1,858億円、譲渡性預金は同2,265億円減少し3,490億円、コールマネー及び売渡手形は同900億円増加し1兆1,628億円、借用金は同1,449億円増加し3,669億円、信託勘定借は同111億円増加し1兆195億円となりました。

 

[純資産の部]

 純資産の部合計は、前連結会計年度末比329億円減少し5,473億円、1株当たり純資産額は68円40銭となりました。

 

(3)自己資本比率

 国際統一基準による連結総自己資本比率は19.52%、単体総自己資本比率は19.80%となりました。

 

(4)セグメントの状況

 当行グループは、当行単体を報告セグメントとし、連結子会社等をその他としております。

 連結業務粗利益(信託勘定償却前)は1,667億円で、その内訳は、当行単体1,355億円、その他311億円となっております。

 連結業務純益(信託勘定償却前、一般貸倒引当金繰入前)は634億円で、その内訳は、当行単体579億円、その他55億円となっております。

 

(5)信託財産の状況

 信託財産総額(当行単体)につきましては、前連結会計年度末比3兆1,335億円増加し60兆1,140億円となりました。

 

キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、預金が増加した一方、貸出金の増加、譲渡性預金の減少等により384億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得、売却及び償還等の結果3,377億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い及び劣後特約付社債の償還等により814億円の支出となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比2,178億円増加し1兆6,642億円となりました。

 

(1)国内業務部門・国際業務部門別収支

 信託報酬は国内業務部門のみで533億24百万円となり、資金運用収支は国内業務部門で281億54百万円、国際業務部門で79億8百万円となり、相殺消去額を調整の上、合計では360億56百万円となりました。

 また、役務取引等収支は国内業務部門で596億1百万円、国際業務部門で77億81百万円となり、相殺消去額を調整の上、合計では588億65百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

信託報酬

前連結会計年度

51,947

51,947

当連結会計年度

53,324

53,324

資金運用収支

前連結会計年度

30,598

8,946

56

39,487

当連結会計年度

28,154

7,908

5

36,056

うち資金運用収益

前連結会計年度

39,758

10,678

457

49,979

当連結会計年度

37,053

10,687

279

47,461

うち資金調達費用

前連結会計年度

9,160

1,731

400

10,491

当連結会計年度

8,899

2,779

273

11,404

役務取引等収支

前連結会計年度

55,831

7,886

7,155

56,563

当連結会計年度

59,601

7,781

8,517

58,865

うち役務取引等収益

前連結会計年度

80,545

10,423

9,112

81,855

当連結会計年度

84,512

10,791

10,411

84,892

うち役務取引等費用

前連結会計年度

24,713

2,536

1,957

25,292

当連結会計年度

24,911

3,009

1,893

26,027

特定取引収支

前連結会計年度

180

2,313

2,494

当連結会計年度

△3,578

4,926

1,347

うち特定取引収益

前連結会計年度

180

2,313

2,494

当連結会計年度

125

4,926

3,703

1,347

うち特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

3,703

3,703

その他業務収支

前連結会計年度

4,282

7,318

41

11,559

当連結会計年度

7,311

9,910

57

17,165

うちその他業務収益

前連結会計年度

4,964

13,262

83

18,144

当連結会計年度

8,586

16,843

106

25,323

うちその他業務費用

前連結会計年度

682

5,943

41

6,584

当連結会計年度

1,274

6,933

49

8,158

(注)1.国内業務部門は当行の円建取引及び国内連結子会社の取引、国際業務部門は当行の外貨建取引及び海外連結子会社の取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2.「相殺消去額(△)」には、当行の国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借取引、及び、連結会社相互間で行われた取引に係るもの等を記載しております。

3.資金調達費用は金銭の信託運用見合額の利息を控除して表示しております。

 

(2)国内業務部門・国際業務部門別資金運用/調達の状況

 国内業務部門における資金運用勘定の平均残高は5兆8,251億51百万円となり、その内訳は、主として貸出金3兆219億90百万円、預け金1兆6,435億30百万円であります。資金調達勘定の平均残高は5兆5,269億13百万円となり、その内訳は、主として預金2兆8,265億37百万円、コールマネー及び売渡手形7,892億69百万円であります。利回りは資金運用勘定が0.63%、資金調達勘定が0.16%となりました。

 また、国際業務部門における資金運用勘定の平均残高8,625億79百万円、利回りは1.23%、資金調達勘定の平均残高は8,866億25百万円、利回りは0.31%となりました。

① 国内業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

5,616,988

39,758

0.70

当連結会計年度

5,825,151

37,053

0.63

うち貸出金

前連結会計年度

2,869,204

28,820

1.00

当連結会計年度

3,021,990

25,740

0.85

うち有価証券

前連結会計年度

1,106,509

8,688

0.78

当連結会計年度

945,274

9,357

0.98

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

50,534

59

0.11

当連結会計年度

22,691

26

0.11

うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

20,652

2

0.01

うち預け金

前連結会計年度

1,366,575

1,363

0.09

当連結会計年度

1,643,530

1,650

0.10

資金調達勘定

前連結会計年度

5,372,445

9,160

0.17

当連結会計年度

5,526,913

8,899

0.16

うち預金

前連結会計年度

2,372,312

1,732

0.07

当連結会計年度

2,826,537

2,219

0.07

うち譲渡性預金

前連結会計年度

809,441

792

0.09

当連結会計年度

519,636

435

0.08

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

951,318

852

0.08

当連結会計年度

789,269

639

0.08

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

191

0

0.09

当連結会計年度

2,978

1

0.04

うち借用金

前連結会計年度

139,762

644

0.46

当連結会計年度

247,945

695

0.28

(注)1.当行の平均残高は、日々の残高の平均に基づいて算出しております。また、国内連結子会社については、半期ごとの残高に基づく平均残高を利用しております。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

3.国内業務部門は当行の円建取引及び国内連結子会社の取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

② 国際業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

952,551

10,678

1.12

当連結会計年度

862,579

10,687

1.23

うち貸出金

前連結会計年度

167,438

1,725

1.03

当連結会計年度

232,916

2,774

1.19

うち有価証券

前連結会計年度

577,721

8,412

1.45

当連結会計年度

434,994

7,375

1.69

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

10,626

18

0.17

当連結会計年度

10,233

28

0.27

うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

192,906

520

0.27

当連結会計年度

177,378

507

0.28

資金調達勘定

前連結会計年度

948,524

1,731

0.18

当連結会計年度

886,625

2,779

0.31

うち預金

前連結会計年度

164,104

171

0.10

当連結会計年度

166,470

154

0.09

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

86,079

439

0.51

当連結会計年度

121,310

910

0.75

うち売現先勘定

前連結会計年度

10,925

75

0.69

当連結会計年度

52,152

519

0.99

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

489,882

680

0.13

当連結会計年度

359,969

781

0.21

うち借用金

前連結会計年度

38,927

140

0.36

当連結会計年度

48,252

223

0.46

(注)1.当行の平均残高は、日々の残高の平均に基づいて算出しております。また、海外連結子会社については、半期ごとの残高に基づく平均残高を利用しております。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。

3.国際業務部門は当行の外貨建取引、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等及び海外連結子会社の取引であります。

 

③ 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

(%)

小計

相殺

消去額

(△)

合計

小計

相殺

消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

6,569,540

209,842

6,359,697

50,436

457

49,979

0.78

当連結会計年度

6,687,730

199,090

6,488,640

47,740

279

47,461

0.73

うち貸出金

前連結会計年度

3,036,642

8,842

3,027,800

30,545

119

30,426

1.00

当連結会計年度

3,254,906

7,403

3,247,503

28,515

98

28,417

0.87

うち有価証券

前連結会計年度

1,684,231

18,274

1,665,956

17,101

46

17,054

1.02

当連結会計年度

1,380,269

34,375

1,345,894

16,732

14

16,718

1.24

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

61,160

61,160

77

77

0.12

当連結会計年度

32,924

32,924

55

55

0.16

うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

20,652

20,652

2

2

0.01

うち預け金

前連結会計年度

1,559,481

24,125

1,535,356

1,884

67

1,816

0.11

当連結会計年度

1,820,909

18,843

1,802,065

2,157

33

2,124

0.11

資金調達勘定

前連結会計年度

6,320,970

191,601

6,129,369

10,892

400

10,491

0.17

当連結会計年度

6,413,539

166,071

6,247,467

11,678

273

11,404

0.18

うち預金

前連結会計年度

2,536,417

19,958

2,516,458

1,903

50

1,852

0.07

当連結会計年度

2,993,008

16,133

2,976,874

2,373

36

2,336

0.07

うち譲渡性預金

前連結会計年度

809,441

4,200

805,241

792

6

785

0.09

当連結会計年度

519,636

4,066

515,569

435

4

430

0.08

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

1,037,398

1,037,398

1,292

1,292

0.12

当連結会計年度

910,579

910,579

1,550

1,550

0.17

うち売現先勘定

前連結会計年度

10,925

10,925

75

75

0.69

当連結会計年度

52,152

52,152

519

519

0.99

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

490,074

490,074

680

680

0.13

当連結会計年度

362,947

362,947

782

782

0.21

うち借用金

前連結会計年度

178,689

8,842

169,847

784

119

665

0.39

当連結会計年度

296,198

7,403

288,795

918

98

820

0.28

(注)1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

2.「相殺消去額(△)」には、当行の国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借取引、及び、連結会社相互間で行われた取引に係るものを記載しております。

 

(3)国内業務部門・国際業務部門別役務取引の状況

 役務取引等収益は848億92百万円となりました。その内訳は、主として信託関連業務583億26百万円、代理業務84億59百万円であります。

 また、役務取引等費用は260億27百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

80,545

10,423

9,112

81,855

当連結会計年度

84,512

10,791

10,411

84,892

うち信託関連業務

前連結会計年度

52,191

5,069

118

57,143

当連結会計年度

53,354

5,044

72

58,326

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

2,253

109

2,363

当連結会計年度

2,721

308

3,029

うち為替業務

前連結会計年度

413

2

0

415

当連結会計年度

368

3

0

371

うち証券関連業務

前連結会計年度

92

511

604

当連結会計年度

46

567

613

うち代理業務

前連結会計年度

4,664

3,891

78

8,477

当連結会計年度

4,484

4,013

38

8,459

うち保証業務

前連結会計年度

454

10

0

465

当連結会計年度

379

12

0

391

役務取引等費用

前連結会計年度

24,713

2,536

1,957

25,292

当連結会計年度

24,911

3,009

1,893

26,027

うち為替業務

前連結会計年度

345

28

0

372

当連結会計年度

327

28

0

355

(注)1.国内業務部門は当行の円建取引及び国内連結子会社の取引、国際業務部門は当行の外貨建取引及び海外連結子会社の取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。

2.「相殺消去額(△)」には、連結会社相互間で行われた取引に係るものを記載しております。

 

(4)国内業務部門・国際業務部門別特定取引の状況

① 特定取引収益・費用の内訳

 特定取引収益は13億47百万円となりました。その内訳は、主として特定金融派生商品収益11億21百万円であります。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

180

2,313

2,494

当連結会計年度

125

4,926

3,703

1,347

うち商品有価証券収益

前連結会計年度

0

0

当連結会計年度

0

0

うち特定取引有価証券収益

前連結会計年度

15

233

249

当連結会計年度

124

101

225

うち特定金融派生商品収益

前連結会計年度

164

2,080

2,245

当連結会計年度

4,825

3,703

1,121

うちその他の特定取引収益

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

3,703

3,703

うち商品有価証券費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生商品費用

前連結会計年度

当連結会計年度

3,703

3,703

うちその他の特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1.「相殺消去額(△)」には、当行の国内業務部門と国際業務部門の間の相殺消去額を記載しております。

2.特定取引勘定を設置しているのは提出会社1社であります。

 

② 特定取引資産・負債の内訳(末残)

 特定取引資産は1,273億5百万円となりました。その内訳は、主として特定金融派生商品1,272億46百万円であります。

 また、特定取引負債は1,214億83百万円となりました。その内訳は、主として特定金融派生商品1,214億83百万円であります。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

19,783

47,402

67,185

当連結会計年度

77,140

50,164

127,305

うち商品有価証券

前連結会計年度

77

77

当連結会計年度

59

59

うち商品有価証券派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券派生商品

前連結会計年度

16

16

当連結会計年度

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

19,706

47,385

67,091

当連結会計年度

77,081

50,164

127,246

うちその他の特定取引資産

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引負債

前連結会計年度

24,316

38,926

63,242

当連結会計年度

85,862

35,621

121,483

うち売付商品債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引売付債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券派生商品

前連結会計年度

7

7

当連結会計年度

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

24,316

38,918

63,234

当連結会計年度

85,862

35,621

121,483

うちその他の特定取引負債

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1.国内業務部門は当行の円建取引及び国内連結子会社の取引、国際業務部門は当行の外貨建取引及び海外連結子会社の取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2.特定取引勘定を設置しているのは提出会社1社であります。

(5)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

 連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、提出会社1社です。

① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)

資産

科目

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

貸出金

985,122

1.73

880,933

1.46

有価証券

1,134,120

1.99

1,020,148

1.70

信託受益権

41,539,727

72.90

45,331,244

75.41

受託有価証券

501,002

0.88

447,920

0.74

金銭債権

4,133,646

7.25

4,136,914

6.88

有形固定資産

5,437,222

9.54

5,970,218

9.93

無形固定資産

317,901

0.56

322,440

0.54

その他債権

1,424,033

2.50

378,725

0.63

銀行勘定貸

1,008,363

1.77

1,019,554

1.70

現金預け金

499,379

0.88

605,923

1.01

合計

56,980,518

100.00

60,114,023

100.00

 

負債

科目

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

17,392,804

30.52

18,620,805

30.98

年金信託

3,940,731

6.92

3,738,037

6.22

財産形成給付信託

5,220

0.01

3,700

0.01

投資信託

12,037,681

21.13

14,243,000

23.69

金銭信託以外の金銭の信託

1,598,530

2.81

1,440,338

2.40

有価証券の信託

8,047,935

14.12

7,540,825

12.54

金銭債権の信託

3,378,699

5.93

3,263,660

5.43

土地及びその定着物の信託

178,076

0.31

332,632

0.55

包括信託

10,395,857

18.24

10,925,858

18.17

その他の信託

4,982

0.01

5,164

0.01

合計

56,980,518

100.00

60,114,023

100.00

(注)1.上記残高表には、金銭評価の困難な信託を除いております。

2.共同信託他社管理財産 前連結会計年度686,069百万円、当連結会計年度414,143百万円。なお、共同信託他社管理財産には、職務分担型共同受託方式による信託財産の該当はありません。

 

② 貸出金残高の状況(業種別貸出状況)(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金融業、保険業

157,042

15.94

132,009

14.98

不動産業、物品賃貸業

73,926

7.51

7,452

0.85

地方公共団体

9,366

0.95

7,989

0.91

その他

744,786

75.60

733,482

83.26

合計

985,122

100.00

880,933

100.00

 

③ 有価証券残高の状況(末残・構成比)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国債

835,156

73.64

720,946

70.67

社債

217,377

19.17

218,141

21.38

株式

1,065

0.09

879

0.09

その他の証券

80,520

7.10

80,181

7.86

合計

1,134,120

100.00

1,020,148

100.00

 

④ 元本補てん契約のある信託の運用/受入状況(末残)

金銭信託

科目

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

金額(百万円)

貸出金

16,006

13,861

有価証券

3

3

その他

685,399

699,560

資産計

701,408

713,425

元本

701,226

713,268

債権償却準備金

49

42

その他

133

114

負債計

701,408

713,425

(注)1.信託財産の運用のため再信託された信託を含みます。

2.リスク管理債権の状況

前連結会計年度

 貸出金16,006百万円のうち延滞債権額は2,990百万円であります。

当連結会計年度

 貸出金13,861百万円のうち延滞債権額は2,888百万円であります。

 

(参考)資産の査定(信託勘定)

 資産の査定は、貸出金等の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

2.危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

3.要管理債権

 要管理債権とは、3ヵ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

4.正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

平成27年3月31日

平成28年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

危険債権

29

28

要管理債権

正常債権

130

109

 

(6)銀行業務の状況

① 国内業務部門・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

2,617,792

171,152

18,527

2,770,416

当連結会計年度

3,037,741

170,340

22,194

3,185,886

うち流動性預金

前連結会計年度

855,039

133,116

5,424

982,732

当連結会計年度

847,006

151,379

7,686

990,699

うち定期性預金

前連結会計年度

1,744,122

18,785

50

1,762,858

当連結会計年度

2,173,684

433

650

2,173,468

うちその他

前連結会計年度

18,629

19,249

13,053

24,825

当連結会計年度

17,049

18,527

13,858

21,718

譲渡性預金

前連結会計年度

579,810

4,200

575,610

当連結会計年度

353,070

4,000

349,070

総合計

前連結会計年度

3,197,602

171,152

22,727

3,346,026

当連結会計年度

3,390,811

170,340

26,194

3,534,956

(注)1.国内業務部門は当行の円建取引及び国内連結子会社の取引、国際業務部門は当行の外貨建取引及び海外連結子会社の取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2.「相殺消去額(△)」には、連結会社相互間で行われた取引に係るものを記載しております。

3.預金の区分は次のとおりであります。

① 流動性預金=当座預金+普通預金+通知預金

② 定期性預金とは、定期預金であります。

 

② 国内・海外別貸出金残高の状況

○ 業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

3,054,271

100.00

3,482,588

100.00

製造業

500,385

16.38

527,378

15.14

農業、林業

2

0.00

鉱業、採石業、砂利採取業

2,397

0.08

2,245

0.06

建設業

43,752

1.43

38,539

1.11

電気・ガス・熱供給・水道業

287,095

9.40

288,206

8.28

情報通信業

65,581

2.15

62,932

1.81

運輸業、郵便業

201,631

6.60

197,725

5.68

卸売業、小売業

187,435

6.14

186,438

5.35

金融業、保険業

242,587

7.94

269,031

7.73

不動産業

989,709

32.40

1,052,218

30.21

物品賃貸業

236,901

7.76

279,818

8.03

各種サービス業

52,439

1.72

64,794

1.86

地方公共団体

12,791

0.42

5,277

0.15

政府等

263,548

7.57

その他

231,560

7.58

244,432

7.02

海外及び特別国際金融取引勘定分

6,826

100.00

5,865

100.00

政府等

540

7.92

432

7.38

金融機関

その他

6,285

92.08

5,432

92.62

合計

3,061,098

――

3,488,453

――

(注)1.「国内」とは、当行(特別国際金融取引勘定分を除く)及び国内連結子会社であります。

2.「海外及び特別国際金融取引勘定分」とは、当行の特別国際金融取引勘定分及び海外連結子会社であります。

 

○ 外国政府等向け債権残高(国別)

期別

国別

金額(百万円)

前連結会計年度

アルゼンチン

0

合計

0

(資産の総額に対する割合:%)

(0.00)

当連結会計年度

アルゼンチン

0

合計

0

(資産の総額に対する割合:%)

(0.00)

(注) 「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げております。

 

③ 国内業務部門・国際業務部門別有価証券の状況

○有価証券の残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

905,477

3,820

909,297

当連結会計年度

574,182

574,182

地方債

前連結会計年度

3,723

3,723

当連結会計年度

3,161

3,161

社債

前連結会計年度

65,125

65,125

当連結会計年度

77,928

77,928

株式

前連結会計年度

284,478

284,478

当連結会計年度

245,774

245,774

その他の証券

前連結会計年度

84,470

534,307

618,778

当連結会計年度

53,087

505,331

558,419

 合計

前連結会計年度

1,343,276

538,127

1,881,404

当連結会計年度

954,134

505,331

1,459,466

(注)1.国内業務部門は当行及び国内連結子会社が保有する居住者の発行する円貨建証券の残高を、国際業務部門にはそれ以外の有価証券の残高を記載しております。

2.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

 自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号。以下、「告示」という。)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 なお、当行は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。

 

連結自己資本比率(国際統一基準)

(単位:億円、%)

 

 

平成28年3月31日

1.連結総自己資本比率(4/7)

19.52

2.連結Tier1比率(5/7)

18.21

3.連結普通株式等Tier1比率(6/7)

18.21

4.連結における総自己資本の額

4,721

5.連結におけるTier1資本の額

4,404

6.連結における普通株式等Tier1資本の額

4,404

7.リスク・アセットの額

24,181

8.連結総所要自己資本額

1,934

 

単体自己資本比率(国際統一基準)

(単位:億円、%)

 

 

平成28年3月31日

1.単体総自己資本比率(4/7)

19.80

2.単体Tier1比率(5/7)

18.52

3.単体普通株式等Tier1比率(6/7)

18.52

4.単体における総自己資本の額

4,795

5.単体におけるTier1資本の額

4,484

6.単体における普通株式等Tier1資本の額

4,484

7.リスク・アセットの額

24,210

8.単体総所要自己資本額

1,936

 

(参考)

 資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

 要管理債権とは、3ヵ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

平成27年3月31日

平成28年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

11

10

危険債権

80

48

要管理債権

81

64

正常債権

31,280

35,305

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当グループは、平成28年度からの3年間を計画期間とする新中期経営計画『進化する“One MIZUHO”~総合金融コンサルティンググループを目指して~』をスタートいたしました。

 この計画は、不透明な規制環境に加え、世界経済も新興国経済が牽引してきた構図の変調や資源価格の長期低迷等ターニングポイントを迎えつつあるとともに、金融イノベーションの急速な進展等のゲームチェンジが起こりつつあるなか、こうした新しい環境変化に対応できるビジネスモデルの構築を目指すものです。

 具体的には、前中期経営計画で推進してきた「お客さま第一(Client-Oriented)」をさらに徹底するとともに、厳しい経営環境への対応として、業務高度化・効率化プロジェクトにより「オペレーショナルエクセレンス(卓越した業務遂行力)」を追求してまいります。

 新中期経営計画は、「お客さま第一」と「オペレーショナルエクセレンス」を2つの土台として、「総合金融コンサルティンググループ」という新しいビジネスモデルを構築し、前中期経営計画で標榜した“One MIZUHO戦略”を進化させようとするものであり、新中期経営計画における目指す姿、5つの基本方針、さらに、基本方針を具体化した事業戦略、財務戦略、経営基盤における戦略軸として、10の戦略軸を設定しております。

 

[中期経営計画における〈みずほ〉の目指す姿]

 

“総合金融コンサルティンググループ”

 

~お客さまと社会の持続的成長を支える課題解決のベストパートナー~

 

[5つの基本方針]

1.カンパニー制の導入

2.事業の選択と集中

3.強靭な財務体質の確立

4.金融イノベーションへの積極的取組み

5.強い〈みずほ〉を支える人材の活躍促進とカルチャーの確立

 

[10の戦略軸]

〔事業戦略〕

① グローバルベースでの非金利ビジネスモデルの強化

② 貯蓄から投資への対応

③ リサーチ&コンサルティング機能の強化

④ FinTechへの対応

 エリアOne MIZUHO戦略

 

〔財務戦略〕

 バランスシートコントロール戦略とコスト構造改革

 政策保有株式の削減

 

〔経営基盤〕

⑧ 次期システムの完遂

⑨ 人事運営の抜本的改革

⑩ 強い組織を支えるカルチャーに向けた継続的取組み

*同一地域における銀行・信託・証券一体でのOne MIZUHO戦略。営業拠点がエリア戦略を主体的に考え実行。

 

(オペレーショナルエクセレンス(卓越した業務遂行力))

 One MIZUHO戦略の実行力である「オペレーション」を向上させ、「お客さま第一」を軸とする戦略の差別化とあわせて、〈みずほ〉の持続的な競争優位の確立につなげ、お客さまサービスの付加価値を向上すべく、「オペレーショナルエクセレンス」を追求いたします。既存の業務プロセスを徹底的に見直し、「オペレーションの効率化」と「オペレーションの高度化による顧客価値創出」を実現してまいります。

 

(カンパニー制の導入)

 「お客さま第一」のさらなる徹底を図るべく、持株会社のもとで、銀行・信託・証券を一体的に運営する〈みずほ〉の特長と優位性を活かし、お客さまのニーズに即した最高の金融サービスを迅速に提供していくため、平成28年4月1日付で、顧客セグメント別のカンパニー制を導入いたしました。これまでも〈みずほ〉は、ユニット制のもと、お客さまの属性ごとに特化したグループ各社横断的なシャープな戦略展開を行ってきましたが、カンパニー制ではその方向性をさらに徹底し、戦略の企画・立案から戦略の遂行に至るプロセスにおいて、より強力に、よりスピーディーに、お客さまの属性に応じて一貫した戦略を展開できる体制といたします。

 具体的には、顧客セグメントごとに、リテール・事業法人カンパニー、大企業・金融・公共法人カンパニー、グローバルコーポレートカンパニー、グローバルマーケッツカンパニー、アセットマネジメントカンパニーの5つのカンパニーを設置し、「お客さま第一」の観点からのアプローチ(マーケット・イン型アプローチ)を徹底的に強化いたします。また、プロダクツ、リサーチ等の機能は「専門性のさらなる強化」と「全カンパニー横断的な機能活用」を図るため、2つのユニットとして独立して設置いたしました。なお、リサーチ等の機能に関しては、グループ内のリサーチ機能とコンサルティング機能を“One シンクタンク”として集約し、お客さまのあらゆる課題解決に取り組む専門家集団と位置付け、リサーチ&コンサルティングユニットを新設いたしました。

 また、グループ全体のリスクアペタイト方針(リスクテイクに関する基本的な方針)に則り、収益力の向上とリスク・リターン構造の改革に取り組んでまいりますとともに、本部スリム化とスピーディーな意思決定を実現し、現場力・営業力の一層の向上を目指してまいります。

 

[事業戦略]

 当グループは、新しい顧客セグメント別経営体制のもと、新しい中期経営計画における10の戦略軸に基づき、「お客さま第一」を徹底的に強化してまいります。

 各カンパニー・ユニットにおける事業戦略は以下のとおりです。

 

(リテール・事業法人カンパニー)

 リテール・事業法人カンパニーは、個人・中小企業・中堅企業のお客さまに向けた業務を担当いたします。

 個人のお客さまには、資産運用、資産承継等のコンサルティング提供力の向上に努めていくとともに、先進的な技術の活用・他社との提携等による、利便性の高いサービスの開発・提供に取り組んでまいります。

 中小企業・中堅企業のお客さまには、事業の成長・拡大、事業承継、海外展開等の経営課題や、企業オーナー等のお客さまの資産承継・運用等、法人・個人両面のニーズに対してソリューションを提供してまいります。

 こうした取り組みを通じ、お客さまと共に成長する「総合金融コンサルティングカンパニー」を目指してまいります。

 

(大企業・金融・公共法人カンパニー)

 大企業・金融・公共法人カンパニーは、国内の大企業法人・金融法人・公共法人のお客さまに向けた業務を担当いたします。

 大企業法人のお客さまには、資金調達・運用、経営・財務戦略等に関するお客さまニーズに対し、シンジケートローンや社債引受、M&A等、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションの提供力を強化してまいります。

 金融法人のお客さまには、財務戦略等に関する助言や各種運用商品の提案、公共法人のお客さまには、公共債の受託、引受を通じた資金調達支援、指定金融機関業務等、グループ横断的に最適な金融サービスを提供してまいります。加えて、日本経済の重要課題である、地方創生に向けた取り組みも継続してまいります。

 これらの取り組みを通じ、お客さまから最も信頼されるパートナーになることを目指してまいります。

 

(グローバルコーポレートカンパニー)

 グローバルコーポレートカンパニーは、海外進出日系企業及び非日系企業等のお客さまに向けた業務を担当いたします。

 お客さまの事業への深い理解と、貸出、社債引受等のコーポレートファイナンスの分野での強みを活かし、さまざまなソリューションを提供し、日系企業のお客さまの海外事業展開サポート、非日系企業のお客さまとの長期的な関係構築に努めてまいります。

 また、拠点ネットワークの拡充や、海外の地場金融機関や政府系機関等との業務提携構築を進め、サービス提供力のさらなる強化に努めてまいります。

 これらの取り組みを通じ、大きく変わる世界の経済動向・規制動向の中で、持続的に成長するカンパニーを目指してまいります。

 

(グローバルマーケッツカンパニー)

 グローバルマーケッツカンパニーは、金利・エクイティ・クレジット等への投資業務に加え、個人から機関投資家まで幅広いお客さまに対して、セールス&トレーディング業務として、金利・為替・株式・コモディティ等、マーケット商品全般を提供してまいります。

 銀行・信託・証券連携による幅広いプロダクツ提供力を活かし、アジアトップクラスのグローバルマーケットプレイヤーを目指してまいります。

 

(アセットマネジメントカンパニー)

 アセットマネジメントカンパニーは、個人から機関投資家まで幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品開発やサービスの提供を担当いたします。

 フィデューシャリー・デューティーを全うし、個人のお客さまの資産形成に資する運用商品の提供や、年金等のお客さまの多様化するニーズにお応えする商品提供力・商品選定機能の強化、確定給付年金と確定拠出年金を一体で捉えた総合提案への取り組みを強化してまいります。

 こうした取り組みを通じて、国内金融資産の活性化に貢献することを目指してまいります。

*他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い様々な役割・責任の総称

 

(グローバルプロダクツユニット)

 グローバルプロダクツユニットは、各カンパニーと連携し、あらゆるお客さまに対して、高度な専門性を駆使し、事業・財務戦略アドバイス、資金調達サポート、国内外為替・決済等のソリューションを提供してまいります。

 こうした取り組みを通じて、〈みずほ〉の目指す「総合金融コンサルティンググループ」をプロダクツの面から支えることを目指してまいります。

 

(リサーチ&コンサルティングユニット)

 リサーチ&コンサルティングユニットは、〈みずほ〉の目指す「総合金融コンサルティンググループ」を支える邦銀初の本格的リサーチ&コンサルティングユニットとして、お客さまの顕在的・潜在的な課題解決に取り組む専門家集団を目指し、グローバルな視点を強化してまいりますとともに、マクロ・ミクロ両面からのアプローチにより、各カンパニーと連携し、ソリューションを提供してまいります。

 

 以上の各カンパニー・ユニットの事業戦略を踏まえた、当行の事業戦略は次のとおりです。

 

 当行は、One MIZUHO戦略を進化させるとともに、信託のプロフェッショナルとして、さらなる専門性の強化に努め、グループ全体のお客さまへのソリューション提供力の向上を図ってまいります。

 個人のお客さまにつきましては、コンサルティング機能を最大限発揮するとともに、新規出店や人員の拡充により、資産・事業等の承継ニーズへの対応力をさらに強化してまいります。

 法人のお客さまにつきましては、信託ソリューションを活用した課題解決型営業の展開や、不動産ニーズへの対応力強化等により、多様なニーズにお応えしてまいります。また、「第4の柱」と位置付けておりますアセットマネジメント分野については、グループの資産運用機能の統合に向けた協議・準備を進めてまいります。

 

経営管理・経営基盤等

 事業戦略と表裏一体をなす経営管理・経営基盤についても、規制強化等の外部環境変化を踏まえ、以下の取り組みを進めてまいります。

 

(リスクアペタイト・フレームワークの高度化)

 持株会社は、事業戦略・財務戦略とリスク管理の一体運営を通じて企業価値の向上を実現する観点から、リスクアペタイト・フレームワークを導入しております。戦略を実現するために、どのようなリスクをどの程度取るかを明確にしたうえで経営資源の配分や収益計画を決定し、運営状況のモニタリング等を通じリスク・リターンの最適化に取り組んでおります。

 また、持株会社及び当行は、リスクに向き合う際に共有すべき価値観・行動軸の実現に向けた「リスクに関する行動指針」を制定いたしました。すべての役員及び社員へ「リスクに関する行動指針」を浸透させる取り組みを通じて健全なリスクカルチャーを醸成し、持株会社のリスクアペタイト・フレームワークを実効的なものとするよう、引き続き取り組んでまいります。

 

(次期システムの完遂)

 最重要・最大規模のシステムプロジェクトとして、万全の態勢のもと、「安全・着実」に完遂するべく取り組んでおります。

 

(政策保有株式の削減)

 「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」に記載のとおり、当グループは、上場政策保有株式については、「保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」ことを基本方針としております。当行としましても、株価変動に伴う財務影響を軽減し、ストレス時においても金融仲介機能を十分に発揮できるよう、引き続き政策保有株式の削減に努めてまいります。

 

人事運営の抜本的改革

 社員エンゲージメント(社員と会社がお互いの成長に貢献し合う関係性)を高め、人材の面から競争優位を確立すべく、人事運営の抜本的改革に取り組んでまいります。持株会社が、人事戦略、人事制度並びに人事運営のプリンシプルを制定し、グループの全社員が自らのステップアップと組織貢献に対する意欲を高め、各人の能力を持続的に伸ばして最大限に発揮しながら長く活躍することを実現し、人材における差別化を図ってまいります。

 

(フィデューシャリー・デューティーの実践)

 当グループは、お客さまの中長期的なパートナーとして、最も信頼されるグループであり続けるべく、資産運用関連業務におけるフィデューシャリー・デューティーの実践に向けたグループの取組方針を定めております。当行としましても、お客さまの利益に真に適う商品・サービスを提供する等、当該方針に従った取り組みを、一層強化してまいります。

*他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い様々な役割・責任の総称

 

(強い組織を支えるカルチャーに向けた継続的取り組み)

 強固なカルチャーの確立に向け、引き続き取り組んでまいります。具体的には、各部拠点がそれぞれ目指すべき姿をまとめた「自部店ビジョン」実現に向けた取り組みや、国内外の部店長を対象にカルチャーについて議論する「部店長オフサイト」等、今後とも各種取り組みを継続・強化してまいります。

 

(強固なブランドの確立)

 当グループは、新しい中期経営計画をブランド構築のアクションプランと位置付け、目指す姿である、お客さまと社会の持続的成長を支える課題解決のベストパートナーとしての「総合金融コンサルティンググループ」の実現を通じて、強固なブランドを確立してまいります。中期経営計画の達成とともに、ブランドコミュニケーションの実践等、今後とも一層のブランド価値向上に向けた取り組みを進めてまいります。

 

 みずほ銀行と当行の統合の可能性につきましても、引き続き検討してまいります。

 平成28年4月に発生した熊本地震に際しましては、被災者の皆さまの災害復旧に役立てていただくための取り組みを実施いたしております。引き続き、災害復旧に向けた支援に取り組んでまいります。

 当行は、反社会的勢力との取引遮断をはじめとする法令遵守態勢及びガバナンス態勢の強化に引き続き努めてまいります。

 社会の持続可能な発展にグループの総力を挙げて貢献するとともに、企業価値のさらなる向上に邁進してまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 当行及び当グループの事業等において、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりです。本項に含まれている将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 なお、各種リスクの管理態勢等につきましては、有価証券報告書「第4提出会社の状況 6.コーポレートガバナンスの状況等」をご覧ください。

 

1.財務面に関するリスク

(1)不良債権処理等に係るリスク

① 与信関係費用の増加等による追加的損失の発生

 当行及び当グループは、相当程度大口の与信先があります。また、与信先の業種については分散に努めておりますが、不動産業、金融・保険業向けの与信の割合が相対的に高い状況にあります。

 当行及び当グループは、個々の与信先の信用状態や再建計画の進捗状況を継続的にモニタリングするとともに、個別企業、企業グループや特定業種への与信集中状況等を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を実施しております。また、与信先から差入れを受けている担保や保証の価値についても定期的に検証しております。

 しかしながら、国内外の景気動向、特定の業界における経営環境変化等によっては、想定を超える新たな不良債権の発生、大口与信先の信用状態の急激な悪化、特定の業界の与信先の信用状態の悪化、担保・保証の価値下落等が生じる可能性があります。こうした事象によって、与信関係費用が増加する等追加的損失が発生し、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 貸倒引当金の状況

 当行及び当グループは、自己査定基準、償却・引当基準に基づき、与信先の状況、差入れられた担保の価値及び経済動向を考慮した上で、貸倒引当金を計上しております。

 償却・引当の計上にあたっては、貸出資産を適正に評価し、市場売却を想定した厳正な担保評価を行っておりますが、国内外の経済情勢の悪化、与信先の業況の悪化、担保価値の下落等により、多くの与信先で貸倒引当金及び貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)保有資産等の価格変動等に係るリスク

① 株価下落による追加的損失の発生

 当行及び当グループは、国内上場企業の普通株式を中心に、市場性のある株式を保有しております。当行及び当グループでは、「上場株式の政策保有に関する方針」を掲げ、株価変動リスクが財務状況に大きな影響を与えうることに鑑み、その保有の意義が認められる場合を除き、上場株式を政策保有しないことを基本方針としており、売却を計画的に進めております。しかしながら、これらの保有株式の株価が下落した場合には評価損や売却損が発生する可能性があります。

 また、当行及び当グループの自己資本比率の計算においては、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率が低下する可能性があります。

 その結果、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 「上場株式の政策保有に関する方針」及び政策保有株式の保有意義検証等の概要については、株式会社みずほフィナンシャルグループの「コーポレートガバナンスに関する報告書」をご覧ください。

 http://www.mizuho-fg.co.jp/company/structure/governance/pdf/g_report.pdf

② 金利の変動による追加的損失の発生

 当行及び当グループは、投資等を目的として国債をはじめとする市場性のある債券等を大量に保有しているため、金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。また、当行及び当グループの金融資産と負債の間では満期等に違いがあるため、金利変動により損失が発生する可能性があります。当行及び当グループは、厳格なリスク管理体制の下、必要に応じて債券の売却や銘柄の入れ替え、デリバティブ取引等によるヘッジを行う等、適切な管理を行っておりますが、金融政策の変更や、財政悪化等によるソブリンリスク顕在化、その他市場動向等により大幅に金利が変動した場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 外国為替相場の変動による追加的損失の発生

 当行及び当グループは、資産及び負債の一部を米ドル等の外貨建てで有しております。外貨建ての資産と負債が通貨毎に同額ではなく互いに相殺されない場合には、その資産と負債の差額について、為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。当行及び当グループでは、必要に応じ適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 保有資産の市場流動性低下による追加的損失の発生

 当行及び当グループは、市場で取引される様々な資産を保有しておりますが、金融市場の混乱等により保有資産の市場流動性が著しく低下し、その結果、保有資産の価値が下落する可能性があります。グローバルな金融市場混乱や経済・金融環境の悪化等により、保有資産の市場流動性が著しく低下した場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 退職給付債務等の変動による追加的損失の発生

 当行及び当グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、株式相場並びに金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当行及び当グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 繰延税金資産に係る財務上の影響

 繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ ヘッジ目的等の金融取引に係る財務上の影響

 ヘッジ目的等で利用するクレジットデリバティブや株式関連デリバティブ等の金融取引については、ヘッジ対象資産と会計上の取扱いや評価方法が異なる場合があります。そのため、市場の変動等により、ある特定の期間において、ヘッジ対象資産の評価が上昇しても、当該金融取引から損失のみが発生する場合があり、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)自己資本比率に係るリスク

① 各種リスクの顕在化や自己資本比率規制の変更による自己資本比率への悪影響

 当行及び当グループは、事業戦略と一体となったリスクアセット運用計画、資本の効率性並びに本項に示した各種リスクの状況等を踏まえ、適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、本項に示した各種リスクの顕在化や自己資本比率算出における計測手法の変更等により自己資本比率が低下する可能性があります。なお、自己資本比率規制において、のれん及びその他の無形固定資産、繰延税金資産、金融機関等の資本調達手段の保有等、調整項目については所定の要件のもとで自己資本から控除されます。かかる規制等により、株式会社みずほフィナンシャルグループや当行を含む当グループの銀行子会社の自己資本の額が減少し、自己資本比率が低下する可能性があります。

 また、日本の銀行の自己資本比率規制はバーゼル銀行監督委員会が設定した枠組みに基づいておりますが、当該枠組みの内容が変更された場合、もしくは金融庁による日本の銀行への規制内容が変更された場合に、その結果として自己資本比率が要求される水準を充足できなくなる可能性があります。例えば、平成22年12月にバーゼル銀行監督委員会は、金融庁が新たに定める自己資本比率規制等の基となるバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)を公表し、その枠組みに基づき、金融庁は平成24年3月に自己資本比率規制に関する告示を一部改正しました。この新たな規制は平成25年3月31日から段階的に適用されております。さらに当グループは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)として選定されており、より高い水準の自己資本比率が求められることとなります。G-SIBsのグループは年次で更新され、毎年11月に金融安定理事会(FSB)により公表されます。また、平成27年11月にFSBは、G-SIBsに対して、破綻時の総損失吸収力(TLAC)を求める最終文書を公表しており、平成28年4月には金融庁が本邦における当該規制に係る枠組みの整備の方針を公表しました。これにより当グループは、平成31年より当該規制の適用を受ける可能性があります。

 仮に当行及び当グループの自己資本比率が一定基準を下回った場合には、自己資本比率の水準に応じて、金融庁から、資本の増強を含む改善計画や社外流出の制限、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当行を含む当グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国において、自己資本比率規制を受けており、当該規制に抵触した場合には、当行及び当グループの業務運営に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)格付に係るリスク

① 格付引き下げによる悪影響

 株式会社みずほフィナンシャルグループや当行等、当グループの一部の会社は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当行及び当グループから格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいています。また、日本国債の格付や日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けているため、常に格付機関による見直し・停止・取下げが行われる可能性があります。

 仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や資金調達の困難化、市場関連取引における追加担保の提供、既存取引の解約等が発生する可能性があり、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)資金調達に係るリスク

① 資金調達が困難となることによる追加的損失の発生

 当行及び当グループの資金調達は、主に預金及び債券発行に依存しておりますが、市場からの調達も行っております。当行及び当グループでは、資金調達の安定性の観点から、市場からの調達上限額の設定や資金繰りの状況に応じた対応方針の策定等、厳格な管理を行っております。

 しかしながら、当行及び当グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生した場合、あるいは国内外の景気悪化、金融システム不安や金融市場の混乱等により資金調達市場そのものが縮小した場合には、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる、あるいは必要な資金を市場から確保できず資金繰りが困難になる可能性があります。その結果、資金調達コストが増加したり、外貨資金調達等に困難が生じたりすることにより、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.業務面等に関するリスク

(1)業務面に関するリスク

① 当行及び当グループの戦略、施策が奏効しないリスク

 当行及び当グループは、様々な戦略や施策を実行しております。平成28年5月、当グループは、平成28年度から平成30年度までの3年間を対象期間とする当グループの新しい中期経営計画を発表しました。この中で、平成30年度末の数値目標についても併せて発表しております。

 しかしながら、こうした戦略や施策が実行できない、あるいは、たとえ戦略や施策が実行できた場合でも当初想定した成果の実現に至らない可能性、本項に示した各種リスクの顕在化又は新しい中期経営計画の前提となる経済環境の変化等により新しい中期経営計画で発表した数値目標を達成できない可能性があります。

 なお、当グループの中期経営計画の内容につきましては、有価証券報告書「第2 事業の状況 3.対処すべき課題」をご覧ください。

② 業務範囲の拡大等に伴う新たなリスクの発生による悪影響

 当行及び当グループは、総合金融コンサルティンググループとして、銀行業・信託業・証券業をはじめとする様々な業務を行っております。さらに、お客さまのニーズの高度化や多様化、ないしは規制緩和の進展等に応じた新たな業務分野への進出や各種業務提携、資本提携を実施しております。当行及び当グループは、こうした新たな業務等に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備しております。しかしながら、想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 法令違反等の発生による悪影響

 当行及び当グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法や独占禁止法等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、銀行法、金融商品取引法、信託法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用、さらには金融当局の監督を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用とともに金融当局の監督を受けております。

 当行及び当グループは、法令諸規制が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底や法務リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。

 今後、仮に法令違反等が発生した場合には、行政処分やレピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 事務リスクの顕在化による悪影響

 当行及び当グループは、幅広い金融業務において大量の事務処理を行っております。これらの多様な業務の遂行に際して、役職員による過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。

 当行及び当グループは、各業務の事務取扱を明確に定めた事務手続を制定するとともに、事務処理状況の定期的な点検を行っており、さらに本部による事務指導の強化や管理者の育成、システム化等を推進しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ システムリスクの顕在化による悪影響

 当行及び当グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。当行及び当グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。また、近年はサイバー攻撃による脅威の高まりを踏まえ、不正送金・標的型攻撃等からお客さまや当行及び当グループを守るためのセキュリティー対策の強化やモニタリング、人材育成や訓練を通じた対応態勢の強化等に取り組んでおります。

 しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生し、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。システムリスクの顕在化が発生した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 個人情報等の漏洩等の発生による悪影響

 当行及び当グループは、多数の法人・個人のお客さまの情報を保有しているほか、様々な内部情報を有しております。特に、個人情報については、情報の漏洩や不正なアクセスを防止するため、個人情報保護法の下で、より厳格な管理が要求されております。当行においても情報管理に関するポリシーや事務手続等を策定しており、役職員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行い、外部委託先についても同様に情報管理態勢を監督しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 人事上のリスクの顕在化による悪影響

 当行及び当グループは、多数の従業員を雇用しており、日頃より有能な人材の確保や育成等に努めております。しかしながら、十分な人材を確保・育成できない場合には、当行及び当グループの競争力や効率性が低下し、業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)その他のリスク

① 財務報告に係る内部統制の構築等に関するリスク

 株式会社みずほフィナンシャルグループは、ニューヨーク証券取引所上場企業であり、当グループは、米国サーベンス・オクスリー法に準拠した開示体制及び内部統制の強化を行っております。同法により、同社経営者及び監査法人はそれぞれ同社の財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その評価結果をForm20-Fにより報告することが求められています。

 また、金融商品取引法においても、株式会社みずほフィナンシャルグループは、同社の経営者による財務報告に係る内部統制の有効性の評価、及び経営者評価に対する監査法人の意見を内部統制報告書及び内部統制監査報告書により報告することが求められています。

 当行及び当グループは、上記に従い財務報告に係る内部統制の構築を行っており、評価の過程で発見された問題点は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、改善が間に合わない場合や、経営者が内部統制を適正と評価したとしても監査法人は不適正とする場合があり、その場合、当行及び当グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 訴訟に関するリスク

 当行及び当グループは、国内外において銀行業務・信託業務を中心に様々な業務を行っておりますが、こうした業務を行うにあたり、損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。また、そうした訴訟の動向によっては、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク

 当行及び当グループは、リスク管理の方針及び手続に則りリスク管理の強化に注力しております。しかしながら、急速な業務展開に伴い、リスクを特定・管理するための方針及び手続が、必ずしも有効に機能するとは限りません。また、当行及び当グループのリスク管理手法は、過去の市場動向に基づいている部分があることから、将来発生するリスクを正確に予測できるとは限りません。当行及び当グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 米国国務省によりテロ支援国家と指定された国に所在する者との取引に関するリスク

 米国法上、米国人は、米国国務省によりテロ支援国家と指定された国(イラン、スーダン、シリア。以下、「指定国」という。)と事業を行うことが一般的に禁止されており、当行及び当グループは、関係する米国法を遵守する態勢を整備しております。但し、米国外の拠点において、関係法令の遵守を前提に、顧客による輸出入取引に伴う貿易金融やコルレス口座の維持等、指定国に関連する業務を限定的に行っております。なお、当グループにおいては、イランに駐在員事務所を設置しています。指定国に関係するこれらの業務は、当行及び当グループ全体の事業、業績及び財務状態に比し小規模であり、また、関係する日本及び米国の法令を遵守する態勢を整備しております。

 指定国が関与する取引に関わる規制は今後強化もしくは改定されていく可能性があり、当行及び当グループの法令遵守態勢が米国における規制に十分対応できていないと米国政府に判断された場合には、当行及び当グループの業務運営に悪影響を及ぼすような、米国政府による何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。また、顧客や投資家を失う、ないしは当行及び当グループのレピュテーションが毀損することで、当行及び当グループの事業又は株式会社みずほフィナンシャルグループの株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.信託業務に関するリスク

① 信託業務における損失発生による悪影響

 当行は、信託商品のうち一部の合同運用指定金銭信託等について元本補てん契約を結んでおります。これらの元本補てん契約のある信託商品につきましては、元本の損失発生を避けるべく慎重な運用を行うとともに、厳格なリスク管理体制を構築しております。

 しかしながら貸倒れ又は投資損失等の結果、元本補てん契約のある信託勘定において元本に損失が生じた場合、当行は補てんのための支払いをする必要があり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、元本補てん契約のない信託勘定において、受託者の過失等により損失等が生じた場合、当行は損失補てんを行う必要があり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

4.金融諸環境等に関するリスク

① 金融経済環境の変化による悪影響

 当行及び当グループは、日本国内の各地域及び米国や欧州、アジア等の海外諸国において幅広く事業を行っております。日本やこれらの国、地域における経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当行及び当グループの事業の低迷や資産内容の悪化等が生じる可能性があります。昨今、米国の利上げや、日銀のマイナス金利導入、資源価格の下落等、金融経済環境は激しい変化が続いておりますが、今後、各国の金融政策の変更、各種地政学的リスクの顕在化等の影響により経済状況の悪化や金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 法令諸規制の改正等による悪影響

 当行及び当グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法、独占禁止法や会計基準等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、自己資本比率規制を含む銀行法、金融商品取引法、信託法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用も受けております。

 これらの法令諸規制は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供が制限される等、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 現在バーゼル銀行監督委員会等において、自己資本比率算定における各種標準的手法や内部格付手法、資本フロアの見直し等が議論されております。当該見直しの結果として、自己資本比率算定上の分母が増加する場合には、当行及び当グループの自己資本比率が低下するリスクがあります。

 さらに、その他にも多くの金融規制見直しの議論が続けられており、例えば、長期安定調達比率(NSFR)等の流動性規制や、レバレッジ比率規制が今後適用・変更された場合には、当行及び当グループのビジネスにおける一定の制約要因となる惧れや、追加でのシステム開発負担等につながる惧れがあります。

 

③ 金融業界の競争激化による悪影響

 当行及び当グループは、国内外の大手金融機関やノンバンク等との激しい競争環境に晒されています。また、昨今は様々なテクノロジー(いわゆるFinTech)の進展により業種の垣根を越えて多くの企業による金融領域への新規参入が相次ぐ等、当行及び当グループを取り巻く競争環境はますます激化する可能性があります。さらに、先の金融危機以降進められてきた金融規制改革により、競合他社との戦略の差別化が難しくなり、特定のビジネスにおける競争環境が激化していく惧れもあります。当行及び当グループが、競争に十分対応することができない場合には、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争激化等に伴い、金融業界において金融機関の再編が進み、当行及び当グループの競争力や株式会社みずほフィナンシャルグループの株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 災害等の発生による悪影響

 当行及び当グループは、国内外において店舗、事務所や電算センター等の施設等を保有しておりますが、このような施設等は常に地震や台風等の災害や犯罪等の発生による被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等感染症の流行により、当行及び当グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。当行及び当グループは、各種緊急事態を想定したコンティンジェンシープランを策定し、バックアップオフィスの構築等、緊急時における態勢整備を行っておりますが、被害の程度によっては、当行及び当グループの業務の一部が停止する等、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、平成23年3月に発生した東日本大震災のような大規模な災害に起因して、景気の悪化、多数の企業の経営状態の悪化、株価の下落等が生じる可能性があります。その結果、当行及び当グループの不良債権及び与信関係費用が増加したり、保有株式や金融商品等において売却損や評価損が生じること等により、当行及び当グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 風説・風評の発生による悪影響

 当行及び当グループの事業は預金者等のお客さまや市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行及び当グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客さまや市場関係者が当行及び当グループについて事実と異なる理解・認識をされる可能性があります。当行及び当グループは、こうした風説・風評の早期発見に努めるとともに、その影響度・拡散度等の観点から適時かつ適切に対応することで、影響の極小化を図るよう努めておりますが、悪質な風説・風評が拡散した場合には、当行及び当グループの業務運営や、業績及び財務状況、ないしは株式会社みずほフィナンシャルグループの株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当ありません。

 

6【研究開発活動】

 該当ありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 平成27年度における当行及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は以下のとおりと分析しております。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。

 

1.業績の状況

(財政状態及び経営成績の分析)

(1)総論

 みずほフィナンシャルグループの収益状況は、連結経常利益が前連結会計年度比133億円減少して9,975億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同590億円増加して6,709億円となりました。当行及び連結子会社につきましては以下のとおりです。

 

[損益状況]

 連結経常収益は、貸倒引当金戻入益等が減少したものの国債等債券売却益等の増加により、前連結会計年度比40億円増加し2,348億円となりました。

 連結経常費用は、株式等売却損の増加等により、前連結会計年度比121億円増加し1,706億円となりました。

 この結果、連結経常利益は前連結会計年度比81億円減少し642億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比176億円減少し408億円となりました。

 

[金利・非金利収支の状況]

① 金利収支の状況

 資金利益は、前連結会計年度比34億円減少し360億円となりました。

 

② 非金利収支の状況

 信託報酬は、前連結会計年度比13億円増加し533億円となりました。役務取引等利益は、前連結会計年度比23億円増加し588億円となりました。

 

(2)経営成績の分析

[損益の状況]

 前連結会計年度及び当連結会計年度における損益状況は以下のとおりです。

(図表1)

 

前連結会計年度

(自 平成26年

4月1日

至 平成27年

3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年

4月1日

至 平成28年

3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

連結粗利益

1,620

1,667

47

資金利益

 

394

360

△34

信託報酬

 

519

533

13

うち信託勘定与信関係費用

①'

役務取引等利益

 

565

588

23

特定取引利益

 

24

13

△11

その他業務利益

 

115

171

56

営業経費

△985

△1,012

△27

不良債権処理額

(含:一般貸倒引当金純繰入額)

△0

△0

0

貸倒引当金戻入益等

61

13

△48

株式等関係損益

72

31

△41

持分法による投資損益

0

△0

△0

その他

△45

△56

△11

経常利益

(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦)

723

642

△81

特別損益

△2

7

9

税金等調整前当期純利益

(⑧+⑨)

721

649

△72

税金関係費用

△126

△226

△100

当期純利益

(⑩+⑪)

594

422

△172

非支配株主に帰属する当期純損益

△9

△13

△4

親会社株主に帰属する当期純利益(⑫+⑬)

585

408

△176

 

 

 

 

 

包括利益

1,449

△36

△1,486

 

 

 

 

 

与信関係費用(①'+③+④)

60

12

△48

(注) 費用項目は△表記しております。

 

① 連結粗利益

 連結粗利益は前連結会計年度比47億円増加し1,667億円となりました。項目ごとの収支は以下のとおりです。

(資金利益)

 資金利益は、前連結会計年度比34億円減少し360億円となりました。

(信託報酬)

 信託報酬は、前連結会計年度比13億円増加し533億円となりました。

(役務取引等利益)

 役務取引等利益は、前連結会計年度比23億円増加し588億円となりました。

(特定取引利益・その他業務利益)

 特定取引利益は、前連結会計年度比11億円減少し13億円となりました。その他業務利益は、前連結会計年度比56億円増加し171億円となりました。

② 営業経費

 営業経費は、前連結会計年度比27億円増加し1,012億円となりました。

③ 不良債権処理額及び④貸倒引当金戻入益等(⑯与信関係費用)

 与信関係費用(含む不良債権処理額及び貸倒引当金戻入益等)は、貸倒引当金戻入益等の減少等により、前連結会計年度比48億円減少し12億円の利益となりました。

⑤ 株式等関係損益

 株式等関係損益は、株式等売却損の増加等により、前連結会計年度比41億円減少し31億円の利益となりました。

⑥ 持分法による投資損益

 持分法による投資損益は、0億円の損失となりました。

⑦ その他

 その他は、56億円の損失となりました。

⑧ 経常利益

 以上の結果、経常利益は前連結会計年度比81億円減少し642億円となりました。

⑨ 特別損益

 特別損益は、7億円の利益となりました。

⑩ 税金等調整前当期純利益

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比72億円減少し649億円となりました。

⑪ 税金関係費用

 税金関係費用は、法人税、住民税及び事業税の増加等により、前連結会計年度比100億円増加し226億円となりました。

⑫ 当期純利益

 以上の結果、当期純利益は、前連結会計年度比172億円減少し422億円となりました。

⑬ 非支配株主に帰属する当期純損益

 非支配株主に帰属する当期純損益(利益)は、前年同期比4億円増加し、13億円となりました。

⑭ 親会社株主に帰属する当期純利益(⑮包括利益)

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比176億円減少し408億円となりました。また、包括利益は、前連結会計年度比1,486億円減少し36億円の損失となりました。

 

-参考-

(図表2)損益状況(単体)

 

前事業年度

(自 平成26年

4月1日

至 平成27年

3月31日)

当事業年度

(自 平成27年

4月1日

至 平成28年

3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

業務粗利益

1,342

1,355

13

資金利益

392

357

△35

信託報酬

519

533

13

うち信託勘定与信関係費用

役務取引等利益

291

279

△11

特定取引利益

24

13

△11

その他業務利益

113

171

57

経費(除:臨時処理分)

△746

△776

△30

実質業務純益(除:信託勘定与信関係費用)

596

579

△17

臨時損益

84

9

△75

うち不良債権処理額

(含:信託勘定与信関係費用)

△0

△0

0

うち貸倒引当金戻入益等

58

11

△47

うち株式等関係損益

72

31

△41

経常利益

681

588

△92

特別損益

△2

7

9

当期純利益

572

404

△168

 

 

 

 

与信関係費用

58

11

△47

 (注) 費用項目は△表記しております。

[セグメント情報]

 前連結会計年度及び当連結会計年度におけるセグメント情報の概要は、以下のとおりです。

 なお、詳細につきましては、第5経理の状況、1.連結財務諸表等、(1)連結財務諸表の(セグメント情報等)に記載しております。

 

(図表3)報告セグメントごとの業務粗利益及び業務純益の金額に関する情報

 

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

    至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

    至 平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

業務粗利益

業務純益

業務粗利益

業務純益

業務粗利益

業務純益

報告セグメント(当行)計

1,342

596

1,355

579

13

△17

 

個人部門

211

――

235

――

23

――

 

法人部門

929

――

921

――

△7

――

 

市場部門・その他

200

――

198

――

△2

――

その他

277

41

311

55

33

13

合計

1,620

638

1,667

634

47

△3

(注)1.業務粗利益は、信託勘定償却前の計数であり、業務純益は、信託勘定償却前及び一般貸倒引当金繰入前の計数であります。

2.各報告セグメント(個人部門、法人部門及び市場部門・その他)に係る業務純益は算出しておりません。

 

(3)財政状態の分析

 前連結会計年度及び当連結会計年度における財政状態のうち、主なものは以下のとおりです。

(図表4)

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

資産の部

69,107

73,832

4,724

うち有価証券

18,814

14,594

△4,219

うち貸出金

30,610

34,884

4,273

負債の部

63,304

68,358

5,054

うち預金

27,704

31,858

4,154

うち譲渡性預金

5,756

3,490

△2,265

純資産の部

5,803

5,473

△329

株主資本合計

4,367

4,483

116

その他の包括利益累計額合計

1,386

929

△456

非支配株主持分

48

59

11

 

[資産の部]

① 有価証券

(図表5)

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

有価証券

18,814

14,594

△4,219

国債

9,092

5,741

△3,351

地方債

37

31

△5

社債

651

779

128

株式

2,844

2,457

△387

その他の証券

6,187

5,584

△603

 

 有価証券は、国債が減少したこと等により、前連結会計年度末比4,219億円減少し、1兆4,594億円となりました。

 

② 貸出金

(図表6)

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

貸出金

30,610

34,884

4,273

 

(単体)

 

前事業年度

(平成27年3月31日)

当事業年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

貸出金

30,684

34,963

4,278

中小企業等貸出金 *

12,471

13,845

1,374

うち消費者ローン

1,403

1,308

△95

* 中小企業等とは、資本金3億円(ただし、卸売業は1億円、小売業、飲食業、物品賃貸業等は5千万円)以下の会社又は常用する従業員が300人(ただし、卸売業、物品賃貸業等は100人、小売業、飲食業は50人)以下の企業等であります。

 

 貸出金は3兆4,884億円と、前連結会計年度末比4,273億円増加しております。

 また、当行単体の貸出金残高は3兆4,963億円と、前事業年度末比4,278億円増加しております。

 当行単体の中小企業等貸出金残高は、前事業年度末比1,374億円増加し1兆3,845億円、うち消費者ローンは同95億円減少し1,308億円となっております。

 

 貸出金のうち連結ベースのリスク管理債権額(銀行勘定及び元本補てん契約のある信託勘定合算)は以下のとおりです。

 

(図表7)

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

破綻先債権

0

0

0

延滞債権

123

88

△35

3ヵ月以上延滞債権

貸出条件緩和債権

96

78

△17

合計

220

167

△52

 

 

 

 

貸出金*

30,771

35,023

4,252

* 銀行勘定及び元本補てん契約のある信託勘定合算

貸出金に対する割合(%)

0.71

0.47

△0.23

 

 当連結会計年度末の連結ベースのリスク管理債権残高は、延滞債権の減少を主因に前連結会計年度末比52億円減少し、167億円となりました。

 貸出金に対するリスク管理債権の割合は、0.47%となっております。

 

 なお、不良債権(当行単体)に関しては、後段(4)で詳細を分析しております。

 

 

[負債の部]

① 預金

(図表8)

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

預金

27,704

31,858

4,154

譲渡性預金

5,756

3,490

△2,265

 

(単体)

 

前事業年度

(平成27年3月31日)

当事業年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

預金(国内)

26,239

30,424

4,184

個人

11,471

10,773

△698

一般法人

10,857

13,061

2,204

金融機関・政府公金

3,911

6,589

2,678

* 譲渡性預金及び特別国際金融取引勘定分は含まれておりません。

 

 預金は、定期預金が増加したこと等により、前連結会計年度末比4,154億円増加し3兆1,858億円となりました。また、譲渡性預金は、前連結会計年度末比2,265億円減少し3,490億円となりました。

 なお、当行単体の預金者別預金残高は、個人が前事業年度末比698億円の減少、一般法人が同2,204億円の増加、金融機関・政府公金が同2,678億円の増加となっております。

 

[純資産の部]

(図表9)

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

純資産の部合計

5,803

5,473

△329

株主資本合計

4,367

4,483

116

資本金

2,473

2,473

資本剰余金

155

155

0

利益剰余金

1,739

1,854

115

その他の包括利益累計額合計

1,386

929

△456

その他有価証券評価差額金

1,363

977

△386

繰延ヘッジ損益

△16

5

21

為替換算調整勘定

21

20

△1

退職給付に係る調整累計額

18

△72

△91

非支配株主持分

48

59

11

 

 当連結会計年度末の純資産の部合計は、前連結会計年度末比329億円減少し5,473億円となりました。主な変動は以下のとおりです。

 利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末比115億円増加し1,854億円となりました。

 その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末比386億円減少し977億円となりました。

 

(4)不良債権に関する分析(単体)

① 残高に関する分析

 金融再生法開示債権(銀行勘定及び元本補てん契約のある信託勘定合算)

(図表10)

 

前事業年度

(平成27年3月31日)

当事業年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

11

10

△1

危険債権

110

77

△33

要管理債権

81

64

△17

小計(要管理債権以下)      (A)

204

151

△52

正常債権

31,410

35,414

4,004

合計               (B)

31,614

35,566

3,951

(A)/(B)

0.64%

0.42%

△0.21%

 

 当事業年度末の不良債権残高(要管理債権以下(A))は、危険債権の減少を主因に、前事業年度末比52億円減少し、151億円となりました。

 不良債権比率((A)/(B))は、0.42%となっております。

 

 

    ② 保全に関する分析

 前事業年度末及び当事業年度末における金融再生法開示債権(銀行勘定及び元本補てん契約のある信託勘定合算、要管理債権以下)の保全及び引当は、以下のとおりであります。

(図表11)

 

前事業年度

(平成27年3月31日)

当事業年度

(平成28年3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権 (A)

11

10

△1

うち担保・保証等         (B)

11

10

△1

うち引当金            (C)

0

0

△0

信用部分に対する引当率 (C)/((A)-(B))

100.0%

100.0%

保全率        ((B)+(C))/(A)

100.0%

100.0%

危険債権              (A)

110

77

△33

うち担保・保証等         (B)

91

67

△23

うち引当金            (C)

12

5

△7

信用部分に対する引当率 (C)/((A)-(B))

67.8%

58.0%

△9.7%

保全率        ((B)+(C))/(A)

94.4%

94.8%

0.4%

要管理債権             (A)

81

64

△17

うち担保・保証等         (B)

12

4

△7

うち引当金            (C)

26

29

3

信用部分に対する引当率 (C)/((A)-(B))

37.8%

49.0%

11.1%

保全率        ((B)+(C))/(A)

47.2%

52.8%

5.5%

 

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権については、担保・保証等が1億円、引当金が0億円、それぞれ前事業年度末比減少しております。信用部分全額を個別貸倒引当金として計上、ないしは直接償却を実施しており、その結果、信用部分に対する引当率、保全率ともに100%となっております。

 危険債権については、担保・保証等が23億円、引当金が7億円、それぞれ前事業年度末比減少しております。また、信用部分に対する引当率は9.7ポイント低下し58.0%に、保全率は0.4ポイント上昇し94.8%となっております。

 要管理債権については、担保・保証等が7億円前事業年度末比減少し、引当金が3億円前事業年度末比増加しております。また、信用部分に対する引当率は11.1ポイント上昇し49.0%に、保全率は5.5ポイント上昇し52.8%となっております。

 

上記債権以外の債権に対する引当率は、以下のとおりであります。

      (図表12)

 

前事業年度

(平成27年3月31日)

当事業年度

(平成28年3月31日)

比較

要管理先債権以外の要注意債権

正常先債権

1.50%

0.07%

1.62%

0.04%

0.11%

△0.02%

 

(5)自己資本比率に関する分析

(図表13) 連結自己資本比率(国際統一基準)

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

 

比較

 

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

連結総自己資本比率(④/⑦)

19.21%

19.52%

0.31%

連結Tier1比率(⑤/⑦)

16.68%

18.21%

1.53%

連結普通株式等Tier1比率(⑥/⑦)

16.67%

18.21%

1.54%

連結における総自己資本の額

5,116

4,721

△394

連結におけるTier1資本の額

4,444

4,404

△40

連結における普通株式等Tier1資本の額

4,441

4,404

△37

リスク・アセットの額

26,634

24,181

△2,452

連結総所要自己資本額

2,130

1,934

△196

 

 総自己資本の額は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したものの、控除項目の増加等により、前連結会計年度末比394億円減少し、4,721億円となりました。一方、リスク・アセットの額は、前連結会計年度末比2,452億円減少し、2兆4,181億円となりました。この結果、連結総自己資本比率は前連結会計年度末比0.31ポイント上昇し、19.52%となりました。

 

2.キャッシュ・フローの状況

 前連結会計年度及び当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(図表14)

 

前連結会計年度

(自 平成26年

4月1日

至 平成27年

3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年

4月1日

至 平成28年

3月31日)

比較

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

4,584

△384

△4,969

投資活動によるキャッシュ・フロー

829

3,377

2,548

財務活動によるキャッシュ・フロー

△464

△814

△350

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、預金が増加した一方、貸出金の増加、譲渡性預金の減少等により384億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得、売却及び償還等の結果3,377億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い及び劣後特約付社債の償還等により814億円の支出となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比2,178億円増加し1兆6,642億円となりました。