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取締役会議長×グループCEO対談

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持続的成長に向けた進化
~社会全体に対する<みずほ>の役割と戦略上の重要課題~

2020年度を振り返りつつ、社会における金融と<みずほ>の役割、そして持続的成長に向けた進化について、取締役会議長の小林いずみ氏と、グループCEOの坂井辰史が意見交換しました。

取締役 執行役社長 グループCEO 坂井 辰史 取締役会議長 小林 いずみ

2020年度を振り返って

小林私が<みずほ>の取締役になった2017年に遡ると、<みずほ>は資本と稼ぐ力が大きな課題でした。2019年からの5ヵ年経営計画は、金融の姿が大きく変わっていく中で、<みずほ>が次のステップへの足掛かりを固めるとともに、その資本と稼ぐ力を改善するものとしてスタートしました。そうした中で2020年度を迎えたとき、想定外のコロナ禍に直面し、本当に5ヵ年経営計画どおり進むのか?との大きな懸念がありました。今、結果をみると、大きく2つの振り返りがあります。

一つには、社会における金融の役割、特に金融機関の本来的な役割がコロナ禍で再認識されたこと。大変な激動の中で、我々としても、その大きな柱を改めて確認しました。

もう一つ、<みずほ>については、2020年度決算が5ヵ年経営計画の当初の想定を上回ったこと。これは、経営基盤の強化を含めて、会社として注力してきた変革への取り組みがしっかり定着してきたということです。そう捉えているのは、私だけでなく他の取締役も同様と感じています。

坂井おっしゃるとおり、5ヵ年経営計画は、事業環境が構造的に変わりつつある中で、我々自身が不断の取り組みとして自らをアップデートしていく必要があるとの認識のもとで、ビジネスモデル、それを支える経営基盤、そして財務の三位一体で前を向いて構造改革を進めていくものです。初年度の2019年度は、総じて言えばうまくいったと思います。2020年度は、いよいよそうした取り組みが全体として根付くのかどうかの重要なところでした。その矢先にコロナ禍が発生したわけですが、私も2020年度について2つ振り返りたいと思います。

一つには構造的な変化が、コロナ禍をきっかけに加速したこと。デジタル化、少子高齢化、グローバル化、という我々のビジネスに大きく影響するメガトレンドも、アフターコロナに向けて色々な展開、変化が見えてきました。

もう一つは、小林さんのおっしゃる金融の役割にも繋がりますが、変化する中でも変わらないものがあり、それが金融機関の真価でもあることが改めて認識できたこと。企業や個人の生活にかかわるライフライン的な金融機能が、まさに変わらない真価だと思います。海外では2020年1–3月期、日本は2020年4–6月期頃に緊急的な資金需要が著増しましたが、リーマン危機の際と異なり、金融はしっかりと機能しました。我々も、早いタイミングで、今こそ基本に立ち返って金融機能を発揮する時と、腹を固めました。そして、これをきっかけとして、それまでに描いてきた色々な事業モデルの転換を前に進めることができました。

例えば、大企業営業における戦略領域としての資本性資金の供給。コロナ禍の影響でお客さまの需要が急増したタイミングで、我々のお客さまの事業への理解や産業知見をフル活用し、単なる資金繰り支援に留まらず、必要に応じて思い切って資本面での支援も行いました。金融機関の中でも早い動きだったと思います。「いざ」という時のご支援を通じて、お客さまとの関係がより深まり、我々の戦略的な取り組みも一気に加速しました。そのような取り組みがお客さまとの関係の新たな礎ともなって、お客さまのご理解の下、想定以上に退職給付信託も含めた保有株式の削減も進展しました。

こうした取り組みも含め国内外拠点の皆が一丸となったことで、戦略的な取り組みが実を結び、基礎的な収益力を着実に伸ばすことにつながりました。

小林そうですね、社会のインフラとして担うべきことや果たすべき役割を、これまでとは異なる形で、例えば、政策保有株式から資本性資金にスイッチしていく。デジタルやフィンテックはもちろんのこと、産業知見等を生かした<みずほ>らしい形で、ひとつの次世代金融のモデルが見えてきた手ごたえの年、といえると思っています。

社会にもたらす豊かさ ~<みずほ>が果たすべき役割

坂井サステナビリティという本当に大きな潮流も、コロナ禍により影響を受けつつ、様々なテーマを浮き彫りにしていると思います。経済・社会格差の拡大といった本源的な問題、あるいは、地政学的課題や世界の構造の不安定化につながるようなもの。我々は5ヵ年経営計画を通じて、これらのグローバルアジェンダに真正面から向き合っています。

世界的に非常に関心が高まっている環境・気候変動の問題では、各国政府においても対応が強化され、日本も2050年カーボンニュートラルを掲げています。今やサステナビリティは企業経営者の皆さまにとっての最重要課題の一つです。実際に我々が経営・事業戦略について会話する際、サステナビリティはいわば一丁目一番地になっています。

我々は、お客さまをはじめ、様々なステークホルダーに、我々の基本理念であり社名の由来でもある<豊かな実り>をお届けするという思いでいます。昨今云々されるステークホルダー資本主義の考え方とも相通ずる所がありますが、様々な持続性への問題・課題を戦略にビルトインして、リスクの極小化とビジネス機会の極大化につなげていこうとしています。

小林サステナビリティを我々の事業にビルトインして、それが成長モデルの核となる。その事業活動の成果が社会に対して豊かさを生むということですね。業界と企業を問わず、経営者の皆さまが最も苦労されているのは、まさに、サステナビリティとビジネスをいかに同期・融合して、自社の成長の源泉とし、そしてステークホルダーに対して利益をもたらすか。このような事業モデルの確立だと思います。<みずほ>は自社においても、お客さまとの対話についても、早く取り組んできた。それにより、<みずほ>の考え方や事業モデルは様々なステークホルダーから理解されてきたという印象を持っています。サステナビリティの重要性が一層高まる中、ステークホルダーとの協力・協働もさらに進めやすくなるのではないでしょうか。

一方で、ここから先の課題として私が思うのは、サステナビリティに関する、現地・現場での「加工力」のような力です。現在、サステナビリティをグローバルで統一した基準で評価する動きがありますが、本質的にサステナビリティは、国や地域それぞれ自然環境や社会環境に差異があるため、必ずしも世界中一律というわけではありません。目標は共通でも、取り組みは国や地域によって異なり、それらが最終的に循環してグローバルでプラスになるという考え方です。そうすると、坂井さんのおっしゃった<豊かな実り>についても、現地の自然・社会環境において何がベストなのかを、現地・現場の社員たちが自ら考え、実現し、届ける力が必要になる。これは、すごく難しいことですが、だからこそ取り組む意義があります。

坂井パリ協定のようなグローバルな共通目標はありますが、そこに至る道筋は経済・社会における様式や価値観、或いは資源アクセスの状況等によって異なり、エネルギー政策を含めた産業政策、企業行動もそれぞれ異なっています。これらをよく理解したうえで、調和された形に加工し、グローバル共通目標に至るまでの道筋とフィージビリティを高めていくこと。小林さんのおっしゃる「加工力」こそが、我々の付加価値の源泉となるのかもしれません。

小林たしかに、サステナビリティの世界は、一律のプロダクトアウトではありません。アナログ的な要素を多分に含むカスタマイズが馴染む性質があり、個別の顧客なり社会環境に合致するようなアドバイスやソリューションが求められます。そこにおいて、我々<みずほ>が果たせる役割は大きいのではないでしょうか。

坂井いろいろな国や地域の違いをよく理解して、経済・社会に適合し実現可能な形での産業・事業のトランスフォーメーションを支援する。<みずほ>でいえば、リサーチ、コンサルティングの力や産業知見を活かし、企業経営陣や、関係当局ともコミュニケーションをとり、いわば触媒となっていく。そういったことを、これからいよいよ具体的にしていきます。

小林これまで<みずほ>が築いてきたバリューを、そういった今後の差別化にフル回転で使っていくということかと思います。非金融の価値をクローズアップし、それを最大限に活用する事業モデルに転換していくうえで、持っているバリューの面、ステークホルダーからの理解の面、ともに良い立ち位置にいると思っています。

また、社会の豊かさにつながるビジネス展開という意味で、<みずほ>が間接的にできることは他にもあるように思います。例えば、<みずほ>の直接のお客さまでない人も含めて、一人ひとりが豊かになることを考えてみますと、<みずほ>が直接にお金を出すことに限らず、社会の循環の中での健全な企業の育成を通じた貢献もできるのではないでしょうか。いろいろなチャネルを通じて、金融に限らないサービスや知恵を提供し、発信することによって、そういう好循環を生み出すこともできると思います。

坂井我々は資金供給や商品・サービスの提供だけではなく、人的あるいはソフト面でのサポートも行っています。「オープン&コネクト」の考え方もそうですが、イノベーション企業へのサポートを含め、いわゆるビジネスマッチング等の企業間ネットワーキングの支援もあります。金融取引を通じて形成されたチャネルやネットワークを通じて、いまおっしゃったような、お客さまの新しい事業展開をサポートし、それにより社会の雇用吸収力を高めるような役割も果たすことができる。我々の役割は、信頼や安心をもとに、お客さまや社会を様々にバックアップさせていただける存在となることだと思っています。

取締役会議長 小林 いずみ

小林<みずほ>がそのような存在であり続けることを考えるうえで、今回のシステム障害でクローズアップされた課題は重要な意味を持つと思います。システム的な課題とは別に、私自身が感じるのは、人材の多様性を組織としてまだ活かしきれていないということです。ジェンダーや国籍などの属性的な多様性だけではなく、一人ひとり全く違う個性や、得意分野と不得意分野があるという意味での、いわば内面の多様性です。<みずほ>は、皆が同じ方向を向いて進むときは強いと思います。しかし、イレギュラーなことが起こったとき、一人ひとりがいろいろな方向から問題を見て、自主的に動いて力を発揮する組織としては、まだ弱い気がします。ただこれは1–2年ですぐ変わり、完成するものではないですよね。本当に地道に、何度も何度も変化の必要性を社内で確認し合って、なおかつ、経営陣が常に「それは違う角度から見たらどういうことを意味するのだろう」と考える癖をつける。<みずほ>は非金融の力を含めて様々な強みがありますが、それをどう活用するかは、まさに人の力にかかっています。多様性を活かすことで、強みもさらに発揮できるでしょう。

取締役 執行役社長 グループCEO 坂井 辰史

坂井システム障害は真摯に反省し、我々<みずほ>がお客さまと社会のために、もっと逞しく、しなやかになることで、将来、「あのときがあったから、今の<みずほ>がある」と、お客さま、社会の皆さん、社員の一人ひとりに感じていただけるようにしたい、と強く思っています。それに向けた取り組みの基本であり土台となるのは、人と組織を強くしていくことであり、そこで必要となるのが、大きな意味での多様性だと思います。これから様々な取り組みをしていきますが、その中でお客さまを知る、社会を知るために外部の人も活用しますし、主体的に自分のあり方、役割を大きな視点から俯瞰できるようにし、一人ひとりが色々なものの見方をしたうえで、手ごたえをもって動けるようにしていきたい。多様性のあり方それ自体、答えはひとつではないですし、経営陣が皆さんに「こうしてください」と言うものではないと思います。経営陣が一人ひとりの取り組みの背中を押すような形で、様々な形で仕組みを作ります。結果として社員の一人ひとりが、もっと動きやすく、もっとお客さまや社会のほうを向いて、そして、もっと前を向いて、一人ひとりが自信と誇りを持てる。そういう組織、企業風土を、経営と社員が一緒に作っていきたいと思います。

小林重要なのは、一人ひとりの社員が日々やりがいをもって、ある意味「楽しい」と思って仕事ができることです。楽しいと思う源泉は、お客さまから「ありがとう」と言葉をかけて頂いたとか、みんなが悩んでいる問題を自分が解決したとか、一人ひとりが「自分の価値がこの組織の中にある」と感じられること、それによって自信が持てるということだと思います。組織みんなが楽しいと思っていると、それは必ずお客さまに伝わります。皆が、「この会社にいると楽しい」と思える環境を作り、そして一人ひとりの社員には、自分の仕事をどうやったら楽しくできるのかということを考えてもらう。それが人と組織が変わっていくきっかけにもなると思います。そういう雰囲気を醸成していただきたいですね。

坂井これから本当に色々なことに取り組んでいきます。人と組織、企業風土は、おっしゃるとおり一朝一夕で出来上がるものではありませんが、自信を持つこと、楽しいと感じられる仕掛け。そして多様性を自分の中にも持ち、様々な角度から考えること。私自身が率先して取り組んでいきたいと思います。

持続的な成長に向けて

小林<みずほ>の戦略やその実行力、財務の状況はある程度自信をもってよいレベルにきました。コロナによって社会的な役割の柱も明確になりました。システム障害によって、我々がまだ足りず、これから力を尽くさないといけないところも、明確になりました。これらの3つをあわせ、立ち止まらずに進化していくことで、本当に強い組織とビジネスモデルができていくと思います。

5ヵ年経営計画のこの先3年、業績の達成だけでなく、人と組織の強化も課題です。この課題に向き合い乗り越えていくことで、5ヵ年のもっと先にも続いていく、本当に強固な地盤ができてくると思います。2021年はそれが試されています。社会的使命という意味ではコロナ禍における金融機能の発揮に加えて、我々のサービスが本当に社会の役に立つのかも試されていきます。5ヵ年計画の後半3年、とてもチャレンジングな正念場ではありますが、楽しみな期間だと思っています。

坂井今の環境の中で持続的に成長していくには、ステークホルダーとWin–Winの形になっていくことが必要です。そのためには単に財務面を強くするだけではなく、社会的な広がりの中で、金融・非金融の力をともに強くして、十二分に発揮していくこと。そうやって、我々のそもそもの由来である<豊かな実り>をステークホルダーに届けていきます。自分たちが今までどういう存在だったかを見つめなおし、これからどうしていくかをしっかりと示し、お客さま・社会とともに、そして社員とともに、将来の持続的成長につなげていきたいと思います。今日は示唆に富むいろいろなお話をいただき、ありがとうございました。

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