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CFOメッセージ

取締役 執行役常務 財務・主計グループ長 (グループCFO)梅宮 真

未曾有の危機下における財務運営の考え方

新型コロナウイルス感染症拡大は、世界的規模で人やモノの流れを止め、消費需要が大きく消失する等、グローバル経済に大きなマイナスインパクトをもたらしています。未曾有の危機に直面する今、お客さまの高まる資金ニーズにしっかりと寄り添い、社会・経済の早期回復に向けて金融仲介機能を十分に発揮していくことが、金融機関に強く求められています。

今後1~2年間は<みずほ>にとっても厳しい収益環境になることが想定されます。まずは守りを固め、与信関係費用や経費といったコストコントロールを徹底するとともに、2019年度決算で貸倒引当金を追加計上したように、今後起き得る変化を先取りしたプロアクティブな財務運営を行っていくことが重要であると考えています。

同時に、「少子高齢化」「デジタル化」「グローバル化」といったメガトレンドがもたらす構造変化に加え、新型コロナウイルス感染症拡大が及ぼす影響をも展望し、<みずほ>の構造改革を推進していかなければなりません。事業ポートフォリオの見直しや経営資源の再配分等を通じ、『次世代金融への転換』をしっかりと推進していきます。

2019年度の総括

2019年度の連結業務純益(ETF関係損益等※1を含む)は、顧客部門・市場部門ともに堅調に推移した結果6,725億円の実績となり、前年度比では2,642億円増加しました。なお、前年度の有価証券ポートフォリオ再構築に伴う損失計上の影響を除いても694億円の増加となりました。

与信関係費用は、新型コロナウイルス感染症が当社財務に与えうる影響に鑑み、将来予測に基づき一部の与信に対してフォワード・ルッキングに貸倒引当金804億円を追加で計上したことを含め、1,717億円の費用計上となりました。また、株式等関係損益(ETF関係損益等※1を除く)は、株価下落により有価証券(時価あり)評価損を394億円計上しましたが、政策保有株式の着実な削減等に伴い1,265億円の利益を計上しました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、期初に定めた4,700億円の業績予想に対して95%の達成率となる4,485億円となり、固定資産の減損損失を計上した前年度比では3,520億円の増加となりました。

2019年度連結業務純益(ETF関係損益等を含む) 6,725億円 前年度比+2,642億円 計画達成率108%
2019年度親会社株主に帰属する当期純利益 4,485億円 前年度比+3,520億円 計画達成率95%

5ヵ年経営計画の進捗

2019年度より開始した「5ヵ年経営計画」にて掲げた財務目標等については、いずれも順調に進捗しております。新規制完全適用ベースのCET1比率は2020年3月末で8.8%※2となっており、計画で目指すべき水準としている9%台前半に向け、着実に向上しています。政策保有株式残高の削減についても、お客さまとの丁寧な交渉により2019年3月末比1,478億円減少し、"2021年度末までの3年間で3,000億円削減"とする目標に対して49%の進捗となっております。また、財務構造改革への取り組みとして、人員・国内拠点・経費の削減を進めておりますが、いずれも現時点で新型コロナウイルス感染症拡大の影響はなく、特に人員・経費については2019年度計画に対し超過達成となりました。

こうした取り組みを通じて捻出した経営資源を、新規事業領域や海外・トランザクションバンキングといった注力分野に再配分することで、リスク・リターン、コスト・リターンを改善し安定配当の原資となる安定収益の積み上げを目指していきます。

  • ※1銀行・信託のETF関係損益、証券連結の営業有価証券等損益の合計値
  • ※2除く有価証券評価差額金

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財務目標
  2019年度 2023年度
連結ROE※1 5.8% 7%~8%
連結業務純益※2 6,725億円 9,000億円程度
その他主要係数
  2020年3月末
CET1比率※3 8.8% 9%台前半(目指す水準)
政策保有株式の削減※4 1,478億円削減 3,000億円削減
(2019年3月末~2022年3月末)
  • ※1.その他有価証券評価差額金を除く
  • ※2.ETF関係損益等を含む
  • ※3.新規制完全適用ベース、その他有価証券評価差額金を除く
  • ※4.取得原価

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2020年度計画
  2019年度 2020年度
連結業務純益※1 6,725 5,700
与信関係費用 △1,717 △2,000
株式等関係損益※2 1,265 800
経常利益 6,378 4,000
親会社株主純利益※3 4,485 3,200
  • ※1.ETF関係損益等を含む
  • ※2.ETF関係損益等を除く
  • ※3.親会社株主に帰属する当期純利益

2020年度の見通し

現時点において、新型コロナウイルス感染症の影響がどれ程の広がり・深度をもっていつまで続くのか、正確に予測することは困難です。かかる認識の中、今後の経済見通しについては、2020年度前半に底打ちし2021年末に向けて緩やかに回復するシナリオを前提として、2020年度業務計画を策定しました。

今年度は特にマイナス影響が大きく、連結業務純益(ETF関係損益等を含む)は、海外金利の利下げ影響や個人運用ビジネスの減少等により、前年度比約1,000億円減少の5,700億円としています。与信関係費用は2,000億円の費用発生を見込んでおり、この結果、親会社に帰属する当期純利益は、前年度比約1,300億円減少の3,200億円としています。

なお、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に起因する与信関係費用として、2019年度に1,350億円計上するとともに、2020年度には2,000億円を計画、合計で3,350億円の費用発生を見込んでいます。2019年度の1,350億円については、従来ルールの範囲内で国内を中心とする業績悪化が懸念される取引先への貸倒引当金約550億円を予防的に計上したこと、ならびに将来予測に基づき一部の与信に対して貸倒引当金約800億円をフォワード・ルッキングに計上したことによるものです。

リーマンショック時のピークである2008年度の与信関係費用5,367億円と比較すると、今回見込んでいる3,350億円は当時の約6割の水準にとどまっています。その背景は、CEOメッセージにおいても触れていた通り、前回の危機が金融発で広く実体経済に悪影響を及ぼしたのに対し、今回は金融システムの健全性が維持されており、円滑な資金供給が実体経済を支えていること、また、前回危機時に比較して<みずほ>の与信ポートフォリオの健全性が大きく改善したことによるものです。

ここで少し詳しく、足元の与信ポートフォリオの状況について説明します。コーポレート向け与信については、取引先における資本と手元流動性の蓄積が進み、リスク耐性が格段に向上しています。
一方、前回危機時に多額の損失を計上したプロダクツ与信についても、運営方針の見直しやリスク管理体制の強化により、ポートフォリオの質は大幅に改善しています。例えば、不動産や資源関連与信については、夫々のポートフォリオに占める投資適格相当の割合は8割程度と高い水準にあり、LBO引受ポジションは前回危機時に比べて大幅に縮減しております。また、証券化商品についても、リスクのコントロールが十分可能と判断できる商品に限定する等、健全性は大きく改善しています。

  • 銀行・信託のETF関係損益、証券連結の営業有価証券等損益の合計値

ポートフォリオの健全性

イメージ図

  • ※1.法人取引先の合計
  • ※2.内部格付に基づくエクスポージャーベース
  • ※3.原油価格下落の影響を最も受けやすい原油・天然ガス鉱業向け
  • ※4.残価リスクのある案件
  • ※5.S&P社による外部格付

資本政策

2019年度の年間配当金につきましては、期初予想通り、普通株式1株あたり7円50銭としました。「当面は現状の配当水準を維持しつつ、資本基盤の一層の強化を進め早期の株主還元拡充を目指す」との株主還元方針のもと、2019年度の親会社株主純利益は業績予想を僅かに下回ったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を鑑みフォワード・ルッキングに計上した貸倒引当金が無ければ業績予想を達成していたこと、2020年3月末のCET1比率が計画を超過達成し、2020年度はバッファーがある状況でスタートしたこと、2020年度の収益計画が、大幅減益ながらも一定の利益計上が見込まれること等を踏まえ、決定しました。

2020年度の年間配当金予想についても、2019年度と同額の普通株式1株あたり7円50銭を維持します。新型コロナウイルス感染症拡大への対応として、金融仲介機能を十分に果たしていく中、貸出の増加やお取引先の信用格付け低下に伴うリスクアセットの増加等により、CET1比率の一時的な低下を見込んでおりますが、現在の株主還元方針は何ら変わるものではありません。現状の配当水準を維持しつつ資本蓄積を進め、早期の株主還元拡充を目指してまいります。

新規制完全適用ベース 普通株式等Tier1(CET1)比率の見通し

イメージ図

税務に対する取り組み

企業としての重要な社会的責任の一つである納税義務の適切な履行等を行うため、また、株主・投資家の皆さまをはじめ広く国内外のお客さまの<みずほ>に対する信認・評価を確立・向上させ、持続的企業価値向上を図るため、本年4月にグループ統一的な基本方針として税務ポリシーを制定しました。

具体的には、各国の税務法令やBEPS行動計画等の国際課税ルールをしっかりと遵守するとともに、優遇税制等を活用し税金費用の適切な管理に取り組んでいきます。各国税務当局とは、建設的な対話を通じ良好な関係を構築していきます。また、お客さまに対しては、税法等の趣旨に反した租税回避や所得移転のみを目的とした商品等は提供しないことを社内に徹底していきます。

  • BEPS(Base Erosion and Profit Shifting):多国籍企業が各国の税制や国際課税ルールとの間のずれを利用することで、その課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行っている問題(税源浸食と利益移転)
一株あたり配当金
中間配当金(予想) 3円75銭
期末配当金(予想) 3円75銭
年間配当金(予想) 7円50銭
  • 2020年10月1日に 実施予定である株式併合を考慮しない金額を記載しております。当該株式併合を考慮した場合は37円50銭となります。

株主・投資家の皆さまとのエンゲージメントの強化

近年、企業と株主・投資家の皆さまとの関わり方が変化し、株主・投資家の皆さまの関心も、事業戦略や資本政策に留まらず、サステナビリティなどさまざまな角度からの持続的企業価値向上へと深化しております。このような背景を踏まえ、当社では、エンゲージメントの強化および開示情報の充実に取り組んでいます。

こうした取り組みの一環として、本年6月の株主総会において、株式併合の実施、並びに剰余金の配当の決定機関に係る定款変更を決定させていただきました。これは、株式併合によって、今後、配当の刻みを細かくすることが可能となり、配当や資本政策の柔軟性が高められることに加え、配当の決定にあたり株主・投資家の皆さまの意見を従来以上にしっかりとお伺いし、建設的な対話の充実を図っていくことを目指したものです。

また、投資家の皆さまとのエンゲージメント機会を充実させる観点から、機関投資家向け会社説明会や部門別事業戦略説明会「IR Day」、テーマ別戦略説明会「IR Select」を開催しているほか、個人投資家向け説明会(インターネットによるライブ中継)も2015年より継続開催しています。

今後も株主・投資家の皆さまとのエンゲージメントに積極的に取り組むとともに、開示情報の拡充にも努めてまいります。

開示の充実

機関投資家・アナリストの皆さまの意見を踏まえ、会社説明会資料のカンパニー別情報や、新型コロナウイルスの影響の開示等、開示の拡充に取り組んでいます。

また、投資家の皆さま関心が高まっているサステナビリティに対する取り組み強化についても開示しました。

併せて、株主・投資家の皆さまの利便性向上を目指し、ウェブサイトに決算・IR関連資料が一覧できる「IRライブラリー」を新設しました。

株主総会における取り組み

<みずほ>では株主総会を、株主の皆さまと直接意見交換できる重要なエンゲージメントの機会と考え、さまざまな取り組みを行っています。

具体的には、招集通知の早期開示や当日の質疑応答も含めた動画配信等の情報発信の充実を行うとともに、スマートフォ ンを活用した議決権行使の仕組みの導入等も実施しています。
また、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会場開催に加え、オンラインでのライブ中継も実施しました。

エンゲージメントの1年

エンゲージメントの1年
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