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世界初のプロジェクト
ファイナンス

世界最大の地熱資源保有国インドネシア。同国における大規模地熱発電プロジェクトの実現までに歩んだ長い道のりと、ファイナンシャルアドバイザーとしての責務とは。

みずほ銀行 グローバルプロジェクトファイナンス営業部 アジア室 
 | 金沢 裕朗Hiroaki Kanazawa

長期にわたり難航していた大型地熱発電プロジェクトが始動

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世界最大の地熱資源保有国であるインドネシアは、増大する電力需要に対応する電源増強計画の一環として、具体的な目標を掲げて地熱発電の活用に力を注いでいますが、開発は計画どおりに進んでいない状況です。こうしたなか、2013年4月、北スマトラ州サルーラ地区において、発電容量321メガワットという世界最大規模の地熱発電所建設プロジェクト(以下、本プロジェクト)が始動し、当該地域の電力不足解消と地熱発電の普及促進に期待が高まっています。
当初1990年代前半に計画された本プロジェクトは、アジア通貨危機の影響や、資金調達の問題などによって事業者が撤退、その後、2006年に伊藤忠商事株式会社、九州電力株式会社、インドネシアの電力事業会社であるPT Medco Power Indonesia、米国の地熱発電事業を行うOrmat Technologies, Inc. からなるコンソーシアムが開発権を取得し、事業化に向けた検討を開始しました。コンソーシアムメンバーを初め、インドネシア政府や日本政府など多くのステークホルダーが協働してプロジェクトを進めるなか、これまでの地熱案件での経験、知見が評価され、2007年にみずほ銀行はファイナンシャルアドバイザーに就任し、プロジェクトの経済性分析を初め、契約交渉のサポートからファイナンススキーム検討にいたるまで幅広い役割を担うことになりました。

プロジェクトの経済性を分析し、契約条件の改定交渉をアシスト

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本プロジェクトは、30年間の売電契約をインドネシアの国営電力会社と締結し、日本の技術も活用しながら地熱発電所を建設・運営していくものです。みずほ銀行は、地熱発電事業に関するさまざまなリスクを加味した独自のキャッシュフローモデルを作成し、開発・建設・運営に要するコストや予測発電容量などをもとにプロジェクトの詳細な経済性分析を実施しました。その結果、建設コストの上昇など、契約条件を提示した時点から事業環境が変化しており、売電価格の引き上げを初めとした契約条件の改定交渉が必要となりました。
みずほ銀行は、採算性が確保できる売電価格の水準を算出し、コンソーシアムがインドネシア政府に対して行う交渉をアシストしました。しかし、電気料金への影響から価格を抑えたいインドネシア政府との交渉は容易には合意にいたらず、難航しましたが、コンソーシアムとともに粘り強く交渉を続けました。その結果、インフラ分野の輸出促進をめざす日本政府のバックアップもあり、2010年4月、売電価格の改定についてようやく合意に達しました。また、その後も地熱発電事業に関するリスク軽減に向けてさまざまな条件面での交渉を続け、2013年4月、インドネシア電力公社(Perusahaan Listrik Negara Persoro:PLN)との長期売電契約が締結されるとともに、同契約にともなうPLN の支払義務について同国の政府保証が発行されました。

大規模地熱発電として世界初のプロジェクトファイナンスを実現

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地熱発電プロジェクトは、開発に時間を要するとともに、ほかの発電方式に比べて資源量評価に関するリスクも大きいため、開発資金を調達する際、通常は、企業の総合的な信用力に基づき資金調達を行う「コーポレートファイナンス」が用いられてきました。これに対し、「プロジェクトファイナンス」はプロジェクト収益のみを返済原資とし、銀行団を含めた多くの関係者が地熱発電の開発にともなうリスクを分担します。みずほ銀行は、事業者にとっての事業リスク低減と地熱発電の促進に向け、「プロジェクトファイナンス」を活用するスキームを提案しました。
本事業のファイナンス組成に向け、ファイナンシャルアドバイザーおよびリードアレンジャーとして金融機関が融資しやすい環境の整備に注力しました。具体的には、資源量調査・経済性分析において、地熱エネルギー減衰リスクを考慮したストラクチャーの提案や、比較的長い建設期間を考慮したリスク低減策を講じるとともに、PLNの支払義務をカバーするインドネシア政府の保証をベースに、国際協力銀行が民間銀行に保証提供するスキームを活用しました。
金融機関とコンソーシアム間のさまざまな条件調整を経て、2014年3月に、国際協力銀行、アジア開発銀行に加え、みずほ銀行を含めた民間金融機関6行が参加して、総額約11億7,000万米ドルの協調融資契約を締結し、6月には第1回目の融資が実行されました。今後は、日本の地熱発電関連機器メーカーも参画して発電所の建設が開始され、2016年に第1号機の運転が開始される計画です。
みずほ銀行は、本プロジェクトの実現がインドネシアの電力不足解消に資するとともに、地熱発電事業における資金調達方法の多様化や、日本の重要な成長戦略であるインフラ輸出の促進にも寄与するものと考えています。今後も、本融資に関するエージェント業務を通じて実現を見届けるとともに、本プロジェクトで蓄積したノウハウや経験を活用し、国内外での再生可能エネルギー開発とインフラ輸出促進に向け、金融面から積極的に取り組んでいきます。

プロジェクトを通じてかけがえのない仲間に巡り合えた

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本プロジェクトは、ファイナンシャルアドバイザー就任からプロジェクトファイナンス実現まで6年半という長い時間を要しました。その間、インドネシア政府との交渉停滞やリーマンショックなどさまざまな困難に直面しましたが、その都度、コンソーシアム企業とともに打開策を講じていくことで、ようやく実現にいたりました。最後にスポンサーから感謝の言葉をいただいたときには、役割を果たすことができた安堵と充実感でいっぱいになりました。
本プロジェクトを通じて、業種や企業を超えてかけがえのない仲間に巡り合えたことに感謝するとともに、培った知識や経験を生かし、地熱を初めとする再生可能エネルギーのさらなる普及と経済・社会の発展に金融面から貢献できるように日々努力していきたいと思います。

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