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エクエーター原則適用事例

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日本のエネルギー開発史上に残る大規模LNGプロジェクトの実現をサポート

日本のLNG年間輸入量の1割を供給する大規模プロジェクト

天然ガスは、ほかの化石燃料と比較して燃焼時のCO2やNOxなどの排出量が少ないだけでなく、ライフサイクルを通じても環境負荷が少ないことから、世界各国で石油から天然ガスへの燃料転換が加速し、需要が急速に拡大しています。日本は、以前から世界最大のLNG(液化天然ガス)輸入国でしたが、東日本大震災以降のエネルギー需給のひっ迫もあり、輸入量が急速に増加しています。

こうしたなか、現在、日本のエネルギー安定供給に大きな影響をもたらす大規模なLNG開発プロジェクトが進展しています。それは、国際石油開発帝石株式会社(以下、INPEX)等がオーストラリアの西豪州沖合で進めている「イクシスLNGプロジェクト」(以下、本プロジェクト)です。

本プロジェクトは、オーストラリア西部の海底ガス田から天然ガスを採掘し、約889キロの海底パイプラインを敷設して北部準州の都市ダーウィンまで輸送、さらに同地に建設するLNG液化プラントでLNG等を生産するものです。LNG生産量は年間840万トンで、日本のLNG年間輸入量の約1割を占める大規模なプロジェクトであり、日本のエネルギー安定供給の点において重要な案件であるとともに、日本企業が操業主体(オペレーター)を務めるという点においても画期的な案件です。

ファイナンシャルアドバイザーとしてプロジェクトをサポート

本プロジェクトは、開発規模の大きさゆえに、投資総額は340億米ドルに達します。こうした大規模プロジェクトへのファイナンスでは、事業計画の段階から企業と一体になって、参加する多数の金融機関の利害調整をしながら、最適な資金調達を実現する「ファイナンシャルアドバイザー」の役割がとりわけ重要であり、ファイナンスに関する豊富な実績とノウハウはもちろん、資源開発プロジェクトの運営に関する高い知見が求められます。

本プロジェクトでその重責を担ったのが、みずほ銀行です。みずほ銀行は、試掘により埋蔵量を確認したINPEXと、本プロジェクトの開発検討段階から資金調達に関するディスカッションを継続。2009年にファイナンシャルアドバイザリー契約を締結し、最適な資金調達方法の実現に向けて、事業計画や建設事業者およびLNG販売先との契約内容のレビュー、環境規制への対応に関するアドバイスも含む、包括的なアドバイスを実施しました。

その結果、2012年12月、国内外の輸出信用機関8行と市中銀行24行などとの間で、総額200億米ドルという、国際金融市場で過去最大規模のプロジェクトファンナンスを組成し、プロジェクトの実現に道筋をつけました。

プロジェクトの成否を握る「環境」「社会」への配慮

プロジェクトファイナンスの組成にあたってもっとも重視すべきポイントは、事業リスクを可能な限り低減することにより、金融機関にとって融資しやすい環境を整備することです。そのためには、事業の採算性や安全性を厳格にチェックすることはもちろんですが、事業が地域社会や自然環境と調和した“持続可能なプロジェクト”であることを見極めることも大変重要です。

みずほ銀行は、2003年にアジアの金融機関として初めて「エクエーター原則」を採択し、その後、同原則協会の運営委員会のメンバーとして主導的な役割を果たしています。本プロジェクトにおいても、そうした経験に基づく知見やノウハウを生かし、事業者であるINPEXに対して、環境・社会面での適切な配慮・対策を実施するためのアドバイスを実施していきました。

長年にわたり国内外で多数の資源開発に携わってきたINPEXは、環境や地域社会への配慮について意識が高く、独自に高いレベルの対応策を設けていました。そこで、みずほ銀行は、同社の対応策を、エクエーター原則の基盤となった国際金融公社(IFC:International Finance Corporation)の基準やオーストラリアの環境規制などと照らし合わせたうえで、そのギャップを埋めるためのアクションプラン策定を支援し、多数の金融機関と事業者の利益を両立させるべく交渉を進めて融資契約書に反映させるなど、一つひとつ手順を踏みながら大規模な融資をとりまとめていきました。

環境への影響低減と経済発展の持続性を支える取り組みをサポート

本プロジェクトにおける環境や地域社会への配慮の内容は、非常に多岐にわたっています。みずほ銀行は、こうした内容を細かくヒアリングするとともに、30年以上にわたってLNG開発にかかわってきた経験や、環境・社会配慮等に関する専門的な知見を生かし、INPEXの取り組みをサポートしました。

本プロジェクトでは、環境面において、海中資源開発という特性を踏まえ、とくに生物多様性に配慮しています。例えば、イルカやジュゴンなど希少生物種を保護するため、浚渫作業(海底の土砂等を、水深を深くするために掘削すること)には、水中発破(水中で爆薬を用いて岩石等を爆破すること)を使用せず、特殊なカッターで岩盤を削り取る方法を採用しています。

また、本プロジェクトでは、温暖化対策として、LNG生産過程における温室効果ガスの排出抑制に努めると同時に、排出されたCO2を植林によってオフセット(相殺)する計画も立てています。

ダーウィン湾のイルカの写真

ダーウィン湾のイルカ

植林された林の写真

植林された林

社会面では、現地の漁場近くに建設する桟橋を計画より短くするなど、漁場への影響を最小限に留めるよう配慮しているほか、職業訓練校の建設支援など、地域経済の発展に貢献する人材育成や就業機会の創出をサポートしています。さらに、先住民が残した文化遺産の保護にも注力するなど、地域社会の持続性とその発展を幅広い観点から見わたし、さまざまな取り組みを進めています。

こうした配慮の前提となるのが、現地社会との緊密なコミュニケーションを通じた相互理解です。INPEXは、本プロジェクト実施にあたり、計画段階から、説明会の開催や地域の代表者等との意見交換・情報共有を積み重ねてきました。そのプロセスが、現地の要望に応じたきめ細かな取り組みにつながっており、その取り組み姿勢に対する評価は、現地住民の80%以上が本プロジェクトを支持しているという調査結果にも表れています。

職業訓練校での様子の写真

職業訓練校での様子

事業の完了までモニタリングを継続

本プロジェクトは、生産用の井戸の掘削や各施設の建設作業を行い、試運転を経て2016年末までに生産を開始する予定です。すでに年間生産予定数量の全量が売買契約締結済みですが、その7割相当が日本に供給される計画です。

今後、約40年にわたって続けられる本プロジェクトについて、みずほ銀行は、継続的にモニタリングを実施していく計画です。具体的には、事業者自身や金融機関側の環境コンサルタントによるレポートなどを確認しながら、必要に応じて適切な対応をアドバイスすることで、日本のエネルギー安定供給を担う本プロジェクトを支え続けていきます。

イクシスLNGプロジェクトのイメージ画像

社員の声

みずほ銀行 グローバルストラクチャードファイナンス営業部 資源エネルギー第一チーム 調査役 坂口 健太郎の写真

みずほ銀行
グローバルストラクチャードファイナンス営業部
資源エネルギー第一チーム 調査役
坂口 健太郎

本プロジェクトは、日本の産業界に不可欠なエネルギーの安定供給を支えるという点で非常に意義深いものであり、その実現に貢献する機会をいただいたことに感謝するとともに大変誇りに思っています。

みずほ銀行がファイナンシャルアドバイザーという重責を果たすことができたのは、プロジェクトファイナンスについての長い経験・ノウハウに加え、環境・社会側面に関するみずほ銀行の専門組織として「グローバル環境室」が蓄積してきた数々のノウハウによる部分が大きいものと自負しています。

本プロジェクトでも、多くの金融機関との交渉において、環境・社会影響を含むプロジェクトリスクをどのように最小化し、かつ融資契約に反映していくかといった点などで、さまざまな議論がありましたが、その解決に、みずほ銀行が蓄積してきた「リスクを見る目」が、大いに生かされたと思います。

これらの蓄積を生かして、今後も経済・社会の持続可能な発展に寄与するプロジェクトの実現に向けて金融面から貢献するとともに、お客さまに対して適切なサポートを提供していきたいと考えています。

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