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市場リスク管理について

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基本的な考え方

当社グループでは、市場リスクを「金利・株価・為替等の変動により損失を被るリスク」とし、「市場の混乱等で市場において取引ができなくなるリスク、通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)を含む」と定義しています。

当社グループの市場リスク管理は、当社が統括しています。具体的には、市場リスク管理に関する当社グループ全体の基本的な方針を定め、主要グループ会社の管理を行い、併せて、当社グループ全体の市場リスク管理の状況をモニタリングし管理する態勢となっています。

市場リスク管理態勢

当社では、取締役会が市場リスク管理に関する基本的な事項を決定します。また、経営政策委員会(リスク管理委員会)で、市場リスク管理に係る基本方針や運営・モニタリングに関する事項等、総合的に審議・調整等を行います。グループCROは市場リスク管理の企画運営に関する事項を所管します。リスク統括部は、市場リスクのモニタリング・報告と分析・提言、諸リミットの設定等を担い、市場リスク管理に関する企画立案・推進を行います。

市場リスクの状況等については、執行役社長への日次報告や、取締役会および経営会議等に対する定期的な報告を行っています。主要グループ会社の市場リスク管理については、各社からの定期的な報告等により市場リスクを適切に把握・管理しています。特に当社グループの市場リスクの大宗を占める各社では、当社同様に基本方針を制定し、市場リスク管理に関する重要な事項については各社の取締役会が決定します。

市場リスク管理方法

市場リスクの管理方法としては、主要グループ会社各々のリスクプロファイルを勘案し、配賦リスクキャピタルに対応した諸リミット等を設定のうえ、保有する市場リスクが資本金等の財務体力を超えないようにリスクを制御しています。

なお、市場リスクの配賦リスクキャピタルの金額は、VAR(Value at Risk)とポジションをクローズするまでに発生する追加的なリスクを対象としています。

諸リミットの設定

諸リミットは、業務戦略や過去の枠使用率、リスク負担能力(収益・自己資本・リスク管理態勢)、収益目標、商品の市場流動性等を考慮し、経営政策委員会(リスク管理委員会)での審議・調整および経営会議での審議を経て執行役社長が決定します。トレーディング業務およびバンキング業務については、VARによる限度および損失に対する限度を設定しています。また、バンキング業務等については、必要に応じ、金利感応度(10BPV)等を用いたポジション枠を設定しています。これらの限度・枠を超過した場合には速やかに報告が行われ、あらかじめ定められた手続きにのっとった対応が行われます。

モニタリング

市場性業務に関しては、フロントオフィス(市場部署)やバックオフィス(事務管理部署)から独立したミドルオフィス(リスク管理専担部署)を設置し相互に牽制が働く態勢としています。ミドルオフィスは、VARの管理に加え、各種リスク指標の管理、ストレステストの実施、損失限度の設定等により、VARのみでは把握しきれないリスク等もきめ細かく管理しています。「市場流動性リスク」については、金融商品ごとに市場での取扱高等を勘案したポジションのモニタリングを行っています。

市場リスクの状況

バンキング業務

2022年度のバンキング業務におけるVARの状況は以下の通りとなっています。

左右スクロールで表全体を閲覧できます

バンキング業務におけるVARの年度別推移(単位:億円)
  2020年度 2021年度 2022年度 増減
年度末日 2,494 2,097 2,235 137
最大値 5,017 3,219 3,922 703
最小値 2,240 1,910 1,521 △388
平均値 3,465 2,660 2,176 △483
  • バンキング業務には、政策保有株式を含みません。
バンキング業務のVAR計測手法
VAR ヒストリカルシミュレーション法
定量基準
  • 信頼区間 片側99%
  • 保有期間 1ヵ月
  • 観測期間 3年(801営業日)

なお、バンキング業務においては金利リスクの適切な捕捉が重要であり、明確な金利改定間隔がなく、預金者の要求によって随時払い出される当座預金や普通預金等の一部についてはコア預金として認識する等、適切な方法により計測を行っています。

トレーディング業務

2022年度の当社グループのトレーディング業務におけるVARの状況およびリスクカテゴリー別内訳は、以下の通りとなっています。

左右スクロールで表全体を閲覧できます

トレーディング業務におけるVARの年度別推移(単位:億円)
  2020年度 2021年度 2022年度 増減
年度末日 27 53 70 17
最大値 91 102 83 △19
最小値 24 29 31 2
平均値 54 43 53 10

左右スクロールで表全体を閲覧できます

みずほフィナンシャルグループにおけるトレーディング業務のリスクカテゴリー別VARの状況(単位:億円)
  2021年度 2022年度
年度
末日
最大値 最小値 平均
(構成比)
年度
末日
最大値 最小値 平均
(構成比)
合計 53 102 29 43
(–)
70 83 31 53
(–)
金利リスク 40 57 28 38
(88%)
72 72 27 46
(87%)
為替リスク 10 15 3 5
(12%)
9 16 4 8
(15%)
株価リスク 11 49 2 8
(19%)
10 20 4 11
(21%)
商品リスク 0 1 0 0
(0%)
7 7 0 1
(2%)
  • 最大値および最小値のカテゴリー別/合計のVARは、それぞれ、別々の日となっています。
    また、リスクカテゴリー別VARの単純合計は、相互に一部リスクを打ち消し合うため合計とは一致しません。

トレーディング業務のVAR計測手法

VAR計測手法
VAR ヒストリカルシミュレーション法
定量基準
  • 信頼区間 片側99%
  • 保有期間 1日
  • 観測期間 3年(801営業日)
トレーディング業務
業務目的 市場価格の短期的な変動、市場間の価格差等を利用して利益を得る業務
計測範囲 特定取引勘定等、トレーディング業務の目的で行われた取引

政策保有株式

政策保有株式についても、株価リスクを適切に管理するため、バンキング業務やトレーディング業務と同様に、VARおよびリスク指標等に基づく市場リスク管理を行っています。具体的には、日次でVAR計測およびリスクキャピタルの状況等をモニタリングしています。また、株価リスクの抑制等の観点から、取引先との丁寧な交渉により、政策保有株式の削減を進めています。

バックテスト

当社グループでは、VARによる市場リスク計測の有効性を確認するため、VARと損益を比較するバックテストを定期的に行っています。

次のグラフは、トレーディング業務(バーゼル規制ベース)における2022年度の日次のVARと対応する損益を対比したものですが、期間中にVARを上回る損失が発生したのは、0回となっています。バックテストに使用するVARと対比する損益は、一般市場リスクを対象とした仮想損益を使用しています。これに加え、当社グループではVAR計測手法の前提条件検証等を行っています。バックテストで損失がVARを超過した回数や計測手法の前提条件検証の結果を考慮し、必要に応じて計測手法を見直します。VAR計測手法の基本部分の変更については、グループCROが承認します。

2022年度 みずほフィナンシャルグループにおけるバックテスト結果
2022年度 みずほフィナンシャルグループにおけるバックテスト結果のグラフ

ストレステスト

VARは、統計的な仮定に基づく市場リスク計測方法であるため、仮定した水準を超えて市場が急激に変動した場合にどの程度の損失を被るかについてのシミュレーションとして、ストレステストを定期的に行っています。ストレステスト手法としては、足元の経済状況や今後の見通し、過去のストレス事象等を踏まえ、金利リスクや株価リスクにストレスを設定するシナリオを設定し、損失額を算出する方法等を実施しています。

VAR(Value at Risk)

市場の動きに対し、一定期間(保有期間)・一定確率(信頼区間)のもとで保有ポートフォリオが被る可能性のある想定最大損失額で、市場リスク量を計測する方法です。VARの金額は保有期間・信頼区間の設定方法、市場の変動の計測手法(計測モデルと呼びます)によって異なります。

10BPV(Basis Point Value)

金利感応度の指標で、金利水準が10ベーシスポイント(=0.1%)上昇する場合に、保有するポジションの価値(時価評価額)がどれだけ変化するかを示した数値。きめ細かなポジション運営を行うために、金利関連ポジション枠ごとに通常その上限として設定しています。

コア預金

コア預金は、対象となる当座預金や普通預金等の預金残高の①過去5年間における最低残高、②過去5年の最大年間流出量を現残高から差し引いた残高、または③現残高の50%相当額のうち、最低残高を上限とし、最長5年の取引として取り扱っています。なお、みずほ銀行における円預金については、内部モデルにより残高を推計し、最長10年の取引として取り扱っています。

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